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習近平と安倍晋三の助け合い

2014.05.17.15:33

 人は対立することによって助け合うこともあるわけで、両者はいわゆる「戦略的互恵関係」にあるものと僕は見ています。

 僕の念頭にあるのは、この前の南シナ海での中国とベトナムの「衝突」です。双方が領有権を主張する西沙諸島の海域で、中国が突如として石油掘削の準備を開始したそうで、当然ながら緊張は高まったが、その中で中国海警局の船がいきなりベトナム沿岸警備隊の船に体当たりを食らわしたのだという。他に、フィリピンとの間でも何かあった(こちらは南沙諸島海域)そうですが、中国政府はこれに対して、「自国の領土で何をしようと勝手なので、悪いのはひとえにベトナム(フィリピン)の方である」という意味の、これまた一方的なコメントを発して、世界を唖然たらしめました。

 これを見て、「解釈改憲」をもくろむ安倍晋三とそのシンパは、ひそかにほくそ笑んだことでしょう。「見なさい、中国は領土拡張欲にとりつかれたあんな危険な国なのです。ここはアメリカとだけではなく、他のアジア諸国とも協力してあれを阻止する必要がある。集団的自衛権が必要であるゆえんなので、何であなた方はその明白な必要性がわからないのですか?」――そう、胸を張って言えるようになったのです。

 こういうことが続くと集団的自衛権に賛成する人は増え、憲法9条改正に賛成する声も日増しに高くなるでしょう。他に北朝鮮もいつミサイルをぶっ放すかわからないわけだし、オバマのアメリカときた日には、シリアやクリミア半島の件を見てもわかるように、弱腰もいいところで、「皆さん仲良くして下さいね」と言うばかりで、どこまでアテにできるかわかったものではない。アメリカとの軍事同盟はむろん維持するとしても、アメリカの軍事力に対する依存は減らして、自前の強力な「戦える軍隊」をもたないことには国家の独立すら危うくなると、今はそこまで言わなくても、いずれ言い出すでしょう。

 習近平の中国の方は、それでなくとも「日本の危険な軍国化」を言い立てているわけで、手前のやってることと照らし合わせて、そんなこと言えた義理かよ、と僕のような安倍嫌いの人間ですら思うほどですが、とにかくこういうのは困った状況です。いずれにせよ、双方に非難すべき相手がいるのは好都合なことで、「ああいう奴がいるんだから」と軍国化の口実にそれが使えて、事態はどんどん悪い方向に行ってしまうのです。

 それにしても、中国のこうした「領土拡張」欲の背後にあるのは何なのでしょう。大国になったという驕りか? 日本の尖閣や東南アジア諸国とのそうした領土をめぐる争いは主に海底資源(石油や天然ガス)が目当てで、経済成長の一方で逼迫するエネルギー事情を何とかしなければならないということが一つあるのでしょう。そのあたりはやみくもな「権益の拡大」を求めて領土拡張に走り、自作自演の事件まで起こしてそれを侵略の口実にした旧日本軍にだんだんやることが似てきたようにも思われます。「旧日帝にそっくりですね。過去の日本軍の真似をしてるんですか?」と言って、そのあたり詳しく説明して差し上げれば、それは中国共産党首脳部のプライドを一番傷つけるだろうから、かえって差し控えるようになるかも知れませんよ。

 極端な貧富格差を生んだ中国の経済成長は国内に不満のマグマをつくり出していますが、それを解消する以前にあの国はコケると見られています。上が腐りすぎている。だから富裕層は財産と家族を続々国外へ脱出させている(相手国は迷惑している)わけで、その蓄財の仕方も不正に満ちたものなら、その後でやることもえげつない。文化・道徳的にはあの国は完全に三流国家になり下がったという印象ですが、残された国民こそいい面の皮で、いずれ大規模な暴動が頻発する事態になり、「共産党王朝」は内部崩壊の危機にさらされるでしょう。

 実はそれが一番こわい。それを避けようとして戦争に打って出る可能性があるからです。権力者にとっては国民の福祉より、権力の維持が大事なので、ことに今の中国の政治権力者に儒教の「仁」の徳などおよそありそうには思えません。後は野となれ山となれで、深刻な環境汚染で安全な空気と食品すら確保できなくなった祖国を捨てて、金持ちが財産をもって家族と逃げ出すのと似たり寄ったりで、自国民・相手国の人々の命と引き換えに自己の権力維持をはかろうとしても、僕は別に驚かないでしょう。

 それでわが国は、中国と領土問題で対立する他の東南アジア諸国と連合して、これを迎え撃つ。そうせざるを得なくなる。これでわかりましたか? だから集団的自衛権は、憲法改正は必要だとかねてから私たちは言ってたんですと、安倍とそのシンパの面々は誇らしげに言うのです。幸い(?)その頃は憲法改正もすでに行なわれていて、わが国は安んじて戦争ができるのです。

 それは「自衛のための戦争」だから、何もやましいことはない。火の粉を払う、あるいは「売られた喧嘩」を買ったまでです。なるほど戦争だから、多少の死者、犠牲者は出る。しかしそれは「英霊」として靖国神社に祀られ、最高権力者である首相の公式参拝を受けるという“特典”が与えられるのだから、光栄に思うべきなのです。あなた方は愛する祖国のために尊い命を犠牲にしたのだ。もって瞑すべき。

 そういう「素晴らしき新世界」がすぐそこまで来ているように感じられます。僕は憂鬱です。
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