この件はネットで大騒ぎになったようで、大手の新聞まで記事にしていたくらいだから、社会的にも大問題とみなされているようです。例の五輪開会式の小山田某のあれと同じくらい程度の低い話だと思いますが、何でこの青年はそんな頭の悪いことを言ったのだろうと不思議に思ったので、書いておきます。
発端になったYoutube動画の内容は次の記事に出ています。
・DaiGoの生活保護者、ホームレスの命軽視発言はどう生まれた?【核心ほぼ全文】
僕は生活保護の人たちにお金払うために税金納めてるわけじゃないからね。生活保護の人達を食わせる金あるんだったら、ネコを救ってほしいと思うんで。
生活保護の人、生きてても僕、得しないけどさ、ネコはさ、生きてれば得なんだよね。ネコが道端でのびてたら、かわいいんだけど、ホームレスのおっさんがのびてると、なんでコイツが我が物顔で段ボール着て寝てんだろうな、と思うもんね。
今日は僕、辛口、ダークなんで。人間の命とネコの命、人間の命の方が重いとは全く思わない。自分にとって必要じゃない命は軽いんで。ホームレスの命はどうでもいい。どちらかっていうとホームレスはいない方が良くない?言っちゃ悪いけど。ジャマだし、プラスになんないし、くさいし、治安悪くなるしさ。もともと人間は群れにそぐわない、社会にそぐわない人間を処刑して生きていけるんですよ。同じですよ。
これは「『【超激辛】科学的にバッサリ斬られたい人のための質疑応答』と題して、視聴者からの質問に「超激辛」で答えたライブ配信」の中で出た発言だったという話ですが、こういうのは【超激辛】ではなくて、たんなる【超幼稚】と言うべきでしょう。こういうお馬鹿さんの動画を有難がって見る視聴者がたくさんいるということ自体、僕には不気味ですが、こういうのは「言ってはいけないことを言った」のが悪いのではなくて、そういうホンネしかもちえないということが問題であるわけです。それで、ひょっとしたら馬鹿なのを元から売りにしていたのかもしれないとネットで検索したら、ウィキペディアに、
私立高輪高校を経て、慶應義塾大学理工学部物理情報工学科を卒業。なお、慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程は、後に中退。
高校在校時は東京大学しか願書を提出しなかったため、不合格の結果を受け浪人生活を送る。一浪時はセンター試験において、自己採点では95%の得点であったにもかかわらず、試験教科目を記入する際にミスをしてしまい、東京大学に必要な教科目を満たさず、二次試験を受けることができなくなった。大きなショックを受けたものの、母が密かに慶應義塾大学に出願していたため、慶大の過去問も見たこともない状態で万年筆を一本だけ持って受験してきたところ、合格した。このように、東京大学に入れなかったことで、かなりのコンプレックスを抱いたまま大学生活に突入するが、「このコンプレックスに打ち勝つために、大学時代に何かを成し遂げなければならない」と強い使命感のようなものを感じ、その後メンタリストになるきっかけを得ることとなった。その結果、明らかに変わって、「今の僕、東大落ちてほんと良かったー!と思ってます。だからね、うちの弟はね、兄貴は東大入れなくて自分は東大に入ったみたいなことを言ってるんですけど、僕は今本当に思いますよ、東大落ちて良かったー!行かなくて良かったー!」「今振り返ってみて東大に入ることができなくてよかったと心から思います」と、コンプレックスがない旨を強調している。弟の松丸亮吾が東大に合格した際は「東大合格おめでとう。ただ、お前が勝っているのは学歴だけだからな」とメッセージを送るなど、対抗心を見せている。自身のIQについては、「嫌みになるので言わない」と謙遜しつつ、亮吾から「IQ132だった。すごいでしょ」とメッセージが来た際「俺より10以上低いな」と返信したと述べて、自身は142以上あることを示唆している。
とあって、この記事がどこまで正しいのかわかりませんが、これがほんとだとすれば、自分は素晴らしく頭がいいと思っているということなのでしょう。「一浪時はセンター試験において、自己採点では95%の得点であったにもかかわらず、試験教科目を記入する際にミスをしてしまい、東京大学に必要な教科目を満たさず、二次試験を受けることができなくなった」というあたり、そんなミスをする受験生は95%以上の確率で存在しないので、かなり眉唾ですが、とにかく元が東大信仰のかたまりみたいな青年で、その「コンプレックス克服」に半端でない苦労をしてきたということはわかります。ご苦労様としか言えませんが、一部にはこういう病的な人間もたしかにいるのです。
さて、そのDaiGo青年は、上の暴言批判に対する反論として、こう答えたという話です。
DaiGoは12日深夜に再度動画を公開し発言について「個人の感想に間違いもクソもない。謝ることでもない」と説明。批判には「ホームレスとか生活保護の人たちに炊き出しとか定期的にやったりしてるんですか?(批判している人より)はるかに税金を払っているので僕の方が助けている」と反論した。(スポニチ「メンタリストDaiGo ホームレス、生活保護への発言が大炎上 反論で火に油…謝罪」より)
これも、「オレの方がおまえらより高い税金を払っている」ということで、暗に高額所得者であることの自慢になっているのですが、彼がどうしてその所得を得ているのかと言えば、程度の低い著書や下らないネット動画の売り上げによってでしょう? 最近はそのあたりカン違いしている人が多いようですが、成功崇拝の今の時代には、手段や仕事の質はおかまいなしに、とにかく稼ぎがよければ善であり、立派であるということになっています。今は農業や漁業などの第一次産業従事者はその労力からすれば割に合わない収入しか得られず、製造業で生活必需品を作っている人たちなどもそうでしょう。その人たちは税金は多く収めていないかもしれないが、そういうことだけでは測りえない貢献を社会に対して行なっているわけです。学問・文化方面でも、レベルの高い本やジャンルが一般的でないもの、専門的なものは経済合理性の観点からすれば出しても儲けはほとんど出ないが、その著者たちは他で生活費は稼いでそれを実現しているわけで、そういう人たちや出版社がいなくなれば、社会はやせ細って、やがて衰退する他なくなってしまうのです。良質なルポルタージュ作家なども、今は絶滅危惧種だと言われていますが、ギリギリの生活の中で活動を続けているわけです。そういう人たちはDaigoより収める税金は少ないでしょうが、価値の観点から言えばDaiGoの「仕事」などとは比較にならない上質な仕事をしているわけです。企業経営者でも、海外逃亡中の日産の元会長ゴーンがその典型ですが、リストラで社員の大量首切りを行ないながら、法外な報酬を得ているCEOが偉いとは誰も思わない。DaiGoのような連中はそれに憧れ、崇拝するかもしれませんが。政商のあのパソナ会長、竹中平蔵が人々に嫌われ、侮蔑されるのも同じ理由によるので、彼の納税額はDaiGoなどとはおそらく比較にならないでしょう。片方で社会的弱者を食い物にしているわけですが。
要するに、DaiGoのような連中は、「オレは人より多くの税金を納めている」と自慢するが、社会に対して与えるよりもはるかに多くを受け取っているわけです。挙句の果てに、こういう暴言を吐いて炎上して、今は「炎上商法」なんてものまであるそうですが、それで「けしからん!」と動画へのアクセスが増えれば、それがまた儲けになるわけです。そういう馬鹿げたシステムになっているのが今の世の中で、DaiGoなんかはその狂った世界のあだ花でしかないのです。メンタリストというのが何なのか知りませんが、彼はろくすっぽ心理学知識もないでしょう? 浅薄と無責任で売ってきたから、こういうことになるのです。僕は人相だけでかなりの判断がつくと思っていますが、彼の顔つきは軽薄そのものです。
以前、「ホームレス狩り」と称して、常習的にホームレスの人たちに暴行を加えていた非行少年の一団がつかまったことがありましたが、DaiGoの考えと感性はそれとほとんど変わらない。また2016年、神奈川県立の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」を襲撃して、入所者19人を刺殺し、入所者・職員計26人に重軽傷を負わせたひどい事件がありましたが、あれの犯人の植松聖は、「重度の障害者たちを生かすために莫大な費用がかかっている」「重度の障害者は安楽死させるべきだ」などと主張していたので、それは冒頭引用したDaiGoの言い草をもう一度よく読んでいただきたいのですが、発想・感性共に非常によく似ているのです。もしかしたら、あの事件にDaiGoは快哉を叫んでいたのかもしれません。
DaiGo と同じ伝で言うなら、つまらない虚栄心と成功崇拝心理に支配された彼のような手合いは「人間のカス」で、社会に害悪しか垂れ流さないのだから、撲滅した方が社会のためだということになってしまうでしょう。彼らはこの社会に不和と分断、憎しみしか作り出さないのだから。しかし、大方の人は困ったものだと思いながらも、おまえら死ねとは言わない。怒るのは当然で、激しく非難はしても、その生存を否定しようとまではしないのです。
DaiGoの頭の悪さは並外れていると思いますが、どうしてそこまで頭が悪くなったかと言えば、彼にとってはコンプレックスにまみれた自分のエゴイスティックで狭い自我人格が神になっているからです。だからそれ自体型にはまりすぎた差別観念しか持てなくなる。自己理解がそこまで浅くてメンタリストと称するとはこれいかに、という感じですが、僕はいずれそうした自己観念の虚偽性と病理について書いた本を出すつもりなので、そのときは読んでもらいたいものです。自分を「頭が悪い」と評した奴のいうことなんか絶対聞いてやるものかと、その自我支配の強さゆえに頑なに拒むでしょうが、愚かな自我崇拝に縛られているかぎり、まずくなったから「謝罪」のポーズはしてみても、そのままでは永遠に賢くなることはないでしょう。
ユーチューバ―が彼のような馬鹿ばかりだということはないでしょう。先日僕は元塾生の大学生からメールをもらって、彼はふつうに就職するのは嫌だというのであれこれ考えていて、最近はYoutubeでもかなりの収入を上げられるようになって、見通しが立ってきたというので喜んだのですが、その動画がDaiGoのそれほど程度が低くないだろうことは十分想像がつくので、帰省したらまた会って話をすることになっているので、そのときはこの件についても話し合うつもりです。DaiGoは活動を休止して、何年か山寺で修行でもしたらどうでしょうね。そのとき「メンタリストDaiGoの滝打たれ動画」なんてものを配信してまた稼ごうとするようなら、もうどうしようもありませんが…。
発端になったYoutube動画の内容は次の記事に出ています。
・DaiGoの生活保護者、ホームレスの命軽視発言はどう生まれた?【核心ほぼ全文】
僕は生活保護の人たちにお金払うために税金納めてるわけじゃないからね。生活保護の人達を食わせる金あるんだったら、ネコを救ってほしいと思うんで。
生活保護の人、生きてても僕、得しないけどさ、ネコはさ、生きてれば得なんだよね。ネコが道端でのびてたら、かわいいんだけど、ホームレスのおっさんがのびてると、なんでコイツが我が物顔で段ボール着て寝てんだろうな、と思うもんね。
今日は僕、辛口、ダークなんで。人間の命とネコの命、人間の命の方が重いとは全く思わない。自分にとって必要じゃない命は軽いんで。ホームレスの命はどうでもいい。どちらかっていうとホームレスはいない方が良くない?言っちゃ悪いけど。ジャマだし、プラスになんないし、くさいし、治安悪くなるしさ。もともと人間は群れにそぐわない、社会にそぐわない人間を処刑して生きていけるんですよ。同じですよ。
これは「『【超激辛】科学的にバッサリ斬られたい人のための質疑応答』と題して、視聴者からの質問に「超激辛」で答えたライブ配信」の中で出た発言だったという話ですが、こういうのは【超激辛】ではなくて、たんなる【超幼稚】と言うべきでしょう。こういうお馬鹿さんの動画を有難がって見る視聴者がたくさんいるということ自体、僕には不気味ですが、こういうのは「言ってはいけないことを言った」のが悪いのではなくて、そういうホンネしかもちえないということが問題であるわけです。それで、ひょっとしたら馬鹿なのを元から売りにしていたのかもしれないとネットで検索したら、ウィキペディアに、
私立高輪高校を経て、慶應義塾大学理工学部物理情報工学科を卒業。なお、慶應義塾大学大学院理工学研究科修士課程は、後に中退。
高校在校時は東京大学しか願書を提出しなかったため、不合格の結果を受け浪人生活を送る。一浪時はセンター試験において、自己採点では95%の得点であったにもかかわらず、試験教科目を記入する際にミスをしてしまい、東京大学に必要な教科目を満たさず、二次試験を受けることができなくなった。大きなショックを受けたものの、母が密かに慶應義塾大学に出願していたため、慶大の過去問も見たこともない状態で万年筆を一本だけ持って受験してきたところ、合格した。このように、東京大学に入れなかったことで、かなりのコンプレックスを抱いたまま大学生活に突入するが、「このコンプレックスに打ち勝つために、大学時代に何かを成し遂げなければならない」と強い使命感のようなものを感じ、その後メンタリストになるきっかけを得ることとなった。その結果、明らかに変わって、「今の僕、東大落ちてほんと良かったー!と思ってます。だからね、うちの弟はね、兄貴は東大入れなくて自分は東大に入ったみたいなことを言ってるんですけど、僕は今本当に思いますよ、東大落ちて良かったー!行かなくて良かったー!」「今振り返ってみて東大に入ることができなくてよかったと心から思います」と、コンプレックスがない旨を強調している。弟の松丸亮吾が東大に合格した際は「東大合格おめでとう。ただ、お前が勝っているのは学歴だけだからな」とメッセージを送るなど、対抗心を見せている。自身のIQについては、「嫌みになるので言わない」と謙遜しつつ、亮吾から「IQ132だった。すごいでしょ」とメッセージが来た際「俺より10以上低いな」と返信したと述べて、自身は142以上あることを示唆している。
とあって、この記事がどこまで正しいのかわかりませんが、これがほんとだとすれば、自分は素晴らしく頭がいいと思っているということなのでしょう。「一浪時はセンター試験において、自己採点では95%の得点であったにもかかわらず、試験教科目を記入する際にミスをしてしまい、東京大学に必要な教科目を満たさず、二次試験を受けることができなくなった」というあたり、そんなミスをする受験生は95%以上の確率で存在しないので、かなり眉唾ですが、とにかく元が東大信仰のかたまりみたいな青年で、その「コンプレックス克服」に半端でない苦労をしてきたということはわかります。ご苦労様としか言えませんが、一部にはこういう病的な人間もたしかにいるのです。
さて、そのDaiGo青年は、上の暴言批判に対する反論として、こう答えたという話です。
DaiGoは12日深夜に再度動画を公開し発言について「個人の感想に間違いもクソもない。謝ることでもない」と説明。批判には「ホームレスとか生活保護の人たちに炊き出しとか定期的にやったりしてるんですか?(批判している人より)はるかに税金を払っているので僕の方が助けている」と反論した。(スポニチ「メンタリストDaiGo ホームレス、生活保護への発言が大炎上 反論で火に油…謝罪」より)
これも、「オレの方がおまえらより高い税金を払っている」ということで、暗に高額所得者であることの自慢になっているのですが、彼がどうしてその所得を得ているのかと言えば、程度の低い著書や下らないネット動画の売り上げによってでしょう? 最近はそのあたりカン違いしている人が多いようですが、成功崇拝の今の時代には、手段や仕事の質はおかまいなしに、とにかく稼ぎがよければ善であり、立派であるということになっています。今は農業や漁業などの第一次産業従事者はその労力からすれば割に合わない収入しか得られず、製造業で生活必需品を作っている人たちなどもそうでしょう。その人たちは税金は多く収めていないかもしれないが、そういうことだけでは測りえない貢献を社会に対して行なっているわけです。学問・文化方面でも、レベルの高い本やジャンルが一般的でないもの、専門的なものは経済合理性の観点からすれば出しても儲けはほとんど出ないが、その著者たちは他で生活費は稼いでそれを実現しているわけで、そういう人たちや出版社がいなくなれば、社会はやせ細って、やがて衰退する他なくなってしまうのです。良質なルポルタージュ作家なども、今は絶滅危惧種だと言われていますが、ギリギリの生活の中で活動を続けているわけです。そういう人たちはDaigoより収める税金は少ないでしょうが、価値の観点から言えばDaiGoの「仕事」などとは比較にならない上質な仕事をしているわけです。企業経営者でも、海外逃亡中の日産の元会長ゴーンがその典型ですが、リストラで社員の大量首切りを行ないながら、法外な報酬を得ているCEOが偉いとは誰も思わない。DaiGoのような連中はそれに憧れ、崇拝するかもしれませんが。政商のあのパソナ会長、竹中平蔵が人々に嫌われ、侮蔑されるのも同じ理由によるので、彼の納税額はDaiGoなどとはおそらく比較にならないでしょう。片方で社会的弱者を食い物にしているわけですが。
要するに、DaiGoのような連中は、「オレは人より多くの税金を納めている」と自慢するが、社会に対して与えるよりもはるかに多くを受け取っているわけです。挙句の果てに、こういう暴言を吐いて炎上して、今は「炎上商法」なんてものまであるそうですが、それで「けしからん!」と動画へのアクセスが増えれば、それがまた儲けになるわけです。そういう馬鹿げたシステムになっているのが今の世の中で、DaiGoなんかはその狂った世界のあだ花でしかないのです。メンタリストというのが何なのか知りませんが、彼はろくすっぽ心理学知識もないでしょう? 浅薄と無責任で売ってきたから、こういうことになるのです。僕は人相だけでかなりの判断がつくと思っていますが、彼の顔つきは軽薄そのものです。
以前、「ホームレス狩り」と称して、常習的にホームレスの人たちに暴行を加えていた非行少年の一団がつかまったことがありましたが、DaiGoの考えと感性はそれとほとんど変わらない。また2016年、神奈川県立の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」を襲撃して、入所者19人を刺殺し、入所者・職員計26人に重軽傷を負わせたひどい事件がありましたが、あれの犯人の植松聖は、「重度の障害者たちを生かすために莫大な費用がかかっている」「重度の障害者は安楽死させるべきだ」などと主張していたので、それは冒頭引用したDaiGoの言い草をもう一度よく読んでいただきたいのですが、発想・感性共に非常によく似ているのです。もしかしたら、あの事件にDaiGoは快哉を叫んでいたのかもしれません。
DaiGo と同じ伝で言うなら、つまらない虚栄心と成功崇拝心理に支配された彼のような手合いは「人間のカス」で、社会に害悪しか垂れ流さないのだから、撲滅した方が社会のためだということになってしまうでしょう。彼らはこの社会に不和と分断、憎しみしか作り出さないのだから。しかし、大方の人は困ったものだと思いながらも、おまえら死ねとは言わない。怒るのは当然で、激しく非難はしても、その生存を否定しようとまではしないのです。
DaiGoの頭の悪さは並外れていると思いますが、どうしてそこまで頭が悪くなったかと言えば、彼にとってはコンプレックスにまみれた自分のエゴイスティックで狭い自我人格が神になっているからです。だからそれ自体型にはまりすぎた差別観念しか持てなくなる。自己理解がそこまで浅くてメンタリストと称するとはこれいかに、という感じですが、僕はいずれそうした自己観念の虚偽性と病理について書いた本を出すつもりなので、そのときは読んでもらいたいものです。自分を「頭が悪い」と評した奴のいうことなんか絶対聞いてやるものかと、その自我支配の強さゆえに頑なに拒むでしょうが、愚かな自我崇拝に縛られているかぎり、まずくなったから「謝罪」のポーズはしてみても、そのままでは永遠に賢くなることはないでしょう。
ユーチューバ―が彼のような馬鹿ばかりだということはないでしょう。先日僕は元塾生の大学生からメールをもらって、彼はふつうに就職するのは嫌だというのであれこれ考えていて、最近はYoutubeでもかなりの収入を上げられるようになって、見通しが立ってきたというので喜んだのですが、その動画がDaiGoのそれほど程度が低くないだろうことは十分想像がつくので、帰省したらまた会って話をすることになっているので、そのときはこの件についても話し合うつもりです。DaiGoは活動を休止して、何年か山寺で修行でもしたらどうでしょうね。そのとき「メンタリストDaiGoの滝打たれ動画」なんてものを配信してまた稼ごうとするようなら、もうどうしようもありませんが…。
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祝子川通信 Hourigawa Tsushin
彼の場合、完全に精神病理学の範疇に入るレベルなので、この記事も「異常犯罪」のコーナーに分類しておくことにしますが、来年の1月20日正午以降は、この老狂人に世界が振り回されることも少なくなりそうだという喜ばしいニュースです。
・トランプの陰謀論の拡散、ツイッターの警告ラベルに抑制効果
ツイッターは各国のリーダーたちの投稿について、規約に反する場合でも閲覧可能な状態にしておく特例を認めている。それは、大半の人たちは自国のトップの発言の内容をそのまま知りたいだろうと考えるためだ。そして、トランプも現在、そうした特別な扱いを受けている。
これまでトランプがとがめ立てされることなく、新型コロナウイルスや先月行われた大統領選などについて、いくつもの陰謀論を広めたり、(抗議デモの参加者による暴動の発生を受けて)「略奪が始まれば射撃が始まる」など暴力を示唆する発言をしたりすることができたのは、同社のこの方針のためだ。
だが、ツイッターの広報担当者がフォーブスの取材に対して明らかにしたところによれば、トランプに対するそのような特例措置が適用されるのは、来年1月20日の正午までだ。それ以降、トランプは一般のユーザーたちと同じガイドラインに従うことになる。
つまり、トランプがその後もツイッターの規約に繰り返し違反すれば、利用を禁止されるかもしれないということだ。
全く、「やれやれ…」という感じです。「トランプのツイートへのユーザーの反応は非常に大きいものの、ツイッターは内容が誤った投稿はその大半について、真偽検証を行ってきた。フォーブスが確認したところでは、投票日と翌日のトランプのツイートは、50%に警告ラベルが付けられている」という有様だったのだから。
「類は友を呼ぶ」で、嘘つきの周りには嘘つきが群れ集まってくるものなので、例のQアノンをはじめ、元議員だの、弁護士だのまで登場して、次々新たな陰謀論デマを作り出し、それにトランプ自身がリツイートするというかたちで、その後も騒動は拡大したのです。日本でも一部の著名人までがそのデマに乗せられ、「選挙で大がかりな不正があったのは明らかだ。これは民主主義の危機だ!」などと言って、少し調べてみればトランプこそが「民主主義の危機」を生み出した張本人であることは明らかなのですが、それで引っ込みがつかなくなって、今後言論人商売の存続が危ぶまれる人までいるようです(尤も、日本人は健忘症なので、憶えているのは僕のような性格の悪い人間だけかもしれませんが)。
ついでなので、BBCに便利なまとめサイトがあったので、全部を網羅してはいませんが、その「まことしやかな嘘」がどう検証されて、どういうふうに「嘘」認定されたのか、興味深い記事なので、ご紹介しておきます。「BBCリアリティーチェックチーム」によるものです。
・【米大統領選2020】 検証:投票について色々なうわさ 投票の数や投票機など
通常の場合、これだけ嘘が多ければ、その人は病的な虚言症として誰からも相手にされなくなります。しかし、トランプとトランプ応援団の人たちは、そうした虚偽の指摘には何も答えず、また新たな陰謀ネタを思いついて、ときには無関係な写真まで「証拠」としてくっつけて、「大がかりな不正があった!」と騒ぎ続けたのです。
トランプは元々「超利己的な、頭のおかしな幼児人格」です。そう断定していいだけの十分な証拠を彼自らが提供してきたのですが、そう言うと、「あんたはトランプが嫌いだから、彼の主張を何でもデマ扱いして片づけようとするのだ」などと反論されるのです。彼がビジネスマン(実業家)としても全く信用の置けない人間であるという「本物の証拠」を伴った情報は、僕自身は何度も見てきました。「詐欺師まがいの悪徳不動産屋」という僕の評言は何ら不当なものではないのですが、「トランプが嫌いだからそう言っているだけ」と片づけられては唖然とする他ない。
試しに、これは僕も最近見つけたのですが、アマゾン・プライムの会員になっている人は、無料で見られるドキュメンタリーの中に、『ユーブ・ビーン・トランプド・トゥー(You've Been Trumped Too)』というのがあるので、これはトランプ物の中でも地味な方ですが、トランプとその息子たちのビジネスのあくどいやり口や、2016年、彼が大統領選に出馬するにあたってどういう差別的言動を繰り返してきたか、よくわかるものなので、一度ご覧になればいいと思います。「トランプ財団が弾圧しようとした絶賛の映画」なんて説明がついていますが、あまり見る人がいないらしく、今でもコメントはゼロです。彼が大統領を4年間やって、「善と正義に目覚めて」民主主義の“希望の星”に変身したという証拠が何かあるのか、僕はゼロだと見ていますが、それが常識的な判断というものでしょう。中国共産党政府と対立する「大紀元」や「看中国」といった中国系のネットメディア(どちらも宗教がらみ)は、なぜかデマ拡散の片棒を担いでトランプを熱烈応援していますが、習近平が国家主席の任期を撤廃して終身独裁への布石を打った時、それを批判するどころか、うらやましがるツイートをしていたのもトランプなのです(僕はそういうことはちゃんと記憶している)。彼はウイグル人弾圧にも進んで「理解」を示している。トランプは実際は独裁や弾圧にきわめて親和的な人間なので、それは彼の人となりからしてむしろ当然のことなのです。彼が不動産屋としてどれほど弱い立場の人を踏みつけにしてきたか、よく見てみるといいのです(実の息子二人も、揃ってロクでもない)。こういうのはデマではなく、ちゃんとした証拠があるわけです。
トランプの最大の功績は、ファクトチェックの機能をもたない今のネット社会では、恥知らずの異常なデマゴークにいかに人々が翻弄されやすくなるかをよく示したことかもしれません。その最適の培地になっているのは政治や経済システムの機能不全によってもたらされた社会の閉塞感や、経済のグローバリズムの割を食って沈んだ人たちのやり場のない不満や怒りです。彼らにはMake America great again!のフレーズを繰り返し叫ぶトランプの姿は、空手形を出す詐欺師の口上ではなく、「約束の地」(皮肉なことに、これはオバマの羊頭狗肉的な自伝のタイトルですが)へと導いてくれるモーゼのように見えるのです。彼の反知性主義丸出しの品位のない言動や左翼への罵倒も、彼らには逆に心地よく聞こえる。悪いのはお高く止まって既得権益をむさぼるだけの連中であり、トランプはそれに戦いを挑むヒーローなのです。実際の複雑に入り組んだ社会の利権構造を理解することなど、彼らにはできないし、する気もない。トランプはわかりやすくていいのです。トランプとしても、ウォール・ストリートを敵に回したのでは勝ち目はない(そのときこそ本物の陰謀が動き出して、葬り去られる)が、左翼なら攻撃しても安全だということがよくわかっているのです。そのセコさが、彼らにはわかっていない。
かつてヒトラーは民衆の間にある「経済を牛耳るユダヤ人の陰謀」説をうまく利用しました(ナチの宣伝相ゲッベルスなど、若い頃からユダヤ陰謀説にとりつかれていた)。それがユダヤ人迫害につながったのですが、目の上のタンコブだった共産党も「左翼の陰謀説」を煽って、国会放火事件を彼らのせいにして潰すのに成功した。たしかに一部のユダヤ金融資本が戦争まで利用する「死の商人」として暗躍してきたことは事実としてあるようですが、ナチスはそれを拡大解釈して、全ユダヤ人に適用したのです。共産党も、彼らはたしかに共産主義革命を夢見ていたが、あくまで当時最も先進的な憲法とされていたワイマール憲法下の民主的な手続きに則って勢力拡大していたにすぎなかった。しかし、それも「邪悪な陰謀」視されたのです。ナチスはそうした各種の陰謀論を最大限に利用して恐怖を煽り、敵対勢力を駆逐し、授権法によって憲法を完全に無効化することによって恐怖の独裁体制をつくり上げた。「偉大なドイツ帝国の栄光を取り戻す」と称して。トランプ一派の寝言と、どこか似ていませんか?
幸いなことに、当時のドイツ社会と較べれば、今のアメリカにはまだ余裕がある。公正を旨とするチェックシステムも機能しているので、トランプの「選挙不正」の主張は大半が証拠のないもので、訴訟の大部分が門前払いされたのは当然の措置だと、大多数のアメリカ人は見ているわけです。ヤフコメなど見ていると、「アメリカの有権者の7割はそれが不正な選挙だったと思っている」などという、トランプの主張と同じで何の根拠もないたわごとまでありますが、世論調査でもトランプ支持よりバイデン支持が明確に上回るようになった。「トランプよりはマシだ」ということでバイデンに投票したにすぎない人が多かったということからして、積極的支持は元から弱かったことを考えれば、トランプの嘘つきぶりを人々があらためて再認識して、見切りをつける人が増えていることを示すものでしょう(そもそもの話、これこそ陰謀ですが、トランプは2016年の選挙で、ロシアのプロパガンダ組織によるSNSを悪用したヒラリーに対するネガティブ宣伝の恩恵を受け、個人的にプーチンの世話にもなっている。これらは証拠のあることなので、陰謀論者たちはなぜそのことは言わないのでしょう? プーチンは善玉で、陰でロシアの支援を受けることはアメリカ大統領としては当然の話だとでも言うのでしょうか?)。
4年後、トランプは再び大統領選に立候補すると言っていて、共和党が彼に対して及び腰の対応なのはそれを恐れているからだという報道もありますが、それはおそらくないでしょう。今後の4年間で、各種の裁判などを通じて彼がどんな醜悪な人間であるかが白日の下にさらされれば、もはや熱狂は戻らないだろうと思われるからです。第二のトランプが出てくる可能性はありますが、トランプ自身はすでに終わった。アメリカの政治はきわどいところで破滅を免れたわけで、それはアメリカのためにも、世界のためにも慶賀すべきことであると、僕は思います。トランプのような異常な人間を大統領に選んでしまう結果を生んだ、アメリカが抱える深刻な問題がそれで解決したわけではないので、今後も道のりは困難なものになるだろうことは確かですが、とにかく「最悪の事態」だけは免れたわけです。
さよなら、トランプ。
【追記】これをアップする前にグーグルのニュースサイトをたまたま見ると、同じ見立ての記事があって、読んでみると面白かったので、こちらもURLを付けておきます。
・トランプ風船がしぼむ時
・トランプの陰謀論の拡散、ツイッターの警告ラベルに抑制効果
ツイッターは各国のリーダーたちの投稿について、規約に反する場合でも閲覧可能な状態にしておく特例を認めている。それは、大半の人たちは自国のトップの発言の内容をそのまま知りたいだろうと考えるためだ。そして、トランプも現在、そうした特別な扱いを受けている。
これまでトランプがとがめ立てされることなく、新型コロナウイルスや先月行われた大統領選などについて、いくつもの陰謀論を広めたり、(抗議デモの参加者による暴動の発生を受けて)「略奪が始まれば射撃が始まる」など暴力を示唆する発言をしたりすることができたのは、同社のこの方針のためだ。
だが、ツイッターの広報担当者がフォーブスの取材に対して明らかにしたところによれば、トランプに対するそのような特例措置が適用されるのは、来年1月20日の正午までだ。それ以降、トランプは一般のユーザーたちと同じガイドラインに従うことになる。
つまり、トランプがその後もツイッターの規約に繰り返し違反すれば、利用を禁止されるかもしれないということだ。
全く、「やれやれ…」という感じです。「トランプのツイートへのユーザーの反応は非常に大きいものの、ツイッターは内容が誤った投稿はその大半について、真偽検証を行ってきた。フォーブスが確認したところでは、投票日と翌日のトランプのツイートは、50%に警告ラベルが付けられている」という有様だったのだから。
「類は友を呼ぶ」で、嘘つきの周りには嘘つきが群れ集まってくるものなので、例のQアノンをはじめ、元議員だの、弁護士だのまで登場して、次々新たな陰謀論デマを作り出し、それにトランプ自身がリツイートするというかたちで、その後も騒動は拡大したのです。日本でも一部の著名人までがそのデマに乗せられ、「選挙で大がかりな不正があったのは明らかだ。これは民主主義の危機だ!」などと言って、少し調べてみればトランプこそが「民主主義の危機」を生み出した張本人であることは明らかなのですが、それで引っ込みがつかなくなって、今後言論人商売の存続が危ぶまれる人までいるようです(尤も、日本人は健忘症なので、憶えているのは僕のような性格の悪い人間だけかもしれませんが)。
ついでなので、BBCに便利なまとめサイトがあったので、全部を網羅してはいませんが、その「まことしやかな嘘」がどう検証されて、どういうふうに「嘘」認定されたのか、興味深い記事なので、ご紹介しておきます。「BBCリアリティーチェックチーム」によるものです。
・【米大統領選2020】 検証:投票について色々なうわさ 投票の数や投票機など
通常の場合、これだけ嘘が多ければ、その人は病的な虚言症として誰からも相手にされなくなります。しかし、トランプとトランプ応援団の人たちは、そうした虚偽の指摘には何も答えず、また新たな陰謀ネタを思いついて、ときには無関係な写真まで「証拠」としてくっつけて、「大がかりな不正があった!」と騒ぎ続けたのです。
トランプは元々「超利己的な、頭のおかしな幼児人格」です。そう断定していいだけの十分な証拠を彼自らが提供してきたのですが、そう言うと、「あんたはトランプが嫌いだから、彼の主張を何でもデマ扱いして片づけようとするのだ」などと反論されるのです。彼がビジネスマン(実業家)としても全く信用の置けない人間であるという「本物の証拠」を伴った情報は、僕自身は何度も見てきました。「詐欺師まがいの悪徳不動産屋」という僕の評言は何ら不当なものではないのですが、「トランプが嫌いだからそう言っているだけ」と片づけられては唖然とする他ない。
試しに、これは僕も最近見つけたのですが、アマゾン・プライムの会員になっている人は、無料で見られるドキュメンタリーの中に、『ユーブ・ビーン・トランプド・トゥー(You've Been Trumped Too)』というのがあるので、これはトランプ物の中でも地味な方ですが、トランプとその息子たちのビジネスのあくどいやり口や、2016年、彼が大統領選に出馬するにあたってどういう差別的言動を繰り返してきたか、よくわかるものなので、一度ご覧になればいいと思います。「トランプ財団が弾圧しようとした絶賛の映画」なんて説明がついていますが、あまり見る人がいないらしく、今でもコメントはゼロです。彼が大統領を4年間やって、「善と正義に目覚めて」民主主義の“希望の星”に変身したという証拠が何かあるのか、僕はゼロだと見ていますが、それが常識的な判断というものでしょう。中国共産党政府と対立する「大紀元」や「看中国」といった中国系のネットメディア(どちらも宗教がらみ)は、なぜかデマ拡散の片棒を担いでトランプを熱烈応援していますが、習近平が国家主席の任期を撤廃して終身独裁への布石を打った時、それを批判するどころか、うらやましがるツイートをしていたのもトランプなのです(僕はそういうことはちゃんと記憶している)。彼はウイグル人弾圧にも進んで「理解」を示している。トランプは実際は独裁や弾圧にきわめて親和的な人間なので、それは彼の人となりからしてむしろ当然のことなのです。彼が不動産屋としてどれほど弱い立場の人を踏みつけにしてきたか、よく見てみるといいのです(実の息子二人も、揃ってロクでもない)。こういうのはデマではなく、ちゃんとした証拠があるわけです。
トランプの最大の功績は、ファクトチェックの機能をもたない今のネット社会では、恥知らずの異常なデマゴークにいかに人々が翻弄されやすくなるかをよく示したことかもしれません。その最適の培地になっているのは政治や経済システムの機能不全によってもたらされた社会の閉塞感や、経済のグローバリズムの割を食って沈んだ人たちのやり場のない不満や怒りです。彼らにはMake America great again!のフレーズを繰り返し叫ぶトランプの姿は、空手形を出す詐欺師の口上ではなく、「約束の地」(皮肉なことに、これはオバマの羊頭狗肉的な自伝のタイトルですが)へと導いてくれるモーゼのように見えるのです。彼の反知性主義丸出しの品位のない言動や左翼への罵倒も、彼らには逆に心地よく聞こえる。悪いのはお高く止まって既得権益をむさぼるだけの連中であり、トランプはそれに戦いを挑むヒーローなのです。実際の複雑に入り組んだ社会の利権構造を理解することなど、彼らにはできないし、する気もない。トランプはわかりやすくていいのです。トランプとしても、ウォール・ストリートを敵に回したのでは勝ち目はない(そのときこそ本物の陰謀が動き出して、葬り去られる)が、左翼なら攻撃しても安全だということがよくわかっているのです。そのセコさが、彼らにはわかっていない。
かつてヒトラーは民衆の間にある「経済を牛耳るユダヤ人の陰謀」説をうまく利用しました(ナチの宣伝相ゲッベルスなど、若い頃からユダヤ陰謀説にとりつかれていた)。それがユダヤ人迫害につながったのですが、目の上のタンコブだった共産党も「左翼の陰謀説」を煽って、国会放火事件を彼らのせいにして潰すのに成功した。たしかに一部のユダヤ金融資本が戦争まで利用する「死の商人」として暗躍してきたことは事実としてあるようですが、ナチスはそれを拡大解釈して、全ユダヤ人に適用したのです。共産党も、彼らはたしかに共産主義革命を夢見ていたが、あくまで当時最も先進的な憲法とされていたワイマール憲法下の民主的な手続きに則って勢力拡大していたにすぎなかった。しかし、それも「邪悪な陰謀」視されたのです。ナチスはそうした各種の陰謀論を最大限に利用して恐怖を煽り、敵対勢力を駆逐し、授権法によって憲法を完全に無効化することによって恐怖の独裁体制をつくり上げた。「偉大なドイツ帝国の栄光を取り戻す」と称して。トランプ一派の寝言と、どこか似ていませんか?
幸いなことに、当時のドイツ社会と較べれば、今のアメリカにはまだ余裕がある。公正を旨とするチェックシステムも機能しているので、トランプの「選挙不正」の主張は大半が証拠のないもので、訴訟の大部分が門前払いされたのは当然の措置だと、大多数のアメリカ人は見ているわけです。ヤフコメなど見ていると、「アメリカの有権者の7割はそれが不正な選挙だったと思っている」などという、トランプの主張と同じで何の根拠もないたわごとまでありますが、世論調査でもトランプ支持よりバイデン支持が明確に上回るようになった。「トランプよりはマシだ」ということでバイデンに投票したにすぎない人が多かったということからして、積極的支持は元から弱かったことを考えれば、トランプの嘘つきぶりを人々があらためて再認識して、見切りをつける人が増えていることを示すものでしょう(そもそもの話、これこそ陰謀ですが、トランプは2016年の選挙で、ロシアのプロパガンダ組織によるSNSを悪用したヒラリーに対するネガティブ宣伝の恩恵を受け、個人的にプーチンの世話にもなっている。これらは証拠のあることなので、陰謀論者たちはなぜそのことは言わないのでしょう? プーチンは善玉で、陰でロシアの支援を受けることはアメリカ大統領としては当然の話だとでも言うのでしょうか?)。
4年後、トランプは再び大統領選に立候補すると言っていて、共和党が彼に対して及び腰の対応なのはそれを恐れているからだという報道もありますが、それはおそらくないでしょう。今後の4年間で、各種の裁判などを通じて彼がどんな醜悪な人間であるかが白日の下にさらされれば、もはや熱狂は戻らないだろうと思われるからです。第二のトランプが出てくる可能性はありますが、トランプ自身はすでに終わった。アメリカの政治はきわどいところで破滅を免れたわけで、それはアメリカのためにも、世界のためにも慶賀すべきことであると、僕は思います。トランプのような異常な人間を大統領に選んでしまう結果を生んだ、アメリカが抱える深刻な問題がそれで解決したわけではないので、今後も道のりは困難なものになるだろうことは確かですが、とにかく「最悪の事態」だけは免れたわけです。
さよなら、トランプ。
【追記】これをアップする前にグーグルのニュースサイトをたまたま見ると、同じ見立ての記事があって、読んでみると面白かったので、こちらもURLを付けておきます。
・トランプ風船がしぼむ時
祝子川通信 Hourigawa Tsushin
僕はブラックユーモアの名手である、映画監督テリー・ギリアムのファンですが、その傑作の一つ『バロン』の中に、名優ロビン・ウィリアムズ(実は対人関係が苦手な超がつく繊細な人で、先年自殺が報じられた)演じる「月の王様」のそういうセリフがあったように記憶しています。首から上は知的この上なく、つねに高尚なことを考えているが、首から下は下品の極致で、「がっはっは!」と言いながら、よく邪魔な頭を取り外して(それが可能なからだの作りになっている)女あさりに熱中し、たいていは誰かとベッドの上にいる。そのコントラストと、下半身の暴走が止められない「首から上の苦悩」が面白おかしく描かれていて笑えるのですが、不謹慎ながら、僕は先日の韓国ソウル市長自殺事件でそれを思い出してしまいました。
何でも、あの朴元淳(パク・ウォンスン)氏は三期にわたって韓国の首都ソウル特別市の市長を務め、連続在任記録を更新中であり、次期大統領の有力候補でもあったという話です。文大統領とは弁護士時代からの盟友で、二人とも人権派弁護士として名を馳せた。とくに朴氏はセクハラ裁判で初の賠償を勝ち取った弁護士としても有名だそうで、今なお儒教的男尊女卑意識の強い韓国で、女性の味方、フェミニストとして誰知らぬ者がないほどだった。例の従軍慰安婦問題でも、激しく日本の対応を批判していた。チョ・グク前法相はあまりにもスキャンダルが多すぎて、ご本人が批判してやまなかった「腐敗した社会」の甘い汁を私生活ではたっぷり吸っていたことが判明したので、いくら文氏の覚えがめでたくとも、次期大統領の目はなくなったと言えるでしょうが、この朴ソウル市長は、国民的な人気もあって、次期大統領の最有力候補の一人と目されていたのです。
それがあろうことか、元秘書に破廉恥なセクハラを働いていたとして刑事告発され、被害者は他にもいるというのだから、面目丸潰れの事態となった。「パク市長は物理的な接触のほか、テレグラムなどを利用して個人的な写真(猥褻画像)を数回送ってきたとAさんは陳述している」(朝鮮日報日本語版より.Aさんは秘書の名前)というのだから、かなりヘンタイ的です。明確な物証がなければ、相手が有名な政治家であるだけに警察が真面目に取り合うことはないはずですが、訴えを受理して動き出していたことからして、その「個人的な写真(自分の裸体写真?)」などの証拠もあって、クロと判定されたのでしょう。
だから彼は生き恥をさらすことを恐れて自殺を選択した。結局、こうなると「被疑者死亡」で告訴は取り下げになる。被害者救済どころか、「おまえのせいで市長は自殺した!」とかえって被害者バッシングが起きかねない状況になって、実際その元秘書はSNSなどで一部の現政権支持者たちからひどい誹謗中傷にさらされることになったという話ですが、ご本人が生きていて、それが他人の身の上のことなら、おそらく朴氏は「利己的で卑怯な逃避だ」とその人を批判していたことでしょう。ソウル市は朴市長の葬儀をソウル特別市葬として行うと発表したそうですが、通常の死とは性質が違うので、それはおかしいのではないかという声が上がるのは当然です。
しかし、韓国ではなぜかこの手の事件が多い。次は時事通信の記事です。
・ソウル市長自殺に衝撃 韓国、相次ぐ与党首長セクハラ
韓国では地方自治体の与党系首長によるセクハラ事件が相次いでおり、革新系の大統領有力候補と目された忠清南道の安熙正知事(当時)が18年に秘書への性的暴行で辞任。その後起訴され、実刑判決を受けた。今年4月には文在寅大統領に近い呉巨敦釜山市長(同)も市職員へのセクハラ問題で辞任している
と最後にあるとおり、近年、リベラルが売り物の左派、つまり今の与党系の有力政治家のそれが目立つのです。三人の中でもとくに「革新系の大統領有力候補と目された忠清南道の安熙正知事(当時)」のそれは悪質で、朝鮮日報によれば、その中身は次のようなものでした。
2018年に安前知事は随行秘書のキム・ジウンさんへの性的暴行を理由に道知事を辞職した。当時、安知事は与党の有力な大統領候補として名前が挙がるなど、人気は急上昇していた。17年の大統領選挙当時、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と競争し、結果は2位に終わったが、中道・保守層からの人気の高さを改めて確認し、共に民主党の次期大統領候補とまで呼ばれていた。ところが随行秘書だったキムさんが18年3月、メディアを通じて被害の実態を暴露し、事件が注目を集めるようになった。裁判所は安前知事が17年7月から18年2月まで、キムさんに対して4回にわたり性的暴行を加え、6回にわたりセクハラを行った容疑を認めた。大法院(最高裁に相当)は昨年9月、安前知事に懲役3年6カ月の実刑を宣告した原審を支持し、判決が確定した。(7/10付記事より)
だからこの元知事は現在「服役中」のはずですが、朴ソウル市長の場合、レイプに及ぶほど悪質なものではなかったとしても(それもあったのかもしれませんが)、自他ともに認めるフェミニストがそれでは立つ瀬はなくなるので、次期大統領どころか、社会的自殺に等しい愚行だったわけです。冒頭の映画の月の王様のセリフではないが、「首から下のやらかしたことには私は関知しません」とも言えないわけで、自殺したくなる気持ちはわかります。氏は1956年生まれだそうで、僕と同世代ですが、初老のおなかの肉がぶざまにはみ出した醜悪な自分の裸体写真を秘書に送りつけ、「ねえねえ、君の素敵なヌード写真も送ってくれない?」なんてメールを添えていたら、気持ち悪いことこの上なしで、ふつうの人間でも恥ずかしくて街を歩けなくなるでしょう。
こんなことを言うと真面目な人たちには叱られるかもしれませんが、社会的地位からしてもカネはたっぷりあったのだろうから、そんなに自分の下半身問題に悩まされていたのなら、愛人でも囲えばよかったのです。奥さんにバレたら血の雨が降るかもしれませんが、それだと他に被害は及ばない。地位や職権を悪用して秘書や職員にセクハラするなんてのは、男として最低です。その程度の美学もなくてよく生きているなと、同じ世代の人間としては思うわけです。
とはいえ、この「下半身の問題」は男性にとっては“普遍的”な問題であるようで、僕はこのブログで、自分もその著書を何冊か訳したことがあるクリシュナムルティの“間男スキャンダル”を暴露した本と、世界的ベストセラーとなった『チベットの生と死の書』の著者で、西洋に多数の熱烈な崇拝者をもっていたソギャル・リンポチョというグルの信者への性的虐待、レイプについて書かれた長文の英文記事の翻訳、紹介をしたことがあります。
クリシュナムルティの場合は、財団運営を中心となって担ってきた親友の妻に間男を働いていた(中絶をさせたことも複数回ある)というもので、クリシュナムルティが若い美人に夢中になってしまったのを彼女が嫉妬して、それがきっかけで夫にその長年の不倫関係を告白したところ、当然夫の方は激怒して、それが二人のその後の深刻な対立に発展したというものですが、この場合、「世界教師」としてはあまりみっともいいものではないとしても、人的被害としては大きなものではなかった。ソギャルの方は、被害者が多数いて、権力乱用も度を越したものだったので、ダライ・ラマから事実上の破門を宣告されるにいたったのです。アメリカでは、多数の信者を集めていた日本人ゼン・マスター(禅匠)が長年にわたる常習的セクハラで告発されるという事件もあった。日本でもいっとき「現代の聖人」として大人気だったインドのグル、サイババの場合は、小児性愛と、あの物を“物質化”させる「奇蹟」の楽屋裏が暴露され、一気に名声を失ったのです。
こういう文脈に置いてみると、ソウル市長のセクハラもべつだん珍しくもない話だということになりそうですが、問題はその「下半身処理」の仕方で、権力者や有名人となると、周りに自分を仰ぎ見る信者や支持者が多数いて、そうなると「下半身の悪魔」が「やっちゃえ、やっちゃえ。どうせ減るものじゃなし、おまえの権力と名声があれば、バレてもそれをうまく闇に葬ることはできるはずだ」と囁くのかもしれません。それで、ちょっとやってみたところ、相手がその権勢を恐れて沈黙したままなので、次第に病みつきになり、手段もエスカレートして、犯行が大胆化した後、誰かが声を上げて、ついには一連の醜行が世間の知るところとなる。「まさかあんな有名な人が…」とナイーブな人たちは驚くが、その名声や権力ゆえに、被害者は沈黙を強いられて、事態はそこまでひどくなったと考えることができるのです。その意味では意外でも何でもない。
このブログの読者には男性も多くいるだろうと思いますが、あなたや僕が無事で済んでいるのは、幸か不幸か無名で、権力もカネもないからなので、そういう誘惑の機会自体が少なく、「下半身の悪魔」がそう囁いても、説得力がないからなのです。それでも中には強引なセクハラ行為を働く人もいますが、打算的に考えても全く割に合わない。もう一つ、人間関係的に非常にめんどくさいことになるので、僕がクリシュナムルティの件で呆れたのも、何だって彼は右腕と頼む親友の妻に手を出すようなヘマをしたのかということでした。それで無責任な言い逃れに終始する他なくなって、よけいこじれたというのだから、目も当てられない。心理学者ユングの場合には、患者や女弟子に次々手を出しながら無事だったので、さすがプレイボーイだけのことはあると、彼の思想よりむしろそちらの手腕に僕は感心したほどですが、そういうハンドリングに自信のない人はうかつなことはしない方が賢明なのです。
女性の側からすると、むろん、この問題は自分が「性の道具」扱いされたことに対する怒りが中心になります。セクハラが人格の尊厳を害するものなのはたしかで、だから性的接触において同意または合意が重視されるのは当然なのです。女性の側のモーションに反応しないと、それはそれでまた侮辱と解されてしまうのでややこしいが、そういう場合、女性が男性を「襲う」ということはまずないので、問題にはならないわけです。女性政治家がお気に入りの男性秘書を襲って手ごめにしたと訴えられたなんて話、聞いたことがありませんからね。あの豊田議員のようなパワハラはあったとしても、です。
何にしても、この「首から上と下半身は別人格」というのは、いわゆる「霊と肉」の複合体である人間には程度の差はあれ、避けられないことで、稀に完全なプラトニック・ラブというものがあって、その場合、男性の方は相手を天使か女神かと思い、その女性相手にだけはなぜか肉体的欲望が消滅してしまうという不思議なことが起こるのですが、そういうのばかりでは人類は絶滅してしまうから、自然は強い性的衝動、「下半身の優越」を人間に与えたのです。
そういう純然たるプラトニック・ラブの場合、「人格尊重」の視点では、相手を完全に神聖視しているのだから、女性を最大限の高みに置くものと言ってよいでしょう。そのときは「首から上と下の不一致」は存在しない。僕も高校生の頃、そういう恋愛を経験したことがあったので、卒業の少し前だったかと思いますが、彼女の叔母と看護師の姉がよからぬことを企て、僕は彼女と二人、同じ布団で一夜を過ごす羽目になったことがあります。東京と大阪で、二人は離れ離れになる運命だったので、それを不憫に思ってかどうか、そういうとんでもないことを本人たちではなく、周囲のオトナが仕組んだのです。「あんたたちは今夜この布団で一緒に寝るのだ」と、二階の部屋に二人を案内した彼女の叔母さんはいわくありげに言いました。泊まっていけと言われたのはこういうことだったのかと初めてわかったのですが、彼女に拒絶する様子はなかったので、上着を脱いでその布団に入ると、僕は恐る恐る彼女の手を握らせてもらって、文字どおり「天にも昇る心地」で眠りました。むろん、僕は性的不能でも何でもなかったので、相手が彼女でなければ決して無事では済まなかったでしょうが、誓って何事も起きなかったのです。翌朝目覚めたとき、「ずっと(手を)握ってるって言ったけど、途中で離してたね」と彼女に皮肉を言われましたが、それはその後の運命を暗示するものだったのです。それを仕組んだオトナ二人は、そういう結果になるのを見通していたのか、それとも別のことを考えていたのか、僕は当時親元を離れて下宿していて、その町にはその後一度も行く機会がなかったので、その答を知らずじまいです(その四、五年後、僕は風の便りに彼女が結婚したという話を聞きました。僕が彼女の幸せを願ったのは言うまでもありません)。
男女関係がそのようなものばかりなら、セクハラだの性的暴行だのが起きるわけはないのですが、あいにくなことにそうではない。昔、アメリカでクリントン大統領のモニカ・ルインスキー事件というのがありました。モニカさんも今ではすっかりおばさんになっているようですが、当時僕は彼女の写真を一目見て、その性愛的魅力は明らかだったので、クリントンが狂ったのも無理はないなと、いくらか彼に同情したものです。それは相互的な関係だったようで、通常のセクハラスキャンダルではないが、中年の既婚者大統領が若い実習生に手を出したということで、権力者のそういう関係には潔癖なアメリカでは大スキャンダルになったのです。クリントンは妻のヒラリーさんに、冒頭の月の王様よろしく「下半身のなせる業」だと言い訳したでしょうが、そういう事件は跡を絶たないのです。
結局、こういうのはどうすればいいのか? さっきも言ったように、僕やあなたは無事でしょうが、その種の誘惑にさらされがちな権力者は、悪魔のささやきに乗せられず、「首から上」との最低限の連絡を怠らないようにすることでしょう。また、あのソウル市長の場合、「クリーンなフェミニスト」という評判が独り歩きして、ご本人が性道徳的にも厳格で、それが強い抑圧として働いたから、かえって無意識がおかしな具合に活性化して、ヘンタイ的になるという倒錯が生じたのかもしれません。是非善悪の批判なく自分の「下半身のどうしようもなさ」をまず受けいれた上でそれをモニターしている人は、車のハンドルでいえば遊びが大きいので、無意識におかしなものが蓄積することも少なく、それをコントロールするのがそれだけ容易になる。セクハラの類が女性にどれだけ大きな心の傷をつくるかも理解できるから、その精神的ゆとりが助けになるのです。いわゆる不倫の類も、世間道徳の支配が強い人にとっては強烈な背徳感情を生み出すので、かえってそれが誘因として作用してしまうことになるのではないでしょうか? 道徳的に高尚だからではなく、「めんどくさいからしないだけ」という人の方が、そういうのにはまることは少ないものです。それが人間心理のパラドックスです。タブーが多すぎると、逆にそのタブーに足を取られて、健康な精神の自由を失ってしまう。動物学的には、そもそも一夫一婦制自体に無理があるので、その「無理」を認識せず、人為的な道徳でそれを抑え込もうとするから、かえってその「無理」に対応することが下手になるのだと考えられるのです。
韓国の場合、それも儒教の影響かと思われますが、日本以上にホンネとタテマエの乖離が甚だしく、「名分」という観念的な理想論を振りかざして、要するにきれいごとばかり並べ立てて政敵を非難し、しかし、自分がやってることは表向きの言論とは全く別ということが多いので、追い込まれても平気で嘘がつけるサイコパス的な人間には好都合ですが、両者の食い違いを意識せざるを得ないまともな人はそれで葛藤を自ら強化することになりがちなので、そういうストレスフルな社会風土もこういうみっともないスキャンダル続発には関係しているのかもしれません。少なくともこの市長の場合、そういう「まともさ」をまだ保持していたからこそもう嘘はつけないと思い、自死へと追い込まれたのでしょう。
何でも、あの朴元淳(パク・ウォンスン)氏は三期にわたって韓国の首都ソウル特別市の市長を務め、連続在任記録を更新中であり、次期大統領の有力候補でもあったという話です。文大統領とは弁護士時代からの盟友で、二人とも人権派弁護士として名を馳せた。とくに朴氏はセクハラ裁判で初の賠償を勝ち取った弁護士としても有名だそうで、今なお儒教的男尊女卑意識の強い韓国で、女性の味方、フェミニストとして誰知らぬ者がないほどだった。例の従軍慰安婦問題でも、激しく日本の対応を批判していた。チョ・グク前法相はあまりにもスキャンダルが多すぎて、ご本人が批判してやまなかった「腐敗した社会」の甘い汁を私生活ではたっぷり吸っていたことが判明したので、いくら文氏の覚えがめでたくとも、次期大統領の目はなくなったと言えるでしょうが、この朴ソウル市長は、国民的な人気もあって、次期大統領の最有力候補の一人と目されていたのです。
それがあろうことか、元秘書に破廉恥なセクハラを働いていたとして刑事告発され、被害者は他にもいるというのだから、面目丸潰れの事態となった。「パク市長は物理的な接触のほか、テレグラムなどを利用して個人的な写真(猥褻画像)を数回送ってきたとAさんは陳述している」(朝鮮日報日本語版より.Aさんは秘書の名前)というのだから、かなりヘンタイ的です。明確な物証がなければ、相手が有名な政治家であるだけに警察が真面目に取り合うことはないはずですが、訴えを受理して動き出していたことからして、その「個人的な写真(自分の裸体写真?)」などの証拠もあって、クロと判定されたのでしょう。
だから彼は生き恥をさらすことを恐れて自殺を選択した。結局、こうなると「被疑者死亡」で告訴は取り下げになる。被害者救済どころか、「おまえのせいで市長は自殺した!」とかえって被害者バッシングが起きかねない状況になって、実際その元秘書はSNSなどで一部の現政権支持者たちからひどい誹謗中傷にさらされることになったという話ですが、ご本人が生きていて、それが他人の身の上のことなら、おそらく朴氏は「利己的で卑怯な逃避だ」とその人を批判していたことでしょう。ソウル市は朴市長の葬儀をソウル特別市葬として行うと発表したそうですが、通常の死とは性質が違うので、それはおかしいのではないかという声が上がるのは当然です。
しかし、韓国ではなぜかこの手の事件が多い。次は時事通信の記事です。
・ソウル市長自殺に衝撃 韓国、相次ぐ与党首長セクハラ
韓国では地方自治体の与党系首長によるセクハラ事件が相次いでおり、革新系の大統領有力候補と目された忠清南道の安熙正知事(当時)が18年に秘書への性的暴行で辞任。その後起訴され、実刑判決を受けた。今年4月には文在寅大統領に近い呉巨敦釜山市長(同)も市職員へのセクハラ問題で辞任している
と最後にあるとおり、近年、リベラルが売り物の左派、つまり今の与党系の有力政治家のそれが目立つのです。三人の中でもとくに「革新系の大統領有力候補と目された忠清南道の安熙正知事(当時)」のそれは悪質で、朝鮮日報によれば、その中身は次のようなものでした。
2018年に安前知事は随行秘書のキム・ジウンさんへの性的暴行を理由に道知事を辞職した。当時、安知事は与党の有力な大統領候補として名前が挙がるなど、人気は急上昇していた。17年の大統領選挙当時、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と競争し、結果は2位に終わったが、中道・保守層からの人気の高さを改めて確認し、共に民主党の次期大統領候補とまで呼ばれていた。ところが随行秘書だったキムさんが18年3月、メディアを通じて被害の実態を暴露し、事件が注目を集めるようになった。裁判所は安前知事が17年7月から18年2月まで、キムさんに対して4回にわたり性的暴行を加え、6回にわたりセクハラを行った容疑を認めた。大法院(最高裁に相当)は昨年9月、安前知事に懲役3年6カ月の実刑を宣告した原審を支持し、判決が確定した。(7/10付記事より)
だからこの元知事は現在「服役中」のはずですが、朴ソウル市長の場合、レイプに及ぶほど悪質なものではなかったとしても(それもあったのかもしれませんが)、自他ともに認めるフェミニストがそれでは立つ瀬はなくなるので、次期大統領どころか、社会的自殺に等しい愚行だったわけです。冒頭の映画の月の王様のセリフではないが、「首から下のやらかしたことには私は関知しません」とも言えないわけで、自殺したくなる気持ちはわかります。氏は1956年生まれだそうで、僕と同世代ですが、初老のおなかの肉がぶざまにはみ出した醜悪な自分の裸体写真を秘書に送りつけ、「ねえねえ、君の素敵なヌード写真も送ってくれない?」なんてメールを添えていたら、気持ち悪いことこの上なしで、ふつうの人間でも恥ずかしくて街を歩けなくなるでしょう。
こんなことを言うと真面目な人たちには叱られるかもしれませんが、社会的地位からしてもカネはたっぷりあったのだろうから、そんなに自分の下半身問題に悩まされていたのなら、愛人でも囲えばよかったのです。奥さんにバレたら血の雨が降るかもしれませんが、それだと他に被害は及ばない。地位や職権を悪用して秘書や職員にセクハラするなんてのは、男として最低です。その程度の美学もなくてよく生きているなと、同じ世代の人間としては思うわけです。
とはいえ、この「下半身の問題」は男性にとっては“普遍的”な問題であるようで、僕はこのブログで、自分もその著書を何冊か訳したことがあるクリシュナムルティの“間男スキャンダル”を暴露した本と、世界的ベストセラーとなった『チベットの生と死の書』の著者で、西洋に多数の熱烈な崇拝者をもっていたソギャル・リンポチョというグルの信者への性的虐待、レイプについて書かれた長文の英文記事の翻訳、紹介をしたことがあります。
クリシュナムルティの場合は、財団運営を中心となって担ってきた親友の妻に間男を働いていた(中絶をさせたことも複数回ある)というもので、クリシュナムルティが若い美人に夢中になってしまったのを彼女が嫉妬して、それがきっかけで夫にその長年の不倫関係を告白したところ、当然夫の方は激怒して、それが二人のその後の深刻な対立に発展したというものですが、この場合、「世界教師」としてはあまりみっともいいものではないとしても、人的被害としては大きなものではなかった。ソギャルの方は、被害者が多数いて、権力乱用も度を越したものだったので、ダライ・ラマから事実上の破門を宣告されるにいたったのです。アメリカでは、多数の信者を集めていた日本人ゼン・マスター(禅匠)が長年にわたる常習的セクハラで告発されるという事件もあった。日本でもいっとき「現代の聖人」として大人気だったインドのグル、サイババの場合は、小児性愛と、あの物を“物質化”させる「奇蹟」の楽屋裏が暴露され、一気に名声を失ったのです。
こういう文脈に置いてみると、ソウル市長のセクハラもべつだん珍しくもない話だということになりそうですが、問題はその「下半身処理」の仕方で、権力者や有名人となると、周りに自分を仰ぎ見る信者や支持者が多数いて、そうなると「下半身の悪魔」が「やっちゃえ、やっちゃえ。どうせ減るものじゃなし、おまえの権力と名声があれば、バレてもそれをうまく闇に葬ることはできるはずだ」と囁くのかもしれません。それで、ちょっとやってみたところ、相手がその権勢を恐れて沈黙したままなので、次第に病みつきになり、手段もエスカレートして、犯行が大胆化した後、誰かが声を上げて、ついには一連の醜行が世間の知るところとなる。「まさかあんな有名な人が…」とナイーブな人たちは驚くが、その名声や権力ゆえに、被害者は沈黙を強いられて、事態はそこまでひどくなったと考えることができるのです。その意味では意外でも何でもない。
このブログの読者には男性も多くいるだろうと思いますが、あなたや僕が無事で済んでいるのは、幸か不幸か無名で、権力もカネもないからなので、そういう誘惑の機会自体が少なく、「下半身の悪魔」がそう囁いても、説得力がないからなのです。それでも中には強引なセクハラ行為を働く人もいますが、打算的に考えても全く割に合わない。もう一つ、人間関係的に非常にめんどくさいことになるので、僕がクリシュナムルティの件で呆れたのも、何だって彼は右腕と頼む親友の妻に手を出すようなヘマをしたのかということでした。それで無責任な言い逃れに終始する他なくなって、よけいこじれたというのだから、目も当てられない。心理学者ユングの場合には、患者や女弟子に次々手を出しながら無事だったので、さすがプレイボーイだけのことはあると、彼の思想よりむしろそちらの手腕に僕は感心したほどですが、そういうハンドリングに自信のない人はうかつなことはしない方が賢明なのです。
女性の側からすると、むろん、この問題は自分が「性の道具」扱いされたことに対する怒りが中心になります。セクハラが人格の尊厳を害するものなのはたしかで、だから性的接触において同意または合意が重視されるのは当然なのです。女性の側のモーションに反応しないと、それはそれでまた侮辱と解されてしまうのでややこしいが、そういう場合、女性が男性を「襲う」ということはまずないので、問題にはならないわけです。女性政治家がお気に入りの男性秘書を襲って手ごめにしたと訴えられたなんて話、聞いたことがありませんからね。あの豊田議員のようなパワハラはあったとしても、です。
何にしても、この「首から上と下半身は別人格」というのは、いわゆる「霊と肉」の複合体である人間には程度の差はあれ、避けられないことで、稀に完全なプラトニック・ラブというものがあって、その場合、男性の方は相手を天使か女神かと思い、その女性相手にだけはなぜか肉体的欲望が消滅してしまうという不思議なことが起こるのですが、そういうのばかりでは人類は絶滅してしまうから、自然は強い性的衝動、「下半身の優越」を人間に与えたのです。
そういう純然たるプラトニック・ラブの場合、「人格尊重」の視点では、相手を完全に神聖視しているのだから、女性を最大限の高みに置くものと言ってよいでしょう。そのときは「首から上と下の不一致」は存在しない。僕も高校生の頃、そういう恋愛を経験したことがあったので、卒業の少し前だったかと思いますが、彼女の叔母と看護師の姉がよからぬことを企て、僕は彼女と二人、同じ布団で一夜を過ごす羽目になったことがあります。東京と大阪で、二人は離れ離れになる運命だったので、それを不憫に思ってかどうか、そういうとんでもないことを本人たちではなく、周囲のオトナが仕組んだのです。「あんたたちは今夜この布団で一緒に寝るのだ」と、二階の部屋に二人を案内した彼女の叔母さんはいわくありげに言いました。泊まっていけと言われたのはこういうことだったのかと初めてわかったのですが、彼女に拒絶する様子はなかったので、上着を脱いでその布団に入ると、僕は恐る恐る彼女の手を握らせてもらって、文字どおり「天にも昇る心地」で眠りました。むろん、僕は性的不能でも何でもなかったので、相手が彼女でなければ決して無事では済まなかったでしょうが、誓って何事も起きなかったのです。翌朝目覚めたとき、「ずっと(手を)握ってるって言ったけど、途中で離してたね」と彼女に皮肉を言われましたが、それはその後の運命を暗示するものだったのです。それを仕組んだオトナ二人は、そういう結果になるのを見通していたのか、それとも別のことを考えていたのか、僕は当時親元を離れて下宿していて、その町にはその後一度も行く機会がなかったので、その答を知らずじまいです(その四、五年後、僕は風の便りに彼女が結婚したという話を聞きました。僕が彼女の幸せを願ったのは言うまでもありません)。
男女関係がそのようなものばかりなら、セクハラだの性的暴行だのが起きるわけはないのですが、あいにくなことにそうではない。昔、アメリカでクリントン大統領のモニカ・ルインスキー事件というのがありました。モニカさんも今ではすっかりおばさんになっているようですが、当時僕は彼女の写真を一目見て、その性愛的魅力は明らかだったので、クリントンが狂ったのも無理はないなと、いくらか彼に同情したものです。それは相互的な関係だったようで、通常のセクハラスキャンダルではないが、中年の既婚者大統領が若い実習生に手を出したということで、権力者のそういう関係には潔癖なアメリカでは大スキャンダルになったのです。クリントンは妻のヒラリーさんに、冒頭の月の王様よろしく「下半身のなせる業」だと言い訳したでしょうが、そういう事件は跡を絶たないのです。
結局、こういうのはどうすればいいのか? さっきも言ったように、僕やあなたは無事でしょうが、その種の誘惑にさらされがちな権力者は、悪魔のささやきに乗せられず、「首から上」との最低限の連絡を怠らないようにすることでしょう。また、あのソウル市長の場合、「クリーンなフェミニスト」という評判が独り歩きして、ご本人が性道徳的にも厳格で、それが強い抑圧として働いたから、かえって無意識がおかしな具合に活性化して、ヘンタイ的になるという倒錯が生じたのかもしれません。是非善悪の批判なく自分の「下半身のどうしようもなさ」をまず受けいれた上でそれをモニターしている人は、車のハンドルでいえば遊びが大きいので、無意識におかしなものが蓄積することも少なく、それをコントロールするのがそれだけ容易になる。セクハラの類が女性にどれだけ大きな心の傷をつくるかも理解できるから、その精神的ゆとりが助けになるのです。いわゆる不倫の類も、世間道徳の支配が強い人にとっては強烈な背徳感情を生み出すので、かえってそれが誘因として作用してしまうことになるのではないでしょうか? 道徳的に高尚だからではなく、「めんどくさいからしないだけ」という人の方が、そういうのにはまることは少ないものです。それが人間心理のパラドックスです。タブーが多すぎると、逆にそのタブーに足を取られて、健康な精神の自由を失ってしまう。動物学的には、そもそも一夫一婦制自体に無理があるので、その「無理」を認識せず、人為的な道徳でそれを抑え込もうとするから、かえってその「無理」に対応することが下手になるのだと考えられるのです。
韓国の場合、それも儒教の影響かと思われますが、日本以上にホンネとタテマエの乖離が甚だしく、「名分」という観念的な理想論を振りかざして、要するにきれいごとばかり並べ立てて政敵を非難し、しかし、自分がやってることは表向きの言論とは全く別ということが多いので、追い込まれても平気で嘘がつけるサイコパス的な人間には好都合ですが、両者の食い違いを意識せざるを得ないまともな人はそれで葛藤を自ら強化することになりがちなので、そういうストレスフルな社会風土もこういうみっともないスキャンダル続発には関係しているのかもしれません。少なくともこの市長の場合、そういう「まともさ」をまだ保持していたからこそもう嘘はつけないと思い、自死へと追い込まれたのでしょう。
祝子川通信 Hourigawa Tsushin
前々回の続きです。朝鮮日報が関連記事を続々載せていて(中央日報も批判記事を出していますが)、どれも興味深い。欲をかきすぎて、国会議員にまでなり上がったのが彼女の運の尽きだったと言えそうですが、社会正義の見地からすれば、おかげで正体が暴露されることになって、韓国社会がこれをどう受け止めるかはまだ分かりませんが、挺対協=正義連がどういう団体であったか、疑惑の目を向けられることになって、韓国内部における信用は大幅に低下し、それは今後の日韓関係改善にはプラスに働くでしょう(文政権は内心、まずいことになったと思っているでしょうが)。
前々回、ご紹介した彼女の嘘は――尹美香率いるこの団体が、2015年の「最終的かつ不可逆的な解決」を謳った日韓慰安婦合意を反故に追い込んだ――詳しい話を事前に韓国政府関係者から聞いていながら、「核心的なことは何も聞いていなかった」「慰安婦側の意向を無視したもの」と主張していたのに、実はそれは嘘で、伊本人は詳しい説明を受け、日本政府が拠出する10億円の基金についても、ちゃんと知っていながら、慰安婦たちには故意に伝えなかったというものです。これが元慰安婦の李容洙さんから暴露されると、「いや、ちゃんと伝えた」と言ったが、伊は「何も聞いていない」とその当時マスコミ向けに嘘をついていたのだから、何をかいわんや、ということになるのです。都合の悪いことを指摘されると、その都度違った嘘をつく。それが前の嘘とは矛盾するのだから、笑えるのです。
伊・元代表は、立候補時に「李さんが支持してくれている」と語ったが、これも真っ赤な嘘だったとのこと。
・慰安婦団体の前理事長 比例立候補時は疑惑提起の被害者が「支持」と主張
尹氏によると、比例代表に立候補する前は李さんらと議論できず、立候補した後に李さんに話したところ「よくやった」と言われ、「支持を受けて飛び上がるほどうれしかった」という。
だが、その後、尹氏がメディアとのインタビューで「李さんが私を支持してくれた」と発言したことについて、李さんが尹氏に電話をかけ「(慰安婦問題を)解決してから(政界に)行け。死ぬまでに解決しなければならないのにどこに行くのか」と話したという。
尹氏は李さんに「喪失感、名残惜しさ」があったとして、「この問題を解決するため(政界に)行くと話しても受け入れてもらえなかったと思う」と述べた。
何を言いたいのかよくわかりませんが、この件、嘘をついていたのが李さんではなく、尹美香の方だったということだけははっきりわかります。「元慰安婦の支持を得ている」と言わないと選挙に不利だから、嘘をついたわけです。
また、この団体は元慰安婦たちをダシに、事あるごとに寄付や募金を募り、それは莫大な金額に達しているのですが、前々回も見たように、実際はそのうち僅か18.5%しか元慰安婦たちの手には渡っていなかった(中央日報によれば、過去3年間では10%未満)。一方、尹代表は、自分の娘をアメリカのUCLAの音楽学部に留学させていた。日頃反米のアジ演説ばかりぶっているにもかかわらず、何でその目の敵にしているアメリカに娘を留学させるのだという批判の他にも、申告している自分の所得額は僅か(それに関しては後述記事)なのに、どうして多額に上るはずの留学費用が捻出できたのだ、という疑惑が出てきたのです。
これに関しても、尹美香は嘘をついていた。次は5/11の朝鮮日報の記事です。
・発言が変化した尹美香氏「娘の留学費、夫のスパイ事件の補償金で」
初めは「奨学金を支給してくれる大学を探して進学した」と言って、娘が優秀だから大方は奨学金だけで賄えている、みたいなことを言っていたわけです。しかし、それは嘘だとバレそうだと思ったのでしょう、今度は、
「『兄妹スパイ団事件』の再審で一部無罪の判決を受けた夫の刑事補償金などを使って、娘の留学資金を準備した」と党に釈明
することになったのです。この「兄妹スパイ団事件」とは何か?
「兄妹スパイ団事件」とは、1993年に反戦平和運動連合研究委員の金三石(キム・サムソク)氏とデパート従業員だった妹の銀周(ウンジュ)氏が北朝鮮のスパイに抱き込まれ、工作金の支援を受けるなどの活動を行ったとして起訴された事件だ。金三石氏は尹氏の夫だ。翌年、大法院(最高裁判所に相当)は兄の金三石氏に懲役4年、妹に懲役2年(執行猶予3年)の確定判決を下した。
しかし、金三石氏と妹は、スパイ行為をしたことはないとして再審を請求し、大法院は2017年5月、金三石氏にはスパイ容疑はないとして、不法拘禁など国の不法行為があったと判断した。
ただし国家保安法違反は認められ、金三石氏に懲役2年(執行猶予3年)が言い渡された。一部無罪となった結果、金三石氏は1億9000万ウォン(現在のレートで約1700万円、以下同じ)の刑事補償金を受け取った。また、18年7月にソウル高裁は、金三石氏と家族らが「スパイという烙印(らくいん)を押され、苦痛を受けた」として国を相手取って起こした損害賠償訴訟で、国に対し、金三石氏の母親、尹美香氏、尹氏の娘に8900万ウォン(約780万円)を支払うよう命じた。夫の金三石氏は05年に京畿道水原でインターネットメディアを創刊し、運営している。(※夫のその会社に当該慰安婦団体が不可解な業務委託をしている疑惑もある。)
家族が受け取った賠償・補償は総額2億7900万ウォン(約2400万円)に達する。尹氏が党に釈明した娘の留学費用の内訳は、総額8万5000ドル(約920万円)ほどだ。
親北朝鮮の文在寅政権の成立と同時に「一部無罪」判決が言い渡され、刑事補償金と、それとは別に損害賠償訴訟を起こし、夫の一家は「総額2億7900万ウォン(約2400万円)」を手にしたという話です。すべてがその夫のものになったわけではないはずですが、とにかくそれで「娘の留学費用…総額8万5000ドル(約920万円)」を賄ったというのです。
むろん、これも本当かどうかは疑わしい。5/12の朝鮮日報社説「飲み屋で1日3339万ウォン使った慰安婦団体、寄付金の内訳公開は拒否」は、そのあたり端的にこう指摘する。
元正義連理事長の尹美香(ユン・ミヒャン)共に市民党当選人夫妻は、その所得税の納付額から推定される年収が2人合わせて5000万ウォン(約440万円)にしかならない。ところがその娘は1年の学費が4万ドル(約430万円)に達する米国の大学でピアノを勉強している。生活費まで合わせると年間7000万-8000万ウォン(約620万-700万円)はかかるはずだ。留学費用の出所について疑惑が指摘されると、尹当選人はインタビューで「娘は1年の全額を奨学金として支援される大学を選んで行った」と説明した。しかし米国の州立大学が外国人に全額奨学金を支払うケースはほぼないとの指摘もある。すると尹当選人は「スパイ捏造(ねつぞう)事件で一部無罪判決を受けた夫の刑事補償金などで留学費用を工面した」と説明を変えた。「全額奨学金」が「刑事補償金」に変わったのだ。「全額奨学金」がうそだったのであれば「刑事補償金」は本当なのだろうか。 ※ 前回僕は「私立」と書きましたが、UCLAの場合はこの記事のとおり「州立」が正しい。
いい加減きわまりないのです。次は本日5/13付の社説です。
・【社説】元慰安婦の「だまされた」発言を「親日勢力の攻勢」と主張する韓国与党勢力
「慰安婦被害者支援団体という正義記憶連帯(正義連)の寄付金使用の内訳が不透明」だと批判されると、「疑惑の当事者である尹美香(ユン・ミヒャン)『共に市民党』当選人も『私に対する攻撃は保守メディアと統合党が作った謀略劇』『親日勢力の不当な攻撃』と主張した。『6カ月かけてごっそり暴き立てられたチョ・グク元法相を思い出す』とも発言した」というのですが、都合が悪くなると、全部「敵側の謀略」のせいにするのはあのチョ・グクと同じだとの指摘です。この中にも、
・正義連が飲み屋で実際にはおよそ430万ウォン(現在のレートで約38万円。以下同じ)使ったのに「3300万ウォン(約289万円)使った」と申告していた疑惑
・元慰安婦らの葬儀を受け持ってきた互助会社に1170万ウォン(約102万円)払ったと言っていたが、同社は「無料で行っただけで、お金を受け取ったことはない」と主張した。そのカネはどこに行ったのか
といった不審点が次から次へと出てくるのです。この互助会社も、善意で無料でやっていたのに、正義連がカネを払ったことにしていたのにはびっくりしたでしょう。韓国と日本ではいくらか法律も違うでしょうが、「正義の財団」である正義連は営利法人ではなく、NPO扱いされているはずで、税制でも優遇されているはずが、その帳簿は出鱈目そのもので、「使途不明金」がたくさんあるということです。次のような話も呆れる他ない。
正義連は、元慰安婦女性らをたたえるとして立ち上げた奨学金も仲間内で分け合っているとの批判を受けている。故・金福童(キム・ボクトン)さんが「在日朝鮮人学生のために使ってほしい」として寄付した資金から始まった奨学金は、金福童さんの生前は在日学生らに支払われた。ところが昨年金福童さんが死去すると「正義連理事」だった関係者や市民団体、民主労総、農民団体などの関係者の子息らが支給対象となった。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を「偉人」とたたえ、駐韓米国大使館の塀を乗り越えて無断侵入した「大学生進歩連合」に所属する2人の大学生も奨学金を受け取った。それでも正義連は「おばあさんの遺志」と開き直っている。これは故人を利用しているのではないのか。
慰安婦団体に入ってくる資金はそのほとんどが国民の寄付だ。使い道がはっきりしていて、会計が透明であれば国民に隠す理由はない。ところが正義連は「企業には(使い道の公表を)なぜ要求しないのか、あまりにも過酷だ」として公開を拒否した。企業は国民から寄付を受け取っているのか。詭弁(きべん)を弄(ろう)して寄付金の使い道を隠そうとするべきではない。ところが正義連は疑惑を提起した国民に向かって「反省してほしい」と逆に声を荒らげている。正義連はこのような形で「正義」を独占してきた。しかしその背後では被害者女性が「だまされるだけだまされ、利用されるだけ利用された」と訴えている。「正義」「公正」「民主」「人権」を掲げる集団の破廉恥さとネロナムブル(自分のことは棚に上げて、他人を非難すること)は今や国民の誰もが知っているが、「正義連」の場合は慰安婦女性たちの苦しみを利用したという点で度が過ぎている。(前出社説「飲み屋で1日3339万ウォン使った慰安婦団体、寄付金の内訳公開は拒否」)
「元慰安婦を食い物にしている」と批判されるのは当然で、今後も「ああ言えばこう言う」で、嘘の上塗りを重ねるのでしょうが、そのボスである新国会議員、尹美香のツラの皮の厚さは半端ではありません。嘘はつき放題で、何一つ釈明にはならないことを平然と並べたてながら、「こうしたことはすべて親日派の謀略だ」主張して、とかえって攻撃に出ようとする。
僕の診断は「ソシオパス」です。説明が面倒なので、何か代わりに説明してくれているサイトがないかなと思って見ると、こういうのがありました。ご参照ください。
・ソシオパスを見分ける方法
とくに「方法3」のところをご覧ください。尹美香には申し分なく当てはまることがお分かりになるでしょう。これが「虐げられた元慰安婦のおばあさんたちのために戦う」と自称し、激烈な日本非難を繰り返してきた団体のトップを務めてきた“正義の味方”の正体なのです。国会議員になって、さらなる日本攻撃に出ようとした矢先、自ら馬脚を露わしたことは、日本にとっては幸いなことでした。朝鮮日報や中央日報には今後も頑張っていただきたいと思います(ハンギョレなどは率先して「親日派の謀略論」を唱えていますが、数々の嘘がそれで正当化できるわけはないので、自社の信用を損ねるだけになるでしょう)。
前々回、ご紹介した彼女の嘘は――尹美香率いるこの団体が、2015年の「最終的かつ不可逆的な解決」を謳った日韓慰安婦合意を反故に追い込んだ――詳しい話を事前に韓国政府関係者から聞いていながら、「核心的なことは何も聞いていなかった」「慰安婦側の意向を無視したもの」と主張していたのに、実はそれは嘘で、伊本人は詳しい説明を受け、日本政府が拠出する10億円の基金についても、ちゃんと知っていながら、慰安婦たちには故意に伝えなかったというものです。これが元慰安婦の李容洙さんから暴露されると、「いや、ちゃんと伝えた」と言ったが、伊は「何も聞いていない」とその当時マスコミ向けに嘘をついていたのだから、何をかいわんや、ということになるのです。都合の悪いことを指摘されると、その都度違った嘘をつく。それが前の嘘とは矛盾するのだから、笑えるのです。
伊・元代表は、立候補時に「李さんが支持してくれている」と語ったが、これも真っ赤な嘘だったとのこと。
・慰安婦団体の前理事長 比例立候補時は疑惑提起の被害者が「支持」と主張
尹氏によると、比例代表に立候補する前は李さんらと議論できず、立候補した後に李さんに話したところ「よくやった」と言われ、「支持を受けて飛び上がるほどうれしかった」という。
だが、その後、尹氏がメディアとのインタビューで「李さんが私を支持してくれた」と発言したことについて、李さんが尹氏に電話をかけ「(慰安婦問題を)解決してから(政界に)行け。死ぬまでに解決しなければならないのにどこに行くのか」と話したという。
尹氏は李さんに「喪失感、名残惜しさ」があったとして、「この問題を解決するため(政界に)行くと話しても受け入れてもらえなかったと思う」と述べた。
何を言いたいのかよくわかりませんが、この件、嘘をついていたのが李さんではなく、尹美香の方だったということだけははっきりわかります。「元慰安婦の支持を得ている」と言わないと選挙に不利だから、嘘をついたわけです。
また、この団体は元慰安婦たちをダシに、事あるごとに寄付や募金を募り、それは莫大な金額に達しているのですが、前々回も見たように、実際はそのうち僅か18.5%しか元慰安婦たちの手には渡っていなかった(中央日報によれば、過去3年間では10%未満)。一方、尹代表は、自分の娘をアメリカのUCLAの音楽学部に留学させていた。日頃反米のアジ演説ばかりぶっているにもかかわらず、何でその目の敵にしているアメリカに娘を留学させるのだという批判の他にも、申告している自分の所得額は僅か(それに関しては後述記事)なのに、どうして多額に上るはずの留学費用が捻出できたのだ、という疑惑が出てきたのです。
これに関しても、尹美香は嘘をついていた。次は5/11の朝鮮日報の記事です。
・発言が変化した尹美香氏「娘の留学費、夫のスパイ事件の補償金で」
初めは「奨学金を支給してくれる大学を探して進学した」と言って、娘が優秀だから大方は奨学金だけで賄えている、みたいなことを言っていたわけです。しかし、それは嘘だとバレそうだと思ったのでしょう、今度は、
「『兄妹スパイ団事件』の再審で一部無罪の判決を受けた夫の刑事補償金などを使って、娘の留学資金を準備した」と党に釈明
することになったのです。この「兄妹スパイ団事件」とは何か?
「兄妹スパイ団事件」とは、1993年に反戦平和運動連合研究委員の金三石(キム・サムソク)氏とデパート従業員だった妹の銀周(ウンジュ)氏が北朝鮮のスパイに抱き込まれ、工作金の支援を受けるなどの活動を行ったとして起訴された事件だ。金三石氏は尹氏の夫だ。翌年、大法院(最高裁判所に相当)は兄の金三石氏に懲役4年、妹に懲役2年(執行猶予3年)の確定判決を下した。
しかし、金三石氏と妹は、スパイ行為をしたことはないとして再審を請求し、大法院は2017年5月、金三石氏にはスパイ容疑はないとして、不法拘禁など国の不法行為があったと判断した。
ただし国家保安法違反は認められ、金三石氏に懲役2年(執行猶予3年)が言い渡された。一部無罪となった結果、金三石氏は1億9000万ウォン(現在のレートで約1700万円、以下同じ)の刑事補償金を受け取った。また、18年7月にソウル高裁は、金三石氏と家族らが「スパイという烙印(らくいん)を押され、苦痛を受けた」として国を相手取って起こした損害賠償訴訟で、国に対し、金三石氏の母親、尹美香氏、尹氏の娘に8900万ウォン(約780万円)を支払うよう命じた。夫の金三石氏は05年に京畿道水原でインターネットメディアを創刊し、運営している。(※夫のその会社に当該慰安婦団体が不可解な業務委託をしている疑惑もある。)
家族が受け取った賠償・補償は総額2億7900万ウォン(約2400万円)に達する。尹氏が党に釈明した娘の留学費用の内訳は、総額8万5000ドル(約920万円)ほどだ。
親北朝鮮の文在寅政権の成立と同時に「一部無罪」判決が言い渡され、刑事補償金と、それとは別に損害賠償訴訟を起こし、夫の一家は「総額2億7900万ウォン(約2400万円)」を手にしたという話です。すべてがその夫のものになったわけではないはずですが、とにかくそれで「娘の留学費用…総額8万5000ドル(約920万円)」を賄ったというのです。
むろん、これも本当かどうかは疑わしい。5/12の朝鮮日報社説「飲み屋で1日3339万ウォン使った慰安婦団体、寄付金の内訳公開は拒否」は、そのあたり端的にこう指摘する。
元正義連理事長の尹美香(ユン・ミヒャン)共に市民党当選人夫妻は、その所得税の納付額から推定される年収が2人合わせて5000万ウォン(約440万円)にしかならない。ところがその娘は1年の学費が4万ドル(約430万円)に達する米国の大学でピアノを勉強している。生活費まで合わせると年間7000万-8000万ウォン(約620万-700万円)はかかるはずだ。留学費用の出所について疑惑が指摘されると、尹当選人はインタビューで「娘は1年の全額を奨学金として支援される大学を選んで行った」と説明した。しかし米国の州立大学が外国人に全額奨学金を支払うケースはほぼないとの指摘もある。すると尹当選人は「スパイ捏造(ねつぞう)事件で一部無罪判決を受けた夫の刑事補償金などで留学費用を工面した」と説明を変えた。「全額奨学金」が「刑事補償金」に変わったのだ。「全額奨学金」がうそだったのであれば「刑事補償金」は本当なのだろうか。 ※ 前回僕は「私立」と書きましたが、UCLAの場合はこの記事のとおり「州立」が正しい。
いい加減きわまりないのです。次は本日5/13付の社説です。
・【社説】元慰安婦の「だまされた」発言を「親日勢力の攻勢」と主張する韓国与党勢力
「慰安婦被害者支援団体という正義記憶連帯(正義連)の寄付金使用の内訳が不透明」だと批判されると、「疑惑の当事者である尹美香(ユン・ミヒャン)『共に市民党』当選人も『私に対する攻撃は保守メディアと統合党が作った謀略劇』『親日勢力の不当な攻撃』と主張した。『6カ月かけてごっそり暴き立てられたチョ・グク元法相を思い出す』とも発言した」というのですが、都合が悪くなると、全部「敵側の謀略」のせいにするのはあのチョ・グクと同じだとの指摘です。この中にも、
・正義連が飲み屋で実際にはおよそ430万ウォン(現在のレートで約38万円。以下同じ)使ったのに「3300万ウォン(約289万円)使った」と申告していた疑惑
・元慰安婦らの葬儀を受け持ってきた互助会社に1170万ウォン(約102万円)払ったと言っていたが、同社は「無料で行っただけで、お金を受け取ったことはない」と主張した。そのカネはどこに行ったのか
といった不審点が次から次へと出てくるのです。この互助会社も、善意で無料でやっていたのに、正義連がカネを払ったことにしていたのにはびっくりしたでしょう。韓国と日本ではいくらか法律も違うでしょうが、「正義の財団」である正義連は営利法人ではなく、NPO扱いされているはずで、税制でも優遇されているはずが、その帳簿は出鱈目そのもので、「使途不明金」がたくさんあるということです。次のような話も呆れる他ない。
正義連は、元慰安婦女性らをたたえるとして立ち上げた奨学金も仲間内で分け合っているとの批判を受けている。故・金福童(キム・ボクトン)さんが「在日朝鮮人学生のために使ってほしい」として寄付した資金から始まった奨学金は、金福童さんの生前は在日学生らに支払われた。ところが昨年金福童さんが死去すると「正義連理事」だった関係者や市民団体、民主労総、農民団体などの関係者の子息らが支給対象となった。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長を「偉人」とたたえ、駐韓米国大使館の塀を乗り越えて無断侵入した「大学生進歩連合」に所属する2人の大学生も奨学金を受け取った。それでも正義連は「おばあさんの遺志」と開き直っている。これは故人を利用しているのではないのか。
慰安婦団体に入ってくる資金はそのほとんどが国民の寄付だ。使い道がはっきりしていて、会計が透明であれば国民に隠す理由はない。ところが正義連は「企業には(使い道の公表を)なぜ要求しないのか、あまりにも過酷だ」として公開を拒否した。企業は国民から寄付を受け取っているのか。詭弁(きべん)を弄(ろう)して寄付金の使い道を隠そうとするべきではない。ところが正義連は疑惑を提起した国民に向かって「反省してほしい」と逆に声を荒らげている。正義連はこのような形で「正義」を独占してきた。しかしその背後では被害者女性が「だまされるだけだまされ、利用されるだけ利用された」と訴えている。「正義」「公正」「民主」「人権」を掲げる集団の破廉恥さとネロナムブル(自分のことは棚に上げて、他人を非難すること)は今や国民の誰もが知っているが、「正義連」の場合は慰安婦女性たちの苦しみを利用したという点で度が過ぎている。(前出社説「飲み屋で1日3339万ウォン使った慰安婦団体、寄付金の内訳公開は拒否」)
「元慰安婦を食い物にしている」と批判されるのは当然で、今後も「ああ言えばこう言う」で、嘘の上塗りを重ねるのでしょうが、そのボスである新国会議員、尹美香のツラの皮の厚さは半端ではありません。嘘はつき放題で、何一つ釈明にはならないことを平然と並べたてながら、「こうしたことはすべて親日派の謀略だ」主張して、とかえって攻撃に出ようとする。
僕の診断は「ソシオパス」です。説明が面倒なので、何か代わりに説明してくれているサイトがないかなと思って見ると、こういうのがありました。ご参照ください。
・ソシオパスを見分ける方法
とくに「方法3」のところをご覧ください。尹美香には申し分なく当てはまることがお分かりになるでしょう。これが「虐げられた元慰安婦のおばあさんたちのために戦う」と自称し、激烈な日本非難を繰り返してきた団体のトップを務めてきた“正義の味方”の正体なのです。国会議員になって、さらなる日本攻撃に出ようとした矢先、自ら馬脚を露わしたことは、日本にとっては幸いなことでした。朝鮮日報や中央日報には今後も頑張っていただきたいと思います(ハンギョレなどは率先して「親日派の謀略論」を唱えていますが、数々の嘘がそれで正当化できるわけはないので、自社の信用を損ねるだけになるでしょう)。
祝子川通信 Hourigawa Tsushin
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ゴーン、というわけで、なかなか秀逸ではありませんか? 報道によれば、
ゴーン容疑者と代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)は共謀し、平成22~26年度の5年間にゴーン容疑者が受け取った役員報酬は計約99億9800万円だったのに、計約49億8700万円と過少に記載した有価証券報告書(有報)を関東財務局に提出したとして19日に逮捕された。(産経新聞)
のだそうで、他にも余罪があると見られていて、同じ産経の別の記事によれば、
ゴーン容疑者らには私的な目的での投資金支出や経費支出などの疑いも浮上しており、高井弁護士は「それが事実であれば、会社法の特別背任罪や横領罪にあたる可能性もある」との見方を示す。
というような話です。日本企業の経営者の報酬はアメリカのCEOなどには珍しくない異常な高額報酬と較べると安く、それは「正常」だということですが、カルロス・ゴーン氏は「アメリカ並」なのに、それでもまだ不満だったのかもしれません。
いずれにせよ、「人間の欲にはキリがない」という古人の指摘は正しかったわけで、額が大きいと税金も高くなるから、何とかしてそれを減らして、私的な経費も会社のカネで落としたかったのでしょう。ひとくちに言えば「セコい」のですが、ゴーン氏のご面相を見て、その作りが一風変わっているだけでなく、何か動物的な印象を与えるなとかねて思っていた人には、「やっぱり…」という感想が思い浮かぶかもしれません。僕はかなりの部分、人を人相で判断しますが、この人には元から「大人(たいじん)」の風格がなかったのはたしかです。
しかし、そんなに意地汚くカネを溜めて、彼は何をするつもりだったのでしょう? それが自己目的化しているのでなければこんなことにはならなかったはずで、やり手だか張り手だか知らないが、あまりにもアホすぎます。カス・ロス・ゴーン?
日産はこれを機に、守銭奴CEOではなく、現場で働く社員の待遇をよくしてあげるといいでしょう。利益が上がっても潤うのは投資家と会社役員だけ、というアメリカの後追いをしてはいけません。
ゴーン、というわけで、なかなか秀逸ではありませんか? 報道によれば、
ゴーン容疑者と代表取締役のグレゴリー・ケリー容疑者(62)は共謀し、平成22~26年度の5年間にゴーン容疑者が受け取った役員報酬は計約99億9800万円だったのに、計約49億8700万円と過少に記載した有価証券報告書(有報)を関東財務局に提出したとして19日に逮捕された。(産経新聞)
のだそうで、他にも余罪があると見られていて、同じ産経の別の記事によれば、
ゴーン容疑者らには私的な目的での投資金支出や経費支出などの疑いも浮上しており、高井弁護士は「それが事実であれば、会社法の特別背任罪や横領罪にあたる可能性もある」との見方を示す。
というような話です。日本企業の経営者の報酬はアメリカのCEOなどには珍しくない異常な高額報酬と較べると安く、それは「正常」だということですが、カルロス・ゴーン氏は「アメリカ並」なのに、それでもまだ不満だったのかもしれません。
いずれにせよ、「人間の欲にはキリがない」という古人の指摘は正しかったわけで、額が大きいと税金も高くなるから、何とかしてそれを減らして、私的な経費も会社のカネで落としたかったのでしょう。ひとくちに言えば「セコい」のですが、ゴーン氏のご面相を見て、その作りが一風変わっているだけでなく、何か動物的な印象を与えるなとかねて思っていた人には、「やっぱり…」という感想が思い浮かぶかもしれません。僕はかなりの部分、人を人相で判断しますが、この人には元から「大人(たいじん)」の風格がなかったのはたしかです。
しかし、そんなに意地汚くカネを溜めて、彼は何をするつもりだったのでしょう? それが自己目的化しているのでなければこんなことにはならなかったはずで、やり手だか張り手だか知らないが、あまりにもアホすぎます。カス・ロス・ゴーン?
日産はこれを機に、守銭奴CEOではなく、現場で働く社員の待遇をよくしてあげるといいでしょう。利益が上がっても潤うのは投資家と会社役員だけ、というアメリカの後追いをしてはいけません。