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まずはめでたい、朝鮮南北首脳会談

2018.04.28(16:48) 572

 次は The Korean Politics のサイトのもので、なかなかの名文です。

[全訳] 「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言 」【2018南北首脳会談】

 僕は韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を、英語では「文」がmoon と表記されることと、その妙に仮面じみたのっぺりした人相から、「お月さん大統領」と揶揄してきましたが、今回は左派の、“親北朝鮮”大統領である利点をフルに活かして、大金星を上げました。おそらく韓国国内の支持率もグンと上がるでしょう。金大中大統領時代の南北首脳会談が思い出されますが、金大統領はそれを「太陽政策」と称していました。

 金大統領の「太陽政策」がその後どういう結果を生み出したかは、人も知るとおりで、今回も…と懸念されますが、あの頃とはまた状況が違うので、もしもこれが朝鮮戦争の「休戦状態」を本当に「終戦」に導き、「朝鮮半島の完全な非核化」を実現することになれば、それは画期的なものになるでしょう。わが国にとってもそれは望ましいことです。

 北朝鮮はすでに核兵器を保有しています。「核強国」になったと、北朝鮮自身がそれをさかんに吹聴していますが、それがたんなるホラでないことは、ここ一年くらいのミサイル発射を含む各種実験から「強く推認」されることのようです。「完全な非核化」は“努力目標”にすぎず、過去の北朝鮮のふるまいからして、それはかつてのヒトラーの「平和偽装」と同じ性質のものではないかとも疑われるので、本気でそうなるだろうと思っている人はむしろ少ないでしょうが、差し当たっての北朝鮮の暴発は、このあと米朝首脳会談が開かれる予定ですが、それが首尾よく行けば、避けられる見通しです。

 にしても、こうしたプロセスで、わが国は完全な「蚊帳の外」です。この「板門店宣言」にも、次のように述べられています。

 南と北は停戦協定締結から65年になる今年に、終戦を宣言し、停戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制の構築のための南北米3者、南北米中4者会談の開催を積極的に推進していくことにした。

 アメリカと中国は出てきても、日本の名前はない。この前の平昌五輪の際も、安倍総理は文政権の「慰安婦合意蒸し返し問題」にもかかわらず、のこのこ出かけて行ったのですが、「開会式(2月9日)に出席した安倍首相は、北朝鮮代表団の金永南・最高人民会議常任委員長との立ち話で、『平壌宣言と(拉致被害者らの再調査を約束した)日朝ストックホルム合意に立ち戻ろう』と呼び掛けたのに対し」、シカトを食らったのだという。

「安倍政権は一切取り合うな」と平壌指示——北朝鮮問題で日本孤立浮き彫り

「外交の安倍」というのは、むろん、安倍政権自身のイメージ戦略にすぎず、あれだけ飛び回って税金をジャブジャブ使う割にこれほど「果実」が乏しいのも珍しい(例のIS日本人人質事件では、人質殺害に“貢献”してくれた)なと、僕は日頃感嘆しているのですが、ネトウヨ総理によれば、今回の南北首脳会談が実現したのも、「北朝鮮に圧力をかけ続けた」自分の手柄の一つなのです。これもアベ流 butterfly effect のうちかと、そこらへんは笑って済ませるのが「大人の対応」というものかも知れません。

 旗色が悪くなればなるほど、自分の「功績」をムキになって強調するというのが彼の習性で、先日も野党六党が審議拒否で不在の中、次のような光景が見られたとのこと。

 26日の衆院予算委は、安倍首相のこんな冒頭発言で始まった。「北朝鮮に非核化に向けた具体的行動をとるように求めていく。こうした確固たる方針をトランプ米大統領と改めて完全に共有した」
 17、18両日の日米首脳会談の成果を強調した報告を受け、最初に自民党の後藤茂之氏が質問に立った。
「トランプ大統領とここまで強い関係を築いているのは、世界のリーダーの中で他にいない」
これに対し、首相は「私はトランプ大統領に米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるよう要請し、トランプ大統領は『ベストを尽くす』と力強く述べた」と応じた。このエピソードは6回も登場。与党が外交の成果を尋ね、首相がアピールするという示し合わせたようなやりとりが続く。
 今回の衆院予算委は「外交等」がテーマ。だが、河野太郎外相は海外訪問中で、呼ばれていない。(朝日新聞「国会空転、見えぬ出口 森友・加計、首相は型どおり答弁」より)


 もはやマンガと言う他ありませんが、「もり・かけ」問題の嘘だけでなく、外交的な彼の無能(通常の多面的な外交戦略というものが彼には描けない)をも、有権者はこの際はっきり認識しておくべきでしょう。「トランプの旦那に『よろしく』って言っといたから大丈夫なんだよ。あの人はボクの言うことは何でも聞いてくれるから」なんて、そこらの幼稚園児並の空自慢です。子供なら可愛いが、六十路おやじのやることではない。しかし、鵜の目鷹の目で探しても、自慢のタネになるようなことは他に見つからないのでしょう。

 話を「南北首脳会談」に戻して、次のような文言はどう解釈すべきなのでしょう?

(4)南と北は、完全な非核化を通じ、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した。
 南と北は、北側が行っている主導的な措置が朝鮮半島の非核化のために大きな意義を持ち、重大な措置だという認識を共にし、今後、各々が自己の責任と役割を果たすことにした。
 南と北は朝鮮半島の非核化のため、国際社会の支持と協力のために積極的に努力することにした。


 不可解なのは、「南と北は、北側が行っている主導的な措置が朝鮮半島の非核化のために大きな意義を持ち、重大な措置だという認識を共にし…」という箇所です。核実験、ミサイル発射実験を繰り返し、北朝鮮が「核保有国」になったことが「朝鮮半島の非核化のために大きな意義を持ち、重大な措置」になったのだと読める、というか、読むしかありませんが、それは一体どういう論理なのか? クレイジーな独裁者が核兵器を持ってしまったというので、周りが恐れ、それが韓米中の「歩み寄り」をもたらし、南北、米朝首脳会談につながる素地を作ったのだから、「いったん核兵器をもって、それで周辺国を脅すことによって、話し合いに持ち込み、次にそれを放棄するという流れ」になったので、「核兵器所持が非核への努力」の土台になったのだ、というような奇妙奇天烈な論理なのでしょうか?

 僕は今でもあの「お月さん大統領」を正直信用していませんが、「北側が行っている主導的な措置」なる言葉にしても、いかにも北寄りの文大統領らしいサービスです。金正恩にしてみれば、「核兵器を持ったぞ!」と宣言することによって「体制を転覆させようなんてしたら、自滅覚悟でミサイルをぶち込むからね」と脅し、経済制裁を解除させるのみならず、周辺国からの譲歩と経済援助を引き出す狙いだったのでしょうが、それで「体制の安全保障」が得られれば、核兵器はほんとに廃棄してよい、ということなのか?

 仮にそうだったとして、次は「南北統一」の未来図で、金王朝主導の体制か、韓国主導の民主主義体制か、そこらへんどうなるのか知りませんが、もう北朝鮮みたいな政体は存続不可能だと金正恩が理解していれば話は早いが、そうでなければ互いを裏切り者呼ばわりして、またぞろ内戦ということにもなりかねない。

 その辺は米朝会談である程度わかるかも知れませんが、金正恩が正気のふりをしているだけでなく、冷静な現状認識に基づいて実際に正気の対応ができる人間になっているのか、望むらくは後者であってほしいと思います。

 自民党の次の総裁=総理は、今後の朝鮮半島情勢に硬軟まじえて、賢く対応できる人であってほしいと思います。安倍3選なんて、いくらかでも自民に正気が残っていれば、ありえない話だと僕は思うので…。


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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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