役人はつらいよ

2017.05.26.15:15

 作家・城山三郎氏が描いた意気揚々たる霞が関の官僚群も今は昔、昨今は「国を背負って立つ」プライドどころではなさそうです。以下、産経の「前文科次官会見詳報」なる記事(註を付け、あとは漢字表記だけ、少しいじりました)より。


・…文科省の、特に国家戦力特区に関わっている職員の人たちは本当に気の毒だと思う。もともと十分な根拠なく規制緩和が行われ、本来、赤信号のところを青にさせられて、その経緯について示す文書について、これがなかったとする。実際にある文書をなかったことにする。いわば白を黒にするよう言われているようなものですから。本意ではない、意に反することをさせられている、言わされている状況が続いている。本当に気の毒だと思う。先ほども申し上げたが、大臣を含めて気の毒だと思う。

 私は辞めた立場なので自由に発言できるし、政権全体のことを考える必要はないという立場で、こういった話で出てきて自由に話ができるわけだが、現在の文科省にはなかなか、官邸、内閣官房、内閣府といった政権中枢の意向や要請に逆らえないという状況があると思う。そういった中で、それぞれが責任のある判断ができなくなっているのではないかと思う。

 これは、〔獣医について〕農水省や厚労省が実質的な人材需要の判断をせず、いわば逃げているが、逃げざるを得ない。彼らが本当に人材需要について検討すれば、人材需要はない〔=獣医学部増設は不要〕ということになるかもしれない。そういう結論を出すわけにはいかないから逃げていると見ることもできる。

 ですから、そういう関係が政権の中枢と各省との間にできてしまっていることは、非常に問題があるんじゃないかなと思っている。

・あるものをないといわざるを得ないとか、できないことをできると言わざるを得ないとか、そういう状況に追い込まれていると私は受け止めております

・――(獣医学部新設計画をめぐる)一連の記録文書にある「総理のご意向」「官邸の最高レベル」という言葉は、あくまでも内閣府の藤原(豊)審議官の言葉ということだが、もし首相の意向がなかったにもかかわらず、審議官が勝手に使ったら大変なことになる。これまでの経験で首相の意向について、嘘をつくとかつかれた経験はあるか

 前川氏「私自身は経験ないです」

 ――そういう文言があったとしたら、それは信じてしかるべきだという前提で読むという理解でいいか

 前川氏「私が目にした文書は、文科省の専門教育課が作ったものでありまして、専門教育課の職員が内閣府の藤原審議官のもとを訪れて、藤原さんがおっしゃったことを書き留めた。そういう性格の文書です。
 私は部下だった職員が書いてあることを聞いてきたのだと。100%信じられると思っておりますので、藤原さんがそういうことをご発言になったということは私は確かなことであろうと思っております」

・前川氏「最終的には内閣府に押し切られたと私は思っていますが、国家戦略特区で規制改革をするかどうかについては、主務官庁は内閣府ですから。内閣府が最終的にそのように判断したのであれば、もう私どもの手の及ばないところであると。致し方がないと。それを受け止めるしかないと」

・もちろん、今回の文書をめぐっては、こういう発言を私がすることによって非常に文科省の中にも混乱が生じるだろうと思っている。文科省としては調査をしたけれども確認できなかったと言っているわけですから、私が(記者会見に)出てきて「それはありますよ」と言うことによって、非常に文科省も困った事態になるということだろうと思っていて、私の後輩たち、私がお世話になった大臣、副大臣といった政務三役の方々に、この件でご迷惑をおかけすることになるかもしれない。その点については大変申し訳ないと思うが、あったものをなかったものにできないということで申し上げたいと思っている。

・――閣議決定を無視してでも、何としても加計学園を通そうとする姿勢は、第2次安倍晋三政権になってからか。それとも安倍政権ができる以前からか。昨年12月22日に3大臣合意で(獣医学部新設を)1校だけだと合意したときに、どうして1校だけで合意することになったのか、当時事務次官として聞いていたか

 前川氏「政治主導や官邸主導は、小泉(純一郎)政権のころから強まっており、徐々にそういう力関係になってきていると思う。政と官の関係、あるいは政府と党の関係、あるいは官邸と各省の関係は、20年ぐらいの間で、かなり変化してきていると思う。その変化の結果として今現在の関係があると思う。今、政権中枢の力が非常に強まっているのは事実だ。



 要するに、官邸が「書類はあっては困る。ないと言え」と言えば、「ありませんでした」と答えざるを得ないのが今の官僚で、今回の件では「初めに加計学園ありき」で事は進んだが、それは社会的公正を害するとか、従来の「獣医学部増設は不要」という判断には合理的根拠があるとか言って反抗すれば自分のクビが飛ぶだけなので、目をつぶって従うほかはなかったということです。

 前川氏は先の文科省OBの大学への不正天下りの件(組織ぐるみでそれを支援し、在職中の就職活動禁止の規定にも触れていた)で、責任を取って事務次官を辞任していたわけですが、誇りも何もそうやって奪われていたのでは、役得で「甘い汁」を吸うことぐらいしか今の官僚に楽しみは残されていないということになっても、さほど不思議ではありません。

 中に、「官邸主導は小泉政権の頃から強まった」とありますが、これまでこの「官邸主導」は肯定的な文脈で語られることが多かったので、それは「前例踏襲で保守的な官僚が前向きの改革を妨害している」というステレオタイプの理解に基づくものです。僕自身は「小泉改革」なるものも評価しませんでしたが、とにかく「官邸主導はよいもの」だとして肯定的に見られてきたのです。

 ところが森友問題でも、今回の加計学園の件でも、それは低次元の「政治の私物化」に利用された。前にも言ったように、それで「韓国並情実政治」が実現し、官僚はそれにも抗えなくなっている、という情けない実態が明らかになったのです。

 安倍内閣の政策でこれまで成功したものはほとんどありません。たまたま巡り合わせがよかったからボロが出ず、マスコミも批判を控えたから「この程度で済んでいるのはアベノミクスのおかげ」という誤解が一部に生じただけで、この政権のネット(正味)は「時代錯誤のウルトラ国家主義内閣」でしかないのです。原発見直しの機運も、このクソ内閣のせいで潰えてしまった。こんな「後ろ向き」の内閣、いくら自民党でもめったにありません。

 それでも政権支持率が5割台を維持しているというのは、マスコミが批判を“自粛”しているという理由の他に、前回書いたような、今の日本社会に瀰漫(びまん)する特殊な心理的要因によるのだろうと思いますが、官僚に話を戻して、今は官僚の最大の供給基地、東大でも優秀層は官僚を忌避する傾向にあると伝えられています。こういう現状ではそれも無理はない。今回の一連の事件報道で、さらにそれに拍車がかかるでしょう。幼稚で無知蒙昧なヤンキー総理夫妻の行政の壟断(ろうだん)にも黙って耐えねばならないというのでは、東大生のプライドが泣くというものだからです。

 今の安倍政治は、だから、「官僚の質の一段の低下」という有難くない“遺産”まで残す結果になるでしょう。イエスマンに徹して出世の階段を駆け上りたいという浅ましい連中が幅を利かせるようになって、「政治の暴走」はさらに加速する。われわれ日本人は「素晴らしい未来」をもつことになるでしょう。

 今のお役人たちはほんとにつらいだろうなと思います。僕は学生時代、霞が関の官僚には「高速事務処理能力」が求められる、という話を聞いたことがあります。プライドの代償に、それに耐えねばならないのだと。「そういうのは東大の連中に任せるにかぎるな」「言えてる。毎日それじゃ、オレたちだと発狂してしまうからな」と不良同士言い合って笑ったことがあるのですが、今はそのプライドも危うくなっているのです。

「こんな馬鹿な話、通せませんね」
「何を言ってるんだ、君。これは例の『昭恵案件』なんだよ!」とか、
「総理じきじきのお達しだから、これがおかしな話だというのがわからないようになるよう、知恵を絞って『正当』らしく見えるように、何とか理屈をこじつけてくれたまえ」

 なんて、上から命令が下るのです。やっとられんわ、こんな仕事、と思わずにはいられないことでしょう。場合によっては、「ニュースに出て、騒ぎになりそうだから、早くあの書類一式、シュレッダーにかけて!」なんて命令が出ることもあるのです。しかし、まだ個人のパソコンには残っていて、どことどこにあるのかわからないので、後から出てきちゃうこともありえますが、と言うと、「政府に不都合なことで検察が動くということはまずないから、家宅捜索の類はないので、『初めから存在しなかった』ということで口裏合わせをしとけばいいだけの話だ」と言われるのです。官房長官も「怪文書」だと仰っているのだから、あれはどう見ても「フツーの役所文書」だが、「怪文書」だと言い張れば、めでたく「怪文書」の扱いになるのだ、云々。

 安倍政権になって、この手の情けないドタバタは一段と増えたことでしょう。お役人たちのプライドと仕事への意欲はズタズタになっているはずです。

 かくなる上は、「内部告発」を増やすにかぎるので、そしらぬ顔してマスコミや週刊誌にリークしまくるのです。そしたら政府には恐怖で、腐れ政権を倒すことができる。あちこちでそれをやれば、処分のしようもないので、先に政権が倒れてしまう。それにお役人としては、政府の不正を暴いただけだから、公僕としての使命は果たしていることになるのです。不正の片棒を担がされて、あるものまでないと言わされているより、それははるかに公益に資するのです。「社会正義の実現」は役人の務めの一つではありませんか?

 ということで、僕はそちらに期待します。前川前事務次官に続け! 真のプライドを回復せよ! 風俗通いがバラされたぐらいでひるんではなりません。僕は学生の頃、新宿駅東口にある「大人のおもちゃ」店で、棚卸のバイトをしたことがあって、そこの店長と懇意になって、棚卸のたびに電話をもらってその効率のいいバイトをさせてもらっていたのですが、仕事の後コーヒーをごちそうになりながら聞いた話がすこぶる興味深かった。顧客には意外や「社会的ステータスが高い」人が多いのだという話で、医者や高級官僚、私学の理事長、弁護士等々、政治家まで、バラエティに富んでいたのです。何でも彼らは日頃威張っていることの反動か、M(マゾ)が多いという話で、そこには商品名『愛のムチ』なんてのがあって、それは「売れ筋」だそうでしたが、そういうので叩かれるのが好きだというのです。プレーの詳細についても聞いて、それは爆笑ものでしたが、別にそれ自体は法に触れるものではないので、皆さんオフではお好きにすればいいのです。前川前事務次官なんかは、こういうのに較べるとはるかに高尚で、「社会勉強」をなさっていたのです(別に僕は皮肉を言っているのではありません)。

 僕は当時、裏街道の人にも知り合いがいた(別にこちらから接近したのではなく、なぜだかその種の人には好かれたのです)ので、政治家にはしばしば暴力団にも劣る奴がいるのも知っています。このへんはときに銀行の方がサラ金より悪質なことをやっていたりするのと同じです。連中がカマトトぶって風俗通いがどうのと言うのはお笑いなので、「あんたみたいな人間に言われたくない」と一笑に付せば足りるのです。

 よって、内部告発はバンバンやるべし。官邸が官僚の私生活ネタを暴露して告発者の信用を害しようとするのなら、官僚は閣僚のそれを暴露して対抗すればいいのです。政治家センセのことだから、それはそんなに苦労しなくても見つかるはずです。たんなる省益や私怨のためにするのでなければ、それは許される。こんな夜郎自大な政権をのさばらせておくのは社会正義に反するので、「無礼な奴には無礼に対応するのが礼儀にかなっている」という文豪ゲーテの言葉に習うのです。
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御用新聞、産経&読売の「安倍の守り方」

2017.05.25.13:12

 加計学園問題が佳境に差しかかっているようですが、それにつけても興味深いのは産経と読売のこの問題に対する対応です。「おまえら、それでも報道機関か!」という声にはこ揺るぎもしない。他のメディアがなければ、ここはほとんど北朝鮮です。

 産経の方は、安倍の「お友達への利益供与」については触れずに、民進党の玉木議員が獣医師会から百万円の献金を受けていた、次は同じ民進党の高井たかし議員が熱心な「推進派」だったと連日騒ぎ立て、「民進党に首相を批判する資格はない」というところに話をもっていこうとしています。

 しかしですよ、別に玉木議員のは違法ではないし、それで「獣医師会の意向に合わせて規制改革を妨害しようとしているだけ」というのは“忖度”が過ぎる議論でしょう。高井議員の話も、感心できた話ではないにしろ、地方議員にはよくある話で、問題はそういう通常手段では成功しなかったのに、安倍の「鶴の一声」で一気に決着がついて認可されたという点にある。政治家が地方や利益団体の陳情を受けて動くというのは珍しくないが、安倍がお友達のために権力を乱用して、「控えおろう、総理のご命令である!」ということで、ふつうなら通らないはずの案件があっさり通ってしまったところが問題視されているのです。

 けれども証拠文書も出ているので、民進党を笑いものにするいつもの「陽動作戦」だけではどうにもならない。弱ったな…というところで、日本版人民日報、御用新聞としては産経より“ランクが高い”読売のご登場です。

 しかし、そのやり口は産経よりもっとえげつない。僕は前に「今のサンケイは完全なイエローペーパー」と書いたことがありますが、これはその産経も顔負けです。その文書を出した人物の「風俗通い」を書き立てて、「こういう人なんですから、当然その文書なんてものも信用できないんですよ」という、「印象操作」(安倍は自分が批判された時「それは不当な印象操作だ!」とよくわめいていますが)に乗り出したのです。その情報の出所はむろん、安倍内閣。それをリークして読売に書かせたというのだから、「セコい!」の一語に尽きるのです。

加計学園疑惑リーク元 読売新聞が異例報道の「官僚の風俗通い」は安倍官邸からの“リーク”

 これは、目下文春と喧嘩中の週刊新潮6月1日号の予告記事です(ちなみにあの喧嘩は明らかに新潮の方が正しい。文春側のホームページの応答は反論にはなっていません)。

「記事にしたあとに、官邸スタッフから、“安倍総理周辺は、どこかのメディアと組んで前川さんに人格攻撃を仕掛けようとしている。その結果、前川さんの出した文書の信憑性が問われ、丸々報じた朝日も恥を掻くことになるから”と言われました」(加計学園文書の存在を報じた朝日新聞の関係者)

 ということなので、いかにも腐れ政権が考えつきそうな姑息な手なのです。安倍という卑劣漢に、正義や誠実の文字はない。嘘八百で固めた「共謀罪」(朝日によれば、「国連特別報告者のジョセフ・カナタチ氏(マルタ大教授)が『共謀罪』法案に懸念を示す書簡を安倍晋三首相に送ったことについて」、官邸はブチ切れ、菅官房長官は「『共謀罪』法案は国連総会で採択された国際組織犯罪防止条約の締結に必要な国内法整備だと改めて強調した」そうですが、それが嘘なのです)も衆院を通過したし、この調子では憲法改正(僕はそれ自体には必ずしも反対しませんが、安倍自民の国家主義的改悪案には断固反対します)まで突っ走るでしょう。子分の各種御用マスコミを手足のように自在に使って、印象操作と手段をえらばずの敵潰しで、「宿願成就」をはかるつもりなのです。

 要するに、安倍政権というのは「禁じ手」を連発して恥じない稀に見る政権だということですが、彼らはどうしてそれで平気なのか? 僕はこれを解く鍵は「カルト宗教心理」にあるのではないかと見ています。「神様に呼ばれた」と言う昭恵夫人のオカルトぶりは有名になりましたが、夫の安倍晋三も、それを支えるお友達や日本会議関係者も、産経や読売をはじめとする右派マスコミも、先祖返りの国家主義幻想にとりつかれたカルト信者の集まりなのです。「正義は我にあり」で、自分たちは「美しい理想」に挺身している。愚かな国民はそれがわからないから、嘘をついてでも騙してでも、敵をどんな手段で潰してでも、そちらにもっていくのが「使命」である、そう思い込める人たちなのです。それはあのオウム真理教の邪悪な独善性と通底するところがある。宗教を前面に出していないので、見た目にオウムほどわかりやすくはないというだけの話です。

 国家権力の中枢は、今やそういうカルト集団に握られている。狂信者には通常の常識に基づく批判は通じない。ふつうなら、これだけスキャンダルが続発すれば、政権は自信を失って倒れます。しかし安倍は、「高邁な国家主義的理想」に殉じるつもりでいるから、事実としては「身から出た錆」にすぎないそうしたスキャンダルも、「神の与えたもうた試練」みたいに思い込んで、かえって自己陶酔を強化する結果になるのです。

 僕には賄賂をもらって不正蓄財に励む世俗政治家よりも、この手合いの方がずっとこわい。「出来の悪い三代目」である彼は、そのコンプレックスの補償に「偉大な祖父もなしえなかった国家主義の復活」を理想として掲げ、それに自己同一化したのです。「幼稚なファンタジー」ではあっても、ファンタジーだからこそ、通常の批判は通じない。

 経済が斜陽化して、ジャパン・アズ・ナンバーワンの“栄光”は過去の話、経済発展にしか自尊心の拠り所を見いだせなくなっていた日本人の多くが自信を喪失した時、安倍のような男が政権に就いて、「美しい国」妄想を振りかざし、それに「失われたものの回復」を期待する人々が群れ集まるというのは、ある意味で「歴史の必然」なのかも知れません。過去の歴史は無理にでも美化し、「強い国家」を作り、それに自己同一化することによってコンプレックスや空虚さを“克服”するというのは、心理学的には不毛で病的なプロセスなのですが、そういうのが例外的なものではなくなっているのです。

 昭恵夫人と安倍晋三は、ほんとに似たもの夫婦です。どちらも申し分なく毛並はいいが、中身がなく、お勉強の方もさっぱりということで、いや増すコンプレックスを解消すべく見つけたのが、「神の国」への自己同一化だったのです。揺らぎそうなその「信仰」を「いいね!」の数でカバーし、「頼られる私」に陶酔したいがために公私混同をものともしない、という点でも共通している。

 実際問題として、幻想や自己欺瞞に頼らずに生きられる人は稀です。ただ、それにも程度というものがあって、あるレベルを超えるとそれは「病気」になります。安倍夫妻の場合、とうの昔にそれを超えていると思われるので、それが逆に彼らの“強み”になってしまっている(常識は通じないから)ように見えるのは皮肉なことです。

 読売や産経にしても、カルトの別動隊、「同じ理想を抱く同志」なのでしょう。だから露骨な援護射撃に終始しても、「報道機関の公正」よりも「信仰」の方が優先されるから、別に問題とは感じない(しかし、記者たちが全員「信者」だとは思えないので、内部の「言論の自由」はどうなっているのでしょう?)

 そういうものだと思って見ていると、今の不可解な政治状況やマスコミの動きもわかりやすい。かつてナチスは、最大の敵共産党を潰すために、国会議事堂放火事件を自作自演し、それを共産党のしわざにして、一気に叩き潰したのですが、安倍政権もその程度のことはやりかねない。今のところ共産党は産経、読売の餌食にもなっていないようですが、そのあたり用心して下さいね。今の日本はこわーい国なのです(だからといって委縮したのでは彼らの思うツボなので、そうなられては困りますが)。

「共謀罪」に反応しないのは学校の管理教育のせい?

2017.05.20.14:34

「政府の意向に反したものは全て取り締まりたい、そのための武器がほしい、という権力の本音は何も変わっていない」

 そう語るのは元駐中国大使の丹羽宇一郎さん(78)で、これはむろん、「『共謀罪』の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案が十九日、衆院法務委員会で可決された」ことを受けてのものです。詳しくは東京新聞の次の記事。

「共謀罪と共通点」警職法 59年前に横暴を阻んだ市民運動

「法案の成立を許せば『今生きている世代は、ここ五、六十年で最悪ということになる。絶対に阻止する気迫と情熱が欠けている』と警鐘を鳴らす」とありますが、自公連立政権が絶対多数を握っている上に、維新の会が賛成に回っているので、阻止はできないでしょう。

 昔みたいに、大学生を中心として若者が大反対運動を起こすということもない。必要なのは「世論の猛反発」ですが、それがないのです。今の大学生にとって重要なのはシュウカツで、そちらが順調ならまあ文句はない。そんなところでしょう。

 例の加計学園の件は、あれだけ証拠がありながら、いまだに政府は知らぬ存ぜぬを決め込み、野党がどんなに騒いでもそれは無視できるというのは驚くべきことです。末期の朴槿恵政権と違って安倍政権の支持率は下がっていない。何とも不思議です。

 まあ、まだ衆院本会議可決にはいたっていない。次に参院もある。理論的にはまだ潰すチャンスは残っているわけですが、「政府は一般市民は関係がないと言うし、僕ら(私たち)は怪しまれるようなことはしないから、それで逮捕される心配はないんじゃありませんか?」というのが「フツーの人」の反応なのでしょう。一方でスノーデン本が売れていても、今の大方の人は、とくに若者は、管理慣れしすぎているから、個人情報を把握されても、電話やメールを盗聴されても、そういうのは気にならないのかも知れません。ネットのあの薄気味の悪い「パーソナル広告」なんてものも、腹を立てるどころか「親切で便利」なんて言っていたりするようだから。一言でいえば、アホになっているのです。妙な虚栄心はあっても、独立自尊の気概などというものはない。逮捕されなきゃ別にいいんですよ、という感覚です。

 大体、政治運動、反政府運動をする人なんてのは、「偏った」人たちで、サヨクでしょう? 僕らは関係がないんで、そういう人たちが逮捕されても関係ないんです。生活の安定が大事なんで、そこそこ貯金もできて無事に暮らせるかどうかが大事なんですよ。蟻塚の蟻とおんなじだなんて言われても、そんなことは気にしません。よけいなことをして政府ににらまれ、警察がそれを“忖度”して暴走したとしても、そういう「よけいな」ことをするから悪いんで、それで人生を棒に振るなんて馬鹿じゃありませんか?

 だから、例えばヤフーのニュースサイトに出ている次のジャーナリスト・まさのあつこ氏の周到な警告記事のようなものを読んだとしても、これは本質を衝いたよくできたものだと僕は感心したのですが、何も反応しないのです。

「共謀罪」焼け太り法案強行採決

 これを読めば、それがどんなに危険なものなのか、実感できると思いますが、ここに挙げられている例はどれも政治がらみで、自分たちは市民運動の類とはそもそも「関係ない」から、どうでもいいと思うのです。それでどんどん政治がおかしくなって、しまいには自分の生活に直接影響が出てくるまでになって、その段階で初めて騒ぎ出すのですが、そのときはもう「手遅れ」なのです。他者の運命には無関心で、自分のそれに関してだけ大騒ぎするこの手の人たちは、身勝手な政治権力と同じくらい危険で、「暗黒時代の招来」に対して責任があるのだと僕は思いますが、そういう自覚はないのです。

 こういうふうになるのには、学校の管理教育も大いに貢献しているのではないかと僕は思うので、しばらく前も全日制都立の六割の高校で「地毛証明書」なるものを提出させていた、というニュースがありましたが、こういうのは例の「容儀検査」というものがあるからで、今は大方の公立中・高校でこれをやっているのです。ずいぶん前からこういうのはやっているようだから、今の四十代ぐらいから下はその経験者でしょう。僕はいっぺんもそんなものを受けた記憶はないので驚いたのですが、日の丸君が代も今は学校式典では「必須」となっているので、僕など君が代はいまだに歌詞もロクに知らないままですが、これは一度もそのようなことを強要されたことがなかったからです。大体、あんな陰気なメロディ、僕は好きではないので、これは幸いだったのですが、今はそんなことは言ってられないのです。

 今はいちいちそんなことに反発していたのでは身がもたないし、学校も卒業できないということになるのでしょう(実際、今なら卒業できていたとは思えない)。「管理慣れ」にはこういうことも関係するのです。管理されているのが常態になれば、新たな管理強化もそれだけやりやすくなる。子供の頃は、たとえそれが理不尽なものでも、学校の意向に沿った管理に反する者は罰せられるという経験をして、それが「ふつう」だと思い込んで育つと、政府の意向に沿った管理が行われ、それに反したり、逆らったりする者が処罰されるのも別に理不尽で不法なことだとは思わなくなる。罰せられる側が「悪くて愚か」だということになるのです。

 ブラック企業、ブラック職場の背景には、子供時代のブラック部活の問題が隠れているのではないか(つまり、理不尽な部活体験の記憶があるので、理不尽なブラック職場にも文句が言えず、耐え忍ぶだけになる)、という指摘がなされていますが、学校時代の度の過ぎた生徒管理が、政府の独善的な管理と暴走に抗えないオトナを作り出すのです。

 その意味では、今の学校も多いに責任があるわけで、後でこの「テロ等準備罪」(何度も言いますが、大方はテロとは無関係)なるものが悪用されて治安維持法並になったとして、後世の歴史家はそれが成立した背景を探り、「学校の管理教育の成果」として、国民がこの手のものに鈍感になり、それに明確な反対の声を上げられなかったことを大きな理由の一つとして挙げるかも知れません。

 ちなみに、この「共謀罪可決」をネットでニュース検索していて、面白い現象を見つけました。大手新聞、通信社はもとより、多くの地方新聞(目ぼしいものはほとんど全部と思われる)が批判的な論説や記事を載せているのに、あのうるさいまでにネットにはよく出てくる産経と、「日本版人民日報」と揶揄される読売の記事が全く出てこないことです。グーグルで五ページ目まで見てみたが、一つも出てこない。「安倍政権に不利なことは書かない」という両紙の“方針”の徹底ぶりには失笑させられます(「テロ等準備罪可決」にワードを変えてみると、産経の「警察現場が歓迎している」という記事が出てくる。それはあたりまえで、他でもないこの「警察現場が歓迎」というのが一番懸念されていることなのですが…)。

韓国嫌いの首相が韓国並「情実政治」を国内に持ち込む皮肉

2017.05.17.13:23

 常識ではやるのがあたりまえの昭恵夫人証人喚問も行われず、森友学園の件はごまかしたままですが、どうやら今度は加計学園についての追及も本格的に始まりそうです。朝日や河北新報の記事もネットに出ていますが、次は毎日の本日記事。

 学校法人加計(かけ)学園(岡山市)が国家戦略特区制度を活用して、愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画について、民進党の玉木雄一郎氏は17日の衆院文部科学委員会で、文部科学省が特区を担当する内閣府から、「総理のご意向だと聞いている」「官邸の最高レベルが言っている」などと言われたとする記録が存在することを明らかにした。松野博一文科相は「文書の存在を含め確認していないが、確認したい」と述べ、事実関係を調査する意向を示した。【伊澤拓也、杉本修作】

 この件に関して、「安倍首相は国会で『加計学園から私に相談や圧力が働いたということは一切ない』と答弁している」そうですが、答弁がはなからズレているので、自分が「お友達の意向を忖度」して動いていれば、同じことなのです。具体的にはどういうことがわかっているかというと、

 毎日新聞が文科省関係者から入手したA4判の文書によると、「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」と題された文書には「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい」「これは官邸の最高レベルが言っていること」と早期の開学を促す記述があった。
 「(文科)大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」と題する文書には「設置の時期については(中略)『最短距離で規制改革』を前提としたプロセスを踏んでいる状況であり、これは総理のご意向だと聞いている」と書かれていた。
 また、この文書には「国家戦略特区諮問会議決定という形にすれば、総理が議長なので、総理からの指示に見えるのではないか。平成30年4月開学に向け、11月上中旬には本件を諮問会議にかける必要あり」との記載もあった。
 文科省関係者によると、一連の文書が作成されたのは昨年9~10月で、一部の文科省幹部で共有されたという。
 獣医師系の大学は全国で16あり、国は「質の確保」を理由に大学設置や定員増を制限しており、獣医学部は北里大が青森県に開学した1966年を最後に新設されていない。


 ヤンキー内閣はむろん、全力を挙げてこれを否定する。

[東京 17日 ロイター]-菅義偉官房長官は17日午前の会見で、安倍晋三首相の知人が理事長を務める学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐって、官邸や首相から圧力があったことを示す記録が文書になっていたとの報道について「そのような事実はない」と否定した。

 説得力ゼロですが、一体いつのまにこういう嘘八百の政府の「弁明」が通る国に、日本はなってしまったのか? そもそもやってることが韓国の大統領と同じなので、夫婦そろって韓国並の「情実政治」を本格導入して下さる理由は何なのか? 韓国の場合、元々がそういう前近代的な体質が社会に濃厚にある上に、大統領権力が強すぎるのが原因だと言われていますが、「安倍一強」なんて言われているうちに、首相権力が強くなりすぎて、周囲がヒラメ議員、ヒラメ官僚だらけになって、こうなったのかと思われますが、これが安倍の言う「美しい国」の現実なのかと思うと、吐き気がしてきます。

 こういう腐れ政権を日本の有権者はいつまで許容しておくつもりか? 韓国は嫌いだが、韓流情実政治の輸入は望ましく理想的だと、ネトウヨや日本会議関係の皆さんは大いに有難がっているのか、あらためて訊いてみたいくらいです。

たんなるいつもの北朝鮮

2017.05.14.12:21

 北朝鮮が「14日早朝、北西部の亀城(クソン)から弾道ミサイル1発を発射した」ことを受けて、

 安倍首相は総理官邸前で記者団に「国際社会の強い警告にもかかわらず、北朝鮮がミサイル発射を強行した。断じて容認できない。強く抗議する。北朝鮮の度重なるミサイル発射は我が国に対する重大な脅威であり、国連の安保理決議に明確に違反する」と述べた(CNN)

 そうですが、NHKのウェブニュースによれば、

 政府は、北朝鮮が発射した弾道ミサイルはおよそ800キロ飛んだと推定されるとしていますが、政府関係者によりますと、「ロフテッド軌道」と呼ばれる、通常よりも高い角度で高い高度まで打ち上げ、意図的に飛距離を出さないことを狙った可能性もあるということです。政府内には、今回の弾道ミサイルはおよそ30分間飛び、高い高度まで打ち上げられたと見られることなどから、発射は成功したのではないかという見方もあり、防衛省などが弾道ミサイルの種類などの詳しい分析を進めています。

 とのこと。飛行時間の割には飛んだ直線距離は小さいので、落ちたのは「日本の排他的経済水域の外」で、被害も確認されないという。要するに、「たんなるいつもの北朝鮮」なので、馬鹿の一つ覚えみたいに「断じて容認できない」と力み返るほどのものではありません。金正恩にしては自制が利いていて、“理性的”なのです。北朝鮮にしてみれば、これはアメリカのトランプ向けのメッセージで、「ボクちゃんのミサイル、その気になればほんとにアメリカまで届くんだから。でも今のところはそんなことはしないということを示すためにこういう飛ばし方をしたんだから、相談に乗ってよね」と言いたかったのかも知れません。

 要するに、アベちゃんのことは金正恩の念頭にはないわけで、この前うちから彼がやたらと北朝鮮ミサイルの危険性を騒ぎ立てて見せるのは、森友問題から逃れ、あわせて彼の考える「憲法改正の必要性」をアピールするためで、実際には自民党内部にもシラけた空気が漂いかけているのではないでしょうか。安倍の「個人的都合」に、この問題は利用されつつあるのです(失点続きで、「安倍後継」の目はもうなくなった稲田防衛相も、ずいぶんとやせておやつれになったようです)。ご本人にその自覚があるかどうかはともかく、「国家防衛」ではなく「自己防衛」が安倍の真の目的なので、ヤンキー政治家のそれが限界です。

 追いつめられた金正恩が今後“暴発”しないという保証はどこにもないので、危険は危険ですが、こういうことでいちいちギャアギャア騒ぐのと、それへの対応は別物です。安倍のように自己陶酔的に「毅然とした対応」ばかりアピールしたがる政治家はそのあたり心許ないので、二枚腰、三枚腰の、もっと頭の複雑な、肚(はら)のある人物に代えておかないと、イザというとき困るのではありませんかね? 僕はむしろそちらの方を懸念しています。
プロフィール

大野龍一

Author:大野龍一

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