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このままでは日本は確実に戦前回帰する~LITERAの記事に思う

2014.11.28.01:35

 それは望ましいことだと、ネトウヨたちは狂喜するかもしれませんが、少なくともふつうの人は「勘弁してくれ」と言うでしょう。それは健康な反応です。

 安倍晋三は、集団的自衛権の容認は国家として「当然」のことで、それでアメリカのしでかす無益で理不尽な戦争(たとえば対アフガンやイラク戦争のような)にわが国の自衛隊や若者が駆り出され、さらにはその恨みを買って国内テロに悩まされることになるとか、そんなことは絶対にありえないと言います。例の秘密保護法にしても、それは「皆さん一般市民とは全く関係ないし、報道機関が規制を受けることもありえない」と断言するのです。

 彼はともかく、ロクな説明もなくこの「ありえない」一点張りなのですが、「そうですか? だったら何でそんなものが必要になるんですか?」と問い重ねると、自分でもよくわかっていないカタカナ語満載の支離滅裂な説明を苛立たしそうに試みた挙句、相手が怪訝な表情を見せると、最後にはキレて怒り出します。「あんたは朝日と同じで私が嫌いなんですね。だからしつこくそんなことを聞くんだ!」とか、「左翼の陰謀だ!」とでも言いたげな顔つきで、席を蹴って「お友達」のところに帰ってしまうのです(政府の諮問機関とか、何とか審議会とか、さらにはNHKの会長、経営委員まで、今はお友達ばかりで固めているから、どこに行っても慰め、励ましてもらえるのです。フェイスブックで「いいね!」を押しまくってくれるネトウヨたちもいるし)。

 この彼の「お友達ネットワーク(新聞だと産経や読売がそうですが)」を、僕は「安倍式大政翼賛会」と命名していますが、次のLITERAの記事(11.27)を見ると、彼はそれだけでは飽き足らず、ついに本物の「大政翼賛会」づくりに乗り出したようです。「ついにここまで来たか…」と実に感慨深い記事なので、全文を直接引用させてもらいましょう。


『NEWS23』(TBS系)の街頭インタビューに「厳しい意見を意図的に選んでいる」と陰謀論まがいの主張をまくしたて、各方面から批判を浴びた安倍首相。だが、本人はそういった声に一切耳を貸すつもりはないようだ。それどころか、直後から、自分たちを批判しないようにテレビ各局に圧力をかけはじめた。

〈選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い〉

『NEWS23』出演から2日後の11月20日、在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てにこんな題名の文書が送られてきた。差出人は「自由民主党 筆頭副幹事長 萩生田光一/報道局長 福井 照」。文書はこう始まる。

〈さて、ご承知の通り、衆議院は明21日に解散され、総選挙が12月2日、14日投開票の予定で挙行される見通しとなっています。

 つきましては公平中立、公正を旨とする報道各社の皆様にこちらからあらためて申し上げるのも不遜とは存じますが、これからの期間におきましては、さらに一層の公平中立、公正な報道にご留意いただきたくお願い申し上げます。〉

 一見、低姿勢で〈公平中立〉などときれいごとを並べているが、わざわざこの時期に通達をしてくるということ自体、明らかに自民党に批判的な報道をするな、という脅しである。実際、この後にはこんな記述が続く。

〈過去においては、具体名は差し控えますが、あるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、それを事実と認めて誇り、大きな社会問題となった事例もあったところです。〉

 ようするに、テレビ朝日の椿発言のことを持ち出して、「ゆめゆめ、政権交代の手助けをしようなんて考えるなよ」と釘をさしたわけだ。

 そして、以下のように、具体的な要求項目を並べたてる。

〈・出演者の発言回数及び時間等については公平を期していただきたいこと

 ・ゲスト出演者の選定についても公平中立、公正を期していただきたいこと

 ・テーマについて特定の立場から特定政党出演者への意見の集中がないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと

 ・街角インタビュー、資料映像等で一方的な意見に偏る、あるいは特定の政治的立場が強調されることのないよう、公平中立、公正を期していただきたいこと〉

 おそらく、この最後の街頭インタビューのくだりが、この文書の最大の目的だろう。陰謀論に凝り固まった安倍首相が『NEWS23』に怒りを爆発させ、「街頭インタビューをつぶせ!」と指令を下したのは想像に難くない。

 政権を選ぶ選挙で現政権の政策批判さえ許さないというのは、自民党と安倍政権がいかに「報道の自由」「表現の自由」を軽視しているか、の証明だが、しかし、これが連中の本質なのだ。とにかく、安倍首相は第一次政権の反省から、メディアコントロールを徹底的に意識し、敵対メディアへの圧力と恫喝を繰り返してきた。

「NHK、フジテレビ、日本テレビは完全に支配下にある。あとは、テレビ朝日とTBS。今回の文書は事実上、この2局に向けられたものといっていいでしょう」(民放政治部記者)

 そして、今のメディアの状況を考えると、テレビ各局はこの通達に完全に屈服するしかなさそうだ。

「選挙で自民党が勝つのは確実。テレビの監督権をもつ総務相には高市早苗の続投が有力ですからね。選挙期間中にヘタな動きをしたら、後々どんな嫌がらせをされるかわからない。各局とも上層部はそんな恐怖でいっぱいでしょう。後は現場がどこまでふんばれるか、ですね」(前出・民放政治部記者)

 言論の自由さえも奪おうとする安倍政権をなんとしても止めたいところだが、状況は絶望的である。(田部祥太)



 安倍の二人の茶坊主が、点数稼ぎに“率先して”これを送ったのか、安倍本人が命じたのかは知りませんが、「時の政権がよくも選挙前にこんなアンフェアなことをするな…」と読んで呆れた人が多いでしょう。この分では例の特定秘密保護法も、アメリカの愛国者法以上の乱用ぶりになるおそれがあるので、何ともはや…です。

 それでも素朴善良な人は、「報道の公平中立ならびに公正の確保」の要請のどこが悪いのだと言うかもしれません。悪いにきまっています。なぜならそれは、安倍政権から見た「公平中立ならびに公正」にすぎないからで、この記事にもある総務相の高市早苗は、最近目立って人相(リンカーンの言葉ではないが、僕は人相を重視します)が悪くなってきましたが、先頃も靖国神社に参拝し、自慢げに「他国からとやかく言われる筋合いはない」と“愛国者”ぶりをアピールして悦に入っている御仁なのです。

 要するに、彼らの「公平中立」とは“ネトウヨ基準”なのです。だからたとえば、百田尚樹がテレビに出て、民主党を罵倒するトークをぶっ続け15分行っても、それには文句は言わないでしょうが、“左寄り”の論者が集団的自衛権容認や解釈改憲が危険極まりない暴挙だというコメント(数分)をして、それに対する反論を紹介しなければ、「公正に欠ける!」とただちに噛みつくハラなのです。

 僕は産経や読売の政治的主張に同意しませんが、気に入らないから潰してしまえとは絶対に言いません。右も左もあってこその言論で、それぞれのメディアはそれぞれの考えに基づく切り口で報道をすればいいのです。虚偽のでっち上げは許されないというだけの話。いちいち公平中立もクソもあるか。大体、安倍のお友達の百田なんか、控えめに見ても「偏向」しまくっているではありませんか。そういうのをNHKの経営委員に送り込んでおいて、今更「公平中立の要請」とは呆れてものも言えません。

 にしても、ここまで権力の自制、慎みに欠ける政権というものを、僕は見たことがありません。少なくとも戦後の日本の政治家の中にはここまでひどいのはいなかったのではないでしょうか。幼児人格の産物と言ってしまえばそれまでですが、こういう安易な政治家の安易な口約束を信じる人がもし多くいるとすれば、だから支持率もまだ50%近くあるのだとすれば、先が思いやられます。マスコミもこうした愚かしい「通達」に唯々諾々として従うようだと、われわれはすでに戦前に戻っているのです。


 追記:この自民の「通達」は確実に“効果”を上げているらしい、という記事が同じLITERAに出ています。「自民党の“公平”圧力に『朝生』が屈服!じゃあ安倍首相の単独出演は公平なのか」

「ネットをのぞくと、今も『公平を要求して何が悪いの?』と言葉を額面通りにしか受け止めない人たちの声があふれている」そうで、嘆かわしいかぎりです。このあたり、昔の庶民の方がはるかに賢かった。子供の頃、僕は投票から帰ってきた両親(尋常小学校卒の学歴しかもたない)に、「どこに投票したのか?」とききました。「社会党」と答えるので、「あんたたちは社会主義者なのか?」とたずねたところ、彼らは笑って「力をもちすぎると自民党は勝手なことをやらかす。最大野党である社会党がそれをしっかり牽制してくれないと困るのだ」と答えました。字面に惑わされず現実に即してものを考える当時の一般庶民なら、こうした「通達」のもつ意味をただちに見抜いて、許しがたいことをする奴らだと憤ったことでしょう。「教育の普及は浮薄の普及なり」という明治時代の文人、斎藤緑雨の言葉を思い出します。とくにセンター試験的な「平面学力」しかもちえない人間が増えたことが、こうした「リテラシーの低さ」には影響しているのかも知れません。「二次学力」が不足しすぎているのです。(11.30)
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