FC2ブログ

ウッドフォード氏の「終戦」宣言

2012.01.06.16:49

 さっきパソコンをつけて、グーグルのニュースサイトを見てみたら、このニュースが目に飛び込んできました。オリンパス元経営陣の不正を暴いて就任まもなく社長を解任されてしまったウッドフォード氏が「委任状争奪」戦に乗り出し、社長に復帰して経営陣を刷新しようとしたが、その企てを断念した、というニュースです。

 昨日の記事に書いた「日本的なるもの」とも関係するので、一言しておきたいと思いますが、まず関連記事から――(たくさんありますが、よくまとまっているように感じたので、「オリンパス:委任状争奪、元社長断念 株主の支持得られず」と題された毎日新聞の記事[竹地広憲記者]を拝借します)。

【オリンパスの損失隠し問題をめぐり、社長復帰を目指していたマイケル・ウッドフォード元社長は6日、株主総会での委任状争奪戦(プロキシファイト)を断念することを表明した。ウッドフォード氏はこれまで、問題を見過ごしてきた現経営陣の責任を追及し、臨時株主総会で新経営陣選任を提案して委任状争奪戦も辞さないとの立場を示していた。だが、株主の間に支持が広がらなかったことや、家族の負担を考慮して方針転換を決めたという。
 ウッドフォード氏は同日午後に東京都内で記者会見し、今後の対応などについて説明する予定。
 ウッドフォード氏は同日朝に発表した声明で、「妻にとって、この争いにおける不安定さや私たちに寄せられる敵意が耐え難いものとなっている」と理由を説明した。
 また、「国内のオリンパスの大株主が誰も(私たちに)支援の声をあげなかったばかりか、汚染された現経営陣の続投を事実上黙認している」と指摘。企業間の株の持ち合いにも触れ、「なれ合いで適性を欠く経営陣が居座れる環境が醸成されている」と述べ、現経営陣やそれを支援する大株主を強く批判した。
 そして、「現経営陣は次の役員の候補になることは許されず、総退陣すべきだということは明らかだ」とこれまでと同様、役員の総退陣を要求した。だが、「もし委任状争奪戦に勝っても、国内外の株主間で対立が生じかねない。間違った対立は望まない」と経営の混乱を考慮して、委任状争奪戦はしない意向を固めたという。
 オリンパスは今春、臨時株主総会を開き、新たな経営陣を選任するが、ウッドフォード氏は復帰させない方針だ。】

 こうした動きを受けて、「ウッドフォード改革」に期待を寄せていた株価は「反落」したそうですが、「日本的なるもの」はそんなことはへっちゃら(?)なので、この国を変えるのはなまなかなことではないな、という思いを強くさせられるのですが、別の記事にも『「虚偽の情報や、真実を否定する情報で、妻の苦痛が大きい』と家庭の事情を挙げた」とあって、奥さんの受けた心理ダメージが要因としては相当大きいようです。それで、ロイターの英文記事を覗いてみると、

"It's been a frightening period for my wife, who has suffered a lot and every night still wakes screaming in a trance and it takes several minutes to calm her ... I have therefore decided for her emotional well-being that I cannot put her through any more anguish," he said in his statement explaining why he was abandoning his battle to be reinstated.

 とあって、同情を禁じえません。大意は「妻はひどい苦痛にさらされてきたのであり、今でも毎晩のように夜中に目覚めて、うわごとを言い、なだめるのに数分を要するほどだ。だから彼女をこれ以上の苦悩にさらすことはできないと考えて、(社長)復帰への戦いを放棄する決心をした」ということです。

 一体誰が彼の奥さんをそんなひどい精神状態に追い込む「虚偽の情報や、真実を否定する情報」、要するに悪質な中傷をまき散らしているのか? それは英国人ではなくて日本人でしょう。何とも浅ましく、恥ずかしいことです。
 ついでに、これは大学受験生にも無理なく理解できる英文なので、日本の機関投資家たちの非協力について慨嘆しているウッドフォード氏の言葉も引用しておきます。

"Despite my having done the right thing, none of the major Japanese institutional shareholders have offered one word of support to me," Woodford said in a statement.

「私は正しいことをしたのに、日本の主要な機関投資家たちの誰一人として、私に支持の言葉をかけてくれる者はいなかった」というのです(despiteのうしろはSVではなくて、名詞または名詞句になることをよく押さえておきましょう)。

 氏は"There are no grounds whatsoever for dismissal."(解任にはいかなる根拠もない)として、近日中に不当解任でオリンパスを提訴するとしていますが、社長への復帰の企てそのものは放棄した、ということです。

 引用した記事にもある氏の指摘(「汚染された現経営陣の続投を事実上黙認している」「なれ合いで適性を欠く経営陣が居座れる環境が醸成されている」)というのは、僕には正しいと思われるのですが、こういう責任回避のおかしな「“かばいあい”の企業・社会風土」をそのままにしておいていいんでしょうか? 前にも書いたように、こういうのが「和をもって貴しとなす」の正体だと思われるので、僕ら日本人はあらためてよく考える必要があるのではないでしょうか。
プロフィール

大野龍一

Author:大野龍一

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR