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“安倍後”の日本再建を今から考えておく必要

2018.08.28(14:25) 592

 愛想を尽かした有権者が多い中、自民党のお寒い内部事情と、弱い野党に助けられて「安倍3選」は確定したようですが、「安倍が通った後は荒れ果てて、ペンペン草も生えない」事態に備えて、僕ら日本国民は今から考えておいた方がよさそうです。せめて安倍流の馬鹿げた「憲法改悪」だけは阻止しておきたいが、まともな議論が国会で行われることは期待できないので、国民投票で否決する他はありませんが、そこがわかっている有権者がどれくらいいるのか、心もとないところです。

 安倍の救いがたいアホさは、次の記事にもよく表われています。

安倍晋三首相、鹿児島で「平成の薩長同盟」を演出 「反安倍」鎮めた森山裕氏に論功行賞

 最近は歴史学会でも明治維新の見直しが進んでいるようで、「薩長同盟はアルカイダみたいなもの」と言う人すらいるぐらいですが、そんな話はむろん、安倍はご存じないのです。

 これに立憲民主党の枝野幸男代表がかみつき、「国民分断を図るもの」と批判したという話ですが、それ以前に、改革とは正反対の安倍政権が明治維新(それはよいものという通念に従えば、の話)に自らの政治をなぞらえて「印象操作」をしたがる愚劣さが何とも言えない感じなので、安倍が何か日本をいい方向に変えるようなことしましたかと、あらためて質問したいくらいです。原発はそのまま、格差はむしろ助長し、アベノミクスは大失敗で、外交的にも国が破産寸前なのにバラマキ外交に励んで歓心を買う他は、トランプべったりしか能がない。上の記事の1ページ目末尾にはこうあります。

 首相が「働き方改革国会」と銘打った通常国会では、学校法人「森友学園」「加計学園」問題が再発、財務省の決裁文書改竄(かいざん)などの公文書管理問題も出て、安倍政権は野党の攻撃にさらされた。森山氏は、野党の攻撃をかわしながら、働き方改革関連法やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法など重要法案の成立にこぎつけた。

 さすが産経、あたかもそれが立派なことであるかのようです。今まで何度も書きましたが、安倍は韓国以上の情実政治がはびこる国に日本を仕立て上げ、政治や行政の私物化を進めたので、こういうのは彼のヤンキー根性丸出しの幼稚なパーソナリティのなせるわざです。「もり・かけ問題」の本質はそこにある。驚いたことに、今の日本人はおそろしくそういうことに鈍感なのです。

「働き方改革関連法やカジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法など重要法案の成立にこぎつけた」というのも笑えるので、「働き方改革法案」というのは、例の「残業代ゼロ法案」で、今は一応職種や年収の下限が設けられていますが、元々が財界の要望に基づくもので、それはいずれ撤廃され、年収三百万の平凡なサラリーマンでも「高度プロフェッショナル」認定され、いずれ非正規以外は全員それで、労働者残酷物語の序章になりそうだと見られているのです。あの派遣法の時もそうなったから、そうならない方がむしろ“不自然”なのです。

「カジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法」と来た日には、小金持ちから蓄えを巻き上げて、アメリカのカジノ業者にそれを朝貢するシステムを作るに等しい。いくらか頭の回る金持ちは株や何やらの投資で手堅いギャンブルに励み、そうでない金持ちはカジノで丁半バクチに血道を上げるのです。それが国庫に入って、見えない税金になるのならまだしも、アメリカさんに貢ぐだけになって、いいことは何もない。今日本に来ている観光客はそういうものが目当てではないのですが、外国人観光客もターゲットにするとなれば、いずれ評判は悪化するでしょう。知恵がなさすぎるので、売国奴の所業としか言いようがない。

 今のアメリカはその典型ですが、大企業や金融機関が政治家と結託して、というより、前者が後者を使い走りにして、経済システムを自分たちに都合のいいものに変えてしまい、中間層は没落して、経済成長の果実は一部の富裕層だけに集中するようになってしまった。マスコミもその使い走りの一つで、その不正を徹底的に暴いて退陣に追い込むような気概はなくなっているのです。アメリカの場合はまだしも、独立系メディアがいくつか誕生して、それに対抗していますが、日本でそうした動きが報じられることはほとんどない。ネトウヨなんか、僕が馬鹿だなと思うのは、一定の情報の枠組みの中で踊らされて、権力にいいように利用されていることに彼らが全く無自覚なことです。トランプを当選させたのは、彼が説く「偽りの因果関係」のわかりやすさに騙された無知な白人層ですが、これは安倍(その背後にいる日本会議系の知識人)とネトウヨの関係にもそのまま当てはまるのです。彼らは自分で自分の首を絞めていることに気づかない。

 僕は前に、「3選と言わず、終身首相を安倍にやらせたらどうか」と書いたことがあります。いずれ悲惨なことになるので、その落とし前を彼自身につけさせるのです。支持率が3パーセントになっても、「いやいや、余人をもっては代えがたいので、この難局に対処できるのは安倍首相を措いては他にありません」とおだてる。そうなるとオウムの麻原みたいに精神異常を彼は装うようになるかもしれませんが、そこまで徹底的にやらせた方がのちのちの政治家の教訓になってよいのです。今の政治家に共通する病弊は「責任の観念がない」ということなのですから。

 しかし、3選で彼は「勇退」するだろうから、ツケの支払いをさせられるのはその後の政権です。支持の出遅れで安倍の不興を買った岸田文雄は、呆れたことに安倍の憲法改正案を支持すると言い出して、ご機嫌を取り結ぼうとしていることからして、「禅譲」の目も復活するかもしれませんが、優柔不断で主体性のない彼は仮にそうなっても、なすすべもなく非難の嵐の中で総理の座を追われることになるでしょう。非常事態に対処できるような強さはかけらもないのだから。そこらへんで落ちるところまで落ちて、次の代で「改革」は行われることになる。いや、行われずに奈落の底に沈むということもありえますが、いくら今の日本人が事なかれ主義で、覇気に乏しいといっても、そのあたりまで来ればもっとマシになるかもしれないと僕は見ています。一方でヒトラーみたいなのが出てこないとも限らず、それに騙される危険もありますが、とにかく今の日本人は並大抵のことでは目が覚めないのです。

 いわゆる「2025年問題」というのがあります。これは何年も前の東京新聞の記事ですが、

 25年は、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になる年です。日本は急速な高齢者が問題でした。しかし25年以降は、2200万人、4人に1人が75歳以上という超高齢社会が到来します。これまで国を支えてきた団塊の世代が給付を受ける側に回るため、医療、介護、福祉サービスへの需要が高まり、社会保障財政のバランスが崩れる、とも指摘されています。

 という、あれです。数々の無為無策に加えて、そういう事態にもなるのです。「経済成長があればそれも乗り切れる」と言う人がいるかもしれませんが、アベノミクスは「力強い経済成長」を促すことにはなっていないし、そもそもが「浦島太郎の経済学」(浜矩子教授の命名)だから、そんなことにはなるわけがないのです。大企業優遇税制と実質賃金低下策を様々取った挙句に、そうなるのですから、「一億総下流」になるしか手はなくなる。「さあ稼ぎましょう」と言っても、貧乏人しかいないのだから、需要は縮小するばかりで、どんな商売も儲からない。儲かるのは必要な社会出費に、つまり税金に寄生する業態だけです。

 とにかく経費を削減しなければと、企業がAIの導入にさらに熱心になれば(なるでしょう)、雇用はさらに減る。今は人手不足だからちょうどいいなんて呑気なことは言っていられないので、AIは税金を納めてくれないし、むしろ企業の要望でその開発に国が補助金を出したりして、かえって財政を悪化させるのです。

 社会を蝕むのは、そして経済を縮小させるのは「将来の生活不安」です。その材料が山積しているのに、政府は何らそれに対する対応を取ってこなかった。「浦島太郎の経済政策」ではマイナスにこそなれ、何の助けにもなりませんが、このままではアウトです。意図不明の憲法改正がどうたら、下らないことを言っている場合ではない。

 面倒なので、その因果関係は説明しません(各自勉強して下さい。インターネットだけでもかなりのことがわかる)が、僕は一番効果的なのはベーシック・インカム制度を導入して、抜本的な経済システムの転換を図ることだと思います。それには経済格差是正効果も、世代格差是正効果もあるので、そうすれば人々は安心して、創造的なチャレンジも可能になり、新しい業態やニーズも生まれる。経済成長が可能になり、しかも新しい性質の経済社会が誕生する可能性が高い(その場合、AIの進化はむしろ助けになる)のです。当然既得権益層は抵抗するので、それべったりの今の安倍政権下では絶対に不可能です。僕は安倍政権には何も期待していないので、その先の話なのですが、野党はそのあたりしっかり勉強して、明確なオルタナティブを提示できるようになってもらいたいと思います。それに説得力があれば、あんなクソ自公政権、倒すのはかんたんなので、そうならないのは「安倍がクソなのはわかっているが、野党はそれに輪をかけて頼りない」と有権者に思われているからです。

 むろん、こんなこと言っても聞く耳をもつ人はほんの僅かでしょう。僕はそれを承知して書いているので、何の期待もしていません。幸か不幸か、まだくたばりそうにないので、宇宙人になったつもりでこの世界を眺めることにしようと思っています。仙人よろしく霞を食っては生きられないので、何とか食い扶持を稼ぎながら、です。


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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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