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安倍晋三はヤンキー症候群?

2014.07.09.20:46

(台風で塾をお休みにしたので、それを利用して書きかけの原稿を仕上げました。)

「これで日本は五十年安全になった…」

 1日の集団的自衛権容認の閣議決定の後、安倍総理は周囲にそう漏らしたそうです。これは安倍びいきの産経の記事だから、正しいのでしょう。にしても、どうして個別的自衛権だけでは不安で、集団的自衛権になると「安全」になるのか?

 それは、「万全の備えをすること自体が、日本に戦争を仕掛けようとするたくらみをくじく大きな力を持つ」からです。そう述べて、「日本に対する攻撃の抑止力を高める効果を強調」したと、やはり産経新聞は伝えています。「ボクちゃんは強いんだぞ! アメリカ君と組んで、何かあったらすぐやり返すから!」という態度を示すことが中国や北朝鮮をビビらせて「抑止力」になるのだと、彼は本気で信じているのです。

 ヤンキーの喧嘩ではあるまいし、正気かと思いますが、僕は最近、彼にはティーエイジャーみたいな妙な虚弱コンプレックスが隠れているのではないかと疑うようになりました。少し前に安倍晋三でグーグル検索をしていたら、得意満面、迷彩服を着て戦車に乗り、手を振っている画像が出てきてびっくりさせられたことがありますが、パフォーマンスにしても幼稚すぎて、これは精神分析の対象になりうるなと思ったものです。

 ティーンエイジャーぐらいの男の子には「強さへの憧れ」というものがあって、これは“草食化”した今の若者には当てはまらないかも知れませんが、彼の世代では喧嘩もできないようでは男の子ではない、という雰囲気がまだ濃厚に残っていたはずです。学校には番長がいたし、スケバンも健在という、当時はまだそういう時代だったのです。げんに彼と同世代の僕なども、ヒツジ年でこの上なく気が弱く、おとなしい少年だったのに、だんだんと悪しき“オスの美学”に感染するようになって、十代末から二十代頭にかけては、幸い警察のお世話になるようなことはなかったからよかったものの、男ばかりのバイト先などでボス面して勝手なことをしでかす奴(そういうのには金魚のフンもつきものだった)を見ると、脅し上げずには気がすまなかったもので、今思うとサル山のサルと変わらなかったのではなかったかと苦笑させられるのです(但し、僕は生まれついての民主主義者なので、人の子分にもならない代わり、自分がボスになろうという気も全くありませんでした)。

 安倍晋三はそういう世代です。しかし、失礼ながら、育ちがよすぎて小学校から私立のお坊ちゃま学校に通うおとなしい若者だったらしい彼は、周囲にガラの悪い仲間もおらず、個人で殴り合いなんて一度もやったことがないのではありませんか? お勉強の方でも、家庭教師がついていたそうですが、そちらで頑張ったということもなさそうで、ぱっとしないままエスカレーターでそのまま大学まで進むというイージーな道を辿った。その後中途半端な留学をへて、有名企業に就職するが、それもふつうの学生がするような苦労は抜きの親の七光りでしょう。要するに、彼は若い頃、自分の力で勝負するということを一度もやったことがないのです。

 それで、彼は当時の若者には通有の思春期青春期の“オス衝動”を健康に消化できないまま、オトナになってしまった。これが一種の自己不全感になって残り、いい年をしてヤンキーみたいな強がりを見せたがることにつながっているのではないでしょうか。腸に持病があって、からだも弱い彼の場合はなおさらで、若いときにそうしたコンプレックスを打破する試みができなかったものだから、それが政治家になったとき、タカ派的な態度になって表われたのだと解釈することができるのです(名門の家系に生まれながらこれといった取柄もなく、ぱっとしないというひけ目もたぶんあったでしょう)。心理学で「補償」と呼ばれる心理メカニズムです。

 僕は個人の性格や心理特性に何もかも還元して見せたがる、一部のマスコミ御用達の心理学者には疑問をもちますが、彼の場合には、そうとでも考えないと説明がつかないことが多すぎるように思うのです。

 たとえば国会答弁で、改憲ではなく解釈の変更によって集団的自衛権を行使できるのかと内閣法制局次長にある野党議員が質問したのに対し、露骨に不快を示して、「オレ総理大臣」「法制局の方がエラいのか」などとブツブツ言った挙句、勝手にそれを引き取って、「最高責任者は私だ」と言い、法制局ではなくて「最高責任者」の私が「国民の審判」を受けてここにいるのだから、自分が認めれば、それは可能になるのだと言いたげな傲慢きわまりない対応をしたそうです。有権者は彼に独裁者としての地位を与えたつもりは毛頭なく、首相が自分の勝手な法解釈に基づいて勝手なことを始めるというのでは北朝鮮以下になってしまうのですが、こういう勘違いも常識では考えられないので、よほど知能が低いというのでないかぎり、それをわからなくする何か病的な心理的要因が働いているのだろうと考えるしかなくなるのです。
 彼が乱用(その度合いが彼ほどひどい権力者はいなかった)している「お友達人事」にしても、公平さも何もあったものではなく、ほいほいおだててくれたり、自分に同意を与えてくれそうな仲間だけで周りを固めたがる、不安で小心なティーエイジャーのヤンキーボスのやり口とそっくりです。

 彼や石破の「集団的自衛権が不可欠」という議論に説得力がないことは、すでに多くの人が指摘しているとおりです。やたら感情にアピールするような「もしも」話を多用するが、無意味に近い空想話だったり、これまでの個別的自衛権の法理で十分対応可能だったりするので、それで防げないものは、集団的自衛権を容認していたから防げるというようなものではないのです(このあたりのことに関しては、たとえば5月に出た半田滋著『日本は戦争をするのか――集団的自衛権と自衛隊』[岩波新書]が親切です。安倍の出鱈目な論法が詐欺師のそれ以外の何ものでもないことをていねいに解説してくれています)。

 彼はとにかく「強い国家」と「強いリーダー」を演出したいので、現実的かつシビアに状況を認識して、必要な手立てを講じるというのとは性質が違うのです。それは冒頭引用した「日本に戦争を仕掛けようとするたくらみをくじく」というような空威張りめいた安易な言葉(このあたり、彼はあのブッシュ・ジュニアとよく似ています)からもわかるので、今どきどこの国もそうほいほいと「戦争を仕掛けようとするたくらみ」なんかもつものではありません。北朝鮮が日本やアメリカにミサイルを撃ち込むとすれば、それはキム・ジョンウンが自殺衝動に駆られたか発狂したかのいずれかを意味するのだし、また、その場合は「集団的自衛権」があったから安心という話にもならないのです(その場合は、ミサイルが国内あちこちにある原発に命中したりしないよう祈るのみです)。

 中国の場合はどうか。どうもあの国はだんだん戦前の大日本帝国に似てきたなという感じがして、それは心配ですが、ベトナムやフィリピン相手に、尖閣での対応以上の行き過ぎたことをしているとはいえ、それが本格的な戦闘に発展するというようなことにはなっていない。今のところその意味で自制は利いているので、尖閣をめぐる衝突が日中間の全面戦争に発展するというようなおそれはまずないでしょう(安倍が総理のままでは、「ボクちゃんのプライドが傷ついた!」と大騒ぎして戦争準備に入りそうなので危ないけれど)。

 そもそもが、「戦争は外交の最終手段」であり、「外交の失敗」です。その外交をなおざりにして、「日本に戦争を仕掛けようとするたくらみをくじく」もクソもあるかと思うのですが、皮肉なことに安倍政権になって日韓、日中関係ともに顕著に悪化しました。対北朝鮮でいうと、その封じ込め、抑止力に一番なるのは、日米韓の協力、連携がうまく行っていることでしょう。昔ながらの兵法に敵を仲間割れさせて勢力を削ぐというのがありましたが、何のことはない、安倍政権は敵の謀略によるのではなくて、自ら進んでそれをやって「抑止力」を低下させているのです。

 韓国のパク・クネ大統領の“告げ口外交”はたしかに日本人から見て快いものではありませんが、あそこまで彼女を依怙地にさせてしまったのも、靖国参拝や、侵略を否定するかのごとき発言、従軍慰安婦に関する国の責任を否認する態度(軍による強制があったかなかったかは問題の焦点ではないと僕は思います)などです。韓国は大統領もマスコミもおかしいと日本人は思うようになり、週刊誌などにも毎号のようにそうした韓国嘲笑記事が出て、嫌韓感情はかつてないほど強まりましたが、それは先方も同じでしょう。今や国民レベルで互いを嫌い合うようになったので、これは危険です。

 中国にとっても、安倍政権のこうした姿勢は、日本非難と軍備増強正当化の口実を与えてくれるものでしかありません。先に紹介した『日本は戦争をするのか』には次のような気になる記述があります。

「むしろ、問題なのは外交による解決の道筋がまったく見えないことである。外務省のホームページにある中国からの要人往来・会談をみると、年間30~40回あった日中交流が、第二次安倍政権でゼロになっていることに驚かされる。日中両首脳が会談したのは、日中韓サミットで野田佳彦首相と胡錦濤中国国家主席が会った2012年5月14日が最後。話し合いのチャンネルが閉ざされていること自体が不測の事態の呼び水になりかねない」(p.54)

 そのとおりなら、これは由々しきことです。「安全」どころか、彼はかえって危険を高めていることになる。まず脅しをかけておいて、そのあとぼちぼち首脳会談でも、と考えているのかも知れませんが、相手が応じてくれなければ終わりなのです。エラそうにふんぞりかえって、「対話のドアはつねに開いている」なんて余裕こいて言ってますが、相手がそれに合わせて歩み寄らなければならない義理は何もないのです。あいつは自分を何様だと思っているのだと、鼻でせせら笑われて終わりになるだけ。国会での「最高責任者」発言と同じ思い上がりがそこにはあって、ことにこういうのはメンツを重んじる中国政府相手には最悪の対応だと言わなければならないでしょう。

 これで「五十年安全になった」と思うのは、ヤンキーの安倍とその取り巻きだけで、まともな人は「どうも本格的にヤバいことになってきたな…」と心配するのです。

 この憲法解釈変更、「集団的自衛権容認」の閣議決定の後、アメリカのヘーゲル国防長官は、「自衛隊がより広範な作戦に従事することができるようになり、日米同盟をさらに効果的にするだろう」という“歓迎”のコメントを発表したとのことですが、これは対アフガン、イラク戦争のときのような事態が発生した場合、戦闘に従事する兵員の派遣を今後は日本に求めることができるようになったと喜んでいる、ということでしょう。「いや、他にも色々縛りがありますから」とは言えない。なぜなら、それなら何のために従来の政府解釈を変更したのだ、ということになるからです。先にも見たように、従来の憲法解釈で「周辺有事」には十分対応でき(これは結局賛成に回った公明党も言っていたことです)、それで対応できない事態には、「集団的自衛権」を認めたところで対応不可能なのは同じだからです。となると、「自衛隊がより広範な作戦に従事することができるようにな」ったというのは、同盟国アメリカが始めた戦争に率先協力できるようになったことを指すのだとしか解釈できない。あのアメリカが始めた理不尽としか言いようのないイラク戦争に、当時の首相小泉純一郎は愚かにもまっ先に支持を表明し、「アメリカは日本への攻撃は自国への攻撃とみなすと言っている。そんなことを言ってくれる国が他にありますか!」と国会で叫んで、自衛隊のイラク派兵を決めたのですが、その小泉氏ですら、従来の政府解釈を変えようとはしなかった。それで「非戦闘地域」に限定しての派遣となったのですが、安倍は、その制限をも撤廃したのです。「積極的平和主義」なる言葉を振りかざして(今そのイラクがどういうことになっているかは、皆さんご存じのとおりです。ブッシュが宣言した「テロとの戦い」はかえってテロリスト集団の増殖・拡大を生んで、世界を一層不安定にした)。

 関係法規をこれから「整備」するのだそうですが、文面上どんな「歯止め」を設けようとも、その「解釈」は安倍のような総理がリーダーの場合、いかようにでもなるでしょう。それは憲法9条が「集団的自衛権も認めたもの」と解釈できるという、今回の驚くべき“理解”を見てもわかるとおりです。幼稚なヤンキー・メンタリティにそれと自覚せず引きずられている六十男の「戦争ごっこ」に、日本人はこれから付き合わされる羽目になる可能性大だということです。

 お母さんたちも「それでも日本には徴兵制がないからまだ安心」なんて呑気なことを言っていてはなりませんよ。だいぶ前ここで批判した本で、石破は「自衛隊は志願者が多く、高倍率だから、徴兵制なんて全然考えていない」と言っていましたが、それはこれまでの自衛隊だったからで、平和的手段で人助けに駆けつけるのではなく、戦闘で殺されたり、相手を殺したりするのが避けられない「ふつうの軍隊」に変わったとなれば、志願者は激減して、徴兵制に頼らずしては維持できなくなるでしょう。その場合、格差社会を放置しておいて、就職しそこねた若者や貧乏なフリーターをリクルートすればいいと、彼らはひそかに考えているのかも知れませんが。

 それにしても、安倍総理というのは、「安全」だの「安心」だのという言葉がよほどお好きなようです。現段階で事実上明白に破綻していると思われる年金制度も、抜本改革なしに十分維持可能で、「百年安心」だと言っているし、東京オリンピック誘致の際のIOCのスピーチでは、自信に満ちた晴れやかな顔で福島原発の事故は見事にコントロールされていて、収束に向かい、東京は世界で「最も安全」な都市で、事故の影響は「当時も、今も、将来も全くない」と請け合ったのです(素晴らしい!)。豪華な競技場の建設も約束し、新たな国立競技場は予算が高すぎるのではないかと建築家たちからも批判が出ている始末ですが、とにかく、それで居並ぶ委員たちを魅了したのです(彼がいまだに「原発は安全」だと考えているらしいのは、積極的に海外に原発を売り込んでいることからもわかります)。

 安全、安心の政治家、安倍晋三…。しかしてその実態は、対処すべき重要問題をなおざりにしたまま「戦争ごっこ」の妄想にとりつかれて突っ走る幼稚なヤンキーにすぎないのではないか、というのが僕の拭えぬ疑念なのです(例のアベノミクスにしたところで、株価上昇でマネーゲームをやっている連中と、円安の追い風を受けた輸出産業が潤っているだけの話で、一部に限定されたものでしかありません)。

 こういう男を、日本人はいつまで総理にしておくつもりなのでしょう? 例の閣議決定で支持率はだいぶ下がったようですが、それでもまだ50パーセント近くあるというのは驚異(脅威)で、これで今交渉を進めている北朝鮮の拉致被害者がまた一人でも帰ってきたら、それを手柄として宣伝するのは目に見えているので、再び上昇して、長期政権になってしまうのではないでしょうか。そこまで日本人のレベルは低くないと、僕としては思いたいのですが…。
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