下らん「特定秘密」を作るな!

2015.07.30.15:06

 参院で、「わかりやすく説明するため」と称して、与党の質問時間を多くする「やらせ質疑応答」が始まりましたが、今回は例の「東シナ海での中国のガス田開発」の話です。そもそもこういうのをどうして隠しておく必要があったのかと言えば、それは事態をエスカレートさせておいて、「こうなったら、皆さん、ひどい中国と一戦交えるのは仕方ありませんよね?」と言いたいがためだったのだろうと、勘ぐられても仕方はないでしょう。そのときは法案が成立していて、「新3要件」なるものにも「合致」すると言わんがためです。

 以下、安倍新聞の産経電子版から、順を追って引用してみましょう。

 自民党が23日に開いた外交部会などの会合で、東シナ海の日中中間線付近で中国が一方的に進めるガス田開発を公表してこなかった政府対応への不満の声が相次いだ。議員からは中国が建設したプラットホームの軍事利用への懸念が噴出し、国際世論を巻き込むため情報公開を求める声が続出した。
 外務省担当者は、中国の開発状況を非公開としてきた理由について「外交交渉への悪影響を懸念した」と説明。これに出席者は「配慮しても事態は変わらず、悪化した」と反論した。政府の写真公表が当初予定の21日から1日延期されたことも明らかになった。(7.23)


  この自民党議員たちの「不満」は尤もです。僕も先日、「安倍様のNHK」の何とかいうニュース解説番組でそれを知りましたが、よけいな「特定秘密」を作りやがってと腹が立ちました。これに対する中国側の対応はといえば、

 中国外務省は24日、日本政府が中国による新たな東シナ海ガス田開発の証拠写真を公表したことに対して「日本側の要求は全く筋が通らない。中国のガス田開発は完全に正当で合法だ」と反論するコメントを発表した。程永華駐日大使も23日に反論している。
 中国外務省は、2008年6月の日中ガス田合意に基づき、両国政府が10年7月に条約締結交渉の初会合を開いたと指摘。その上で、同9月に沖縄県・尖閣諸島沖で発生した中国漁船衝突事件を念頭に「日本側が騒動を引き起こしたことで協議が中断したままになっている」と主張した。
 同省は「中国は(ガス田開発に関する)歴史的事実を尊重した上で、日本側と対話を通じて対立をコントロールし、協力を促進させることを望んでいる」とも指摘した。(共同)


 いかにも中国らしい言い分ですが、あの「中国漁船衝突事故」は「海上保安官が撮影していた44分間の動画がYouTube上に流出した」(ウィキペディア)ことで有名になったもので、「日本側が騒動を引き起こした」というのはちんぴらか暴力団の言いがかりに類したもので、当時の民主党政権はさっさとあれを公開して、世界に是非を問えばよかったのです。

 こういうのは最近増えているらしいモンスター・クレイマーの類に対する対応についても言えることだろうと思いますが、事を荒立てるのを恐れて「そんな一方的な話は通りませんよ」とぴしゃりと言わないから、相手につけ込まれるのです。僕は戦争反対論者ですが、相手が誰でも喧嘩すべきときはきっちり喧嘩すべし、という考えなので、当時の民主党政権は何を恐れていたのか知りませんが、対応を誤ったのです(かんたんに言うなと言われるかもしれませんが、個人が暴力団まがいの奴の脅しに対抗するときだって、かなりの覚悟は要るのですよ。この平和な時代には、人を助けるためにそうして成功しても、「あんたは恐ろしい人だ」なんて言われたりして、割に合わないこと夥しいのですが)。

 ともかく中国はあの件を口実にして、「日本のせいで協議が中断した」とのたまうのですが、その「協議」とは、東シナ海での両国の領海の線引きの件です。日本が提案したそれ(次の記事の「中間線」)を、中国は了承しないまま流してしまった。そうしておいて、その「中間線」ギリギリのところに「構造物」を相次いで設営したのです。

 在日中国大使館の何振良報道官は29日の記者会見で、中国による東シナ海の日中中間線付近でのガス田開発について、「中国側は日本側が主張する中間線を認めていないが、係争が存在していることに配慮し、中間線の東側(日本側)の係争海域でガス田を開発したことはない」と主張。中間線の西側(中国側)海域は係争の存在しない中国の管轄海域だと強調し、同地域でのガス田開発は平成20年に日中両政府が発表した共同開発の基本合意に違反しないとの認識を示した。(7.29)

 このあたり、いかにも今の中国式のやり方で、自民党の石破議員の言い回しを借りれば、「中国って、感じ悪いよね」ということなるわけですが、ほんとに「感じ悪い」国です。「日本側が主張する中間線を認めていないが、その中間線はギリギリ超えていないから、文句を言われる筋合いはない」と言っているのです。

 安倍もクソだが、中国もクソです。もう少しまともな奴はいないのか!
「じゃあ、あんた、それは間接的に認めている、了承した、ということなのか?」
「いや、そうは言ってないんで、ただ、そっちの言い分には一応配慮してるから、文句は言うなと言っているのだ」
「それはおかしな話じゃないかね? 話を決着させるのがイヤだというのは、いずれ様子を見て、あんまり反発が強くなさそうなら、ドサマサまぎれもっとこちらに入り込もうという魂胆だとしか解釈できないんだけど。他にまともな説明があるなら、してもらおうか」

 そう言ってやればいいのです。何の遠慮がいるでしょう。こういうのは個人の土地の境界線の争いと同じなので、昔、学生の頃ですが、僕は弟と一緒に父に山に連れて行かれて、自家の持山の際面を教えられたことがあります。山道の脇に指標となる杭が打たれていて、それが境界で、山のてっぺんから下まで、垂直線を下ろしたこちら側がうちの山だ、というようなことを教わったのですが、父はその時、二人の息子にルールを教えました。その境界線から必ず50センチだか1メートルだか空けて木を植えろ。伐採して植え替えるときも、その線をずらすな。それ以上、境界線側に寄ることも、それより引くことも一切するなと。

 父がそう言ったのには理由がありました。境界を接するあるズルい山林主が、直径数センチにまでに育った苗木を、1列ずつ、山のてっぺんから下まで、ぜんぶ根元から切り取って、その際面をずらして侵入したことがあったというのです(何たるマメさ!)。彼はある時山を見に行って異変に気づきました。境界票まで移動してあったようですが、山男の父はそこの地形を詳細に記憶していたので、すぐにおかしいと思い、土を掘ってみると、切り取られた木の根が残っていた。彼はそれをいくつか掘り出して、手にもったまま、その家に出向いて、玄関に入ると、土のついた、下の方で切断されたその木の根を座敷に投げ込みました。そして「どういう意味なのか、わかるように説明してもらおうか」と言ったのです。

 説明ができるはずもなく、相手は周章狼狽して沈黙しました。それで決着はついたのですが、僕の父は薄汚いことが大嫌いでした。慈善事業ではあるまいし、そういうセコい奴に勝手な真似をさせる理由は何もない。だから、欲をかいて自分が出ることも絶対してはならないが、一歩も引くな。話で決着がつかないときは、裁判にかけろ。こういう山の登記なんてものは、どこでも税金の関係から面積が小さめになっているものだから、裁判になれば減る可能性があるが、それはかまわない。国のものにしてやればいいのだ。相手も泣きを見るので、痛い目に遭わせてやればせいせいする。そう言って笑いました。

 個人も国も似たようなものです。国の場合はハーグの国際司法裁判所に提訴すればいいだけの話。係争中になれば、そこで勝手なことをするのは許されない。また、相手が裁判に応じなければ(国内裁判と違って、相手が同意しないと審理は開かれない)、なぜ応じないのか、その理由をとくと説明させればいい。世界はそれを見て、どちらに理があるか考えるでしょう。南沙諸島のケースだってバンバンそういう提訴をして、中国が応じないならその説明をさせ、それを世界に知らしめればいいのです。今の中国は説得力のある説明ができるでしょうか? おかしな理屈をこねまわしてみても、それは国際的な信用を失い、孤立化を招くだけです。経済規模がどれだけ大きくなっても、国際的信用を失えば終わりなのです。

 そうなると、中国は戦争に打って出る? やってみろと、言ってやればいいのです。話し合いには応じず、自分のわがままが通らないと勝手にブチ切れて暴力に訴えるというのは、ごろつきのやることです。おまえはごろつきかと、言ってやればよろしい。国内でおかしな愛国教育をやって、勝手に自国の領土領海はこれだと教えているから、「あそこはオレのもんだ!」と中国国民の一部は激昂するかもしれませんが、そういう話には必ず相手があって、相手の言い分も聞かなければならないということは、まともな人になら誰にでもわかるでしょう。それを無視して行うような戦争に「正義」はないから、モチベーションは上がらず、いずれ身の破滅を招くことになるのです。

 しかし、それでほんとに戦争になったら困るのではないか? なりませんよ。今の中国軍が昔の大日本帝国陸軍と同じくらい無知で愚かなら、その可能性はある。個人の場合でいえば、これは自分の個人的な経験に基づいて言うのですが、ほとんど殴り合いまで行かずにケリがつくものなので、そのおかげで僕は前科持ちではないのです。鼻血程度のことは起きるかもしれないが、これは国同士の争いに当てはめれば、「偶発的で小規模な軍事衝突」ぐらいのものでしょう。冷静でいれば、それはそれ以上拡大しない。

 大体、中国人はプラグマティスト、実際主義者です。たとえとしては適切でないかもしれないが、一流のヤクザは割に合わない喧嘩沙汰は避けます。それと同じで中国は損得勘定がしっかりしているから、軍が暴走しないかぎり、政治決着がつく。

 こういうのは強がりだけは一人前だが、三代目のお坊ちゃんのネトウヨの安倍では駄目です。ああいうのにかぎって肝っ玉は小さいので、もっと度胸があって落ち着きのある政治家が総理でないと、習近平とは渡り合えない。大体、過去の侵略の事実も認められず、謝罪も渋るなんて誠実さに欠ける人間では、相手も胸襟を開いてくれないでしょう。中国の歴史観と、安倍のそれは「偏り度」において似ているため、180度違っていて、接点が何もないのですから。安倍自身が「危険ファクター」だと言われるゆえんです。

 外務省も安倍政権も、やってることが全くチグハグで、倒錯しています。一方でいりもしない「戦争法案」(そう言われるのをイヤがっているようですが)を通そうとし、他方では「関係が悪化するかもしれないから」と言って、公にすべきことを公にせず、正面切っての論争を避ける。こういうのは、チンピラがナイフだの防護服だのを買い込み、仲間を呼び集め、妙に強がって見せるが、目の前の相手には何をされても正面切って文句は言えず、ウジウジしてるのと同じです。こういうのが一番ナメられるので、やってることが逆なのだ。相手は図に乗ってもっといやがらせをする。そうして最後に戦端が開かれた時は、緊張と恐怖でいっぱいになっているから、コントロールが利かず、破滅的なことになるのです。

 政治家、国家官僚なら、喧嘩の仕方ぐらいは心得ておけ。民主党も、先の「漁船衝突事件」が自政権のときのことだったため、強いことが言えないのは痛いところですが、一体何を基準に「特定秘密」なるものを決めているのだと、国民の一人として言っておきたいと思います。こういうまともな喧嘩もできない小心な国はいずれ必ずアホな戦争をする。アメリカのあのイラク戦争だって、それはおかしいと友邦として意見するのかと思いきや、支持協力を表明しないと相手が気を悪くするかもしれないと迎合し、今度は今度で、中国が勝手な真似をしても、相手を怒らせてはまずいと、それを内々にして、公にするのを憚るのです。同時につまらない策動はする。要は力を恐れ、それに「配慮」するのみで、道理はどこかへ消し飛んでいるのです。下らん「抑止力」をどうこう言うヒマがあったら、きっちり筋を通さんかい。そう思いませんか?
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