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世界の終わりと始まり~トランプ・安倍会談に寄せて

2016.11.19.12:59

「早速の揉み手外交か…」とつい笑ってしまいましたが、トランプは「安倍氏は賢い」と持ち上げて見せ、安倍は「トランプ氏は信頼できる指導者」とヨイショに励むというわけで、極右同士、ウマが合うところを世界に見せつけたようです。前回の記事の最後にLITERAの記事を引用しておきましたが、例によって今井尚哉首席秘書官の懇切なアドバイスがあったことでしょう。

 日本の外務省は対米追随一辺倒なので、今後の展開が思いやられますが、今回の安倍・トランプ会談で、安倍総理の支持率はさらに上がるでしょう(幸い株価も1万8千円近くに上がっている)。わが国の世論というのはそういうものなので、民進党がいくら批判しても、かえって逆効果になる。かつてブッシュがあのアホなイラク戦争を始めたとき、僕は「そこまで狂っているのか?」と驚きましたが、当時の小泉純一郎総理はまっ先にそれに支持を表明し、「世界の恥さらし!」と僕個人は激怒したものの、小泉政権の支持率に陰りが生じることは何らなかったのです。国際法も道理もない。既成事実ができれば、先を競ってそれに追随するのみです。

 トランプ当選に関して、日本の知識人、文化人の中にはトランプ擁護のようなことを言い出す人が増えました。これもいつもの光景です。かんたんにまとめてしまえば、トランプは過去に過激で偏った発言をしているが、それは選挙用(ほんとはそれ以前からですが)で、実際は政治こそ未経験ではあるものの、「堅実で有能な実業家」なので、彼の「表面的な言葉」にとらわれてしまうと真価を見損なう、というようなものです。

 その彼の「堅実で有能な実業家」ぶりを示す、「詐欺疑惑の『トランプ大学』訴訟、28億円支払いで和解」と題された本日付の次のようなニュースもありました。

【AFP=時事】次期米大統領に選出されたドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が設立した不動産投資講座「トランプ大学(Trump University)」の詐欺疑惑をめぐる訴訟で、トランプ氏側が原告らに2500万ドル(約28億円)を支払うことで両者が和解したことが分かった。閣僚人事の調整を進めるトランプ氏にとって厄介な問題となる訴訟の継続が回避された形だ。
 ニューヨーク(New York)州のエリック・シュナイダーマン(Eric Schneiderman)州司法長官は18日の声明で、「本日なされた2500万ドルの示談成立は、ドナルド・トランプ氏による驚くべき姿勢転換であり、同氏の詐欺的な大学の被害者6000人にとっては大きな勝利だ」と述べた。
 同長官はさらに「示談の条件に、被害者全員への返金や、ドナルド・トランプ氏がニューヨーク州に対して州教育法違反の罰金100万ドル(約1億1000万円)を支払う内容が含まれていることに満足している」と述べている。
 シュナイダーマン州司法長官の報道官によると、トランプ大学に関してカリフォルニア(California)州で2件、ニューヨーク州で1件起こされていた計3件の訴訟のすべてで今回、示談が成立した。
 米次期大統領に当選し、現在は連日次期政権に関する討議を行っているトランプ氏は、カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)の連邦裁判所に裁判延期の要請をしていた。同裁判所では18日、この要請に関する審理が予定されていたが、審理が始まる約1時間前に示談が成立したという。
 既に破綻した無認可校、トランプ大学の元受講者らが6年前に起こした訴訟によると、同大学は押しの強いマーケティングで受講者らをだまして金を払わせたとされている。
 訴訟によると、トランプ氏自らが選んだという講師陣による講習を受ければ不動産業界で成功すると信じた受講者らが授業料として3万5000ドル(約390万円)を支払ったケースもあるという。


 素敵な人ですねえ。もう一つ、同じAFP電の「トランプ氏、新政権3職に強硬派 司法・CIA長官と安保補佐官」という記事。

【AFP=時事】ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領は18日、司法長官に移民受け入れ反対派で超保守派のジェフ・セッションズ(Jeff Sessions)上院議員(69)、中央情報局(CIA)長官にイラン核合意反対派でタカ派のマイク・ポンペオ(Mike Pompeo)下院議員(52)をそれぞれ指名すると発表した。トランプ新政権の閣僚人事の公表は初めて。
また、大統領補佐官(国家安全保障問題担当)には選挙戦早期からトランプ氏を支援し、同陣営の軍事顧問を務めたマイケル・フリン(Michael Flynn)元陸軍中将(57)が指名された。
 3氏の起用は、トランプ氏が極右派の立場に寄り添う方針であることを示唆するものとなった。トランプ氏の政権移行チームが発表した声明によると、3氏はいずれも指名を受け入れたという。
 CIA長官に指名されたポンペオ氏はカンザス(Kansas)州選出の下院議員。2012年にリビア・ベンガジ(Benghazi)で発生した米領事館襲撃事件で、当時国務長官だったヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏による対応を厳しく批判する報告書をまとめた議員の一人だ。
 国家安全保障問題を担当する大統領補佐官に指名されたフリン氏は民主党員だが、イスラム過激派に対する強硬路線を主張し、大統領選中にはトランプ陣営で国家安全保障問題の主要顧問を務めた。新政権では、政治家や外交政策の経験がないトランプ氏の政策立案に重要な役割を担うことになる。
 フリン氏の指名は上院の承認を必要としない。一方で、司法長官に起用されたセッションズ氏の指名は承認を受ける必要があり、過去のスキャンダルが障害になる可能性がある。
 アラバマ(Alabama)州選出上院議員のセッションズ氏は1980年代、人種差別的発言によって連邦判事任命の機会を失ったことがある。1986年には、アフリカ系米国人を弁護していた白人の著名弁護士に対し「自分の人種の面汚しだ」と発言。また、白人至上主義団体「クー・クラックス・クラン(KKK)」に所属する人々について「大麻を吸っていたことを知るまでは、自分にとって問題はなかった」との冗談を言ったとされる。


 こういうのは「反トランプ」のAFPの記事だから信用できないって? そのあたりはお好きに。僕の感想は、「この世界はもう終わってるな」というもので、「反知性主義」がどうのというより、人類は自己破滅衝動に駆られて、今の世界に生じている混乱を、破壊によって終わらせてくれる指導者を無意識にえらんでいるのではないかという気がします。安倍晋三、トランプ、習近平、プーチン、いずれもそういう「自滅的破壊」に貢献する「お役目」をもつ面々かも知れないのです。今後は欧州でも似たような「指導者」が登場するでしょう。

 モラルもへちまもない金融資本主義とグローバリズムが完全に行き詰まって、それを建設的に是正するというのではなくて、その中で利益になるポジションを得て、自身の覇権願望を満たしたいみたいな権力志向の強い連中ばかりが「指導者」になる。上に上げた政治家たちはいずれも身内で固めた独裁を好む人たちで、体質的に融和をはかるタイプではありません。安倍晋三はブッシュ・ジュニアと同じ「名門コンプレックス」の幼児人格、トランプは見栄っ張りの虚言癖のある不動産屋、習近平は皇帝願望、プーチンは元KGBの、「邪魔者は殺せ」の執念深いネクラ独裁者です。「民の痛みをわが痛みとする」ような人物は一人もいない。全体に「朕は国家なり」的独善性を濃厚にもつ連中ばかりです。

 まあ、オバマなんか何の役にも立たなかったと言えるので、アメリカ国民はその相も変らぬ「ウォールストリート政権」ぶりにはウンザリした(オバマケアも「保険会社の陰謀」によって加入者には何の利益にもならないようなものに変えられた)わけですが、対抗馬は不人気な新味ゼロのヒラリーで、選択肢がトランプしかなかったというか、そういうものにしか惹きつけられないというところが、今のアメリカの貧困ぶりをよく物語っています。かつてドイツは「強い指導者」を求めてヒトラーに行き着いたわけですが、人間というのは焼きが回ってくると自滅的な選択ばかりしてしまうという心理学法則があるかのようです。

 しかし、ヒトラーで世界が終わらなかったように、まだその先がある。仮に今の指導者たちが世界をめちゃくちゃにしたとしても、あるいはその先にこそ、「まともな世界」の可能性は生まれるのです。だから今の子供や若者は、十年先、二十年先を見据えて、今のうちにしっかり勉強しておくことです。「今のこの世界」にどうやってうまく適応するかを考えるのではなしに(終わりかかったものに「適応」しても馬鹿を見るだけですよ)。

 僕らの年配には、もう大して先はありません。僕は敗戦から十年後に生まれて、高度経済成長の時代と重なり合うようにして成長した世代ですが、団塊の世代の人たちやその後の僕の世代は、「今まさに終わろうとしている」世界と共に終わるのです。その「終わり方」をどの程度マシなものにできるかに関しては相応の責任があると思って、こういう話も書いているのですが、子供や若者はそうではない。今の時代の様子をよく見ておけば、「ははあ、世の中が駄目になるときはこういうプロセスで駄目になっていくんだな」ということがよくわかって、のちのちのよい教訓になるでしょう。

 要するに、僕は今のこの世界に関しては何の期待もしていないということですが、終わりがあれば始まりもあるので、安倍だのトランプだのが消えうせた後(さらなる破壊が進んだ後)の時代に活躍できるように、若い世代にはしっかり準備しておいてもらいたいということです。そのときになれば、世の識者と呼ばれる人たちがどんなにアテにならない、無責任なことを言っていたかもよくわかって、原発事故の時の学者先生たちの出鱈目同様、そういうのが教訓になって、もう少し賢い国民が育つことでしょう。いっときは大混乱が生じるかもしれませんが、今の世界は全体として見れば、まだ何とか秩序は保たれています。あと十年もつかな…という感じですが、それならなおさら、それができるうちに積極的に海外にも出て見聞を広げ、勉強しておくのです。
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