類は友を呼ぶ~百田尚樹と安倍晋三

2015.06.28.11:17

「よく言うよ…」と次の記事を読んで思わず笑ってしまいました。

 作家の百田尚樹氏は27日、「沖縄の二つの新聞はつぶさなあかん」などとした自身の発言について、福岡市内で取材に応じ、「私的な会合での冗談で、一種の軽口だった」と釈明した。
 百田氏は「非公開の会合で、雑談の中で飛び出したこと。内輪の席でしゃべったことを取り出して大騒ぎするのは卑劣で汚いやり方だ」と報道各社を批判。「言論弾圧」との指摘には「何が弾圧なのか」と反論した。
 また、百田氏に名指しされた沖縄タイムスと琉球新報が抗議声明を出したことについて、「2紙は伝聞を基にして抗議声明を出したが、なぜここまで百田を社会的に葬り去ろうとこん身の力を込めるのか不思議でならない」と語った。(時事通信)


 安倍一派は同じような「逆ギレ」の仕方をしてマスコミを恫喝するのがつねですが、こういうのは幼児人格特有の反応で、「頭の悪さゆえの強み」と言ってしまえばそれまでですが、「そんな言い訳は通らないよ」とはっきり引導を渡しておく必要があるでしょう。

 事の発端は25日に開かれた自民党の勉強会での出来事にあった。こういう石原慎太郎に勝るとも劣らない「妄言製造機」を講師に招いて何を「勉強」するのかと理解に苦しみますが、そこでこの作家センセイは次のような「妄言」を連発したというのです。以下、沖縄タイムズの記事からです。

・市街地に囲まれ世界一危険とされる米軍普天間飛行場の成り立ちを「もともと田んぼの中にあり、周りは何もなかった。基地の周りに行けば商売になると、みんな何十年もかかって基地の周りに住みだした」と述べ、基地の近隣住民がカネ目当てで移り住んできたとの認識を示した。(←沖縄タイムズ紙の反論:実際には現在の普天間飛行場内に戦前、役場や小学校のほか、五つの集落が存在していた。沖縄戦で住民は土地を強制的に接収され、人口増加に伴い、基地の周辺に住まざるを得なくなった経緯がある。)

・「基地の地主さんは年収何千万円なんですよ、みんな。ですからその基地の地主さんが、六本木ヒルズとかに住んでいる。大金持ちなんですよ」

・普天間飛行場の周辺住民約2千人が、米軍機の騒音で精神的苦痛を受けたと訴え、那覇地裁沖縄支部が約7億5400万円の支払いを命じた判決に触れ、「うるさいのは分かるが、そこを選んで住んだのは誰だと言いたい」と、自己責任だとの見解を示した。

・「基地の地主は大金持ち。基地が出て行くとお金がなくなるから困る。沖縄は本当に被害者なのか」

・議員から沖縄の地元紙が政府に批判的だとの意見が出たのに対し、百田氏は「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない。あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と主張。


 この他にも朝日新聞の記事によれば、

・沖縄の米兵によるレイプについても「沖縄人自身が起こしたレイプ犯罪の方が率が高い」と言及した

 というおまけまでついている。いずれも正気の沙汰とは思えない「卑劣で汚い」発言ですが、こういうのは全部、「私的な会合での冗談で、一種の軽口だった」のだから、大目に見られるべきで、「なぜここまで百田を社会的に葬り去ろうとこん身の力を込めるのか不思議でならない」、これこそマスコミによる言論封殺、人権侵害ではないかと、大げさに被害者ぶって見せているのです。

 おまえなあ…。国民の税金で食っている国会議員、しかも政権与党の「勉強会(「自民党の木原稔青年局長が代表で、首相側近の加藤勝信官房副長官や、萩生田光一・党総裁特別補佐も参加した」とニュース記事にはある)」がただの「私的な会合」かよ。しかもこれだけあれこれ、ネットの2ちゃんねる以下の下種の勘繰りでしかないような下らない出鱈目を並べ立てて、たんなる「一種の軽口」ですむと思っているのか? 大体が彼がこれまで書いてきた「感動的」な小説そのものが出鱈目満載の文字どおりの「作り話」で、『殉愛』はその最たるものだというので激しいバッシングを受ける羽目になったのですが、僕はあのときはさすがに気の毒に思ったものの、事ここにいたると、そんな同情なんかはどこかへ消し飛んでしまうのです。

 彼は自分のフェイスブックでは次のように「釈明」しているという。こちらは百田の好きな産経新聞の記事からです。

 昨日の懇話会での発言が世間では大問題になってるらしい。
 沖縄の二紙がつぶれたらいいのに、と言ったのは事実だ。
 ただ、それは講演が終わった後の質疑応答という雑談での一言だ。誰かが「沖縄の二紙はやっかいですね」と言った言葉を受けて、「ほんまや、つぶれたらいいのに」と軽口で言ったにすぎない。部屋の中は笑いが起こり、その話題はそれっきりで、すぐに別の話題に移った。
 それより、私がむかつくのは、報道陣がいたのは、最初の2分だけ、あとは部屋から出て行って、シャットアウト、つまりその後の講演も質疑応答もクローズな場所での発言なのに、それを盗み聞きして報道されたことだ。...
 部屋から退出しても一部の記者はドアのガラスに耳をくっつけて、盗み聞きしていたのだ。部屋の内側からガラスに耳がくっついているのが見えたときは笑ってしまった。
 私はラジオやテレビで不特定多数に向けて発言したわけではない。あくまで私的な集まりの場において話したにすぎない。内輪の席での発言だ。
 そういう場で口にした軽口が、大々的に報道され、あるいは国会で問題にされるようなことだろうか。
 しかも、私は議員でもなければNHK経営委員でもない。一私人である。
 ちなみに、質疑応答のとき、ある人が私に「偏向報道をするマスコミを、スポンサーに圧力かけて、こらしめるのはどうか?」という質問をされた。
 私は即座に「それはしてはいけない!」と答えた。出版社や新聞社に対して、権力や他の力をもって圧力をかけることは、絶対にしてはならないと考えているからだ。
 ドアのガラスに耳をくっつけていた記者も、この私の言葉を聞いているはずだが、こういうことは報道してくれない。


 ここには百田の特徴がよく出ています。「マスコミは私に有利なことは何も報道しない。私に不都合なところだけ取り上げて批判する。それは公正さに欠ける不当なことだ」と憤るのです。「幼児人格」だと言うのはまさにここで、そもそもの話、偏見と思い込みだけの「妄言」を連発しているからそうなるのですが、仮に「公正に」報道したところで、そうした暴言が免罪されるわけではないという点は都合よく忘れているのです。

 こういうのは乱暴狼藉を働くアホなヤンキーが、その数々の悪行を報道されて、「自分は仲間がホームレスに暴行するのは止めた。襲うのは金をもっていそうな泥酔サラリーマンだけにすべきだと主張していたのに、そういう自分のよいところは記事に書かれていない!」と文句を言うようなものです。

 アホな百田は、「ある人(=国会議員)が私に『偏向報道をするマスコミを、スポンサーに圧力かけて、こらしめるのはどうか?』という質問をされた」が、それはいけないと諌めた、と自分の「良識」をアピールしているわけですが、まともな言論人なら、国会議員がそんなことを口走るのを聞けば、激怒するでしょう。しかし、百田にはそれは「気持ちはよくわかる」程度のものでしかなかったのです。偏向マスコミ(百田のような極右からすれば「ふつう」でも「偏向」に見える)は腹立たしく、できれば全部潰してやりたいが、スポンサーに圧力をかけさせるというところまで行くのは「やりすぎ」だと言って、「良識」を示したつもりでいるのです。

「私がむかつくのは、報道陣がいたのは、最初の2分だけ、あとは部屋から出て行って、シャットアウト、つまりその後の講演も質疑応答もクローズな場所での発言なのに、それを盗み聞きして報道されたことだ」という箇所も興味深いところで、政権与党の国会議員たちが怪しげな男を講師に招いて、聞かれてはまずいようなことをそこで話し合うからこそ、「シャットアウト」の措置が取られたのでしょう。

 そして「あくまで私的な集まりの場」だと彼は強調するが、そこにいたのは国政を担う議員たちなので、密室で話し合われたことがのちのち国政に大きな影響を及ぼすのです。「部屋から退出しても一部の記者はドアのガラスに耳をくっつけて、盗み聞きしていたのだ。部屋の内側からガラスに耳がくっついているのが見えたときは笑ってしまった」と百田は嘲笑するが、ジャーナリストがそれに関心をもつのは当たり前のことです。『殉愛』でほとんど取材もせず、一方的な言い分のみの決めつけで叩かれた百田はそうした記者魂を少しは見習うといい。

 安倍政権ぐらい非民主的な手法を乱用する政権は珍しいので、前にもここに書いたとおり、各方面の重要ポストに「お友達」を勝手に任命し、それでその組織を自分の都合のいいように支配しようとする禁じ手をためらうことなく使ってきたのです。「私は議員でもなければNHK経営委員でもない。一私人である」と百田は言うが、これはかつて安倍が「お友達」の彼をNHK経営委員に「登用」したことを念頭に置いた言葉で、そこでも「妄言」が問題視されて、彼は辞任を余儀なくされたのですが、今なお安倍とは「お友達」であるからこそ、自民党のそんな「勉強会」にも呼ばれたのでしょう。「一私人」と言いながら、安倍の「お友達」であることも誇示したい、百田の屈折した心理がこの言葉にはよく出ています。

 要するに、「程度が低い」の一語に尽きるのですが、折も折、7月4日号号の『週刊現代』は、「安倍オフレコ発言、ぜんぶ書く」と題して、百田に勝るとも劣らない安倍晋三の「妄言」を暴露しています。まず、例の安保法制関連では、

「だいたい論点は出尽くしたでしょ。もう議論することなんかないのに」
「(民主党)の岡田(克也代表)さんなんて、いつも同じことばっかり言っている。意味がないですよ」
「あんなのに答える必要はない。民主党はもう終わりだよ」
「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの。だから、やる(法案を通す)と言ったらやる」


 なんてトンデモ発言を連発しているとのこと。国民の大半が「説明不足」だと言っているのに、「もう議論することなんかない」というのは、彼の頭の中が勝手に「自己完結」していることと、世論軽視の何よりの証拠ですが、最後のセリフの「南シナ海の中国が相手なの」というのは、安倍の国会での説明が「嘘」であることをはっきり示しています。

 この件に関する野党の「戦略」は「答弁がヘタな中谷元防衛大臣を徹底的に追及し、しどろもどろになったところで、ようやく安倍に振る」というものなのだそうですが、これに安倍はキレまくり、

「どうにかならないのか!」
「何でもマジメに答えりゃいいってもんじゃない」
「ホントに、バカ正直だから困る」


 と周囲に怒鳴り散らしているという話で、いかにも彼らしいことです。「正直」に対応したりした日には、この法案は絶対に通らない。それほどヤバいものだからです。他にも、次のような「オフレコ発言」が暴露されている。

 6月16日、TPP関連法案の採決で紛糾する米議会の混乱を見ていわく――。
「まったく、アメリカは何やってんだ! オバマは何やってんだ!」
 21日には、翌22日の日韓国交正常化50周年を機に韓国のユンビョンセ外相が来日、岸田外相と会談した。その直前、日韓関係について「ホンネ」を吐露していわく――。
「ほら、待ってれば韓国のほうからアプローチしてくるんだよ」
「従軍慰安婦問題は3億円あれば解決できるんだ。でも、カネの問題じゃないからなあ」


 これについて現代の記事は次のようにコメントしています。

 海外のメディアで報じられれば、ほとんど外交問題モノの放言ばかりである。こうした「オフレコ発言」が一向に報じられないところを見る限り、大新聞とテレビ局をガッチリ握る安倍官邸の優秀な「危機管理」は、しっかり機能しているらしい。

 同感ですが、こういう暴露も「百田的見地」からすれば、「偏向マスコミの卑劣で汚いやり方」でしかないのでしょうね。「卑劣で汚い」のは、それが外部に漏れないようにしようとする彼らの態度の方だと、まともな人は考えるだろうと思いますが。

「類は友を呼ぶ」というべきか、二人が「仲の良いお友達」であるのはよくわかる気がします。

【追記】百田の「逆ギレ」はさらにエスカレートしているらしく、毎日新聞に次のような記事が出ていました。馬鹿丸出しとはこのことですが、「お友達」であり「同志」でもある安倍は今頃、「ホントに、バカ正直だから困る」と周囲に八つ当たりしているかも知れません。

百田尚樹氏:「本気でつぶれたらいい」講演で沖縄2紙に

作家の百田尚樹氏は28日、大阪府泉大津市で講演し、自民党勉強会での「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」との自らの発言に触れ、「その時は冗談口調だったが、今はもう本気でつぶれたらいいと思う」と話した。
講演を聞いた人によると、共同の抗議声明を出した沖縄タイムスと琉球新報に対し「おかしな話だ。私の話を何も聞いていない。伝聞にすぎない」と批判。さらに「まだしばらく2紙とはやりあっていかないといけない」と述べた後「本気」発言をした。
 百田氏は講演の最初で、勉強会での発言について報道陣が冒頭取材を終えて退出後にオフレコで述べた一言だったと改めて強調した。
 講演では、発言が報じられて炎上し、腹が立ったため短文投稿サイトのツイッターに「私が本当につぶれてほしいと思っているのは、朝日新聞と毎日新聞と東京新聞」と投稿したとも話した。(共同)


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