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ネトウヨ総理の「日教組」ヤジ

2015.02.21.18:37

「日教組どうすんだ!日教組!」

 そもそも総理大臣がヤジを飛ばしたという話自体あまり聞きませんが、19日の衆院予算委員会の席上、民主党・玉木雄一郎議員の質問の最中、安倍総理が突然「日教組!」とヤジを飛ばし始め、委員長からたしなめられる一幕があったとのこと。玉木議員の質問は、西川農水相が砂糖業界から受けた寄付金のことを問い質したもので、玉木議員は別に日教組とは関係ありません。その略歴は「東大卒業後に旧大蔵省に入省。財務省主計局主査などを経て、2009年に香川2区から立候補して初当選」というものだからです。

 なのにどうしてそんなヤジを飛ばしたのか? ニュースによれば、「過去の日教組による民主党議員への献金事件を念頭に置いたもの」だったらしいとのことで、右翼のつねとして、彼は日教組を激しく憎んでいるらしいので、「過去に民主もあのクソ日教組から違法献金を受けていたではないか!」と言いたかったのでしょう。

 しかし、汚職や違法献金と言えば、自民党こそがその“本場”なので、過去の疑獄事件を辿れば、それはキリのないことになってしまうでしょう。別に玉木議員もそんなことをあげつらって、「自民党の汚職の伝統」について云々しようとしたわけでは全くないのです。だから、これは病的なヒステリーの発作か、単純に頭が悪いかのどちらかです。

 このところの安倍晋三は、いっときのオウムの麻原彰晃状態です。突然違うことを持ち出して激昂するあたりもそっくりで、問題は彼のそういうところをマスコミは正しく伝えようとしないことです。それというのも、不都合なことを言う人間がいるとすぐにクレームをつけて黙らせようとするからで、先頃もこういう“事件”があったという話です。LITERAの「官邸の圧力!?『報道ステーション』で安倍批判をした古賀茂明が番組を降ろされた」と題した田部祥太氏の署名記事(2.16)にその詳細が出ています。

 古賀茂明氏というのは、言わずと知れた元経済産業省官僚の有名な評論家ですが、氏が定期的に出演していた『報道ステーション』のコメンテーターを3月いっぱいで下ろされることになったという話で、氏は「かねて安倍官邸から敵視されていたため、いつかこんな日が来るのではないかと心配されていたが、直接のきっかけと見られているのが先月1月23日の放送だ」ったのだという。

 その理由は「『イスラム国』による人質事件の最中でほとんどのメディアが政権批判を控えているなか、敢然と、しかも痛烈かつ的確な言葉で安倍晋三首相の外交姿勢を批判した」からで、記事に紹介されているその「古賀発言」とはこういうものでした。

〈日本政府は、2人の日本人が人質に取られ、後藤健二さんに関しては身代金を要求されていることを事前に知っていた。「人命第一」に考えるなら、いちばん大事なことは犯人を刺激しないこと。10億円、20億円程度なら官房機密費ですぐに払える。1月に首相の中東訪問を控えているなら、それまでに解決しておくこともできた。にもかかわらず、それをしないでわざわざ「イスラム国」を刺激するようなパフォーマンスを繰り返し、「『イスラム国』と戦う周辺国に2億ドル出します」と宣戦布告のようなことを言ってしまった。これは「イスラム国」の側からすれば交渉の余地なしということになる。だったら、宣伝に使うか、思いっきりふっかけてやろうということになったのが今回の事態ではないか。
 ではなぜ、安倍さんは人質が取られていることを知りながら挑発的な言動を繰り返したのか? それは、「後藤さん犠牲になっちゃうかもしれないけど、でも、もっと大事なことがある」と判断したのだと思う。では、安倍さんにとってもっと大事なこと、何が第一だったのかというと、「イスラム国と戦っている有志連合の仲間に入れて欲しい」ということだ。しかし、アメリカやイギリスと一緒になって空爆を(安倍さんはしたいけど)するわけにはいかない。だから人道支援ということにしたわけだ。ただ、この人道支援はあくまでも「『イスラム国』と戦うための支援ですよ」ということをアピールしたくて、ああいう言い方になったと思う。
 ただ、我々はやはり「日本は戦争をしない国なんだ」というところにもう一度、立ち返らなければいけないと思う。安倍さんは「有志連合に入りたい」と願っているかもしれないが、日本は憲法もあるし、できないはず。それが今回、安倍さんの発言によって日本の良いイメージが逆の方向に行ってしまった。日本という国は「アメリカの正義」を正義と思い込んでいるんじゃないか? アメリカやイギリスと一緒なんじゃないか? そういうことが世界に発信されてしまい、「イスラム国」にも利用された。しかし、我々は「いや、そうじゃないんだ」と言うべきだ。「日本は戦争をしない国だし、日本を攻めてこないような人たちを一方的に敵だなんて思いませんよ」と、もう一度、世界にアピールしていく必要がある〉
 そして、こう言い放ったのだ。
〈“私はシャルリー”っていうプラカードを持ってフランス人が行進しましたけど、まぁ私だったら“I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要があるんじゃないかと思いましたね〉


 なるほど、説得力あるなあ(とくに「しかし、アメリカやイギリスと一緒になって空爆を(安倍さんはしたいけど)するわけにはいかない。だから人道支援ということにしたわけだ。ただ、この人道支援はあくまでも「『イスラム国』と戦うための支援ですよ」ということをアピールしたくて、ああいう言い方になったと思う」のくだり)、と僕は読んで感心しましたが(ちなみに、延岡というところは地上波の民放が二つしか入らなくて、テレ朝は見られません)、これが首相官邸を激怒させ、「放送中から番組関係者の元には数分と置かず抗議と思しき電話が入った」のだという。続きはこうです。

 しかしオンエア中なので出られず、着信だけがずらりと残り、官邸のイラつきの激しさがわかったという。そして、あまりに電話に出なかったため、最後は怒りのメールで締めくくられた。テレビ朝日関係者がこう話す。
「官邸からダイレクトに局の上層部にも連絡があったと聞いています。さまざまなルートでプレッシャーをかけてきた。『古賀に何を言わせてるんだッ』『発言を止めろ!』って。いつもは番組終了後に反省会があるのですが、あの日はそれどころではなかったですね」

 それにしても、「抗議」というのはどういう了見なのだろう。古賀氏は古賀氏の責任において、今回の事態に対する自らの見解を述べたに過ぎない。しかも、テレビで顔出しをして。人質解放の交渉の余地があったのになぜしなかったのか? 人質が取られていると知っていながらなぜ相手を刺激するパフォーマンスを繰り返したのか? 一国民として誰もが抱く疑問を口にして、元官僚の知見からそれに対する解説を述べただけだ。それが政権にとって都合の悪い内容だったから、国民に知られてはマズイ内容だったから、抗議をしたというのだろうか。
 いずれにしてもこの一件で、4月以降、古賀氏の姿は『報ステ』から(おそらくテレ朝全体から)消えることになった。すぐに降板とならなかったのは、3月一杯の出演日をあらかじめ決めていたからだ。テレ朝幹部はこの間の古賀氏の出演日には、どんな言葉が飛び出すか固唾を飲んで見守っているという。当の古賀氏自身は相変わらずだ。2月13日の放送でも「先進国のなかで原発が安いと言っているのは日本だけ」と、健在ぶりを見せつけていた。

 実は、今回の古賀氏“更迭”は、本サイトがしばしば指摘してきた官邸による「報ステ潰し」の一環のようなのだ。というのも、“粛清”は古賀氏だけではなさそうなのだ。いま局内で囁かれているのが、メーンキャスターの古舘伊知郎の信頼が厚く、これまでの『報ステ』路線を支えてきた番組統括の女性チーフプロデューサー、そして古舘と絶妙なコンビネーションワークで視聴者に人気のあったコメンテーターの恵村順一郎氏(朝日新聞論説委員)の2人が、古賀氏と同時に4月から“粛清”されることが決まったという。先のテレ朝関係者が言う。
「チーフプロデューサーは『報ステ』の前身の『ニュースステーション』時代からディレクターを務めてきた人で、安倍政権に限らず歴代与党からの圧力にも臆することなく『報ステ』路線を貫いてきた。古舘さんや恵村さんが自由にコメントできたのも、彼女の存在が大きかった。それだけに、上層部が官邸サイドから『あの女プロデューサーをなんとかしろ』と言われているという噂はずっとあった。その意味で、今回の人事はあまりにわかりやす過ぎ。4月以降、番組の雰囲気はガラリと変わるかもしれません」


 その後にも驚くべき記述が続きます。

 この“粛清人事”を主導しているのは、これも本サイトが何度も書いてきた、安倍首相→見城徹(幻冬舎社長)→早河洋(テレビ朝日会長)ラインだといわれている。
安倍首相のマスコミ対策指南役ともいわれる幻冬舎の見城社長は現在、テレビ朝日の放送番組審議会委員長を務めていて、審議会の席でもしばしば『報ステ』とコメンテーターの恵村氏批判を繰り返していたという。
 一方、開局以来、朝日新聞社の支配が続いていたテレ朝で史上初の生え抜き社長となった早河会長の悲願はテレ朝の「脱朝日新聞化」だ。朝日新聞の不祥事が続いたこの機に乗じて、一気に達成したいという思惑がある。
 この二人が安倍首相の手先となって、いよいよ反原発や政権批判を続ける報ステの“改革”に乗り出したということらしい。
 安倍首相が人質事件の対応であれだけの下手を打っておきながら内閣支持率が下がらないどころか上昇しているのは、NHKを筆頭にテレビが政権にとって「不都合な真実」をほとんど伝えていないからだ。これは、再登板した安倍首相が前政権時代の教訓で早くから報道各社の幹部と会食を繰り返すなどして、メディアを手なずけることに成功したからだ。
 これで『報ステ』が安倍政権の軍門に下れば、日本のテレビ翼賛体制はますます強固になるだろう。『報ステ』にはなんとか踏ん張ってほしいと思うが、状況は絶望的といわざるをえない。


 その「抗議電話」の主にはむろん民間の「ただの右翼」も混じっていたでしょうが、それだけではなく、官邸からのあからさまな介入があったということです。これまでにも安倍にはこの種の前科がたくさんあるので、“ヤジ総理”にはいかにも似つかわしいことですが、こういうことが「言論の自由」にとってどれほど深刻な侵害であるかということについて、だんだんと戦前の「大政翼賛会」に似てきている今のメディアは自覚がないということでしょう。とくにテレビは、お笑い番組と、安手のドラマ、芸能人のスキャンダル、スポーツ特番だけやってればいいということになっているのです。

 そうしたなか、安倍はお得意の「お友だち人事」(それにはむろん、民主的な手続きはいらない)で、NHKの会長・経営委員や、上の記事にもある民放の審議会、内閣の諮問機関である何とか委員会や有識者懇談会なるものの人事から、果ては日銀の総裁にいたるまで、身内で固めて、やりたい放題やるようになってしまったのです。その上で、何か気に入らないことを言う人間がいると、「官邸からの直接抗議」で排除する。

 最近はそれで、余裕をこいて、「あなた、なかなか鋭い質問をしますね」(共産議員に対して)とか、「(私を)一生懸命おとしめようとする努力は認めます」と皮肉交じりに応答(民主の辻元清美議員に対して)するなど、“貫禄”を見せるようになってしまったのです。

 冒頭の「日教組!」ヤジもそういうところから出てきた。自分を守ってくれる(と彼自身は信じ込んでいる)お友だちと茶坊主に囲まれて、すっかりいい気になっているのです。

 それにしても、今頃日教組とは…。すでに昔日の面影はなく、都道府県によってかなり極端な差があるとはいえ、今では全体で見てもその組織率は3割を切っています(宮崎県の場合だと1割に満たない)。だから敵に回してもこわい相手ではないので、それでネトウヨたちからはやんやの拍手喝采を受けられるとあって、彼は得意げにそんなヤジを飛ばせるのです。

 私立のエスカレーター式お坊ちゃん学校出身の彼は、おそらく子供の頃日教組の教師に当たったことはないでしょう。だから彼の日教組観は戦争観と同じく、観念的なものでしかないだろうと思うのですが、僕は高校時代、日教組の活動家である男の教師を二人知っていました。どちらもヤな奴でした。生徒をナメているとしか思えないことがそれぞれ一度ずつあって、腹が立って授業中やり込めたら、職員室でクラス担任の“非日教組”教師に当り散らしたらしくて、その先生に後で「おまえ、あんまり無茶苦茶やるなよ」と言われたのですが、僕は個人的なことで怒ったのではなかったのです。息子が小学生の頃お世話になった年配の女性の先生(すでに定年退職した)は、日教組でしたが、ハートのあるよい先生でした。わかりきったことですが、日教組だからよい悪いというものではないのです。

 かつて日教組の勢いが強かった時でさえ、日教組を目の敵にする自民党議員や右翼の論客たちが言うほど、その悪影響が大きかったとは、僕は思いません。入学式や卒業式で日の丸を仰いで国歌斉唱などさせられなかったのは、日教組のおかげだったとすれば幸いで、そのことの何が悪かったのでしょうか? 僕自身は彼らの一部のイデオロギー色の強い政治的主張には全く共感できませんでしたが、その影響で左翼になった、なんて若者はあまりいなかったでしょう。「日教組のせいで学力低下した」にいたっては、ほとんどマンガです。その証拠は安倍晋三その人で、彼は日教組の影響も受けず、日教組嫌いなのに、申し分なく学力は低いではありませんか。日教組のせいで自分の学力が低下した、と言う人がいれば、名乗り出てもらいたいものです(ついでながら、よく「ゆとり世代の学力は低下した」と言われますが、それは嘘です。今は学力が高い層と低い層に二極分化してるので、上の層は変わらないのです。塾で生徒の相手をしていると、そのあたりよくわかる。「ほんとによく出来るな」と感心させられる子は今もいるのです。そういう生徒はたいてい視野も広い。全体に大学は入りやすくなっていますが、それは少子化のせいで、それに加えて大学進学率が上昇して、昔だったら行かなかった層が大学進学するようになったので、全体として見たとき大学生の学力が低下するのはあたりまえなのです。四大進学率が今の半分だった僕が学生の当時でも、「大学は総合レジャーセンター化した」なんて悪口を言われていたので、今のオトナはそれを忘れているのでしょうか。安倍晋三はむろん、この「総合レジャーセンター」世代です。高校時代は「三無主義世代」と呼ばれていた。卑怯にも大学受験すら回避した安倍は、デカい面しているが、その典型なのです)。

 話を戻して、日教組が弱体化したせいで史実無視の「右翼歴史教科書」が採択されるようになったり、民間の労働組合弱体化の弊害と同じで、先生たちの労働条件が悪化しているのだとすれば、むしろそちらの方が問題なくらいでしょう。たしかに、僕が昔出会った日教組教師たちの左翼イデオロギーには偏りがありすぎた。しかし、安倍自民党のそれは逆方向への偏りがありすぎるので、それが「公正」だなどと主張されては困るのです。

 ところが、そういう安倍ネトウヨ政権を、野党は攻めあぐねているようです。日本人人質殺害事件も、メディアコントロールが行き届いているおかげで政権批判につながることは首尾よく避けられたし、投資では「消去法」の結果、日本株が買われ、今のところ株価は上がったままで、アベノミクスは大丈夫と見られているようなので、大方の有権者の最大の関心事は「経済」にあることから、彼は意気軒昂なのです。

 思うに、彼を相手にする一番よい方法は、こういう「日教組ヤジ」のような事件を増やすことです。右翼がよく使う「ホメ殺し」戦法がありますが、イラつかせたり乗せたりして、彼の本性を引き出し、田母神や百田と同じレベルの人間だということを、彼自身の発言によって国民の目にわかりやすく示すのです。そのあたり、お友だちが言質(げんち)をとられないように彼にあれこれアドバイスし、彼自身も相当自重しているようですが、根があんまり賢くないので、時々うっかり「してはまずい」発言をしてしまいます。うまく誘導して、その種の発言を増やすように仕向ければ、いずれ自ら墓穴を掘るでしょう。

 余裕をこいて人をおちょくるような態度を見せているときはチャンスです。彼のようにコンプレックスの裏返しで自尊心が肥大しているタイプは、慢心してついうっかりホンネを暴露してしまうことが多いので、そのときどきに適度な刺激を与えれば、「うっかり」発言を連発する可能性が高くなるのです。

 野党の政治家たちに僕が一読を勧めたいのは、プラトンの対話篇です。ソクラテスは有名な「空とぼけ」で、さも感心したような様子で相手に質問を重ね、相手の論理の矛盾や本性を暴露させてしまう。途中で感情的にならずに、「ああ、総理のおっしゃりたいことはこういうことなんですね?」と、話の道筋を逸らさせず、ジワジワ攻め込んでゆけば、彼は不安になり、イラついて、論理が支離滅裂になったまま、あられもないホンネを自ら暴露してしまうでしょう。そこでさっと質問を打ち切ると効果的です。

 それでも彼とその取り巻きはマスコミに圧力をかけて、そうした発言が国民に知られないようにあれこれ手を尽くすかも知れませんが、ネットで評判になったりして、そういうことが何度か続くと、途中で潮目が変わって、「これはもう駄目だ」ということで、マスコミは得意の「手のひら返し」で一斉に報道するようになる。権力の蜜に群がっていたお友だちや茶坊主たちも、益なしと見て、潮が引くように身を引き離してしまうようになるのです。

 国会議員がプラトンを読めば、全体にもう少し討論のレベルも上がって、例の国会中継も今よりは視聴に値するものになるでしょう。代議士の先生方にお勧めする次第です。
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