前回、書きかけたアベノミクス・ナンセンス論の代わりに「乙武問題」(「妻にまで謝罪させるとは何事か!」とバッシングはさらにエスカレートしてしまった由)を取り上げたので、今回は元のを…と思ったのですが、僕の議論の趣旨からはお誂え向きの記事を発見したので、そちらをご紹介して済ませることにします。
僕は「きれいごとではこの種の問題は解決しない」と考える者で、消費税10%にも、マイナンバー制度にも反対しません。要はそれの「使い方」です。消費税が僅か2%上がっても、僕個人の消費行動には何ら影響しないし、多くの人にとってもそうでしょう。消費の縮小の最大の原因は、「将来見通しの欠如」とそれに伴う国民の「今後の生活不安」にあるので、そちらの問題を棚上げしていくら消費税を据え置いても、景気はよくなりません(消費税がはるかに高い北欧諸国が無事なのは、社会保障がしっかりしているからです)。
そのこと自体は単純な話だと思うのですが、その大本のところを考慮せず、「消費税10%になると経済が壊滅する」みたいな大げさなことを言う専門家が多いのは不可解なことで、据え置いても一向景気がよくならないのが明白になったとすれば、彼らは今度はどんな理由づけをするのでしょう? 要は彼らは、自分たちが提唱または支持したアベノミクスの根本的欠陥を直視したくないから、その言い訳を探しているにすぎないのでしょう。自己の保身または迷信から、事実との対面を避けるのは幼稚な人間のやることです。
このダイヤモンド・オンラインの記事の筆者、森信茂樹氏 (中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員)は、経歴を調べてみると元大蔵省(現財務省)の有能な官僚で、「だから古巣の味方をして消費税アップを支持しているのだ」みたいなことを言う人がいるかも知れませんが、そういうパーソナルな要因で議論の筋道が決まってしまうのなら、この世界には党派根性に基づく不自由な言論しかないことになります。同じ財務省出身でも、高橋洋一なんて御仁は、得体の知れない「資料」なるものを引っ張ってきて、正気とは思えない珍論をぶつのをつねとしていますが(その方面に詳しい知人に聞くと、「昔はあそこまでイカれてはいなかった」という話ですが)、その伝で言うと、高橋氏あたりは「財務省と敵対する」から信用できる、という理屈になってしまいます。事実は「専門家ぶり」を随所にひけらかしながら、無責任なたわごとを言っているにすぎないのですが(面白そうなタイトルなので、読んでいて、「何かヘンだな?」と途中で思って筆者を見たらこの人で、「またこのオッサンかよ…」とウンザリさせられたことが何度あったことでしょう)。
話を戻して、この森信茂樹氏の論説は、僕が素人なりに一生懸命考えて、「ここが今の経済・金融政策の最大の問題点」だと思ったことを、資料も援用して、的確かつコンパクトにまとめてくれたものです。それで、僕の素人論よりずっといいなと思ったので、こちらを紹介させてもらうことにした次第です。未見の方はぜひお読みください。最初の、アメリカという完全に焼きの回った国の経済学者(ノーベル賞も、経済学分野のそれなんていい加減なものでしかありません。オバマの平和賞と同じです)をわざわざ連れてきて、消費税アップに反対させ、そのご意見を拝聴するというかたちで、アメリカと権威に弱い日本人を「見送りやむなし」に誘導し、併せてアベノミクスの失敗から目を逸らさせようとする猿芝居を一刀両断しているのも痛快です(アメリカの後追いをして国民がハッピーになれるかどうかは、向こうの庶民に暮らしぶりがよくなったかどうかを聞けばすぐわかるはずです)。選挙対策で「金持ち高齢者」の問題を手つかずのままにする姑息さも指摘されている。バランスの取れた議論と言うべきでしょう。
・安倍政権が真にやるべき政策を米国の経済学者に聞く必要はない
僕は「きれいごとではこの種の問題は解決しない」と考える者で、消費税10%にも、マイナンバー制度にも反対しません。要はそれの「使い方」です。消費税が僅か2%上がっても、僕個人の消費行動には何ら影響しないし、多くの人にとってもそうでしょう。消費の縮小の最大の原因は、「将来見通しの欠如」とそれに伴う国民の「今後の生活不安」にあるので、そちらの問題を棚上げしていくら消費税を据え置いても、景気はよくなりません(消費税がはるかに高い北欧諸国が無事なのは、社会保障がしっかりしているからです)。
そのこと自体は単純な話だと思うのですが、その大本のところを考慮せず、「消費税10%になると経済が壊滅する」みたいな大げさなことを言う専門家が多いのは不可解なことで、据え置いても一向景気がよくならないのが明白になったとすれば、彼らは今度はどんな理由づけをするのでしょう? 要は彼らは、自分たちが提唱または支持したアベノミクスの根本的欠陥を直視したくないから、その言い訳を探しているにすぎないのでしょう。自己の保身または迷信から、事実との対面を避けるのは幼稚な人間のやることです。
このダイヤモンド・オンラインの記事の筆者、森信茂樹氏 (中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員)は、経歴を調べてみると元大蔵省(現財務省)の有能な官僚で、「だから古巣の味方をして消費税アップを支持しているのだ」みたいなことを言う人がいるかも知れませんが、そういうパーソナルな要因で議論の筋道が決まってしまうのなら、この世界には党派根性に基づく不自由な言論しかないことになります。同じ財務省出身でも、高橋洋一なんて御仁は、得体の知れない「資料」なるものを引っ張ってきて、正気とは思えない珍論をぶつのをつねとしていますが(その方面に詳しい知人に聞くと、「昔はあそこまでイカれてはいなかった」という話ですが)、その伝で言うと、高橋氏あたりは「財務省と敵対する」から信用できる、という理屈になってしまいます。事実は「専門家ぶり」を随所にひけらかしながら、無責任なたわごとを言っているにすぎないのですが(面白そうなタイトルなので、読んでいて、「何かヘンだな?」と途中で思って筆者を見たらこの人で、「またこのオッサンかよ…」とウンザリさせられたことが何度あったことでしょう)。
話を戻して、この森信茂樹氏の論説は、僕が素人なりに一生懸命考えて、「ここが今の経済・金融政策の最大の問題点」だと思ったことを、資料も援用して、的確かつコンパクトにまとめてくれたものです。それで、僕の素人論よりずっといいなと思ったので、こちらを紹介させてもらうことにした次第です。未見の方はぜひお読みください。最初の、アメリカという完全に焼きの回った国の経済学者(ノーベル賞も、経済学分野のそれなんていい加減なものでしかありません。オバマの平和賞と同じです)をわざわざ連れてきて、消費税アップに反対させ、そのご意見を拝聴するというかたちで、アメリカと権威に弱い日本人を「見送りやむなし」に誘導し、併せてアベノミクスの失敗から目を逸らさせようとする猿芝居を一刀両断しているのも痛快です(アメリカの後追いをして国民がハッピーになれるかどうかは、向こうの庶民に暮らしぶりがよくなったかどうかを聞けばすぐわかるはずです)。選挙対策で「金持ち高齢者」の問題を手つかずのままにする姑息さも指摘されている。バランスの取れた議論と言うべきでしょう。
・安倍政権が真にやるべき政策を米国の経済学者に聞く必要はない
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