FC2ブログ

タイトル画像

やはり寝ないと駄目!

2012.09.18(17:09) 169

 次の記事は「寝る子は脳もよく育つ」と題された大分合同新聞電子版の記事[2012.9.17]です(同じニュース、各メディア多数)。教育パパママ必読!

【睡眠時間の長い子どもほど、記憶や感情に関わる脳の部位「海馬」の体積が大きかったことを、東北大の滝靖之教授らの研究チームが突き止めた。18日から名古屋市で開催の日本神経科学大会で発表する。
 うつ病や高齢者のアルツハイマー病患者で、海馬の体積が小さいことが分かっており、滝教授は「子どものころの生活習慣を改善することで、健康な脳を築ける可能性がある」としている。
 研究チームは2008年からの4年間で、健康な5~18歳の290人の平日の睡眠時間と、海馬の体積を調べた。睡眠が10時間以上の子どもは6時間の子どもより、海馬の体積が1割程度大きいことが判明した。】

 前に僕はここで、「ティーンエイジャーにはホルモンの関係からとくに多くの睡眠時間が必要で、寝不足になると深刻な弊害が出る」という趣旨の2009年度九州大学入試問題英語の第一問の英文を紹介し、宮崎県立高校式のあの朝夕課外と「どっさり宿題」の強要はマイナスでしかない、という話をしました。

 このニュースはそれを補強してくれるものです。昔ですら「愚かな迷信」とわらわれていた「四当五落(4時間睡眠なら合格して、5時間なら落ちる?)」の俗説をいまだに信奉して、課外に加えて物量作戦で大量の宿題を連発し、「もっと苦しむのだ!」と言わんばかりのことをやっている延岡の県立高校の先生たちは、いい加減おかしな根性主義から脱して、科学に基づいた合理的な指導法に変えるべきなのです。

 賢くない人の勉強法というのは昔からきまっていて、むやみと時間だけ長く、ダラダラ勉強するのです。与えられたことを機械的にこなすだけで、やることに創意工夫がない。知恵のある子は、脳のパフォーマンスを考えて、勉強の質を重視し、集中力が維持できなくなったら、いったんやめてうまく気分転換する。それが寝不足による疲労が原因だとわかったら、さっさと寝るのです。勉強時間だけ取り上げてどうのこうの言うのは、だからナンセンスに近いということです。

 慢性疲労の状態でいくら長時間机にへばりついても、学習効果は上がりません。そういうことを延岡の県立普通科高校は生徒たちに強いているから、学年が上がるにつれて模試の成績も低下する、というようなことが起きてしまうのです。無能な指導者のつねとして、そうなればなったで、これではならじと焦ってさらに宿題・課外を増やしたりするものだから、事態はいっそう悪化して、かわいそうな生徒たちは疲労困憊の極に達して入試本番を迎え、本来のその子の能力からして信じられないようなひどい点を取ることになったりするのです。「受験の邪魔をしているだけ」と僕が言うのは、そういうことなのです。

 大学受験に失敗した上に、将来うつやアルツハイマーになる危険も増大するというのでは、踏んだり蹴ったりではありませんか。そして学校はそれに対する責任は何も取らないのです。おかしな話ではないでしょうか。

 それから、今どきのあのいささかクレイジーな部活(中にはゆるいのもあるようですが)、オリンピックに出るのが目的なのではなく、楽しみながら健康な身体をつくり、人間関係のスキルを身につけるのが目的なのだから、「ほど」というものを弁えるようにすべきです。昔はそのあたりももっとテキトーで自由でした。僕の見るところ、今の延岡の県立普通科高校の生徒たちは「課外」「無駄に量ばかり多すぎる宿題」「過剰な部活」の“三重苦”に喘いでいるのです。

 そもそも、スポーツだって勉強だって、自由に好きでやってる分には、かなりのことをやっても疲れないものです。管理された部活や強いられた宿題とは、そこが違う。僕個人は今でも「毎日10時間勉強しろ」と言われればできると思いますが、但し、それは自分が好きでする勉強にかぎるのです。クソ面白くない、それをやる必然性がどこにあるのかわからないような「宿題」ばかりやらされれば、それが数時間ずつでも、遠からずノイローゼかうつになってしまうでしょう(まあ、強要されてもやるはずがありませんが)。

 自発的な意欲に基づかない勉強は脳に破壊的な影響を及ぼします。“ストレス物質”の攻撃にさらされ通しになるからです(そういうのも海馬の成長に影響する?)。延岡の県立普通科高校の場合、毎日1・2年でもたっぷり8時間、3年生では10時間以上、学校の机に縛りつけられてしまうのですが、これはそれ自体、正気の沙汰とは思えないものです。その代わり宿題は出さないというのならまだしも、それも深夜までかかるほどの量が出るのです。

 それで、どうなるか? 生徒はそのときどきの自分の必要性に応じた勉強をするゆとりがもてなくなるものだから、落ちこぼれが大量に出てしまうのです。よくできる子はできる子で、これでは自分のやりたい勉強ができなくなると嘆く。何の取柄があって、こんなことを続けているのでしょう?

 今年着任された飛田教育長、県教委も職員や教員の不祥事続きで大変だと思いますが、学校単位でやり方を改革するような自主性・主体性は今の先生たちにはまるでないようなので、上から「朝課外禁止」の通達を出してもらえませんか? ついでに「宿題は吟味精選の上、出せ」とも。生徒の健康に深刻な脅威となり、かつ、それで大学進学実績が向上するということも全くない(むしろ下げている)のだから、無意味なのです。そういう無駄なことを続けるより、教員採用のあり方から検討し直し、大学進学を前提にした普通科高校には能力の高い教員を重点配置し、ふだんの授業の質そのものを高めて無駄を削り、生徒たちにゆとりを与えていたずらに疲労困憊させないようにすれば、格段に事態は改善するはずです。

 最近はよく、国際的な学力比較で子供の成績が格段によく、若者の社会や他者への信頼度でも高い数値を示すフィンランドの学校教育が引き合いに出されますが、あそこは下に手厚く、落ちこぼれを出さない教育に最も力を入れているのです。そうして生徒の自主性を尊重する。能力の高い子は、だから、自分の興味関心に従って高度な発展学習もできる。そういう自由とゆとりが与えられているのです。子供たちの読書欲も旺盛。この前中教審は「教職大学院」卒業を教師の基本条件にすべしという答申を出したそうですが、そういうところだけ猿真似しても、事態の改善には役立たないでしょう。問題の勘所がわかっていないのです(フィンランドと違って、わが国の場合、そもそも優秀な生徒や個性豊かな生徒は学校教諭になりたがりません。だから教育学部の偏差値は不況で受験者が増えても、「デモシカ教師」の予備軍みたいな連中が増えただけで、優秀層は増えないから低いままなので、これは子供たちに学校が魅力のある職場と見られていないからです。まずそこを変えなければならない。医学部みたいに優秀層が集中して難しくなりすぎても、今度は人格面に問題が出てきそうだから困りますけどね)。

 以上、再考の新材料になるものとして、記事を紹介させてもらいました。

祝子川通信 Hourigawa Tsushin


延岡の高校 トラックバック(-) | コメント(-) | [EDIT]
2012年09月
  1. やはり寝ないと駄目!(09/18)
前のページ 次のページ
前のページ 次のページ