このところキナ臭いニュースばかりが続きます。例の「特定秘密保護法案」もそうだし、中国が東シナ海に初の「防空識別圏」なるものを設定したと発表した(23日)というニュースなどもそうです。
特定秘密保護法案については、すでに多くの識者がその危険性と無用さを指摘しているので、そちらにお任せしますが、恐ろしいのはそれが今国会で成立する見通しだということです。これだけ道理にかなった強い反対が各方面からなされているのになぜ?と思いますが、自民党に選挙で大勝ちさせてしまったから、彼らはやりたい放題できるのです。この法律、僕には自然に戦前の「治安維持法」が連想されるので、成立してから「修正」すればいいなんて呑気なことを言ってる人たちもいるようですが、治安維持法も「修正」はされました。但し、それは規制対象を拡大して、言論弾圧をさらに容易にする方向にのみです。「日本版NSC(国家安全保障会議)」をそれと同時に設立するという話にしても、おそらくその部局の一つは戦前の「特高警察」みたいなものになって、国民を苦しめる結果になるでしょう。どちらも廃止されたのはようやく戦後になってからで、それも日本人が自分で廃止できたのではなくて、GHQの命令によったのです。
今の時代にそんな心配はいらないと言っている人たちに言いたいのは、時代も社会の雰囲気も変わるということです。先に作っておいた制度なり法律なりが、そのときどういう解釈をされ、どう運用されるかを考えておかねばならない。そもそもが憲法改正論議や集団自衛権論議、今回の秘密保護法案にしても、一昔前なら現実味を帯びることはなかったものばかりです。「戦争ができるふつうの国」がいい、そうでなければ国家の安全保障は覚束ないなんて言う連中を、僕は「観念的現実主義」または「空想的現実主義」者と呼んでいますが、今やそれが政権の中枢を担っているのです。そして人々はそれを異常なことだとは思わなくなった。すでにそういう変化があるのです。
強がって街を肩で風切って歩いているお兄さんは、きまってそれに見合ったロクでもないちんぴらに遭遇するものです。国家もそれと同じで、戦争準備に怠りなく、自分の強さをアピールしたくて仕方がないような国は、どういうわけか戦争せざるを得ない状況を自ら呼び寄せる。今の「右傾化」する日本にとってのそれは、どうやら中国になりそうです。
そういうお兄さんの場合は、痛い目に遭うのは自分自身です。だから自業自得といえるが、国家の場合はそうではない。勇ましいことを言っている政治家や軍部のお偉方は、自らの命を危険にさらすことはないのです。代わりに死ぬのは若い兵士たちであり、とばっちりを食った一般国民なのです。全く道理に合わない。
僕はかねて石原慎太郎を「イカレポンチのクソじじい」だと思っていますが、今の尖閣騒ぎにしても、元はと言えば彼の独善的な強がりと無責任に起因するものです。都知事時代に彼が募金を呼びかけて都が尖閣諸島を買い取ると言い出した。かねて中国をシナと呼び、憎悪と侮蔑を露わにしたトンデモ発言を続けてきた彼は、そうなるとこれ見よがしに尖閣諸島に建造物など建設して、中国を怒らせかねない。せっかく問題を棚上げにしてきたのにそれでは大変なことになりかねないと焦った当時の民主党野田政権はやむなく国有化を決めた。尖閣は中国領土だと教えられ、愛国教育を受けてきた中国民衆はこれに怒って反日デモをエスカレートさせた。中国共産党政府にしても、ここで弱腰なところは見せられないと、それに見合った対応を取るしかなかったのです。
韓国との竹島をめぐる対立でも同じですが、この種のことは白黒をはっきりつけようとするなら、戦争しかありません。それによって勝った方がぶんどるというだけの話です。相手がそれで納得したわけではないので、しばらくたって国力が逆転すれば、また戦争になって結果が逆になることもあるでしょう。過去の歴史がどうのと言ったって、双方は歴史の違う時点での違う文書を挙げて、だから自分のものだと言い張るので、水掛け論に終わるしかありません。そんなことで多大の犠牲を生む戦争はしたくないのなら、棚上げしか方法はない。暫定的な協約でも結んで、双方に大きな不満が出過ぎないようにするしかなく、それをするのが政治家の役目の一つです。
石原のじさまなどは、いい年こいてどうしてもそれがわからない御仁の一人なので、彼は精神分析の対象になりうる病的な人格を隠しもった人だと僕は見ていますが、そういう病人に振り回されることになったのです。
悪いことに、中国政府も磐石とはほど遠い。共産党一党独裁下で、「社会主義市場経済」なる奇妙な資本主義化を推し進め、世界第二の経済大国になったはいいが、貧富の極端な格差と汚職の蔓延で、各地で暴動が頻発、モラルもへちまもない一部の金持ちたちは資産と家族を早々と海外に逃避させているという始末です。
あの政治体制はいつまでもつか覚束ない。過去において幾多の王朝の興亡を見てきた中国民衆は、今のそれも「共産党王朝」でしかないと見ていて、自己矛盾からいずれ崩壊するしかないと腹の底では思っていることでしょう。
だから今の中国共産党政府は、貧乏だった昔よりはるかに弱い政治基盤しかもっていない。その名も「人民解放軍」という軍隊は、場合によってはクーデタも起こしかねない。そういう恐怖を共産党幹部はもっているでしょう。味方につけておくためにもその意向は尊重せざるを得ないが、戦前の日本と同じく、それでは軍部の暴走を招く危険があるのです(軍隊というのは、その性格からして「愛国的」なものです)。
尖閣をめぐる中国軍のキナ臭い動きも、それは共産党中央政府の意向というより、「愛国的な」軍部の意思によるものでしょう。政府はそれを追認せざるを得ない。
先の日中戦争、満州事変では、きっかけになったのはわが国の関東軍による自作自演の爆破事件でした。「柳条湖事件」と呼ばれるそれは、「関東軍の謀略によって起こった」が、「関東軍はこれを中国軍による犯行と発表することで、満州における軍事展開およびその占領の口実として利用した」(ウィキペディア)のです。
むろん、中国人がそれを知らないはずはない。日本軍の卑劣さをよく表わすものとして、それはしっかり記憶され、学校でも教えられているはずです。だから今度は逆をやってやろうと、中国軍の中に考える者が出てきたとしても不思議ではない。その舞台としてえらばれるのは、おそらく「尖閣」でしょう。中国の無人偵察機が打ち落とされたとかいって、日本の巡視船に爆撃を加え、これを沈没させるなどした場合、どうなるのでしょう?
かつて満州事変の際は、日本の民衆は事変勃発の一報に沸き立ったと伝えられていて、うしろ暗い内実を知って国際的な非難を恐れた政府の「不拡大方針」にもかかわらず、結局軍部の暴走を止めることはできず、追認に次ぐ追認で、戦争の泥沼にはまっていったことは周知のとおりです。今の中国政府がそうなる可能性はないでしょうか。国内的な政府支持も揺らぎ、民衆が愛国熱からそれに歓呼の声を上げるとなると、もはやそれを押しとどめる力はないかも知れません。皮肉なかたちで「歴史は繰り返す」のです。
むろん、だから早く憲法改正して、自衛隊を国軍に昇格させておけ、と言っているのではありません。集団的自衛権がどうの、憲法改正がどうのといった日本国内の動きそれ自体が、中国軍暴発への刺激となるのです。そういうことを続けていたのでは、中国政府内のハト派の地位も弱まる。首相が“岸信介のDNA”を誇るタカ派の安倍で、幹事長が“軍事オタク”の石破と来ているのだから、組合せは最悪です。「日本の平和路線は揺るぎないのだから、まあ皆さん冷静に」と、中国政府要人が軍部をなだめることも難しいでしょう。説得力に乏しいからです。
ふつうに考えるなら、日本と中国が戦争を始めるなんてのは愚の骨頂で、得られるものは何もありません。しかし、あの大規模な反日デモ以降、中国嫌いの日本人は激増しているそうで、何か衝突事件が起きたら、それですぐに戦争にはならなくても、北朝鮮はもとより、韓国にも、中国にも悪感情をもつ人が大半で、対アフガン、イラクの大義なき戦争の後遺症で厭戦気分を募らせているアメリカがあてにしづらくなっているということもあって、わが国の自前の軍備増強、安全保障体制強化を急ぐべきだという論調はさらに力を得るでしょう。中国も経済がどんどんおかしくなって政権が不安定になるばかりということになれば、軍に対するコントロール能力はさらに低下して、双方で戦争に向かって歩みを進める羽目になりかねないのです。
そしてそのプロセスで、今の「特定秘密保護法」なるものも威力を発揮するようになる。「国家機密」だらけにして、洗脳情報のみ流し、戦争やむなしの状況にいたらしめるのです。石原のじさまや安倍のシンちゃんは、ちゃんとそこまで先を読んであれこれやっていたのだと、僕らは後で感心させられることになるかも知れません。これに総理の靖国参拝、日本版NSC設立、憲法改正と進めば、中国軍を刺激して、戦端を開かせるにいたるには十分かも知れません。これぞ「国家英雄」にふさわしいふるまいではありませんか? 毅然とした、雄々しい日本国をそれで“復活”させるのです。中国がなんぼのもんや!
但し、そのときはあんたたちが率先して前線に出向いて、敵の弾に当たってね。石破幹事長なんかも、軍事指揮能力を現場最前線でいかんなく発揮していただくといいので、それでこそ皆さんの男らしさが一段と光るというものです。
特定秘密保護法案については、すでに多くの識者がその危険性と無用さを指摘しているので、そちらにお任せしますが、恐ろしいのはそれが今国会で成立する見通しだということです。これだけ道理にかなった強い反対が各方面からなされているのになぜ?と思いますが、自民党に選挙で大勝ちさせてしまったから、彼らはやりたい放題できるのです。この法律、僕には自然に戦前の「治安維持法」が連想されるので、成立してから「修正」すればいいなんて呑気なことを言ってる人たちもいるようですが、治安維持法も「修正」はされました。但し、それは規制対象を拡大して、言論弾圧をさらに容易にする方向にのみです。「日本版NSC(国家安全保障会議)」をそれと同時に設立するという話にしても、おそらくその部局の一つは戦前の「特高警察」みたいなものになって、国民を苦しめる結果になるでしょう。どちらも廃止されたのはようやく戦後になってからで、それも日本人が自分で廃止できたのではなくて、GHQの命令によったのです。
今の時代にそんな心配はいらないと言っている人たちに言いたいのは、時代も社会の雰囲気も変わるということです。先に作っておいた制度なり法律なりが、そのときどういう解釈をされ、どう運用されるかを考えておかねばならない。そもそもが憲法改正論議や集団自衛権論議、今回の秘密保護法案にしても、一昔前なら現実味を帯びることはなかったものばかりです。「戦争ができるふつうの国」がいい、そうでなければ国家の安全保障は覚束ないなんて言う連中を、僕は「観念的現実主義」または「空想的現実主義」者と呼んでいますが、今やそれが政権の中枢を担っているのです。そして人々はそれを異常なことだとは思わなくなった。すでにそういう変化があるのです。
強がって街を肩で風切って歩いているお兄さんは、きまってそれに見合ったロクでもないちんぴらに遭遇するものです。国家もそれと同じで、戦争準備に怠りなく、自分の強さをアピールしたくて仕方がないような国は、どういうわけか戦争せざるを得ない状況を自ら呼び寄せる。今の「右傾化」する日本にとってのそれは、どうやら中国になりそうです。
そういうお兄さんの場合は、痛い目に遭うのは自分自身です。だから自業自得といえるが、国家の場合はそうではない。勇ましいことを言っている政治家や軍部のお偉方は、自らの命を危険にさらすことはないのです。代わりに死ぬのは若い兵士たちであり、とばっちりを食った一般国民なのです。全く道理に合わない。
僕はかねて石原慎太郎を「イカレポンチのクソじじい」だと思っていますが、今の尖閣騒ぎにしても、元はと言えば彼の独善的な強がりと無責任に起因するものです。都知事時代に彼が募金を呼びかけて都が尖閣諸島を買い取ると言い出した。かねて中国をシナと呼び、憎悪と侮蔑を露わにしたトンデモ発言を続けてきた彼は、そうなるとこれ見よがしに尖閣諸島に建造物など建設して、中国を怒らせかねない。せっかく問題を棚上げにしてきたのにそれでは大変なことになりかねないと焦った当時の民主党野田政権はやむなく国有化を決めた。尖閣は中国領土だと教えられ、愛国教育を受けてきた中国民衆はこれに怒って反日デモをエスカレートさせた。中国共産党政府にしても、ここで弱腰なところは見せられないと、それに見合った対応を取るしかなかったのです。
韓国との竹島をめぐる対立でも同じですが、この種のことは白黒をはっきりつけようとするなら、戦争しかありません。それによって勝った方がぶんどるというだけの話です。相手がそれで納得したわけではないので、しばらくたって国力が逆転すれば、また戦争になって結果が逆になることもあるでしょう。過去の歴史がどうのと言ったって、双方は歴史の違う時点での違う文書を挙げて、だから自分のものだと言い張るので、水掛け論に終わるしかありません。そんなことで多大の犠牲を生む戦争はしたくないのなら、棚上げしか方法はない。暫定的な協約でも結んで、双方に大きな不満が出過ぎないようにするしかなく、それをするのが政治家の役目の一つです。
石原のじさまなどは、いい年こいてどうしてもそれがわからない御仁の一人なので、彼は精神分析の対象になりうる病的な人格を隠しもった人だと僕は見ていますが、そういう病人に振り回されることになったのです。
悪いことに、中国政府も磐石とはほど遠い。共産党一党独裁下で、「社会主義市場経済」なる奇妙な資本主義化を推し進め、世界第二の経済大国になったはいいが、貧富の極端な格差と汚職の蔓延で、各地で暴動が頻発、モラルもへちまもない一部の金持ちたちは資産と家族を早々と海外に逃避させているという始末です。
あの政治体制はいつまでもつか覚束ない。過去において幾多の王朝の興亡を見てきた中国民衆は、今のそれも「共産党王朝」でしかないと見ていて、自己矛盾からいずれ崩壊するしかないと腹の底では思っていることでしょう。
だから今の中国共産党政府は、貧乏だった昔よりはるかに弱い政治基盤しかもっていない。その名も「人民解放軍」という軍隊は、場合によってはクーデタも起こしかねない。そういう恐怖を共産党幹部はもっているでしょう。味方につけておくためにもその意向は尊重せざるを得ないが、戦前の日本と同じく、それでは軍部の暴走を招く危険があるのです(軍隊というのは、その性格からして「愛国的」なものです)。
尖閣をめぐる中国軍のキナ臭い動きも、それは共産党中央政府の意向というより、「愛国的な」軍部の意思によるものでしょう。政府はそれを追認せざるを得ない。
先の日中戦争、満州事変では、きっかけになったのはわが国の関東軍による自作自演の爆破事件でした。「柳条湖事件」と呼ばれるそれは、「関東軍の謀略によって起こった」が、「関東軍はこれを中国軍による犯行と発表することで、満州における軍事展開およびその占領の口実として利用した」(ウィキペディア)のです。
むろん、中国人がそれを知らないはずはない。日本軍の卑劣さをよく表わすものとして、それはしっかり記憶され、学校でも教えられているはずです。だから今度は逆をやってやろうと、中国軍の中に考える者が出てきたとしても不思議ではない。その舞台としてえらばれるのは、おそらく「尖閣」でしょう。中国の無人偵察機が打ち落とされたとかいって、日本の巡視船に爆撃を加え、これを沈没させるなどした場合、どうなるのでしょう?
かつて満州事変の際は、日本の民衆は事変勃発の一報に沸き立ったと伝えられていて、うしろ暗い内実を知って国際的な非難を恐れた政府の「不拡大方針」にもかかわらず、結局軍部の暴走を止めることはできず、追認に次ぐ追認で、戦争の泥沼にはまっていったことは周知のとおりです。今の中国政府がそうなる可能性はないでしょうか。国内的な政府支持も揺らぎ、民衆が愛国熱からそれに歓呼の声を上げるとなると、もはやそれを押しとどめる力はないかも知れません。皮肉なかたちで「歴史は繰り返す」のです。
むろん、だから早く憲法改正して、自衛隊を国軍に昇格させておけ、と言っているのではありません。集団的自衛権がどうの、憲法改正がどうのといった日本国内の動きそれ自体が、中国軍暴発への刺激となるのです。そういうことを続けていたのでは、中国政府内のハト派の地位も弱まる。首相が“岸信介のDNA”を誇るタカ派の安倍で、幹事長が“軍事オタク”の石破と来ているのだから、組合せは最悪です。「日本の平和路線は揺るぎないのだから、まあ皆さん冷静に」と、中国政府要人が軍部をなだめることも難しいでしょう。説得力に乏しいからです。
ふつうに考えるなら、日本と中国が戦争を始めるなんてのは愚の骨頂で、得られるものは何もありません。しかし、あの大規模な反日デモ以降、中国嫌いの日本人は激増しているそうで、何か衝突事件が起きたら、それですぐに戦争にはならなくても、北朝鮮はもとより、韓国にも、中国にも悪感情をもつ人が大半で、対アフガン、イラクの大義なき戦争の後遺症で厭戦気分を募らせているアメリカがあてにしづらくなっているということもあって、わが国の自前の軍備増強、安全保障体制強化を急ぐべきだという論調はさらに力を得るでしょう。中国も経済がどんどんおかしくなって政権が不安定になるばかりということになれば、軍に対するコントロール能力はさらに低下して、双方で戦争に向かって歩みを進める羽目になりかねないのです。
そしてそのプロセスで、今の「特定秘密保護法」なるものも威力を発揮するようになる。「国家機密」だらけにして、洗脳情報のみ流し、戦争やむなしの状況にいたらしめるのです。石原のじさまや安倍のシンちゃんは、ちゃんとそこまで先を読んであれこれやっていたのだと、僕らは後で感心させられることになるかも知れません。これに総理の靖国参拝、日本版NSC設立、憲法改正と進めば、中国軍を刺激して、戦端を開かせるにいたるには十分かも知れません。これぞ「国家英雄」にふさわしいふるまいではありませんか? 毅然とした、雄々しい日本国をそれで“復活”させるのです。中国がなんぼのもんや!
但し、そのときはあんたたちが率先して前線に出向いて、敵の弾に当たってね。石破幹事長なんかも、軍事指揮能力を現場最前線でいかんなく発揮していただくといいので、それでこそ皆さんの男らしさが一段と光るというものです。
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