昨日は羽生結弦選手の金メダルで日本中が喜びに沸きましたが、僕はそのとき塾にいたので、リアルタイムではそれを見ることができませんでした(前日のSPは見た)。もうそろそろ終わった頃だなと思ったとき来た生徒に聞くと、何と羽生選手が金で、宇野選手が銀だったという話です。やったーと、あらためて生徒たちと大喜び。
順調に来ていたのならまだしも、11月のアクシデントで深刻な負傷を負い、満足な練習もできず、かつ強い痛み止めを打って臨まねばならないほど具合が悪いままだったのにこの結果を出したというところが凄いので、演技終了後に「勝った」と呟いたのは、何より「自分に勝った」という意味だったそうですが、そのあたりが彼がスーパースターであるゆえんです。
家族やコーチ、チームなど支えてくれた人たちへの感謝の言葉も、社交辞令ではなく、真情がこもっていた。苦難を乗り越えた人間ほどそういうもので、現実を客観的に眺める目をもっているから、それがどれほど大きなものだったかがわかるのでしょう。
彼は今でも華奢に見えますが、小さい頃はひ弱な喘息持ちで、そんな子がこういう偉業を成し遂げるまでになったのだから、世界中の人に大きな希望を与えるものです。さらに、東北大震災で実家が全壊するという苦難にも遭っている。そして今回は、オリンピック連覇がかかった大事な時期に出場すら危ぶまれる大怪我をしたのです。ツイてないな、これでは無理だろうなと大方の人が思ったところで、奇蹟的な復活劇を見せた。それはドラマを盛り上げるための神の見えざる演出であったかのようです。
猛練習によって培われた高度な技術が土台にあっての話ですが、メンタル面の強さが最大限に問われる試練に、今回彼は直面したわけです。そして苦しみながらも、それに見事にパスした。色々な人たちから彼に大きな讃辞が送られるのは当然のことです。
今は受験シーズンで、自然、実力とメンタルについて考えさせられることが多いのですが、どんなことでも地道な努力なしに実力はつかないし、そのプロセスの中でメンタルの強さも培われるので、それはスポーツでも勉強でも、仕事でも同じでしょう。何にしても、まず逃げずに立ち向かうという気概がなければならない。成功するかどうかには時の運もありますが、ストアの哲人流に言うと、人間にコントロールできるのは努力と内面のありようだけです。そこに注力して、あとは運命のはからいにまかせるしかないと達観できれば、それが最善ということになるでしょう。
ウィキペディアによれば、結弦(ゆづる)という名は「『弓の弦を結ぶように凛とした生き方をして欲しい』と父が命名した」という話で、彼の場合は「名は体を表す」という言葉そのままですが、これも面白いので、弦はやみくもにただ強く引っ張るだけでは切れてしまうし、ゆるいのでは物の役には立たない。勝負事も勝気にはやるだけでは失敗するし、消極的に守りに入っても失敗するのです。実力をつけないとどちらにしても結果は出せませんが、そのあたりも彼は今回、負傷した右足に「信頼しつつ、過度な負担は避ける」という絶妙な対応をした。緊張のピークにあってそれができるというところが並外れているので、いかにも「結弦」君です。
彼はクマのプーさんが好きだそうで、彼が滑るたびに大量のプーさんぬいぐるみがリンクに投げ込まれるのは愛嬌ですが、次のデイリースポーツの記事も笑えました。
・羽生結弦から見た宇野昌磨は…「弟分というよりもワンコに近い。本当にかわいい」
これ、添えられている宇野選手の写真がほんとに「ワンコに近い」感じなので、ほほえましいのですが、そこのくだりだけ抜き出すと、こうなっています。
番組ではまず、宇野に「弟のように扱われているが、どう思っているのか」と質問が飛んだ。「すごいいろんな所で面倒を見ていただいて、本当にありがたいのと、申し訳ないという気持ちもあります」と少し恐縮して答えると、羽生も同様に「弟分みたいな感じなのか、刺激のしあいはどうか」と質問を受けた。
羽生は「弟分というよりもワンコに近いですかね。本当にかわいい、かわいい、何か自分の…ペットじゃないんですけど、全然支配していないし、むしろ自由なので」とかわいがっていること明かし、「ずーっと一生懸命やっている姿は小さい頃から本当に僕も知っているので、こうやって真面目にやってきた分、結果が出ているのは本当に素晴らしいことだなと思っています」と、初の五輪で結果を残したことをたたえていた。
ひたむきな努力を重ねてきた選手同士だからこういうよい関係が築けるのか、心温まる話です。プーさんとワンコでワンツー・フィニッシュだったのかと思うと、厳しい世界にもさりげないユーモアが添えられたようで、いっそう興趣深いものと感じられるのです。
順調に来ていたのならまだしも、11月のアクシデントで深刻な負傷を負い、満足な練習もできず、かつ強い痛み止めを打って臨まねばならないほど具合が悪いままだったのにこの結果を出したというところが凄いので、演技終了後に「勝った」と呟いたのは、何より「自分に勝った」という意味だったそうですが、そのあたりが彼がスーパースターであるゆえんです。
家族やコーチ、チームなど支えてくれた人たちへの感謝の言葉も、社交辞令ではなく、真情がこもっていた。苦難を乗り越えた人間ほどそういうもので、現実を客観的に眺める目をもっているから、それがどれほど大きなものだったかがわかるのでしょう。
彼は今でも華奢に見えますが、小さい頃はひ弱な喘息持ちで、そんな子がこういう偉業を成し遂げるまでになったのだから、世界中の人に大きな希望を与えるものです。さらに、東北大震災で実家が全壊するという苦難にも遭っている。そして今回は、オリンピック連覇がかかった大事な時期に出場すら危ぶまれる大怪我をしたのです。ツイてないな、これでは無理だろうなと大方の人が思ったところで、奇蹟的な復活劇を見せた。それはドラマを盛り上げるための神の見えざる演出であったかのようです。
猛練習によって培われた高度な技術が土台にあっての話ですが、メンタル面の強さが最大限に問われる試練に、今回彼は直面したわけです。そして苦しみながらも、それに見事にパスした。色々な人たちから彼に大きな讃辞が送られるのは当然のことです。
今は受験シーズンで、自然、実力とメンタルについて考えさせられることが多いのですが、どんなことでも地道な努力なしに実力はつかないし、そのプロセスの中でメンタルの強さも培われるので、それはスポーツでも勉強でも、仕事でも同じでしょう。何にしても、まず逃げずに立ち向かうという気概がなければならない。成功するかどうかには時の運もありますが、ストアの哲人流に言うと、人間にコントロールできるのは努力と内面のありようだけです。そこに注力して、あとは運命のはからいにまかせるしかないと達観できれば、それが最善ということになるでしょう。
ウィキペディアによれば、結弦(ゆづる)という名は「『弓の弦を結ぶように凛とした生き方をして欲しい』と父が命名した」という話で、彼の場合は「名は体を表す」という言葉そのままですが、これも面白いので、弦はやみくもにただ強く引っ張るだけでは切れてしまうし、ゆるいのでは物の役には立たない。勝負事も勝気にはやるだけでは失敗するし、消極的に守りに入っても失敗するのです。実力をつけないとどちらにしても結果は出せませんが、そのあたりも彼は今回、負傷した右足に「信頼しつつ、過度な負担は避ける」という絶妙な対応をした。緊張のピークにあってそれができるというところが並外れているので、いかにも「結弦」君です。
彼はクマのプーさんが好きだそうで、彼が滑るたびに大量のプーさんぬいぐるみがリンクに投げ込まれるのは愛嬌ですが、次のデイリースポーツの記事も笑えました。
・羽生結弦から見た宇野昌磨は…「弟分というよりもワンコに近い。本当にかわいい」
これ、添えられている宇野選手の写真がほんとに「ワンコに近い」感じなので、ほほえましいのですが、そこのくだりだけ抜き出すと、こうなっています。
番組ではまず、宇野に「弟のように扱われているが、どう思っているのか」と質問が飛んだ。「すごいいろんな所で面倒を見ていただいて、本当にありがたいのと、申し訳ないという気持ちもあります」と少し恐縮して答えると、羽生も同様に「弟分みたいな感じなのか、刺激のしあいはどうか」と質問を受けた。
羽生は「弟分というよりもワンコに近いですかね。本当にかわいい、かわいい、何か自分の…ペットじゃないんですけど、全然支配していないし、むしろ自由なので」とかわいがっていること明かし、「ずーっと一生懸命やっている姿は小さい頃から本当に僕も知っているので、こうやって真面目にやってきた分、結果が出ているのは本当に素晴らしいことだなと思っています」と、初の五輪で結果を残したことをたたえていた。
ひたむきな努力を重ねてきた選手同士だからこういうよい関係が築けるのか、心温まる話です。プーさんとワンコでワンツー・フィニッシュだったのかと思うと、厳しい世界にもさりげないユーモアが添えられたようで、いっそう興趣深いものと感じられるのです。
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