英訳すれば、Gone with daily reports とでもなるでしょうか。何でも「特別防衛監察」なるものの結果が出て、「当初陸上自衛隊が廃棄したと説明していたPKO日報が、実際には電子データとして保管されていた」件で、“厳正なる調査”の結果、防衛相のともちんは無罪、つまり、保管の事実を知った後も、「今さら困る」ということでその公表を避け、「隠蔽を了承」していたというわけではなかった、という結論が出されたというのです。
これで安心!ということでともちんは記者会見を行い、辞任を正式に発表したのですが、安倍政権の閣僚の発言は、総理の安倍を見習っているのか、どれが嘘でどれがほんとかほんとにわからないなと国民は思うようになっていて、「隠蔽疑惑」はこれでは払拭されませんが、仮にほんとだったとしても、担当大臣に報告が行かなかったというのは、自衛隊に大臣がシカトされていたということで、「シビリアンコントロールが機能しなくなっている」深刻な状況を示したことにしかなりません。
「そういうことはどうでもいいから、早くあのまつげエク女をやめさせろ」みたいになってしまっていて、真相解明への関心は逆に薄らいでいるので、計画したことではなかったとしても、それは安倍政権には好都合な話でしょう。シビリアンコントロール云々よりも、もうニュースであの顔を見たくないという心理の方が強いので、これで僅かながら政権支持率が上がる(26%が28%ぐらいに?)可能性すらあるのです。
こういうのも不人気を極めているときは一つの手です。国民がとことんイヤになるまであえて辞任の時期を延ばして、それで辞めさせると「よかった!」心理が生まれて、ほんとはだからといってプラスが生じたわけでも何でもないのですが、何だかトクしたような気分になって、支持率回復効果が生まれるのです。
その意味ではともちんは、辞任の時期を今まで延ばして国民の嫌悪感を募らせることによって、断末魔の安倍政権を助けることになった。寵愛に応えた「最後のご奉公」です。
ほんとにそこまで計算していたのなら、大した深謀遠慮です。ともちんも安倍も只者ではない。彼らがどんなに偏った「ネトウヨ史観」の持主でも、そこは評価してあげなくてはいけないでしょう。ともちんにとってここしばらくは「針の筵」だったはずです。僕が彼女の立場なら、すでに十回は辞めていると思いますが、アホ、無能、嘘つきの度重なる非難にもかかわらず、今まで持ちこたえたのです。並の人間にできる芸当ではない。
一方で北朝鮮は前回に引き続いて二度目のICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を行い、「大成功」を自画自賛していて、その脅威は「別次元」に達しています。命中精度は不明、かつ核弾頭を搭載できるかどうかはまだわからないとしても、そのミサイルが米本土に到達する能力を備えたことは確実で、アメリカ自身にとっても「直接的な脅威」になったと見られているからです。
こうした危険が増大する状況下でともちんみたいなのを防衛大臣にしたということ自体、安倍のお友達政治が現実的配慮をどれほど欠いた弛緩したものであったかの証拠と言えますが、これまた別の見方をすれば、日本政府は「断じて容認できない」という馬鹿の一つ覚えみたいな非難を繰り返したり、「ミサイルが飛んできたときの注意」(内閣官房作成!)なんて、およそ無意味な自国民への呼びかけを行うのが関の山で、「どうせ何もできないのだから、誰を大臣に据えておいても同じ」という自己理解に基づくものだったとも考えられるのです(そのくせそれを憲法改正のために利用しようというのだから悪質ですが)。
実際、この問題でわが国は完全に「蚊帳の外」です。そのカギは米中露三国が握っているが、足並みは全く揃わない。中露それぞれの独裁者(そうはっきり認識しておいた方がいい)習近平とプーチンは、この問題でアメリカに協力する気はないようだからです。それを見越して金正恩は「犯行をエスカレート」させているわけで、最悪の展開です。中国政府の報道官は事ここにいたるも、次のように述べているという。受験生用に英字新聞の記事から直接引用すると、
China is gravely concerned with the course of action taken by South Korea,(but) deploying Thaad won’t solve South Korea’s security concerns, won’t solve the related issues on the Korean Peninsula and will only further complicate issues.
(中国は一連の北朝鮮の行為を非常に憂慮している。しかし、サードの(韓国への)配備は、韓国の安全保障上の懸念を解消することはなく、今の朝鮮半島問題を解決することにはつながらない。それは事態をいっそう複雑化させるだけだ。)
要するに、あのサードがけしからんのだ、というのが先に来るのです。だから北朝鮮への経済制裁への協力(とくに石油禁輸)も「ちょっとだけよ」にとどめるのだと。トランプは怒って、例によってツイッターで次のように非難。
I am very disappointed in China. Our foolish past leaders have allowed them to make hundreds of billions of dollars a year in trade, yet they do NOTHING for us with North Korea, just talk. We will no longer allow this to continue. China could easily solve this problem! (超わかりやすいので、訳は省略。こういうところにも「中国にはアメリカが損をする不当な貿易で大儲けさせてやっているのに…!」という言い分が入り込んでくるところがいかにもトランプです。)
しかし、トランプにはなすすべもなく、北朝鮮を爆撃することもできない。ブッシュのイラク戦争の時よりは正当化も容易なはずですが、そうなると中露の出方以前に、韓国が北朝鮮の直接攻撃にさらされ、悲惨な事態になることが懸念されるからです。その場合には、日本にもミサイルの一つや二つは飛んでくるでしょう(原発に当たったら大変!)。
それでこの朝鮮半島の最悪国家の首領、金正恩は自国民の貧窮をよそに、安んじて「核強国」への歩みを進めることができるというわけで、たぶんわが国でも「朝鮮半島有事に備えて核武装に踏み切るべきだ」という論者はすでにかなりの数いるでしょう。今はアメリカが反対するのでそれはできないが、北朝鮮の核武装が既成事実化し、中露の妨害でアメリカも動けないとなれば、容認へと切り替わる可能性はある。大国間の不和が「ならず者国家の増長」を許す結果になったがために、そこからマイナスのドミノ現象が始まって、世界は第三次世界大戦の前夜状況へと追い込まれるのです(言うまでもなく、その頃はすでに日本国憲法は「改正」され、「戦争のできるふつうの国」へと変わっている)。
金正恩、習近平、プーチン、トランプ、安倍晋三と、役者が揃いすぎている。このうち最後の二者は、曲がりなりにも「民主主義国家」であるために、トップの座を早晩追われるでしょうが、前三者は変わらない。そこが変わらないと事態は好転しにくいので、楽観できる根拠は乏しいのです。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、英文にMr. Moonというのが出てくるのを最初に見たときは「月氏??」と思いましたが、英文表記ではMoon Jae-inとなるらしいので、この人のことですが、親北朝鮮で有名だったのに、ここまで来るとさすがに態度が変わって、「在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)について、ミサイルの発射台を配備済みの2基から臨時的に増やす方向で検討するよう指示した」(日経)と出ていますが、周辺の大国の思惑に翻弄され、無節操かつ中途半端に日和ったり、無理に独自色を出そうとしたりしてかえって事態を悪化させるということを繰り返してきた過去の朝鮮半島国家の悲劇を繰り返しかねず、米中のはざまで一貫した行動がとれるかどうかは甚だ疑問です。
安倍ヤンキー政権はもうすぐ終わるとしても、こうした困難な状況にうまく対処できる成熟した政治家や外務官僚は果たして今の日本にいるのでしょうか? 政治家の劣化は世界的な現象ですが、ことに日本においてはそれが甚だしく、中国政府報道官の口吻を真似れば、僕は「事態を非常に憂慮(gravely concerned with the situation)」しています。
これで安心!ということでともちんは記者会見を行い、辞任を正式に発表したのですが、安倍政権の閣僚の発言は、総理の安倍を見習っているのか、どれが嘘でどれがほんとかほんとにわからないなと国民は思うようになっていて、「隠蔽疑惑」はこれでは払拭されませんが、仮にほんとだったとしても、担当大臣に報告が行かなかったというのは、自衛隊に大臣がシカトされていたということで、「シビリアンコントロールが機能しなくなっている」深刻な状況を示したことにしかなりません。
「そういうことはどうでもいいから、早くあのまつげエク女をやめさせろ」みたいになってしまっていて、真相解明への関心は逆に薄らいでいるので、計画したことではなかったとしても、それは安倍政権には好都合な話でしょう。シビリアンコントロール云々よりも、もうニュースであの顔を見たくないという心理の方が強いので、これで僅かながら政権支持率が上がる(26%が28%ぐらいに?)可能性すらあるのです。
こういうのも不人気を極めているときは一つの手です。国民がとことんイヤになるまであえて辞任の時期を延ばして、それで辞めさせると「よかった!」心理が生まれて、ほんとはだからといってプラスが生じたわけでも何でもないのですが、何だかトクしたような気分になって、支持率回復効果が生まれるのです。
その意味ではともちんは、辞任の時期を今まで延ばして国民の嫌悪感を募らせることによって、断末魔の安倍政権を助けることになった。寵愛に応えた「最後のご奉公」です。
ほんとにそこまで計算していたのなら、大した深謀遠慮です。ともちんも安倍も只者ではない。彼らがどんなに偏った「ネトウヨ史観」の持主でも、そこは評価してあげなくてはいけないでしょう。ともちんにとってここしばらくは「針の筵」だったはずです。僕が彼女の立場なら、すでに十回は辞めていると思いますが、アホ、無能、嘘つきの度重なる非難にもかかわらず、今まで持ちこたえたのです。並の人間にできる芸当ではない。
一方で北朝鮮は前回に引き続いて二度目のICBM(大陸間弾道ミサイル)の発射実験を行い、「大成功」を自画自賛していて、その脅威は「別次元」に達しています。命中精度は不明、かつ核弾頭を搭載できるかどうかはまだわからないとしても、そのミサイルが米本土に到達する能力を備えたことは確実で、アメリカ自身にとっても「直接的な脅威」になったと見られているからです。
こうした危険が増大する状況下でともちんみたいなのを防衛大臣にしたということ自体、安倍のお友達政治が現実的配慮をどれほど欠いた弛緩したものであったかの証拠と言えますが、これまた別の見方をすれば、日本政府は「断じて容認できない」という馬鹿の一つ覚えみたいな非難を繰り返したり、「ミサイルが飛んできたときの注意」(内閣官房作成!)なんて、およそ無意味な自国民への呼びかけを行うのが関の山で、「どうせ何もできないのだから、誰を大臣に据えておいても同じ」という自己理解に基づくものだったとも考えられるのです(そのくせそれを憲法改正のために利用しようというのだから悪質ですが)。
実際、この問題でわが国は完全に「蚊帳の外」です。そのカギは米中露三国が握っているが、足並みは全く揃わない。中露それぞれの独裁者(そうはっきり認識しておいた方がいい)習近平とプーチンは、この問題でアメリカに協力する気はないようだからです。それを見越して金正恩は「犯行をエスカレート」させているわけで、最悪の展開です。中国政府の報道官は事ここにいたるも、次のように述べているという。受験生用に英字新聞の記事から直接引用すると、
China is gravely concerned with the course of action taken by South Korea,(but) deploying Thaad won’t solve South Korea’s security concerns, won’t solve the related issues on the Korean Peninsula and will only further complicate issues.
(中国は一連の北朝鮮の行為を非常に憂慮している。しかし、サードの(韓国への)配備は、韓国の安全保障上の懸念を解消することはなく、今の朝鮮半島問題を解決することにはつながらない。それは事態をいっそう複雑化させるだけだ。)
要するに、あのサードがけしからんのだ、というのが先に来るのです。だから北朝鮮への経済制裁への協力(とくに石油禁輸)も「ちょっとだけよ」にとどめるのだと。トランプは怒って、例によってツイッターで次のように非難。
I am very disappointed in China. Our foolish past leaders have allowed them to make hundreds of billions of dollars a year in trade, yet they do NOTHING for us with North Korea, just talk. We will no longer allow this to continue. China could easily solve this problem! (超わかりやすいので、訳は省略。こういうところにも「中国にはアメリカが損をする不当な貿易で大儲けさせてやっているのに…!」という言い分が入り込んでくるところがいかにもトランプです。)
しかし、トランプにはなすすべもなく、北朝鮮を爆撃することもできない。ブッシュのイラク戦争の時よりは正当化も容易なはずですが、そうなると中露の出方以前に、韓国が北朝鮮の直接攻撃にさらされ、悲惨な事態になることが懸念されるからです。その場合には、日本にもミサイルの一つや二つは飛んでくるでしょう(原発に当たったら大変!)。
それでこの朝鮮半島の最悪国家の首領、金正恩は自国民の貧窮をよそに、安んじて「核強国」への歩みを進めることができるというわけで、たぶんわが国でも「朝鮮半島有事に備えて核武装に踏み切るべきだ」という論者はすでにかなりの数いるでしょう。今はアメリカが反対するのでそれはできないが、北朝鮮の核武装が既成事実化し、中露の妨害でアメリカも動けないとなれば、容認へと切り替わる可能性はある。大国間の不和が「ならず者国家の増長」を許す結果になったがために、そこからマイナスのドミノ現象が始まって、世界は第三次世界大戦の前夜状況へと追い込まれるのです(言うまでもなく、その頃はすでに日本国憲法は「改正」され、「戦争のできるふつうの国」へと変わっている)。
金正恩、習近平、プーチン、トランプ、安倍晋三と、役者が揃いすぎている。このうち最後の二者は、曲がりなりにも「民主主義国家」であるために、トップの座を早晩追われるでしょうが、前三者は変わらない。そこが変わらないと事態は好転しにくいので、楽観できる根拠は乏しいのです。韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、英文にMr. Moonというのが出てくるのを最初に見たときは「月氏??」と思いましたが、英文表記ではMoon Jae-inとなるらしいので、この人のことですが、親北朝鮮で有名だったのに、ここまで来るとさすがに態度が変わって、「在韓米軍の地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)について、ミサイルの発射台を配備済みの2基から臨時的に増やす方向で検討するよう指示した」(日経)と出ていますが、周辺の大国の思惑に翻弄され、無節操かつ中途半端に日和ったり、無理に独自色を出そうとしたりしてかえって事態を悪化させるということを繰り返してきた過去の朝鮮半島国家の悲劇を繰り返しかねず、米中のはざまで一貫した行動がとれるかどうかは甚だ疑問です。
安倍ヤンキー政権はもうすぐ終わるとしても、こうした困難な状況にうまく対処できる成熟した政治家や外務官僚は果たして今の日本にいるのでしょうか? 政治家の劣化は世界的な現象ですが、ことに日本においてはそれが甚だしく、中国政府報道官の口吻を真似れば、僕は「事態を非常に憂慮(gravely concerned with the situation)」しています。
スポンサーサイト