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国立前期入試、始まる

2013.02.24(03:24) 205

 ここ数日、僕はよく寝ています。「寝る中年は育つ」かどうかは疑わしいとして、おかげですこぶる体調はよいのですが、月曜25日から国立前期二次試験がスタート(三日にわたる場合もある)します。近頃は何やら生徒たちに「ゲンかつぎの置物」扱いされている感じもあるので、そちらにエネルギーが行ってるからよく寝るのかなと思ったりもするのですが、塾の教師というのは受験生の精神安定剤みたいな役割も兼ねるので、「置物」扱いもやむを得ないところです。

 来月の10日ぐらいまでには結果が出揃うので、それまでハラハラドキドキしなければなりません。すでに推薦(指定校・センター利用推薦含む)で数人は行き先が確定しているものの、指折り数えてみると今年は国立一般受験組が15人もいるので、その人数分のハラハラドキドキがあることになります。責任感の鑑みたいな生真面目な人ならノイローゼになるかも知れませんが、僕は「別に大学落ちたって、殺されるわけじゃないからね」などと無神経なことを言っているテキトーな人間なので、無事なのです。

 大学受験は高校受験と違って、落ちる方が多い。倍率が3倍なら、受かるのは3分の1で、残り3分の2は落ちるわけです。

 不吉なことを言うな、と受験生を持つ親御さんたちには叱られるかも知れませんが、それは事実で、それでも昔は実質倍率が10倍なんてのが珍しくなかったことからすると、まだマシなわけです。

 ただ、近年は「記念受験」組が大幅に減っていることからして、難関大などは倍率が下がったように見えても必ずしも易化したとは言えないようです。「少数精鋭による激戦」になっているのです。逆に、「あそこは穴場だ!」というので、二番手三番手の地方の国立の学科などには、前年の公立高校入試並の低倍率が、一転、医学部並の8、9倍になってしまったなんて例も、今年は見ているとあって、そういうのは穴場狙いの受験生がたまたま集中してしまっただけで、とくに大きな学力のレベルアップが見込まれるわけではないでしょう(ただ、倍率が高くなった分、落とされる人数は確実に増えてしまうわけですが)。そうでない理由、その大学の評判がいいとか学部人気が高いというので倍率が高くなる場合には、確実にレベルアップしますが(国際教養大などがそのいい例です)。

 だから、倍率だけでとやかくは言えない。今年は東大文系の看板、文Ⅰの入試倍率が3倍に届かず、全学部の中で唯一足切りが行なわれなかったというので話題になっていますが、一つには法学部の著しい不人気があるとしても、センターの平均点が下がって、安全志向の受験生が増えている時節柄、敬遠されたのが最大の原因でしょう。だから受かりやすくなったと、受験生は喜ぶわけには行かないのです。

 そういうわけで、大学入試というのは合否を占うのはかなり難しいものですが、僕の実感では大体六、七割は事前に結果が読める。ふつうに実力を出してくれれば、まず大丈夫だろうという生徒がそれぐらいはいるからです(受験大学の難易は問わず)。むろん、試験は水ものなので、やってみないとわからないわけですが、その予測はめったなことでは外れない。残りが「蓋を開けてみないとわからない」組です。

 そういうことを言う人はあまりいないようですが、そしてこれはこれまでの経験を元に一般論として言うのですが、僕の見るところ、一番危ないのは、センターの成績が予想外に悪かったというので、思い切り志望大学を下げた受験生です。これはセンターの成績がボーダー以下の受験生と同じぐらいか、むしろそれ以上に危ない。

 どうしてそうなるかというと、それは二つの要因によります。まず、(1)落胆した精神状態をひきずったまま受ける。もう一つは、(2)余裕のA判定だし、ここなら楽に受かるだろうとナメてかかってしまう、この二つが原因です。モチベーションが低く、それに相手をあなどるところがあると、かなりの確率でやられてしまうのです。

 これに対して、センターがボーダー以下でも、ここは逃げずに勝負するしかないと必死の受験生は強い。センターから二次までの間の勉強態度、時間の過ごし方が上の例とは全く違ってくるので、それが逆転合格を呼び込むことがあるのです。

 センターがまずまず順当に行って、志望大学をそのまま受け、二次の準備も怠りなく、という受験生は、僕はあまり心配しません。そういう生徒はA判定でも相手をなめることはなく、モチベーションも高いままだからです。センターの判定があまりよくなくても、二次学力が十分あると見られる生徒なら、そちらもそんなに心配しない。二次で他の受験生より高い得点を叩き出してくれるだろうと期待できるからです。

 そういうあれこれを総合的に考えると、そんなに実際の入試では驚くようなことは起こらないものです。大方は「想定の範囲内」で、だから僕は実際はそんなにやきもきしないで結果を待つことができるのです。なかには「大バクチ」の受験生もいますが、そういうのは本人も承知の丁半バクチだから、それはそれでよし。

 ともあれ、塾教師としては、後は生徒たちの健闘を祈りつつ待つだけです。コーチがヘボでも選手がよければ試合に勝つことはできるので、楽しみに待たせてもらいます。

 最後に、これは土曜の深夜に書いていて、日曜に見る受験生も少しはいるかも知れないので、当日の心構えをちょっとだけ書いておくと、結果のことはあれこれ心配せずに、とにかく思いきって行け、ということです。雑念を払って、目の前の試験に集中することができれば、それがベストです。実力が出せないのではないかという恐れもなければ、マグレも期待しない。そういう精神状態ならよいパフォーマンスが期待できるはずです。
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祝子川通信 Hourigawa Tsushin


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