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なし崩しの翼賛体制の中で、日本社会は崩壊へと向かう?

2016.01.17.20:41

 今日はセンター試験の二日目で、商売柄僕は落ち着きません。去年の反動で、数ⅠAが難化して、数ⅡBが易化するだろうという受験業界の予想は、予備校サイトの「分析」を見る限りでは当たっているようですが、果たして平均点はどう出るのか。

 落ち着かないので、その間に前に時間がなくて書けなかった記事を書いておきたいと思います。古舘伊知郎氏(個人的には僕は彼に興味はありません)が「報道ステーション」を降板するというニュースは結構な騒ぎになっていましたが、他にもNHKの「クローズアップ現代」から国谷裕子キャスターが消え、TBSの「NEWS23」から、安倍政権に批判的だったコメンテーターの岸井成格氏が下ろされ、産休中の膳場貴子アナウンサーも、ドサクサ紛れに外してしまう、という噂でした。この最後の話に関しては、いくら何でもそれは政権への媚びが露骨すぎると考えたのか、TBSはこの15日、岸井氏(元から「過激」でも何でもない)に「レギュラー」ではないが、「スペシャル」コメンテーターとしての契約を要請し、岸井氏もそれを受諾したとか。膳場降板説については、「現時点でリニューアルの内容も含めてお話できることはございません」とコメントしている由。僕は仕事から帰って深夜のニュースを見る場合には、たいてい「NEWS23」を見ていたのですが、膳場&岸井コンビが消えれば、たぶん見なくなってしまうでしょう。

 籾井NHKのお粗末については、次のようなビデオニュース・ドットコムの記事が出ています。画面下の「まとめ」の文章が秀逸です。

不祥事続きのNHKの根底に横たわる日本の病理/上村達男氏

 マスメディア上層部と安倍政権の癒着(頻繁にお食事会などを繰り返している)についてはすでに何度も報じられていますが、上記のようなニュースを見るだけでも、戦時中の亡霊、大政翼賛体制が復活を遂げていることははっきりわかります。その政権追随が「自発的」なかたちを装っているのも同じ。それはメディアの自殺に他なりませんが、一般国民としては読む・視聴する価値のある大手メディアは存在しなくなって、ネットで玉石混交の情報の中からまともなものを拾い上げる困難な作業を強いられるようになった、ということです(中国を笑えない。そう言えばここ1ヶ月ほど、僕はテレビを一度も見ていません)。

 折しも、年初来株価が連日大幅に下げて、知人の個人投資家は、「こうなると思ったので、先物を買っとけば大儲けできたのに、残念なことをした」と嘆いていましたが、何でも「下がる方に賭ける」やり方があるのだそうで、暴落で大儲けできるというような話は、ふつうのニュースサイトには出ていないので、何のこっちゃと思いましたが、実際にそれでボロ儲けした連中はかなりいるはずだという話です。一体どういう世界なのか。

 しかし、これまで値上がりが続いていた株価それ自体、典型的な「官製相場」で、「5頭の鯨(日銀、GPIF、共済年金、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)」なるものが株式や信託をせっせと買い続けた賜物だというのは有名な話で、この中のGPIFというのは「年金積立金管理運用独立行政法人」という長たらしい名前の法人のことで、株式での運用比率を思いきりアップしたのは、これが名前と違って全然「独立」していなくて、アベノミクスの片棒を担がされているからに他なりません(名前からして、これが年金の原資なのは説明不要ですが)。

 だから、株価が上がっても、それは人為的な操作によるもので、庶民には何の関係もなく、景気は全然よくなっていません。とくに地方はそう(やたらと道路なんかは掘り返していますが、ついこの前も同じところを掘っていたので、やるならまとめてやれよ。税金の無駄づかいです)。大学生の就職が好転したのなんかは、要は労働力人口が減って人手不足になっているからで、べつだん景気がよくなったからではない。全体として非正規が増えて、正規が減り続けていることも変わりなし。貧乏人が増えれば消費は縮小する一方だから、景気がよくなるはずはないので、大企業は円高と株高で増えた資金を、海外投資に振り向けるかプールするのみです。雇用人口が多い中小零細は、そもそも利益そのものが増えておらず、円高倒産も増えているとのこと。それでも安倍政権は株価だけに頼って、好景気の幻想を振りまいていたのが、官製相場で固いはずなのに、大幅な下落に陥ったのです。どうせ中国のせいにするのでしょうが、初めから馬鹿馬鹿しいことをやっているのです。

 それでも、今度の国政選挙は野党のピンボケぶりも手伝って、自民圧勝が予想されるそうで、65歳以上の貧乏人に一律3万円プレゼントなんてのは、馬鹿馬鹿しいのを通り越していますが、こういうのも選挙対策なのでしょう。それでもって、どうせまた「2万%ない」の橋下徹が出てくるだろうおおさか維新の会なんかも取り込んで、3分の2を確保して、憲法改悪に乗り出す。うまい具合に「北朝鮮と中国の脅威」が“深刻化”して、それを籾井NHKと、政権ヒラメと化した民放・新聞が煽ってくれれば、向かうところ敵なしです。ネトウヨに大うけしたらしい、「戦車にヘルメット姿で試乗」パフォーマンスを、今度は大々的にやって見せ、北朝鮮の若いデブと張り合うことになるのです。やれやれ。

 ちなみに、僕はこの前、遅ればせながらオリバー・ストーン監督の映画『ブッシュ』を観ました。親の七光りで名門イェール大を出て、やはりパパブッシュが裏から手を回してハーバードの経営大学院に入れるよう画策し、MBAまで取得したが、何をやらせても駄目で、事あるごとに素行も学業成績もいい弟のジェフと比較されることに苛立ち、「名家コンプレックス」に苦しむ中、見返してやりたい一心で政治家に転身し、「わかりやすい」のが受けてテキサス州知事に当選し、そうこうするうちに、アル中治療のために右派のキリスト教原理主義団体に入って、熱心な信者になっていた彼は、「神のお告げ」で大統領選に立候補する決断を下したのです(このキリスト教原理主義団体は大きな集票力をもつ)。

 ほんとは民主党のゴアに負けていた(それについてはグレッグ・パラストの名著『カネで買えるアメリカ民主主義』〔角川文庫〕に詳しい)のですが、とにかく世界にとっては不幸なことに、世界最大の軍事大国の大統領に、彼はなってしまった。そうして9.11が起き、アフガンに攻め込み、挙句は世界を唖然とさせたイラク戦争にまで突っ込むのです。

 彼がなぜ正当性を見つけるのが困難なイラク戦争にああまでこだわったかといえば、それはパパブッシュが行った湾岸戦争(映画では触れられていませんでしたが、このときも政権は支持を得るために念の入った虚偽情報を流した)を意識していたからで、パパが「とどめを刺さなかった」フセインを殺せば、自分は父を超えたという証明になるみたいに思ったようでした。むろん、それを利用した腹黒いネオコンの面々がいたわけですが、戦争の大義を見つけるためのブッシュ政権の「苦闘(?)」とその後のお粗末がコミカルに描かれていて、笑えるのです。とはいえ、彼の単純さと個人的なコンプレックスが非人道的な大量殺戮と、その後の世界情勢の深刻な不安定化を招いたのだから、それを思えば笑いごとではない。アフガンも含め、今もその後遺症はやむことなく続いているのです。

 どこかの国の総理大臣も、似たようなコンプレックスの持ち主で、こちらは「おじいちゃん」を意識しすぎているようですが、あの映画の中には、パパブッシュの「人には器というものがある」というセリフが出てきます。その言葉が、イラク戦争の泥沼に落ち込んだ彼の上に再び重くのしかかってくるというふうに描かれているのですが、「後悔先に立たず」で、おかしなコンプレックスにとりつかれた人間には、そうした自己の客観視はできない。そこらへん、大きな権力をもって、周りがそれにへつらう人間ばかりになればなおさらなので、その結果は当人だけでなく、国民、世界全体の苦しみとなって現われるのです。

 それと似たようなことにならねばいいがと、あらためて案じられます。まあ、株式が本格的に暴落すれば、文字どおりの「現金さ」で、政権は潰えることになるわけですが、それはそれで国民には大迷惑(上がったときは恩恵を受けなくても、下がればとばっちりが来るのは確実)なので、どっちに転んでもいいことはないわけです。安倍政権と「出口なし」のアベノミクスは結局、時代錯誤の「神の国」信奉者と、上げても下げても儲けられるハゲタカファンドのためにあったと言うべきか。「パート給与が25万として…」という彼の珍答弁に噛みついた野党議員がいるそうですが、元々まともな生活人の感覚なんかはないのだから、その程度のことに、今さら目くじら立てるには及ばないのです。北朝鮮拉致被害者を安倍は最大限利用したという蓮池透さんの本(僕も読みました)のことを持ち出されて、「事実無根!」と逆上したとも伝えられますが、ああいうのはエセ政治家が昔からよく使う手で、元々が「その程度」の人間だと思った方がいい(僕は蓮池さんが嘘を言っているとは思いません、あの本のとおりだったのでしょう)。それを総理大臣なんかにしたのがそもそもの間違いなので、その時はどんな「痛み」が出ているかは知りませんが、いずれ皆にわかる時が来るでしょう。早くそれを認識する人が増えてくれればいいのですが…。
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