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これで韓国・お月さん大統領の政権は終わりが早まる?

2019.08.23.01:41

「まさか」と「やっぱり」が交錯するニュースだったようです。以下、時事通信。

【ソウル時事】韓国政府は22日、日韓防衛当局間で軍事機密のやりとりを可能にする軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すると発表した。同日午後の国家安全保障会議(NSC)で破棄の方針を決定し、文在寅大統領が了承した。24日の延長期限までに日本政府に通告する。繰り返される弾道ミサイル発射など北朝鮮の脅威に対抗する日米韓の安全保障の連携は、文政権下で後退を余儀なくされる。
 破棄を発表した韓国大統領府の金有根・国家安保室第1次長は、日本政府が貿易管理上の優遇対象国から韓国を除外すると決めたことが「両国間の安保協力環境に重大な変化を招いた」と指摘。「敏感な軍事情報交流を目的に締結した協定を持続させるのは国益に合致しない」と述べ、日本への不信感が破棄の理由だと示唆した。
 GSOMIAは朴槿恵前政権下の2016年11月に締結。北朝鮮が核・ミサイル開発を進める中、日韓両政府による安全保障上の連携の「象徴」とされ、北東アジアの安定に向けた日米韓協力の支えとなっていた。(2019年08月22日21時20分)


 同じ時事通信の別の記事には、「日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄決定に関する22日の韓国大統領府発表文の全文」なるものが出ています。

 韓日間の「軍事秘密情報の保護に関する協定」、すなわちGSOMIAの延長可否に関する政府の決定について発表する。
 政府は韓日間GSOMIAを終了することを決定し、協定に基づき、延長の通告期限内に外交経路を通じて日本政府に通告する予定だ。
 政府は、日本政府が8月2日、明確な根拠を提示せず、韓日間の信頼が損なわれ、安保上の問題が発生したという理由で「輸出貿易管理令の別表の第三国群(いわゆる「ホワイト国」リスト)」から韓国を除外したことで、両国間の安保協力環境に重大な変化を招いたと評価した。
 このような状況で、政府は安保上、敏感な軍事情報交流を目的に締結した協定を継続することが、われわれの国益に合致しないと判断した。


 お月さん大統領(英語表記が Moon だから僕はそう呼んでいるのですが、lunatic という意味でもぴったりです)はかねて北朝鮮に特別な愛想を振りまいてきましたが、返礼として罵倒され続け、このGSOMIAについても「親日売国協定」と非難されていました。これで北朝鮮には、「文よ、今回はよくやった」とやっとほめてもらえるでしょう。

「アメリカは怒るだろう」という観測が一般ですが、文在寅とその取り巻きたちにとっては、とにかく「日本に負ける」ことが死ぬほどイヤ(そういう発想でしかものを考えられない)で、有効な対抗策が何一つ打ち出せない中で焦り、それでなくとも乏しい分別が完全に消滅してしまったわけです。「積弊清算」なるスローガンのもと、朴槿恵政権時代の実績と言えるものは全部否定してしまいたい文政権としては、ほんとはこれも潰したかったのかもしれませんが、アメリカが怒るのを恐れてできなかったのが、ここに来てよい「口実」が見つかったから、と言えなくもありません。

 自分がしでかしたことを棚に上げての、文政権の身勝手な屁理屈についてはすでにこれまで十分論じたので再論しませんが、ここまでくると完全な狂人です。いっそのこと、金正恩に「臣下の礼」をとり、北朝鮮に「併合」してもらえば紛らわしくなくていいのにと思いますが、韓国の保守派、というよりまともな人たちも、「ここまでこいつはアホなのか」と本気で怒っているでしょう。これで文政権の寿命はさらに縮まったと見られるので、長い目で見ればこれは幸いかも知れません。

 日本政府は、だから、落ち着いて対応すべきです。「その言い分は全く承服できないが、だったらそうすればいいでしょう」ということで、淡々と対応する。激しい「反日」アピールにもかかわらず、このところお月さん大統領の支持率はまた下がり出して40%台になっているようですが、時間の問題で20%台まで落ち込むでしょう。いずれ退陣に追い込まれるから、日本政府は次期政権に期待して、そのときあらためてきちんと相談しましょうという姿勢をアピールする。この政権を相手にしていたのではまともな話などできっこないので、適当にあしらい続けるしか手はありません。

 すべては次の政権になってからです。韓国でも新しい動きが出てきて、『反日種族主義』という本がベストセラーになっているそうです。複数の韓国人研究者が書いた本で、日本語版ウィキペディアにはすでにその項が出ている。

反日種族主義

 また、次のような記事もある。

韓国で「反日は迷信だ」と訴える韓国人学者の本が売れている

 この記事の、次の箇所に僕はとくに注目しました。

 崔氏は同書の出版後、韓国紙に出されたある全面広告に注目したという。
「その文言が刺激的でした。〈慰安婦問題をミスリードしてきた旧挺対協はなぜこの本に沈黙しているのか。反日種族主義の後ろに隠れないで堂々と出ろ〉と、慰安婦問題で対日批判の急先鋒である市民団体(*注)を名指しして公開討論を申し込んだのです。
 李栄薫氏らがそうした行動に出たのは、韓国社会で同書が批判もされず“無視”されていたからです。国民的議論にしたい、という思いがあるのでしょう」
【*注:旧韓国挺身隊問題対策協議会。現在の名称は「日本軍性奴隷問題解決のための正義記憶連帯」。略称は「正義連」】


 その甲斐あってか、「この本は、8月11日YES24総合ベストセラー1位に上がったし、教保文庫(オンオフライン統合)では10日、総合ベストセラー1位に上がった。アラジンでも10日、総合ベストセラー1位を記録した」(ウィキペディア)のだという。『帝国の慰安婦』でも旧挺対協の卑劣な欺瞞は指摘されていましたが、朴裕河さんを韓国世論は袋叩きにした。文在寅の「歴史観」なるものはその挺対協とほとんど同じですが、それが政権を取っておかしなことをやりすぎたために、かえって韓国の人たちに疑惑をもたせる結果になっているのかもしれません。何にせよ、そうした「歴史観そのものの見直し」が韓国で行われ、それが一定の支持を得られるようになったというのは明るい兆しです。

 僕もこの本、日本語訳が出たらすぐ読むつもりです。日本ではさらに売れるだろうから、出版社はすでに動き出しているはずです。

 話を戻して、今回のGSOMIA破棄も、あの文政権だからということで見れば、何の不思議もない。韓国民からも完全に見放されるまで、彼は馬鹿をやり続けるでしょう。ハンギョレや上の「旧挺対協」、類似の異常な左翼市民活動家たちと共に、彼は終わるのです。しばらく騒がしいでしょうが、自分で墓穴を掘ってくれるので、日本政府としてはかえって楽かもしれません。それを織り込んで、落ち着いて対応してもらいたいものです。


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アマゾンが死ねば、人類も死ぬ

2019.08.22.14:49

 アマゾンといっても、ネットのアマゾンではありません。本物の、アマゾンの熱帯雨林のことです。

炎上するアマゾン、ネットで話題に ブラジル大統領はNGO非難

 僕はアナコンダをこよなく愛していますが、彼らも生息地を失うというような話はともかく、あそこは新薬原料の宝庫であるだけでなく、CO2を吸収したり、世界の気候を安定させてくれたりしているこの上なく貴重な存在です。このままでは時間の問題で草原地帯になってしまい、川は枯れ、次は砂漠化するというプロセスを辿りそうですが、そうなったら人類もジ・エンドです。いや、火星に移住すればいいのだなんてノーテンキなことを言う人もいるでしょうが、勝手に移住すればいい。日本の森林も、アホで無責任な農水省の際限もない植林奨励政策のために、奥山まで植林してしまい、原生林は大方なくなって、崖崩れ、洪水(スギやヒノキの人工林に保水能力はない、ましてや材木が売れずに放置されたままではなおさら)、花粉症蔓延の原因となるスギ、ヒノキだらけになって、川や海の生態系も深刻なダメージを受けています(クマやサルが里に出てくるようになったのもそのためです)が、あの広大なアマゾンが消滅するとなったら、その深刻さは想像を絶するものとなるのです。

 周知のとおり、広大なアマゾンは数ヶ国にまたがっていて、「60%はブラジルにある」(ウィキペディア)のですが、いずれの政府も発展途上国特有の工業化や、外資導入政策に熱心で、反対する先住民を圧迫して、密林伐採と鉱物資源採掘を推進(言うまでもなく、それは深刻な環境破壊、健康被害をもたらす)しようとしていて、それがいかに重要な「財産」であるかは認識していないのです。この記事によれば、ブラジルの「ボルソナロ大統領は21日…『こういったNGOが私とブラジル政府に対して人目を引き付けるために行った犯罪行為』が森林火災の原因かもしれないと指摘」しているのだとのこと。馬鹿言うんじゃない、という感じなので、「開発」側がこちらの方が手っ取り早いと火をつけたり、伐採によって乾燥化が進んでいるから、自然発火による火災も起きやすくなっているのでしょう。これは国連で話し合うべき問題で、これらの国の政府首脳にきちんとその重要性をレクチャーし、必要なら経済援助もして、密林と共生できる経済システムを作れるよう持っていくべきです。多国籍企業や投資家たちも、今の彼らは自分の金儲けのことしか考えていないように見えますが、密林破壊にひそかに加担している企業などはその名前を暴露して、社会的制裁を受けさせるべきです。全くもって、ロクでもない連中なのだから。

 こうした自然林の消滅はニュースにならないだけで、東南アジアでも進行していて、アマゾンの話だけではないようですが、こういう自殺行為をなぜするのかと言えば、全体や将来のことを考える気持ちが今の拝金主義の多国籍企業や投資家たちには全くないからです。彼らが現地の無知な権力者を陰で操っている。これは「陰謀論」の類でも何でもないので、今の文明社会は自己増殖にしか関心がなく、能がない、癌細胞に冒されているのと同じになっているのです。これをストップさせなければならない。

 というようなことを極東の島国の一介の塾教師が書いてもあまり意味はなさそうですが、あんまりやっていることがアホすぎるので、書かないではいられないのです。

朝鮮統一国家ができたら、日本は恐ろしい目に遭う?

2019.08.07.13:37

 次の報道は多くの日本人の失笑を買いました。日本人だけでなく、韓国でも、「あいつはつける薬のない、本物の馬鹿だな…」とひそかに呆れた人が、賢い人には多かっただろうと思いますが、そこからあれこれ考えていくうちに、「これはひょっとしたら、日本にとっても大変なことになるのではないか?」と心配になってきました。むろん、文大統領が言っているのとは全然違う意味で、です。

 しかし、順を追って見ていきましょう。以下は中央日報・日本語版の記事です。

・文在寅大統領「南北平和経済の実現時は一気に日本経済に追いつく」

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は5日午後2時、首席・補佐官会議を主宰しながら「南北間の経済協力によって平和経済が実現すれば我々は一気に日本経済に〔の?〕優位に追いつくことができる」と話した。
「日本経済が我々の経済より優位にあるのは経済規模と内需市場」と話したが、韓日葛藤を南北関係改善と結びつけたものだ。
 また「日本政府はこれまで痛い過去を克服して互恵協力的な韓日関係を発展させてきた両国民に大きな傷を与えている」とし「過去を記憶しない国・日本という批判も日本政府が自ら作っている」と指摘した。
 続いて「日本が自由貿易秩序を乱すことに対する国際社会の批判も非常に大きく、日本は経済力だけで世界の指導的位置に立つことができない点に気づかなくてはならないだろう」と強調した。そして文大統領は「大韓民国は道徳的優位を基に成熟した民主主義の上に平和国家と文化強国の地位をより高め、経済強国として新たな未来を開くだろう」と話した。(8/5(月) 15:57配信)


 こういうお粗末なオツムの持ち主が大統領をやっている国というのはほんとに恐ろしいなと思ってしまいますが、これを書いた中央日報の記者自身、唖然としたことでしょう。しかし、批判めいたことを少しでも書こうものなら「積弊清算」の対象として、どんな目に遭わされるかわからないので、淡々と事実を報道するにとどめたのでしょう。

 要はこういうことです。「南北間の経済協力によって平和経済が実現すれば我々は一気に日本経済に追いつき、優位に立つことができる」、なぜなら、「日本経済が我々の経済より優位にあるのは経済規模と内需市場」だけなので、北朝鮮が加われば人口は一気に増え、「経済規模」は拡大して、新たな「内需市場」が獲得できるからだ、とのたまうのです。

 これ、小学一年生の算数です。他のことは何もカウントされていない。北朝鮮というのは、恐怖の独裁国家であることをいいことに、民の苦難をよそに、核開発だの、ミサイル発射だのでカネを浪費し続けていますが、飢餓が慢性化して、毎年国外からの大量の食糧支援がないとやっていけず、兵士も下っ端はみんな栄養失調で苦しんでいるという、世界の最貧国の一つです。むろん、ロクな生活インフラもない。高度な技術やまともな産業もないことは言うまでもありません。たしかに、あそこまで生活状況がひどければ、これからの「経済成長の余地」は大いにあるでしょう。しかし、カネもインフラも教育も技術もないの、ないない尽くしなのだから、まずひたすら支援しなければならず、モノやサービスを買ってくれるどころではないので、何十年かは「市場」にはならない。韓国は「持ち出し」のみ多くなるわけですが、それでなくとも危ない韓国経済にそんなゆとりは全くないでしょう。

 かつてベルリンの壁崩壊後の、ドイツ再統一がありました。当時の西ドイツは世界屈指の経済大国で、こう言っては失礼ながら、今の韓国とはレベルが全く違っていた。そして東ドイツは、北朝鮮などよりはるかにマシで、「社会主義国の優等生」と呼ばれていた。それでも大変な苦労があったので、次の熊谷徹氏の記事は2015年のものですが、その当時のダメージは今でも残っているのです。

「ドイツ統一に2兆ユーロかかった」と言って怒られた教授

 要するに、今の韓国と北朝鮮の「統一」など、ほとんど自殺行為に等しいということです。もう一つ、ドイツ再統一のときと違うのは、今の北朝鮮は異様な独裁国(文大統領はその「主体思想」とやらの熱烈共鳴者?)ですが、そういう厄介な政治問題もなかったことです。東ドイツに、金正恩はいなかった。文在寅は経済学の基礎知識が皆無なだけでなく、そこらへんの困難も全く認識していない。韓国の保守派が怒るのもあたりまえです。また、朝鮮民族というのは、昔からとにかく内輪揉めが多いので、こういう体制問題をうまく処理できるとも思えない。文大統領は願望とファンタジーだけで生きている人なので、彼にそんな手腕が全くないのはなおさらのことです。

 だから、「南北平和経済の実現時は一気に日本経済に追いつく」というのは妄想の最たるもので、ここまで頭が悪い政治家というのも珍しい。人口千人の田舎の村長でも、もっとマシなことが考えられるでしょう。こんなのが大統領をやっているのだから、日本との関係がまずくなったのはあたりまえです。原因が自分にあったことが理解できないというのもよくわかる。僕はもう真面目に彼を批判する気力が失せました。

 しかし、ひたすら金正恩にすり寄って、おだて上げ、後先考えず、「朝鮮統一」を成し遂げたとしましょう。摩訶不思議な「ウリ朝鮮独裁的民主主義共和国」ができて、金正恩大統領、文在寅首相の組み合わせでスタートするのです。むろん、経済はすぐ壊滅状態に陥ります。僕が「心配になってきた」というのは、実はここからです。

 ここで、文在寅首相はヤケクソになりかけた金大統領に耳打ちするのです。「この経済的苦境を打開する名案があります」「それは何なわけ?」と金正恩は投げやりな口調でたずねます。ふっふっふ、と文在寅は不敵な笑みを浮かべる。「あの反省を知らない、道徳的に劣った日本めにカネを出させるのです」「どうやって?」「ほら、ご存じありませんかね。しばらく前にウチの大法院が出した徴用工の判決を?」知らん、という金正恩大統領に、文首相はこう説明します。

「あれは、つまり、『不法な植民地支配』の『不法性』に対する『慰謝料』だったのです。過去にすでに賠償を受けているので、未払い賃金というのでは具合が悪いから、そういうことにした。つまり、それならウリ国民は全員が慰謝料をあの日帝、道徳劣等国家に請求できる権利をもっていることになります。あの判決は実はそこに画期性があったのです!」
「でも、その当時の人間は年寄りばかりで、もうあんまり残ってないだろ?」
「たしかに…。しかしですよ、『不法な植民地支配』時代のウリ国民の多くは死んでしまったとしても、故人の場合は、その子供や孫が『請求権』をもつということにすればいいんです。なぜといって、彼らは慰謝料を請求できずに死んだのだから、その請求権は相続されたものと解すべきだからです。そうすると、少なくとも当時の人口分の請求権が発生するということです。控えめに見ても、日本円で一人500万ぐらいは請求できるので、そうすると全体では軽く…」
「なるほど、それは使える! おまえも、相手がこと日本となると、厚かましいというか、悪知恵が働くというか、うまいこと理屈がこじつけられるな」
「その後の南北分裂も、朝鮮戦争も、全部日帝めのせいなのです。全部あの道徳的劣等国が悪い。従って、南北統一後のこの経済的苦難を肩代わりするのは当然で、それでこそ過去の償いにもなるということで、これは申し分なく『正義』にかなったことなのです。日本のウリ協力新聞も、賛意を表す社説を掲載することでしょう。世界にも反省を知らない日本の邪悪さと、その請求権の正当性を宣伝しまくるのです」
「よっしゃあ、それで行こう! 四の五の言ったら、核ミサイルをぶち込んでやる。そうやって脅してやればいいのだな。がはは…」
「さようで…。これで日本は落ち、ウリ朝鮮統一国家は昇る。そうして繁栄の輝かしき時代を迎えるのです」

 実はそういうことだったりして…。あの文在寅の便利な思考構造なら、その程度のことは平気で考えかねないと、想像して、僕は思わず戦慄したのでした。

韓国・文政権に見る「戦時プロパガンダ」の作られ方

2019.08.04.17:05

 日韓対立はいよいよ“佳境”に入ってきたようですが、一昔ならこういうのは「戦争原因」になっているでしょう。今のところ、韓国がいくらヒートアップしても、その恐れはないと思いますが。

 しかし、戦争になるとき、どうやってデマゴーグが外圧を利用して敵への憎悪を煽り立て、それによって政権の求心力を高めて「挙国一致」体制をつくっていくのかを観察する参考にはなります。お粗末な内政の問題も、それによって国民に忘れさせることができ、政権に批判的なマスコミも「利敵行為」という言葉で一括りにして黙らせ、自分に都合のいいプロパガンダの担い手に変えてしまうことができるのです(この前も書いたように、朝鮮日報などは、かつては文政権にとっては狼だったのが、すっかり従順な犬になってしまいました)。

 今の韓国・文政権がやっていることはまさにそれで、文在寅は典型的なデマゴーグ政治家ですが、冷静さを失った今の韓国民の目には「頼もしい大統領」と映り出したらしく、経済政策の大失敗で支持率が低下していたのに、それが再び上昇し、「日本の貿易規制サマサマ」になっているらしいのは皮肉です。「安倍ちゃん、ありがとう!」と彼は内心叫びたいのではありませんかね? ドツボにはまりかけていたところが、「日本の強硬対応」に助けられたのです。当分は「日本非難」だけで支持率を維持できる。

 デマゴーグの特徴は、それが真実かどうかにはおかまいなく、言葉を操り、感情に訴えることです。国家間対立のときは、人はたやすく国家や権力と自己同一化します。そこで、デマゴーグがやるべきことは、自国と自分を「正義と善」のシンボルに仕立て上げ、それに自己同一化する人々のナルシシズムをくすぐって、「しかし、私たちは負けません!」とやって、相手国とその政府、今回の場合はむろん日本と安倍政権ですが、に悪を全部押しつけて、「皆さん、共に戦いましょう!」と戦意を高揚させるのです。そうすれば、他のことは全部忘れてくれる。今までの失政の責任も問われなくて済むのです。

 絵に描いたようなこれを、今の文政権はやっている。韓国にも冷静な、知的レベルの高い人はいるでしょうが、今のあの喧噪ぶりでは、そのような人たちに発言の機会は与えられず、たとえ与えられても、うっかりそんなことを言えばどんな目に遭わされるかわからないので、沈黙してしまうでしょう。元々が同調圧力の異常に強い国で、それがあの国の歴史的・社会的不幸の大きな原因の一つなのですが、こうなったらなおさらです。

 日本の「ホワイト国」除外を受け、文大統領は2日午後、「緊急」に開かれた「国務会議」(閣議に相当する由)の冒頭で、「約8分間にわたり発言した」そうで、その翻訳がネットに出ています。徐台教氏によるもので、記事全文は次で見られます。

文大統領「いつかは越えるべき山」…「ホワイト国除外」に対抗措置の予告も(発表全文訳)

・今日午前、日本政府はわが国を「ホワイト国」国家から排除する決定を下しました。問題解決のための外交的努力を拒否し、事態をより悪化させるとても無謀な決定で、深い遺憾を表します。

・外交的な解法を提示し、行き止まりの道に向かわないよう警告し、問題解決のために頭を寄せ合わせようというわが政府の提案を日本の政府はついに受け入れませんでした。一定の時限を定め、現在の状況をこれ以上悪化させずに、交渉する時間を持つことをうながす米国の提案にも応じませんでした。

・わが政府と国際社会の外交的な解決努力を無視し、状況を悪化させてきた責任が日本政府にあることが明確になった以上、これから起きる事態の責任も全的に日本政府にあるという点を明確に警告します。


 と、「外交的努力を拒否し、事態をより悪化」させてきたのは自分の方だったということはきれいに棚上げし、お話にならない「外交的解法」(それが「解法」になっていないのは自分も承知していたはず)をあわてて出して見せ、それが拒否されると、「わが政府と国際社会の外交的な解決努力を無視し、状況を悪化させてきた責任が日本政府にあることが明確になった」として、「国際社会」まで持ち出し、「みんなボクの味方だよ」ということにして、「全責任が日本政府にある」ことをアピールするのです。

 次の箇所などはとくに、三百代言(口達者な悪徳弁護士を昔はそう呼びました)、デマゴーグ政治家の本領発揮と言えるでしょう。

・どんな理由で弁明しようとも、日本政府の今回の措置はわが大法院(最高裁判所)の強制徴用判決に対する明確な貿易報復です。また「強制労働禁止」と「三権分立に基づく民主主義」という人類の普遍的価値と国際法の大原則に違反する行為です。日本がG20会議で強調した自由貿易秩序をみずから否定する行為です。個人請求権は消滅しなかったと日本政府自身が明らかにしてきた過去の立場とも矛盾します。

 最初の「どんな理由で弁明しようとも、日本政府の今回の措置はわが大法院(最高裁判所)の強制徴用判決に対する明確な貿易報復です」は正しい。背景にはそれがあり、だから国民の支持もあるのです。慰安婦合意の破棄もそうですが、あれによって日韓請求権協定は事実上反故にされ、彼はそれは従来の韓国政府(左派の時も)の解釈基準からも、国際法上も、まずいと知っていたはずですが、過激な反日愛国左翼市民団体の支援で大統領になれた手前、どうしていいかわからないまま、だんまりを決め込んで何もせず、日本政府及び日本人を怒らせたのです。

 この無責任な「事態の放置」の背後には、「日本には何を言っても大丈夫だ」という韓国の政治家が陥りがちな奇妙な“安心”もあった。韓国人と違って、事を荒立てるのを好まない日本人相手なら十吹っ掛ければ、八は呑ませることができるので、韓国が宣伝してきた慰安婦や徴用工の話は嘘と誇張でふくらんでいるが、国際的な人権団体を騙して味方につけるのぐらいはかんたんなので、「国際的批判」をそれで巻き起こせば、日本は参ってしまって、さらに譲歩するだろう。日本の左翼メディアやインテリもそれに協力するはずだ。そう楽観していたのです。

「『強制労働禁止』と『三権分立に基づく民主主義』という人類の普遍的価値と国際法の大原則に違反する行為」というのも笑えるので、これはデマゴーグが使う常套手段、「悪しき一般化」の典型例です。徴用工は奴隷のような境遇で、ありえないような低賃金で、悲惨な生活環境の中で酷使されていた(学校でも、ニセの写真まで使ってそう教えている)。それは嘘だと、韓国の研究者の中にも調べて言っている人がいるくらいですが、そういうことにしておいて、「なのに、あんな協定ごときで話が済んだというのは、盗人猛々しい」(この表現もよく出てきます)と批判するのです。慰安婦は「性奴隷」で、徴用工は古代の奴隷も顔負けの悲惨な境遇に置かれていた、そういうファンタジーで問題を一括りにしておいて、「なのに日本からは何の謝罪も反省もなかった!」と非難するのです。

「三権分立」と来た日には、韓国には元々そういうものは存在しない。文は最高裁のトップにも、検察トップにも、自分の息のかかった人間を据えた。今回の徴用工判決は、朴槿恵政権では、今回の判決のようなものが出たら国際法上厄介なことになると恐れて裁判を遅延させていたと言われています。それで、前最高裁長官は「職権乱用」で逮捕された。「積弊清算」の一環としてそうなったので、代わりにお友達の地裁判事を長官に任命したのだから、それは文在寅が出した判決と実質的に同じなのです。なのに、自分は知らない、「三権分立」なのでそれを「尊重」するまでだと、三百代言をたくましくしたのです。それなら「行政の長」として責任ある対応をしなければならないはずだが、何もしなかった。そんなことが通用するのなら、韓国の大統領はどんな馬鹿にでも務まる。げんにそうなっているのですが…。

 韓国の場合、検察は政権が変わる度に、その政権の走狗として、旧政権関係者を逮捕するのを常としていて、それには濡れ衣もかなり多く含まれるが、そういうことは大して問題とされない。検察はしばしば「復讐の道具」として使われるのです。裁判も一般に、法には基づかない。よく「韓国にあるのは国民情緒法だ」と言われますが、判事たちは法より「世論の動向」を気にする。だから、『帝国の慰安婦』の著者に対する、ああいう良識からは理解不能の有罪判決も出るのです。それは病的で悪辣な韓国の自称市民団体が煽り立てて作った「世論」「国民感情」にすぎないが、そちらが優勢となると、それに合わせて裁かれてしまう。日本でも、オウム事件の裁判などにはそういうきらいがなきにしもあらずで、だから死刑判決がバンバン出るという結果になったわけですが、韓国の場合は、そこが極端で、「法治」は形式だけの話なのです(中国よりはマシだと反論するかもしれませんが…)。

 韓国の裁判には「法の名を借りたリンチ」が少なくない、ということです。「人類の普遍的価値」がどうのというレベルではない。そして、「国際法の大原則に違反する行為」をしたのは、それについてはもう何度も書きましたが、一方的に慰安婦合意を破棄し、日韓請求権協定を反古にした文政権の方なのです。それがわからない手合いに、国際法を語る資格などない。全く、前代未聞、最低の国家元首です。事態の深刻さを考え、紳士的に再協議を求めていたというのならまだわかる。しかし、彼は何一つそんなまともなことはしなかったのです。

 韓国の世論の変化は、「民主化が進んだ結果」だと言う人がいます。しかし、これにも疑問があるので、慰安婦問題にしても、徴用工問題にしても、今の韓国で流布している話には嘘や誇張が多すぎる。それに基づいて、勝手に「盛り上がって」いるわけです。今の韓国の学校の歴史教育に問題がありすぎることは何度も書きましたが、史実に基づかず、ファンタジーに基づいてエキサイトし、他国を非難するのは「民主化の結果」ではありません。それはナルシシズム史観による洗脳と、センセーショナリズムの結果でしかないのです。「文政権というのは、日本でいえば、左翼過激派が政権を取ったのと同じだ」と前に書きましたが、おかげで従来の異常さが倍加され、今回の激しい対立となったのです。それと較べれば、安倍政権のネトウヨぶりが可愛く見えてくるから不思議です。

「個人請求権は消滅しなかったと、日本政府自身が明らかにしてきた過去の立場とも矛盾します」というあたりも、廬武鉉政権のとき、「これは(あの協定を覆すのは)無理だわ」という結論になって、そのときそこにいた自分のことは都合よく頬被りして、自分の「過去の立場」のことには触れず、文脈を無視した使い方をして、論難に用いているのです。韓国お得意の論法と言ってしまえばそれまでですが、かなりタチが悪い。さらにその先を見てみましょう。

・私達がより深刻に受け止めているのは、日本政府の措置がわが経済を攻撃し、私達の経済の未来の成長をふさぎ、打撃を加えようとする明確な意図を持っているという事実です。
 私達の最も近い隣人であり友邦としてきた日本がそのような措置を採ることがとても失望的で惜しいです。日本の措置は両国間の長い経済協力と友好協力関係を毀損するもので、両国の関係に対する重大な挑戦です。


 これも、「よく言うよ」の見本みたいなものです。私たちは何一つ悪いことはしていないのに、日本は悪意をもって私たちに経済戦争を仕掛け、私たちの未来を潰そうと狙っている、こんな非道が許せるでしょうか、というのです。誇張もいいところですが、文政権がこれまでやってきたことは「私達の最も近い隣人であり友邦としてきた」国に対してやることでは到底なかった、それは都合よく忘れているのです。自分の対応が「両国間の長い経済協力と友好協力関係を毀損するもので、両国の関係に対する重大な挑戦」であったという自覚は全くないまま、全部の責任を日本に押しつける。韓国人に多いと言われる「他罰的メンタリティ」もここまでくるとご立派です。「自己愛性パーソナリティ障害」か何かでなければ、ここまではできない。この手の人たちは、自分が先にやったことはきれいに棚上げして、相手が反応したところから因果関係をスタートさせて、相手を激しく攻撃するのです。その前の、自分がやらかした道義や良識にもとる行為はカウントされない。それがなければ、そもそも関係の悪化はなかったはずなのですが…。次の、

・また、グローバル供給網を壊し、世界経済に大きな被害をもたらす利己的な迷惑行為で、国際社会からの指弾を免れないでしょう。

 も笑えます。さっそく韓国はお得意の「言いつけ外交」に乗り出し、日本の今回の措置は「世界の迷惑」だと言い触らし、賛同者を募っているのですが、これはトラブル・メーカーの常套手段で、嘘や誇張はおかまいなく、自分に好都合なことだけ言い立てて、仲間を増やし、相手を孤立に追い込もうという作戦なのです。韓国はこの手のことには熟達しているので気をつけなければなりませんが、その悪辣な行為の先頭に大統領が立っているのです。

・日本の措置により私達の経済は厳重な状況に困難さが加わりました。しかし私達は二度と日本に負けないでしょう。私達は数多くの逆境を勝ち抜き今日に至りました。少なくない困難が予想されますが、わが企業と国民たちにはその困難を克服する力量があります。過去にもそうであったように、私達は逆境を逆手に取って、跳躍する機会とすることでしょう。

 いともやすやすと、邪悪な権力に不当な攻撃を加えられた「悲劇のヒーロー、ヒロイン」に自分と自国を見立ててしまうので、「私たちは二度と日本に負けないでしょう」と、「過去の日本の悪行」を暗に強調しておいて、「数多くの逆境を勝ち抜き今日に至」った素晴らしい韓国民というナルシシスティックな自己像を刺激して、一致団結を訴えるのです。「今日の大韓民国は過去の大韓民国ではありません。国民の民主の力量は世界最高水準で、経済も比べようのないほどに成長しました」という言葉が、この後出てくるのですが、「国民の民主の力量は世界最高水準」なら、政権批判を行なう保守派の新聞を恫喝したり、上に見たような、法治国家とはとても思えないような出鱈目ぶりはないはずですが、国民のナルシシズムをくすぐるには、こういう表現は効果的でしょう。

 僕はこれを読んでいて、堺市で父親と弟を謀殺し、その後自分をほめたたえる怪文書をばらまいた、あの足立朱美のことを思い出してしまいました。彼女は自分への嫌疑を逸らすため、あれを作製し(嘘の「日記」も作っていた)、それがかえって裏目に出て犯行が発覚したのですが、自分の犯行を疑う弟の妻と会社幹部を「皆がそう言っている」と不倫だの、性格が悪いだのと中傷し、一方、自分の方は、やはり皆が彼女の人柄や有能さを絶賛していると、どちらも事実無根ですが、長々と書いてみせたのです。文在寅と足立朱美には、精神構造的に類似点があるように感じてしまうのですが、どんなものでしょう? これはまずいことになったと思ったら、ひたすら自分を「善と正義」のかたまりにして、他方、相手は卑劣な、悪魔もどきのものとして攻撃するのです。公平・客観性というものは完全にゼロになり、しかし、必死にそれを装って、「他の人たちも皆そう思っている」と言い立てるのです。美辞麗句の愛好も似ている。「お里が知れる」と思われるのは、たとえば、次のような箇所です。

・今の挑戦を逆に機会ととらえ、新たな経済跳躍の契機とするならば、私達は十分に日本に勝つことができます。私達の経済が日本経済を飛び越えられるでしょう。

 彼にとって、すべては「勝ち負け」の問題なのです。皆で一致団結して(まずい政権運営のことなどはすっかり忘れなさい)、落ち目の経済大国日本をやっつけましょう。そして、「私たちの方が上だ」と日本を見下せる地位に必ずや上がりましょう、そう言っているのと同じです。一国の大統領の料簡がこれほど狭いのには驚かされますが、それが彼の本質だと言ってよいでしょう。だからデマゴーグなのです。

・私達は成し遂げられます。政府の各部署も企業の困難と共に歩むという、非常な覚悟で臨むようお願いします。

 これが締めくくりの言葉です。「私達は成し遂げられます」は、英訳すれば、オバマの“Yes,We Can.”です。彼はその実何もしなかったが、国民はこういう言葉に弱い。文政権が「成し遂げる」のはせいぜい日韓の国交断絶と、米中、北朝鮮、ロシアも巻き込んだ「極東政治情勢の不安定化」だけでしょうが、自分がトラブル・メーカーだという自覚は全くなく、「善と正義」の担い手だと妄信しているようなので、なおさら始末に負えない。今頃「非常な覚悟」を云々するなら、自分がもっと先にそれをもっておけ、と言いたくなりますが、この手の人間には何を言っても無駄なのかもしれません。自分の不始末や怠慢によって相手を怒らせてしまい、それでトラブルに発展すると、悪いのは全部相手なのだと言い張る。幼児人格丸出しで、いくつになっても成熟できないタイプの典型です。

 日本への敵対を煽る文政権は、また自分の立場を困難にする状況に追い込まれつつあります。たとえば、次のような記事(共同通信)です。

・ソウルで安倍政権糾弾集会

韓国の労組や市民団体などは3日、「ホワイト国(優遇対象国)」からの韓国除外決定など日本の一連の輸出規制強化措置に反発し、安倍晋三政権を糾弾する集会をソウルの日本大使館前で開いた。参加者は「強制徴用や植民地支配を謝罪しろ」と要求。日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄も訴えた。
 韓国警察によると、約2500人が参加した。集会は3回目で、これまでは数百人規模だったが、優遇対象国から除外する2日の閣議決定を受け規模が拡大した。
 参加者は朴槿恵前政権を崩壊に追い込んだ集会と同様に、ろうそくを手に集結。


 文在寅のこうした演説からすれば、「日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄」は当然してよさそうなものです。ところが、それをすると、アメリカの旦那にこっぴどく叱られる。だからそんな勇ましいことはできない(絶対にやらないとは、彼の無分別さからして断言はできませんが)のですが、こういう彼の「支持者」相手にどういう言い訳をしてそれを正当化するのかが見ものです。自分は日本政府と違って「まとも」で「紳士的」なので、そんな報復はしないのだと言い繕うのかもしれません。

 以上、あれこれ見てきましたが、文政権のこうした動きは、政治デマゴーグが、他でもない自分が原因となってつくり出した困った事態をどう利用し、話をどういうふうに正当化し、外敵に意識を集中させ、「挙国一致」体制を作ろうとするかのいい勉強になるということです。しかし、今回の件では、本物の戦争は文政権には不可能なので、それで一気にガス抜きとはいかない。内政の失敗をそれで糊塗し続けるわけにも行かず、だんだん「困ったこと」は増えてくるでしょう。韓国民がこの低級な政治デマゴーグを見切る日はいつになるのか、それを見物したいと思います。日本政府と日本人はその間、クール・ヘッドを保ち続けなければなりません。「敵失」だけが頼りの、こういう卑劣な政権を相手にするときは、とくにそれが重要です。

「韓国と対立するな」と言う人々

2019.07.30.17:12

 こういうサイトができているようです。

韓国は「敵」なのか

 広告がなくてすぐ出てくるのはいいのですが、言ってることはほとんど支離滅裂なので、韓国と、「とにかく争いごとはイヤ」という人たちに好まれるだけで、何の解決にもならないでしょう。韓国の新聞、中央日報やハンギョレは嬉々としてこれを報じていますが、日本政府のみ批判して、韓国文政権の無責任な対応に対する言及は全くありません。

 ここまで問題がこじれた背景には、韓国の異常な歴史教育、保身のためにつねに「反日」を利用してきた政治家、安手の国民迎合に終始する韓国マスコミ、ナルシシスティックな極論を振りかざして韓国民を煽る「親北反日」の各種の自称市民団体等にあると僕は思っていますが、そういうことに対する批判はゼロです。たとえば、次のようなくだりがあります。

 日韓基本条約・日韓請求権協定は両国関係の基礎として、存在していますから、尊重されるべきです。しかし、安倍政権が常套句のように繰り返す「解決済み」では決してないのです。日本政府自身、一貫して個人による補償請求の権利を否定していません。この半世紀の間、サハリンの残留韓国人の帰国支援、被爆した韓国人への支援など、植民地支配に起因する個人の被害に対して、日本政府は、工夫しながら補償に代わる措置も行ってきましたし、安倍政権が朴槿恵政権と2015年末に合意した「日韓慰安婦合意」(この評価は様々であり、また、すでに財団は解散していますが)も、韓国側の財団を通じて、日本政府が被害者個人に国費10億円を差し出した事例に他なりません。一方、韓国も、盧武鉉政権時代、植民地被害者に対し法律を制定して個人への補償を行っています。こうした事例を踏まえるならば、議論し、双方が納得する妥協点を見出すことは可能だと思います。

 あたかも安倍政権のみが悪いかのようですが、徴用工(もどき)に対する韓国最高裁判決によって、日韓請求権協定は覆されたわけですが、文政権はそれを完全に放置して、当然憤慨するであろう日本政府と協議する努力は何もしなかったのだから、「両国関係の基礎として存在」する「尊重」すべきそれを、韓国政府は無視したわけです。そして、「安倍政権が朴槿恵政権と2015年末に合意した『日韓慰安婦合意』も、韓国側の財団を通じて、日本政府が被害者個人に国費10億円を差し出した事例に他なりません」とありますが、これが慰安婦問題では初めての対応ではなく、村山政権時の「アジア女性基金」などもあったのですが、そういうものを韓国側は全く評価せず、今回の合意も、「韓国の国民感情(それは上に見たように政治的に作られたものですが)が納得しない」という理由だけで、日本人がそれをどう感じるかということは何ら顧慮しないまま、一方的に破棄されたのです。

 従って、「こうした事例を踏まえるならば、議論し、双方が納得する妥協点を見出すことは可能だと思います」はほとんどマンガで、「議論し、双方が納得する妥協点を見出す」努力の一部としてそうしたものはあったのですが、それは「民意が変わった」という理由で、つねに安易かつ一方的に破棄されてしまうのです。韓国人にとっては「双方が納得する」ことはどうでもいいので、自分たちが「納得」することだけが重要なのです。こういうのをふつう日本では「ジコチュー」と呼びます。他の国でもそう解釈されるでしょう。

 この手の詭弁がどれほど多いか。「問題になっている元徴用工たちの訴訟は民事訴訟であり、被告は日本企業です。まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはずなのに、はじめから日本政府が飛び出してきたことで、事態を混乱させ、国対国の争いになってしまいました」とはよく言ったもので、判決文を読めばわかりますが、あれはたんなる民事訴訟ではなく、「不法な植民地支配および侵略戦争の遂行と直結した日本企業の反人道的な不法行為に対する被害者の日本企業に対する慰謝料請求権」だと明言しているのです。「国家としての犯罪」の弾劾からそれは始まっているので、「まずは被告企業が判決に対して、どう対応するかが問われるはず」なんて悠長なことを言ってられるような話ではない。この人たちの論理からするなら、「日本政府はその罪を認めてあらためて謝罪し、賠償に応じるよう関係企業を説得すべきだ」となるでしょう。しかし、そう言うと反発が大きくて署名は集まらないと見て、こういうおかしな屁理屈をこねる羽目になったのです。単純にやることがセコい。

 しばらく前、僕はハンギョレ日本語版(ついでに言うと、文在寅は1988年に「ハンギョレ新聞創刊準備委員会委員」になっていました)の次のような記事を見て呆れました。笑うしかないレベルのものですが、「相互理解」の困難さが思いやられるのです。

「不買運動を越えて、韓日関係をちゃんと知ることが大事」

 例の朴槿恵大統領弾劾の「ろうそくデモ」にも参加したという、「17歳、13歳、10歳の三人の子どもを育てる『育児パワーブロガー』」なる女性が、「こんなことを子供たちに教えている」というのですが、

「今回の日本の輸出規制は、強制徴用者たちに対する韓国の最高裁(大法院)の判決を認めない日本が経済的に報復したんだ。安倍政権は憲法を改正してでも『戦争できる日本』になろうとしている。日本の右翼は韓国を『共通の敵』にして国内政治に活用しているんだ。こういう行動が平和を脅かすから韓国国民は日本に抗議するために不買運動を始めたんだよ」

 というような敵意丸出しの話で、日本を「『共通の敵』にして国内政治に活用している」のは韓国の方ではないかと思いますが、ともかくそうした教育よろしきを得て、長男のピルギュ君は、「『日本の右翼はいまでも韓国の支配国だという見解を持っている』と憤慨」するまでになっているのです。日帝はいまだ死なず、断固打倒すべし、というわけです。

 この手の幼稚な韓国「市民」にとって、「韓日関係をちゃんと知る」とはそういうことに他ならないのです。日本のネトウヨとは逆ベクトルですが、日本のネトウヨより、今の韓国にはこの手の「反日無罪」的な没理性的な人が比率的に多そうです。

 それで、冒頭のような声明文は、そういう人たちに「日韓は仲良くすべきだ」というメッセージを送ることになり得るでしょうか? この前ここで批判した山口二郎法大教授のハンギョレへの寄稿文と同じで、それは逆に彼らの日本への偏見と非難を強化するのに役立つだけではないでしょうか。僕は日本会議を日本の将来にとって有害な右翼団体と見なしていますが、この手の学者・文化人先生たちも、韓国のおかしな市民団体や、この「育児パワーブロガー」のような人たちの思い込みを強化させ、元気づけて、それを見て憤慨したそれまで中立的だった日本人を親右翼にして、安倍政権や日本会議的なものをサポートする結果になるのです。結果として、日韓対立はむしろ激化する。

 僕は韓国の政治家やマスコミみたいに、「これは国難なので、挙国一致体制を作るべきだ」などとは絶対に言いません。多様な言論はあってしかるべきです。言論の自由は保障してもらわないと困る。僕がこれらの左派知識人・文化人を問題視しているのは、彼らが批判する右翼以上に我田引水的な、「為にする議論」が目立つからです。論の公正さに著しく欠けたのでは、説得力はない。安倍政権を批判するのはいい。僕も批判してきました。しかし、その批判のモノサシを一方にだけ当て、他方には当てないというのは納得できない。どう見ても今の韓国政府の対応はおかしいからです。だから日本のリベラル派はここまで無力化したと言えるので、日本人の「右傾化」は慢性不況による欲求不満や、ネット社会で思考が短絡的になってきたことだけが原因ではないので、彼らが党派的な偏った議論しかせず、一般人に対する説得力を失ったからです。

 だから、国内ではこの「声明」は大きな支持は集められないでしょう。穿った見方をすれば、韓国が対応に完全に行き詰まったとき、日本にもこういう「もののわかった人たち」はいるから、それに免じて矛を収めてやろうという言い訳に使えるという意味で、「妥協」に向かわせるきっかけ程度にはなるかもしれません。しかし、それは彼らの肥大化した自尊心を守るための方便でしかなく、その度外れの独善性を反省することにはつながらない。独善的な自分の「正義」を主張して、相手を譲歩させることだけが「正義にかなう」のだという、彼らの傍迷惑な民族性は変わらないのです。国内的にも、政権が変わる度に前政権を否定して、「積弊清算」と称して前政権関係者を血祭りにあげる、ということを韓国は繰り返してきたのですが、その都度それに唱和して自己保身をはかろうとする卑屈さ共々、そうやってコロコロ変わる「正義」の独善性、いい加減さというものを、彼らは身に染みて感じることは決してないのです。自分の外に出て考えてみようという姿勢がない。

 対立が長引いても、それは仕方がないと僕は思います。それは国内では通用しても、国際的には通用しないということを、またそれはどうしてなのかということを、本格的に行き詰まれば考えることになるのではないでしょうか。しばらく前に、ソウル大学の経済学教授だという人が、「何よりも韓国は理の国であり」、「李朝時代の党派争いが激しかったのも、すべてを『理』という本質に照らそうとするプラトン的習性に起因するものだ」という珍論を中央日報に書いていましたが(「理の韓国、法の日本」7.24)、日本人のみならず、歴史的因縁の深い中国人やロシア人もこれには笑うでしょう。「李朝時代の党派争い」がそんな高尚なものだったとは到底思えないからです。こういう異常なまでのナルシシズムを多くの韓国人は共有し、その心性が歴史をファンタジーに変えてしまうことをよしとして、奇妙な「自虐史観」ならぬ「自讃史観」を形成して、それが日韓対立にも深刻な影響を及ぼしているのです。そこに彼らの反省が及ばないかぎり、まともな話し合いのプラットフォームはできない。でなければ日本は今後も際限のない譲歩を強いられるだけだし、それは韓国の人たちのためにもならないでしょう(そもそもこのソウル大の先生は、近代以降の「法」というものは「理」をベースとしていて、だから遵守を求めることができるのだということは完全に忘却しているようです。よく韓国は「法治国家」ではなくて「情治国家」だと言われますが、彼らが法を無視したり、恣意的に運用したりするのは「『理』という本質に照らそうとするプラトン的習性に起因する」のではなく、党派的な感情――「恨」という復讐感情――で動くことが多すぎるからです)。

 話を元に戻して、冒頭の「声明」は、一面的に日本政府の対応を批判するだけになっていて、韓国側のこうした問題点には全く触れないがゆえに、両者を歩み寄らせる手助けにはならないだろう――少なくとも僕にはそう思われる、ということです。

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