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「安倍3選」で日本は落ちるところまで落ちる

2018.06.25(15:07) 584

 産経新聞は他の新聞と違って、ネットで多くの記事が無料で読めるようになっていて、それで日本の右傾化に拍車がかかり、ネトウヨがこんなに増えてしまった、という説がありますが、僕に一つ不思議なのは、元々部数が一番少なくてマイナーな産経に、どうしてそんな「経営体力」があるのかということです。背後に誰か強力なスポンサーでもいるのか? その理由を誰か教えてもらいたいものです(前に元塾生の新聞記者――幸い産経でも読売でもない――が遊びに来た時、彼にそのあたり調べておいてくれと頼んだのですが、報告がまだありません)。

 それでこれも無料記事なのですが、産経には【単刀直言】というコーナーがあって、そこに「自民党・二階俊博幹事長『首相3選疑いない』『日本を担うトップリーダーが生半可であっては困るのだよ』」と題された談話記事が出ています。この御仁は麻生と並ぶ“自民党のドン”で、ご両人とも、マフィアのボスか暴力団の組長だと言われてもナットクしてしまうようなご面相の持主ですが、韓流歴史王朝ドラマさながらに、今の日本政治はこうしたヌエじみた“重臣”が陰で支配していて、王(総理大臣)も彼らの顔色を絶えず窺っていなくてはならず、その意向で決まるようになっているのです。時代の“復古”は進んで、それもどういうわけか海を隔てた隣国の李氏朝鮮時代を模倣するようになってしまった。メディアによる批判などというものは何の力も実際はもっていないので、こういう個人のブログなどはなおさらです。

 このインタビュー記事は、実際の政治を牛耳る“自民党のドン”の精神構造を知るという意味で貴重なものです。無料でその貴重な発言を読ませて下さる産経には感謝しなければなりません。段落ごとにコメントを付して、皆様と全文を読んでみることにしましょう。

 安倍晋三首相(自民党総裁)は順調な国政運営をやっています。国民の皆さんは、首相に対する安心感や信頼感がある。国政全体をみて、首相を代えなければならない問題はまったくありません。外交でも、首相はトランプ米大統領と対等に渡り合い、北朝鮮情勢などに対処しています。こういうことも信頼感につながっているのでしょう。

 これに同意するのは、たぶんネトウヨとごく一部の安倍信者だけでしょう。「国民の皆さんは、首相に対する安心感や信頼感がある」とありますが、政治的見解の左右を問わず、僕の周囲でそんなことを言っている人は一人もいません。例の「もり・かけ」問題で、「順調な国政運営」どころではなくなっていますが、数の圧倒的優勢があるので、何でも無理に押し切れば通ってしまう。それを「順調」と評するなら、誰が総理でも「順調」と言えるのです。

「外交でも、首相はトランプ米大統領と対等に渡り合い」と言いますが、他国から見て、あれが「対等に渡り合う」姿だと思っている人はほぼ絶無でしょう。率直に言えば、いい笑いものになっているのです。いや、平身低頭、太鼓持ちそのものに見えても、「言うべきことは言い、譲るべきでないことは譲らない」態度を堅持しているのだと擁護する人もいるかもしれませんが、トランプが「日本はもっとアメリカから武器を購入すべきだ」と言われれば、ただちに「はい、そうします」と答える。トランプにそう言われる以前に、安倍政権になってから「アメリカからの武器購入費用」は激増していて、それもアメリカの言い値で買わされているのです。だから、アメリカの防衛産業や保守派からすれば、安倍政権の存続は大いに望ましいのです。「こんなに防衛装備品をたくさん買っているのだから、工業製品の関税を上げるのは勘弁していただけませんか?」と安倍がトランプに哀願したとして、トランプがそれに応じるかどうかは、それこそトランプの胸三寸で決まるのです。

「北朝鮮情勢」について言えば、前にも書きましたが、トランプ様に「拉致問題のことも米朝首脳会談で触れておいて下さいね」とお願いするのみで、トランプはとにかくそれに触れることはしたというので、感涙にむせばんばかりに「感謝の電話」をして、日朝首脳会談もそのトランプ様の口利きのおかげで実現しそうだというので、はしゃぎ回っているのです。しかし、トランプは、拉致問題も非核化も、おまえの国がたっぷり経済援助をして、北朝鮮が機嫌よく話を聞いてくれるようにしろ、と言っているのです。アメリカに核ミサイルが飛んでくる可能性はほぼなくなったから、脅威が残る日韓は自前でやれ、金正恩はなかなかいい奴で、私とはウマが合う(安倍も同じことを言われた)ので、おまえらがしっかり経済援助をすれば、金正恩も気をよくしてミサイルをぶっ放すなんてことはしなくなるだろう、云々。それがトランプの「アメリカ・ファースト」で、要はテキトーなのです。「こういうことも信頼感につながっているのでしょう」という二階の言葉は、通常の理解能力を持つ人間にとっては、完全に意味不明です。

 9月の党総裁選は、首相の連続3選が着実にレールに乗っています。これを押していけばいいわけだから、3選に何の疑いも持っていません。この夏にソウルで行う志帥会(二階派)の勉強会は、われわれが首相の3選支持を国内外に明らかにする絶好のチャンスと思っています。

 二階流の「内輪の論理」で行けば、そうなるらしいので、彼と麻生あたりが「3選に何の疑いも持ってい」なければ、事実上「安倍3選」は確定なのでしょう。何用あって韓国のソウルで派閥の集まりを行うのかは知りませんが、二階は昔からの親中韓派で、「安倍は朝鮮嫌いだが、私がついているから大丈夫」と言って、文政権を安心させ、「あんた方も反日的言動を慎まないと、国内にも大きな分裂を抱えているんだし、後々ヤバいことになるんではないの?」とチクリとやってくるつもりなのかも知れません。二階にとっては安倍の朝鮮嫌いも、自分の存在価値を高める材料になるので、かえって都合がいいのです。

 首相をとっかえひっかえして「今度、日本の首相は誰でしたか」と話題に出るようでは、国の政治は安定しません。首相自身が党内安定勢力のトップリーダーとして非常にうまくやっているのですから、われわれは全幅の信頼を置いて首相についていきます。

 野党は四分五裂の有様だし、党内にも人がいない(人気のある小泉進次郎はまだ若すぎる)。それは二階自身が地元で「あんなのしかおらんのや」と言われつつ当選を重ねているのと同じです(僕の郷里は二階の選挙区です)。二階のおかげで地域が豊かになったとか、過疎の進展が止まったなどという話は聞いたことがなく、“沈没”しっ放しですが、「他にいない」のでそうなっているわけです。安倍もこれと同じで、「安倍でも仕方がない」と「全幅の信頼を置いて首相についてい」くのとでは大きな違いですが、物は言いようなのです。

 総裁選は、いい候補でなければ出ない方がましだよ。いいかげんな候補に出てもらうぐらいなら、無投票の方がよっぽどいいです。「候補者が出て政策を立派に競い合うのがよい」と思い込んでいる人がおり、その考えは悪いことではないが、日本を担うトップリーダーが生半可であっては困るのだよ。

 絵に描いたような「生半可」は安倍のことで、だから二階には御しやすい相手なのだとは言わない。放言癖で有名なもう一人のドン、麻生は、先月の自民党のパーティで、「政権に復帰した2012年の総裁選に触れ、『暗いやつを選ぶか、あまり頭の良くないやつを選ぶか。だったら、おなかの悪いのが一番いい』と評していたことを振り返った」(時事通信)そうですが、これは石破茂、石原伸晃、安倍晋三をそれぞれ指すと見られていて、自分は頭がいいと思っているらしいことは笑えますが、「言い得て妙」だと一部には評されました。

 二階の言う「生半可」は、憲法改正の妄執にとりつかれている他は、支離滅裂な安倍のような男ではなく、理路整然としたタイプなのでしょう。「『候補者が出て政策を立派に競い合うのがよい』と思い込んでいる人がおり、その考えは悪いことではないが、日本を担うトップリーダーが生半可であっては困るのだよ」という含蓄に富んだ表現は、「反知性主義」政治家、二階の「理屈で政治が動くか!」という理知的なものへの反感がよく表わされています。この点、「論理的」な石破や小泉進次郎は、二階の本能的反発を買う。裏返して言えば、そういうものが大きな働きをする政治では、二階のような政治家は居場所を失ってしまうのです。だから彼のような人間はそれを嫌う。

 石破茂元幹事長は立派な人ですし、総裁候補を3人や5人育てなかったら党の発展はありません。そういう意味で、石破氏は何人かのうちの一人として大いに頑張ってもらったらと期待しています。岸田文雄政調会長ら、その手の人はみなそうです。小泉進次郎筆頭副幹事長も将来性のある一人です。
 ただ、だからといって必要のない総裁選を行い、党内に混雑、混乱をもたらすのは適当ではないよね。総裁選でうまくならなかったらひっくり返るという人は、誰も推さないよ。


 麻生よりはこのへん、物言いが慎重で、気配りも周到ですが、要は「総裁選はやるな。やっても安倍が勝つようにオレは動く」という恫喝なのです。「総裁選でうまくならなかったらひっくり返るという人は、誰も推さないよ」というのは、古いムラ政治家の二階の特徴がよく出ていて、「和を乱す」ような奴、平気で政権批判を続けるような輩は、私的な怨恨でそうしているとしか解釈しないということです。こういうのがキング・メーカーになってにらみを利かせているから、ご本人の言葉とは裏腹に、自民党も「党の発展はありません」ということになってしまうのですが、その自覚はない。

 幹事長というのは、もう毎日毎日忙しくて、大変な仕事です。長くやっていたいとか、引き続きやりたいとは思っていません。淡々と(総裁から)言われた時期を一生懸命こなす。
 新潟県知事選も大変な選挙でしたが、負けると思ったことは一回もありませんでした。勝つためには、いい候補を立てることが一番です。候補が悪かったら勝てないよ。それと、勝つためにベストを尽くしているかどうか。


 新潟知事選で自民党が勝ったのは、あれはそうなるだろうなと僕も思いましたが、自民が推す候補も「原発再稼働」に慎重な姿勢を見せたからです。「国策だから、再稼働に賛成する」と言っていれば、百%落ちた。二階は公明党とも仲良しですが、創価学会の組織票がなければ勝てなかったでしょう。別にとくに「いい候補」だったからではない。尤も、二階は二年前、郷里の和歌山県御坊市の市長選に長男を立候補させ、マイナーなその選挙に国政選挙並の態勢をとって、応援演説に小泉進次郎や稲田朋美まで送り込んだにもかかわらず、ひどい票差で落選するという憂き目を見たことがあるので、あんまり「悪い候補」だとどうしようもないということはたしかにあるのです。

 与党は精いっぱい活動、活躍の場が与えられているのだから、選挙に勝つのは当たり前です。それを確実なものにしていくかどうかを考えるのが、われわれの最大の責任です。11月の沖縄県知事選も勝ちたい。

 これがとんでもない論理なのは、中学生でもわかります。与党が選挙に勝つのが「当たり前」なら、民主主義は機能しなくなる。勝利が「確実なもの」になるように、組織票だの利益誘導だので攻めまくられては、政治的無関心が広がって投票率が低下する中、まともな意見は圧殺される憂き目に遭う。だんだんめんどくさくなってきたので、以下はまとめてコメントします。

 また、重視するのは来年の参院選です。立候補者は人任せにせず、戦いの先頭に立つことが大事です。野党の戦術は(32ある改選1人区に)みんな一緒になってやる以外ない。われわれはそれでも絶対に負けない態勢を整えておかなければなりません。
 来年10月には、消費税率10%への引き上げも予定されています。党内でも(増税を)引き延ばす考えは今のところ出ていません。
 国民にも厳しいことは厳しいと、素直に、率直に申し上げ(増税への)理解を深めていく。この訓練をしっかりやっておく必要があります。これからは、財政にしろ政治にしろ厳しいことになるんですよ。政治をやる者は覚悟しなければなりません。
 今国会の会期延長は、正直申し上げて微妙な問題でしたが、32日間の延長期間があれば慎重な審議ができるでしょう。当然これだけの延長を認めていただいたのですから、実を挙げなければ何のためかとなります。責任を感じながら国会運営をしっかりやっていきたい。
 連立を組む公明党との関係も、これまで通りでいいんじゃないですか。公明党のいう通りやるんだったら「公明党政権」になるよ。そこは公明党の幹部も心得ているさ。ただ、政権は自公で安定して運営していかなきゃいけないでしょう。だから私は1週間に1回、公明党幹部と話し合いの場を持っています。ケンカするまで気付かなかったとなってはいけませんから。丁寧にやっています。
 政権を担うのは大変なことです。苦しいことも厳しいことも、つらいこともあるんだよ。外から見れば「政権をとったらいいことばかり」と思っている人はいるだろうけど、実際はつらいことも厳しいこともみんな担っていかなくてはいけない。その覚悟がなかったら政権なんかに近づくべきじゃないんですよ。(亥子卓志)


 まずこの参院選ですが、自民は定数を6増やす改正(正確には改悪ですが)案を、「一票の格差を是正するために」という名目で成立させようとしています。「国民にも厳しいことは厳しいと、素直に、率直に申し上げ」ると言いながら、国会議員の数を増やすとはどういうことなのか? 大体、あの「もり・かけ」問題なんて、安倍の情実体質丸出しで、そちらは大甘のお咎めなしで、議員の数は増やす、消費税も上げる、厳しいのは皆さんおわかりですよね、というのは通らない理屈です。僕自身は消費税はいずれ上げるしかないだろうと思っていますが、問題はその使い道で、それが有効に活用されるとは思えない。一方で昔ながらの土建屋政治のバラマキやら、国会議員を増やすなんてやってるのですから。他に、自公は今国会中に例の「カジノ法案」も成立させるつもりで、もう少しまともなことが考えられないのかと呆れるのです。

「政権を担うのは大変なこと」で、「その覚悟がなかったら政権なんかに近づくべきじゃないんですよ」と言うが、おまえごときに言われたくないという感じで、「もり・かけ」問題でも、トランプ追従でも、北朝鮮対応でも、今見た出鱈目でも、一体どこに「覚悟」があるのか、さっぱりわかりません。大体、自分の馬鹿息子のど田舎の市長選に、進次郎や稲田朋美まで応援に行かせるのは、政治の私物化の最たるもので、覚悟だの緊張だのがあれば、そういう腐った親馬鹿ぶりを発揮することはないでしょう。

 こういう御仁が今の政治シーンで決定的な影響力をもっているというのは、日本政治が途方もなく退廃したということの証左でしかありません。「さっさと引退しろ!」と、彼の選挙区の有権者になり代わって言いたいが、安倍が3選したとして、任期は2021年までになり、東京オリンピック後に日本経済は本格的におかしくなると予想する向きが多いので、アホノミクスの綻びが露わになって混乱状態になったところで、彼は政権を投げ出すことになります。そのとき憲法はすでに「改正」されているかどうか、知りませんが、いずれこの政権が残したあれこれの「負の遺産」に国民は苦しめられることになるだろうから、そのときに備えた「覚悟」を僕らはしておいた方がいいかもしれません。

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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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