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またも安倍政権の点数稼ぎ?

2015.12.26.17:51

 次のニュースにはちょっと驚きました。

 日韓両政府は25日、岸田外相と尹炳世外相が慰安婦問題の妥結を目指し、韓国で28日に会談を行うと発表した。
 岸田氏は会談で、慰安婦問題の最終的な決着を確約するよう求める。米政府が日韓の妥結を評価する声明を出すなどして、国際的に決着したことを確認する案が出ている。
 米政府の声明発表を検討しているのは、慰安婦問題について、韓国が蒸し返すことを避けるのが狙いだ。
 長く懸案となってきた慰安婦問題が決着すれば、日韓関係は大きく前進することになる。岸田氏は25日、「非常に難しい問題だが、何ができるか、自分としてもぎりぎりの調整を行いたい」と記者団に述べた。(読売電子版12月26日 08時15分)


 手土産は「元慰安婦に対する『総理の謝罪の手紙』や『政府の予算による拡充した基金での支援』」(日テレNEWS)で、「難航が予想される」というのが大方の見方ですが、それで韓国世論が収まるとは思えないものの、朴政権が置かれた危うい状況からも、たぶん「政治決着」がはかられるでしょう。

 これについて、「韓国各紙は「産経前ソウル支局長の無罪判決と日韓請求権協定の違憲の訴えを却下という2つの司法判断が慰安婦問題の交渉にプラスの影響を与えた」などと分析」(テレ朝NEWS)しているという話です。

 双方歩み寄るのはたいへん結構ですが、「ネトウヨの安倍の『無反省』姿勢と、朴槿恵の一方的な『言いつけ外交』が共に日韓関係の悪化に拍車をかけた」のがこれまでの経緯だったことからして、これが両者の「政治的打算」に基づくものにすぎないことは明らかでしょう。

 朴槿恵大統領の苦境は言うまでもなく、支持率が回復しつつある安倍政権も、「一年以内の回答」の約束はどこへやら、拉致問題で北朝鮮に完全にコケにされ、他でも「援助金バラマキ外遊」をずっと続けているものの、実質的には何の成果も上げられず、「外交的無能力」が際立ってきたことから、功を焦る気持ちが強まっていたことは明らかです(これに沖縄の基地問題も加えてよい)。

 もう一つ明らかなことは、この問題には「アメリカの強い意向」が働いていることで、朴も安倍も、アメリカの「植民地総督」みたいなものでしかないので、実際はそちらからの圧力がこの「変化」の最大の原因だったということなのかも知れません。

 しかし、“素直な”日本人は、この件が妥結すれば、それを好感して、安倍政権の支持率はまた上がるでしょう。内紛続きで何をやってるのかよくわからない野党の動向を併せ考えると、政権は当分安泰というわけです。

 政治に妥協は不可欠ですが、それにも誠意のある妥協と、政権維持や支持率上昇目当てのたんなる利己的な「心にもない」妥協というものがあって、これは両政権にとって後者であるから、仮に妥結しても、のちのちに火種を残すものになるでしょう。本来は政権交代して、もう少しまともな首脳同士の間で協議する方が好ましい。こうした問題はたんなる「政治利用」の対象とするにはふさわしくない問題だからです。

 話は脱線しますが、僕は先日、蓮池透著『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)というかなりすごいタイトルの本を読みました。たまたまその前にLITERAに出ていた蓮池透さんの安倍批判に関する記事を読んでいたからですが、本屋をうろついていたらその本の表紙の安倍の「凶悪顔」が目について、思わず笑ってしまって、買ってみたのです。

 LITERAはその後、この本の紹介記事も載せました。それにまとまった紹介(但し、安倍の嘘にフォーカスが絞られている)が出ているので、以下をご覧ください。

安倍さんは薄ら笑いで私に…元家族会・蓮池透氏が著書でも徹底批判! 安倍首相の拉致問題政治利用と冷血ぶり

 要するに、かつて安倍の手柄とされていたような話は、全部嘘だったということです。それはまことしやかな虚偽情報を流したマスコミにも責任があるわけですが、この件を自分のために最大限利用したのは、安倍晋三と中山恭子(最近、櫻井よし子あたりが盛んに持ち上げている)の二人。安倍はこの件を総理へのスプリングボードとし、中山は参院選出馬に利用した。

 この本にはそうしたことだけでなく、拉致被害者家族のひどい苦悩や、のちに拉致被害者の家族会がおかしな右翼団体に乗っ取られたも同然の状態になったこと、そして家族会のお寒い内幕(全国から集まった一億円を超える支援金は拉致被害者の手には渡らず、別のことに使われていて、家族の中には「専従」としてそのプールされたお金から給与をもらいつつ、カン違いが昂じて参院選に出馬し、落選した御仁までいる)も暴露されているのですが、僕自身は「大方そんなところだろうな…」とは思っていたものの、そこに描かれた人間模様の醜悪さにはあらためて辟易させられました。

 中でも最も強く印象づけられたのは、日本という国家の「国民を守る」責任感の稀薄さで、これは外務省にも政治家にも共通しているのです。安倍や中山氏の「勇ましいからだを張った対応」なんかはただの「伝説」で、「何? 彼・彼女はホントにそんなこと言ってたの?」というノーテンキぶりなので、よく考えてみればこういうのは、ISに日本人の人質が取られていることを知りながら、対策は何も取らないまま、よりにもよってイスラエルくんだりまで出かけて(国際政治音痴も度が過ぎるので、外務省は何で止めなかったのか?)、IS対策に大金を寄付するなんて自慢顔でぶち上げた安倍の無神経さともよく符合するのです(二人の人質は当然のように殺害された)。

 それでいて彼は、例の安保法案を通すのに、「アメリカの艦船に救助された日本人が乗せられている。そのアメリカ艦船に対する他国からの攻撃も、今の法制では黙って見過ごすしかないのですよ!」なんて、ありえない想定(どこの国がアメリカの艦船に砲撃を浴びせて、また、いかなる理由で日本人をアメリカ艦船が乗せることになったのだ?)を示して、自分がいかに「国民の安全確保に熱心」であるかをアピールしようとしたのです。あの煤色の妙なモコモコ模型を使った、火事にたとえての説明も秀逸。とにかくそうやって、法案に反対する人間は自国民の命を軽視する非国民だという印象操作を必死にしようとしたのです。「反知性主義」がどうのというレベルの話ではないので、恥知らずもここまで来ればご立派としか言いようがありません。

 今回の「韓国慰安婦問題の最終解決へ向けての対応」も、拉致問題で手柄を立てようと北朝鮮と交渉を始めたものの、いいようにあしらわれて「本気度」を疑われるようになったことの補償にすぎないと、僕は見ています。安倍の「ネトウヨ史観」からしてこれは矛盾したことなので、アメリカさんの強い意向もさることながら、何とかして「外交実績」がほしいと彼はかなり焦っているのでしょう。韓国政府もそこは同じで、両者の政治的思惑が低次元のところで一致したのです。

 そうした政治的思惑から妥結にこぎつけても、それは相互理解が進んだところからする和解ではないので、いずれまた韓国側によって蒸し返され、そうなると日本人はそれに腹を立てて、両国関係はさらに悪化して、和解の可能性はほとんどなくなってしまう。そう見ている人は僕だけではないだろうと思うのですが、いかがでしょう?

 僕は日韓両国の和解を望むものですが、問題の安直な政治利用は真の解決をもたらすものではないと言いたいのです。外交には戦略だけでなく、ハートが必要ですが、それが安倍政権には欠けているというのが最大の難点なのです。

 彼は25日、「首相官邸で記者団から3年間の感想を問われ、「経済再生と外交・安全保障の立て直しに取り組み、それなりの成果は出せた。『桃栗三年、柿八年』と言うが、桃と栗は収穫できたんじゃないかと思う」と実績を強調した」(読売)そうですが、どこにその「桃と栗」があるのかは僕にはわからないので、それらしきものが見えたとしても、皮をむいてみれば、中は全部腐っていたということになりかねません。今回のこれも同じことになりそうです。それとも(そんなふうには見えませんが)彼は「ネトウヨ」をやっと卒業して、これまでの言動をしんから「反省」しているということなのでしょうか? こんなことを言うと、「柿」が収穫できる頃まで政権にいたい彼は怒って、こう叫ぶかも知れません。

 ノー・プロブレム! アンダー・コントロール! シャラップ!
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