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人間の仕事

2017.08.29(15:22) 515

 このブログ、しばらくご無沙汰しました。この一週間ほど、忙しくてそれどころではなかったのも理由の一つですが、最近安倍が“謹慎”していて、腹を立てなくてすんだというのもあります。おかげで生産的なことに時間を使えたというわけです。

 北朝鮮もここしばらくは割とおとなしいように見えましたが、報道によれば、今朝早く(午前5時58分頃)、またミサイル1発を発射し、「6時6分頃に北海道の上空を通過、6時12分に襟裳岬の東方約1180キロの太平洋上に落下した」とのこと。あの“刈り上げデブ”のやることはいつもマンガじみていますが、「ボクちゃんミサイルの威力」をまた見せつけようとしたわけです。

 悲惨なのは、こういうのが一国の支配者で、彼のヤンキー以下の乱暴狼藉が「東アジアの安全」を深刻に害していることです。これでまた安倍の“ネトウヨ魂”が燃え上がり、その「断固たる対応」ポーズ(実際はアメリカべったりを強化するだけ)に反応して再び支持率が上がり、「安倍3選」が実現するなんてことになると最悪の展開になるわけですが、人間の世界には「程度の低い奴が別の程度の低い奴の人気を押し上げる」という法則があって、そんな悪夢のような展開にならないともかぎりません。

 この間、タイでは前首相が突然「行方不明」になる、なんて珍事件も起きました。

 タイのプラウィット副首相兼国防相は28日、インラック前首相の行方は分からないと述べた。前首相は在任中にコメ買い上げ制度を巡り国に損害を与えたとして職務怠慢の罪に問われているが、25日に予定されていた判決公判に姿を現さなかった。判決で有罪となれば、最長10年の禁錮刑を科される可能性がある。(ロイター)

 タイではいまだにタクシン派と反タクシン派が対立しているという話ですが、「タイ初の女性首相」となったインラック氏は、タクシン氏の妹です。それで今回は、「これはほんとに収監される、ヤバい」と見た兄のタクシン氏が手を回して、インラック氏はドバイに逃亡したと見られているようです。

 テキトーというか、ムチャクチャというか、何だかよくわからない話ですが、こうやって世界中の国の政情を一つ一つ見てゆくと、「政治家の質の劣化」というのは今や世界的な現象になっているのがわかるのではないかと思います。安倍とその腰巾着なんかも、「時代のトレンドにマッチ」しているわけです。理性とか知力とか、公正というのはこの世界ではもはや死語になりつつある。ニュースなども、それぞれの陣営の政治家たちが自分に好都合なものは正しく、そうでないものはフェイク(これはトランプが愛好している用語で、安倍の場合は「印象操作」)だと主張し合って、そういうのにつきあわされているうちに、国民の側も何がホントで何がウソなのか、よくわからなくなってしまうのです。

 経済が袋小路に入り、格差が拡大して、不満や憎悪、不安が蓄積されるにつれて、無責任なデマゴーグ政治家が力を得ることが多くなり、それがさらに混乱に拍車をかけて、行き着く先はいずれ戦争しかなくなってしまうでしょう。その節は「民族の誇り」なるものをかけて激突するわけです。それぞれが、自らの愚行がつくり出したそこにいたるまでのプロセスはきれいに棚上げして…。

 そうは言っても、金正恩みたいな「狂気の独裁者」の場合はどうなのか? あんなのが出てくると、周りがいくら正気でもどうしようもないのではないかと言われるかもしれません。かつてヒトラーが台頭した時も、ヨーロッパはまだ第一次世界大戦によって生じた厭戦気分の中にいました。それがかえって災いして、ヒトラーの侵略行為を黙認する羽目になり、しかしそれではすまないので、結局あんなおおごとになってしまったのです。チャーチルが言ったように、周辺国が結束して、もっと早くにナチスを叩いておけば、あれほどの規模の戦争にはならずに済んだ。あのおぞましいユダヤ人ホロコーストも起きずにすんだかも知れないのです。

 別の観点から言えば、あれはドイツに過酷な戦後賠償を課したのがそもそもまずかったので、その結果として生じたドイツのひどい経済的苦境と屈辱感が、ヒトラーの成功を強力に後押しした。その巨額賠償請求には国際金融資本の意向が強力に作用していたというのは、別に陰謀論の本ではなく、いつぞやNHKのドキュメンタリーでも触れられていたので今では常識に属するようですが、戦争の度に肥え太る強欲な金貸しどもの言い分をはねのけられなかったから、ああいうことになってしまったわけです(経済学者のケインズはそれに強硬に反対したが、聞き入れられなかった)。それで今度は第二次世界大戦になって、また儲けた。

 あのアホなブッシュが始めたアフガン、イラク戦争でも、軍事産業や金貸しどもはそれで一儲けできると見たからこそ背後で支援したわけで、戦争にはこういう陰鬱な話がつきものです。連中には「正義」だの「民主主義」だのはたんなる符牒にすぎず、人命は統計数字の一つでしかない。これぞまさしく「悪のリアリズム」です。

 北朝鮮の場合も、経済運営がうまく行って、今のような「世界の最貧国の一つ」になっていなければ、例の「瀬戸際外交」でゆすりたかりに終始する必要もなく、金正日から正恩にバトンタッチされた時も、もう少しまともな経済システムを移譲でき、正恩にはもっと広い選択の余地があったわけです。不幸にして彼は開放政策を取らず(おそらく独裁体制が揺らぐのを恐れて)、父の恐喝路線だけを先鋭化させた。ミサイルで脅して「核保有国」たることを認めさせても、孤立を深めるだけで経済的な改善など期待できるはずもないのですが、そこらへんの知恵は何もないのです。せいぜいアルカイダやISと「連帯」して、世界に騒擾をまき散らすだけが関の山ですが、ヒトラーが「ドイツ帝国の復活」のスローガンとは裏腹に、潜在意識的には自滅衝動に導かれていたのと同じで、彼もそういう破滅願望に引きずられているのです。せめて自分だけでなく、他の国も巻き添えにしたい。あの病気がちの肥満体質では長生きはできそうもないし、半分は破れかぶれです。

 そういう傍迷惑な人間が中にはいるもので、彼に必要なのはミサイルではなくセラピーですが、独裁者がそんなこと受け入れるはずもないので、弱るわけです。米韓軍には「金正恩斬首作戦」というのがあるそうですが、結局はそれしかないかな、ということになる。ところがそれを実行するには「ソウルを火の海にしてやる」という北朝鮮の脅し文句が現実化する覚悟をする必要があるし、日本にもミサイルの何発かは飛んでくることになるのです。

 一般庶民の僕がここでああだこうだ言っても仕方がないわけで、ここから先はたっぷり税金から議員歳費をもらっている国会の政治家先生たちの仕事なので、悲惨なことにならないよう、知恵を絞っていただきたいものです。デマゴーグ丸出しで、危機感を煽るだけ煽って、それを自分の保身に利用したり、憲法改正につなげようとしたりしてもらっては困る。そういうことは「サルでもできる」のです。いや、「サル以下」だと言うべきかもしれません。サルはそこまで紛らわしいことはしないからです。

 人間はそれぞれ自分の持ち場に応じた仕事があります。それは外部世界に対して目を閉ざすということを意味しませんが、僕も無責任な政治家の批判にばかり時間とエネルギーを取られていては仕方がないので、そういうのはほどほどにして、自分のやっておくべきことをやっておかねばならないと考え、今後はそちらに時間とエネルギーを多く使うことにしました(塾の仕事はむろんそのままなので、これは残りの時間を使って、という意味です)。おかげで久しぶりに頭を思いきり使ったのですが、こういうのは徒労感に苛まれなくてすむのがいい。むろん、それは世間的な評価や経済的利益とは無関係で、自分のしたいことをするだけですが、過去の歴史を見ても、文化的な仕事は政治の暗黒時代やその前後に行われることが少なくないので、僕もその例に習うことにしたのです。

 また仕事に戻りますが、そういうわけで、このブログの更新はしばらく、以前より減ることになるでしょう。週一ぐらいのペースで、適当な題材が見つかったとき、気分転換兼ねて書かせてもらうことにします。


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