「安倍以外なら正直もう誰でもいい」という声の中、麻生氏再登場

2017.06.25.13:23

「もり・かけ」問題での「首相にあるまじき」低次元の公私混同ぶりと、それに対する見え見えの嘘の連発で、「もう安倍とあのアホ女房の顔だけは見たくない」という人が激増して「安倍三選」のシナリオも危機に瀕する中、麻生元総理などは逆に元気になっているようです。以下は、「豊田氏を『あれ女性です』」と題したロイターの記事。

 麻生太郎副総理兼財務相は24日、新潟県新発田市で開かれた自民党麻生派議員の会合で講演し、秘書への暴行問題で離党届を提出した豊田真由子衆院議員について「学歴だけ見たら一点の非もつけようのないほど立派だったけど。あれ女性ですよ女性」と述べた。
 豊田氏が議員になる前に勤めていた厚生労働省の関係者の話として「どこかで引き取ってくれないかと思ったら永田町で引き取ってもらったんですよと(言われた)」と語った。
  豊田氏を含め、不祥事が続出する自民党の衆院当選2回生に関し「全国に数多くおります。(2012年衆院選で)119人もの新人が通りましたから、こりゃいろいろいるんです」と指摘した。


 久方ぶりに“麻生節”が冴えわたったようで、とりわけ、豊田議員にからめ、厚労省関係者の話として、「どこかで引き取ってくれないかと思ったら永田町で引き取ってもらったんですよ」という箇所は秀逸ですが、これはたぶんほんとでしょう。そういうのを公開の場で平然とバラしてしまうところがいい。考えてみれば、安倍には、嘘ばかりつく一方、笑えるところがない。これは安倍が陰性の人間だからで、麻生氏はこれに対して陽です。首相在任中は「未曾有」を「みぞうゆう」と読んだといって「知性がない」と非難されましたが、それはありがちなことで、安倍の「でんでん」と較べれば間違いとしてもずっとレベルが高かったのです。他にも麻生氏は「マンガの『ゴルゴ13』で国際政治を学んでいる」と揶揄されて、その代わりアニメおたくの間では大人気だったのですが、これも安倍の並外れた外交音痴と較べればまだしも忍びやすい。何より、麻生氏には安倍みたいな、いつまでもしつこく言い訳するネチこさがないからいい。

 安倍晋三首相は24日、神戸市内のホテルで開かれた神戸「正論」懇話会で講演し、政府の国家戦略特区制度を活用した学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設計画をめぐる対応について「(学園理事長が)私の友人だから認めてくれ、という訳の分からない意向がまかり通る余地など全くない。プロセスに一点の曇りもない」と述べた。
 国家戦略特区に関しては「(愛媛県)今治市に限定する必要はない。速やかに全国展開を目指したい。意欲があれば獣医学部新設を認める」と語った。


 これは隠れもない御用新聞・産経の記事ですが、この期に及んでもまだこういうことを言ってるわけです。「速やかに全国展開を目指したい。意欲があれば獣医学部新設を認める」という話ですが、「加計のためではなかった」という言い訳のために、他にも獣医学部を作らせて、「ほらね」と胸を張りたいのです。馬鹿か、としか言いようがない。僕は高校生専門の英語塾の教師ですが、生徒に加計の獣医学部なんか、絶対受けさせませんよ。それは僕がこの不正な認可のプロセスに腹を立てているからではなくて、160人の獣医学科にしては多すぎる定員で、教員の確保もおぼつかないと言われているようなところに高い授業料を払って行っても、それに見合った教育を受けられるか、疑わしいからです。予備校みたいに国家試験対策を必死にやってその合格率だけは何とか他大並にしても、中身が信用できない。就職に際して、「何だ、あそこの獣医学科か…」ということで差別待遇を受けるおそれもあるのです。それは「身から出た錆」なので同情には値しませんが、学生と高い学費負担を強いられた親御さんたちは気の毒です。そのために巨額の支出を強いられた今治市も同様。今の政権が続くなら、安倍は御用メディアを使って「加計の獣医学部は素晴らしい」「この最先端の設備を見よ!」みたいなことをあちこちに書かせるでしょうが、そういうのに引っかけられてはなりません(どうせうまく行かなかったら、「私大の公立化」という奥の手を使って、地方交付税公金を使って復活させればいいという安易な考えなのでしょうが、そういうことで税金を無駄遣いされてはたまったものではありません)。

 こういうふうに、安倍みたいな奴に政権をもたせると、「ズブズブの関係」というやつがいたるところに生じて、「規制緩和」の大義名分の下、日本社会は韓国以上の情実政治の支配下に置かれることになる。コネと忖度と、「ハイル・アベ!(これはむろん、ハイル・ヒトラーをもじったものです)」が言えるかどうかが成功の分かれ目になるのです。それで「社会の活性化」もクソもないのは、いくらかでも常識のある人ならおわかりでしょう。

 こういう陰湿なのに較べると、麻生氏は引き立つのです。とりわけ絵になりそうなのは、「トランプ・麻生対談」の図で、麻生氏のファッションは海外のメディアでも「マフィアのドン風」というのでかねて有名ですが、トランプと一緒なら、ほとんどマフィアの秘密会談みたいになってしまうでしょう。「待ちねえ、トランプの。そいつはわがファミリーとしては呑めん話だな」「いや、ドン・アッソーノ、ここはどうしても折れてもらわないと、血の雨が降るのは避けらんことになる」なんて、緊張の火花が散り、安倍のような使い走りのヤンキーとは格が違うところを見せつけることになる。その後の記者会見でも、麻生氏はボルサリーノ・ハット(今の若い人はフランス映画『ボルサリーノ』を知らないでしょうが)に軽く手を触れながら、「トランプの保護主義は虫がよすぎる。あれは所詮は不動産屋上がりだから、国際政治というものが全然わかっとらんのだ」なんて無遠慮なことを平気で言ってのけるのです。かっけー。

 派閥拡大を目論んでいる麻生氏の狙いは、首相再登板ではなくて、キングメーカーとして君臨することだという説もありますが、「安倍以外ならもう誰でもいい」というのがあるから、このマフィア麻生でも、妙にじとーっとした感じの軍事おたく石破でも、穏健派のイケメン岸田でも、誰でもいいから早く変わってもらいたいと思う今日このごろです。安倍と同じ陰性の官房長官の菅や、出産・子育て中に産経を読んで洗脳され、右翼になったあの「ネトウヨのアイドル」稲田朋美なんかはさすがに勘弁してもらいたいと思いますが…。

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岸博幸という官邸御用教授について

2017.06.23.13:52

 この前、「和歌山の恥」竹中平蔵については触れましたが、その子分の岸博幸(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授)と、高橋洋一(嘉悦大学教授)あたりは安倍擁護派の論客として、まだお元気でご活躍のようです(2冊の安倍絶賛本の著者、山口敬之は、一時売れっ子だったのに、あのまっ黒けの「準強姦疑惑」のおかげでどこからもお呼びがかからなくなってしまった由)。

 この二人はむろん、「あれはもう化けの皮がはがれた」と言われているアベノミクスの熱烈な支持者(貴重な絶滅危惧種と言える)です。高橋洋一については、何年も前、つまりは最近の安倍擁護論以前に、何か刺激的なタイトルの記事をクリックすると、「何だ、またこのオッサンかよ…」ということが多くて、腹を立てて経済学に詳しい知り合いに電話して聞くと、困惑した様子で、「昔はけっこうまともなことを言っていたのだが、ここ何年かはメチャクチャ、データを出して尤もらしいことを言うのだけど、そのデータそのものが信用できないというのか…何でああなっちゃんたんだろうと、不思議で仕方がない」ということでした。要するに、その方面の一定以上の知識をもつまともな人にはほとんど相手にされていないのです。

 岸博幸については、「竹中の愛弟子」というだけで、僕は信用しませんが、同じ一橋出身で同じく慶大教授になったというあたり、弟子としての“恩恵”はたっぷり享受しているようです(その慶応も、例の女子学生レイプ事件での隠蔽的・事なかれ主義的対応でミソをつけた上に、この前は塾長戦で得票率1位の人が学長に選ばれるのが慣例だったのに、その後の銓衡委員会とやらでこれがひっくり返され、前学長の路線を継承する2位の候補が新学長に選ばれるという異常事態が発生し、内部からも批判の声が上がっているというニュースがあったばかりです。「〔前塾長の〕清家さんは財界にパイプがあります。引き続き利権を得るためにも“内閣”のメンバーだった長谷山さんにしたかったのだろうと言われています」と週刊誌記事にはありましたが、「隠蔽」に励み、「公正」をないがしろにするなど、大学そのものが妙にアベ的になっているのです)。

 ともあれ、ネットで見るかぎりでは、今はこの岸博幸が一番熱心に「安倍擁護」の論陣を張っているようで、高橋洋一よりは信用があるので「有効」と官邸筋からは期待されているのかもしれません。さっきもニュースサイトを見ていたら、次のようなダイヤモンド・オンラインの記事がありました。

加計問題の内部文書流出に見える文科省「真の体質」

 ご覧になればわかりますが、これはたんなる「憶測記事」です。学者の書く文章ではないので、肩書は教授でも、官僚上がりの「もどき」だからこんなのでも許されると思っているのでしょうが、「程度低すぎ」です。岸によれば、文科省のあれこれの「内部文書」は文科省役人の「創作」であり、「文科省は…今や内部文書の流出が連続するという“テロ”まで仕掛けているのかもしれません」と想像をたくましくするのですが、その「創作」と決めつける根拠にしてからが、「『記憶が曖昧』と言う文科省よりも、『そんなことは言っていない』と断言している官邸・内閣府の方が正しいのではないでしょうか」という憶測に基づき、さらにその憶測は、自分も役人だったから言うが、「10年以上経った今でも当時のかなり細かいことまで覚えてい」るから、「記憶が曖昧」なんてことはあるはずがない、だから文科省の役人どもは嘘をついているのだ、という憶測によるのです。

 しかし、常識で考えるなら、「記憶が曖昧」とでも答えないと、官邸側は全否定しているのだから、官邸と全面戦争になってしまう。今は人事まで官邸側に握られているという話なのだから、そこまでは役人としてはできませんということで、「曖昧」ということでお茶を濁しているのだろうと解釈した方が自然です。それでも国民は察してくれるだろうと。

 こう言えば岸は、「そんな根性なしに役人が務まるか!」とまた威勢のいいことを言うでしょう。それは次の産経のインタビュー記事なるものからしてもわかります。

岸博幸・慶大院教授インタビュー「加計学園問題は改革つぶし」「前川は官僚のクズ」

 安倍内閣が人事権を握っているから逆らえないともいわれるが、本当に日本のために必要だと思うなら、クビを恐れずにやればいい。自慢する気はないが、竹中氏の秘書官として不良債権処理をやっていたときは、竹中氏が失敗したら私も辞めるつもりでいた。人事権を握られたぐらいで何もできないなんて、その程度の志しかない人間が偉そうにモノを言うなと思う。

 だから前事務次官の前川氏は「官僚のクズ」だと言うのですが、彼が「自慢する気はないが」と言いつつ自慢している自分の過去は、忘れてもらっては困るが、小泉政権当時の官邸の強いバックアップを受けてのものだったのです。それ、おんなじ話かね?

 本気でそう言っているとすれば「頭が悪い」としか評しようがないが、この他にも、安倍擁護派は判で捺したみたいに「岩盤規制の突破」を言います。岸も同じなので、文科省という「抵抗勢力」をやっつけるのは「正義」なのです。

 しかし、安倍がこの件で前のめりになったのは、「腹心の友」である加計学園の理事長のためだったのだろうという「疑惑」については、「偶然」で片づけられるような話ではない。森友学園の小学校用地8億円値引き、スピード認可に関しては、アッキーの働きかけが大きく「神風が吹いた」と感じられたと、籠池前理事長は語っていましたが、同じような「不自然さ」がこの件には終始まとわりついているのです。だから岸の熱弁も、所詮は「論点ずらし」でしかない。かんじんのその点に触れないのは卑怯・姑息というもので、エラそうに前川攻撃なんかしている資格はないのです。

 にしても、安倍のお友達、御用メディア人が皆この類なのはなぜなのでしょうか? 僕は福島原発事故のとき露わになったあの「原子力ムラ」の先生方の生態(安富歩・東大教授が「東大話法」と命名した)をつい思い出してしまうのですが、パーソナリティ的に非常によく似ているような気がするのです。彼らはその後、すっかり世間の信用を失ってしまったのですが、今回も同じようなことになるかどうか、行く末を見守りたいと思います(それでもクビになる心配はないのだから、大学教授ってオイシイ商売ですね)。


【追記】わざわざ独立した記事を書くほどではないので、ついでに載せておきますが、自民党に離党届を提出した「魔の二回生」「安倍チルドレンの」一人で、「ピンク・モンスター」の異名を取っていたという、豊田真由子衆院議員(42)についての笑える「まとめ」があったので、ご紹介しておきます。ヤラセ見え見えの国会質問の際の「ぶりっ子」とのコントラストも鮮やかで、これで夫や子供もいるというから恐ろしい。一番ほっとしているのは実は家族で、「今まではセラピー(心理療法)を受けさせたいと思っても無理だったが、これで言うことを聞くのではないか…」と期待しているのではないでしょうか? 何にしても、彼女もまた安倍政権にふさわしい「輝ける異才」の一人ではあります。

豊田真由子の最凶伝説がヤバすぎる…【音声あり】

安倍政権の危機意識よりはマシと言えるが…

2017.06.22.16:38

 以下、時事通信の記事です。

 石川県の谷本正憲知事は21日、金沢市内で行われた県内町長らとの会合で、北朝鮮による弾道ミサイル発射に関し「(県内の)北陸電力志賀原発を狙う暴挙をするなら、兵糧攻めにして北朝鮮の国民を餓死させなければならない」と発言した。制裁強化の必要性を強調したものだが、物議を醸しそうだ。
 出席者によると、発言は年内にも行う県内でのミサイル発射想定訓練をめぐる意見交換の際出た。
 谷本知事は会合後、記者団に対し「北朝鮮国民には大変迷惑がかかるが、(制裁強化により)同国民が目覚め『間違ったリーダーを抱えている』と理解させないといけない」と説明。発言の妥当性については「過激な発言にならざるを得ない。なぜわれわれが避難訓練までしないといけないのか」と述べ、撤回しなかった。(2017/06/21-19:09)


 前に安倍政権のこの問題に関する対応のお粗末については、「お笑い内閣官房『弾道ミサイル落下時の行動等について』」(4.22)で書いたことがあって、憲法改正がどうのとギャアギャア言う割には、危機管理がなっていないのに呆れたのですが、それと較べれば、この知事さんの方が切実感をもっているわけです。

 しかしながら、独裁国家北朝鮮の場合には、見てのとおり、民は飢えても上はへっちゃらなわけで、金正恩のあの見苦しいまでの「ムダ太り」を見てもそれはわかろうというものです。「同国民が目覚め」たところで、反政府的な行動はとれない。日本の場合だと、官房長官によって「私生活の秘密」を読売か産経にリークされて、信用を貶められる危険はありますが、「即死刑」というところまでは、まだ幸い行っていない。北朝鮮の場合だと、仮に「目覚め」たところで、公開処刑を食らうのが関の山なのです。

 洗脳教育の問題もある。わが国もそれは戦前戦中経験したところで、それプラス情報統制&大本営発表のおかげで、民族絶滅の瀬戸際まで行ったのです。「あの愛国教育は素晴らしかった」と郷愁にふけっているのが、今の安倍政権なわけで、森友問題の深刻さも、皆さんもうお忘れのようですが、本質はそこにあったわけです。ああいう騒ぎにならなければ、あの手の「教育勅語教育」を、日本会議の面々や安倍政権は「普及」させたかったのです。アッキーなんかは、それが「神様のお導き」だと本気で思っていた。その割には自分の身に害が及ぶとなると、関係者一同「手のひら返し」がすごかったわけですが。

 大体、昔の百姓一揆ではあるまいし、餓死寸前に追い込まれた国民が、どうやって近代的装備の軍隊をもつ国家権力を転覆できるんですか? 現実性にも乏しい論理で、北朝鮮との融和を掲げる文政権の韓国には、「これだから日本は…」ということで、「朝鮮民族を蔑視する本性がよく表われたもの」として、反日感情強化の新たな材料を提供することにしかならないでしょう。

 歴史を振り返ると、朝鮮半島では昔(日本の明治時代)、歴史教科書でおなじみの「東学党の乱」というのがあって、それは「閔氏政権の重税政策、両班たちの間での賄賂と不正収奪の横行、そして1876年の日朝修好条規(江華島条約)をはじめとした閔氏政権の開国政策により外国資本が進出してくる等、当時の朝鮮の民衆の生活は苦しい状況であった」(ウィキペディア)という時代背景の中起きた農民反乱だったのですが、その勢いに恐れをなした朝鮮政府は中国(清国)に軍事介入を要請し、日本はこれに対して、日本公使館と日本人居留民の保護を名目として、軍を派遣し、そこからややこしいことになって、日清戦争勃発へとつながるのです。そしてその戦争が日本の勝利に帰したのち、東学党の第二次蜂起が行われ、日本・李朝連合軍によって鎮圧、という展開になるのですが、朝鮮政府はそのリーダー全琫準を処刑する。しかし、こういうの、韓国の歴史教科書などでは、「とにかく日本が(中国も少し)悪かった」という話になっていて、文脈はかなり一方的なものになっているのではないかと思われるので、「いや、おたくの国民感情を遊離したアホすぎる政府にも、それ以上の責任があったのではないですか?」なんて言っても無駄なのです。そこらへん、「日本は侵略戦争なんてしたことがない。アジアに平和と秩序をもたらそうという一点の曇りもない美しい理想が誤解されただけだ」なんて言うネトウヨの逆バージョンと考えればいい。

 話を戻して、この問題は厄介なので、日本やアメリカとしては今の金正恩体制が崩壊して、民主的な政権が誕生すれば一番いい、その上で朝鮮半島が民主政権の下、統一されれば、それは朝鮮民族にとっても喜ばしいことだろうと考えますが、この問題で鍵を握ると言われる中国の習近平政権はそれでは面白くないとたぶん思っているでしょう。そういうことになると、韓半島全体がアメリカ寄り政権になるだけではなく、それに刺激されて、弾圧を続けてきた国内の民主化勢力が増大しかねない。北朝鮮が崩壊すれば難民が流れ込んでくるというだけでなく、自国の共産党一党独裁体制が揺るがされるおそれがあって、恐怖としてはおそらくそちらの方が大きいでしょう。

 だから金正恩体制の崩壊を中国は望まない。できればもう少し「よい子」になって、こちらの言うことを聞いてくれればいいと思っているだけです。あるいは、こいつはもう駄目だとなったら、彼を排除して傀儡政権でも立てたいでしょう(日本も昔、「満州国」なんて傀儡国家を作ったことがありますが)。しばらく前の「朝鮮は歴史的に中国の領土」発言からもわかるように、習近平の意識の中では、南も北も「属国」以上ではありえないのです(だからTHAAD配備をめぐって、何のためらいもなくああいう露骨な「韓国いじめ」もやる)。

 そういうふうに、北朝鮮をめぐる思惑は様々(韓国文政権の出現は事態をいっそう複雑にしました)で、北朝鮮はそうした「国外不一致」をいいことに勝手な真似を続けているので、そういう意味ではかなりしたたかです。アフガン、イラク戦争で大ミソをつけたアメリカ政府が、国内世論を北朝鮮強硬策にもっていけないことも承知しているでしょう。

 冷静に考えれば、今の北朝鮮が日本にミサイルを撃ち込む可能性は低い。一線を超えないようにそのあたりは注意しているはずで、自画自賛するように本当に「核強国」になればまた話は別ですが、明日あさってミサイルが国内原発めがけて飛んでくるようなことはないでしょう。

 だから考える時間はまだあるわけで、知事さんもイラつかずに、もう少し冷静に問題を考えたらいかがでしょうか? にしても、その「避難訓練」とやらは、安倍政権が指示したものなんでしょうかね? ほとんど意味のないそんなことをさせるなら、もっと他に政府レベルでやるべきことが沢山あるのではないかと思うのですが、前にも書いたように、観念右翼の安倍政権には僕個人は全然期待していません。さんざ危機を煽るのも、集団的自衛権や憲法改正正当化のためなので、緻密な多方面外交や、地に足の着いた有効な国内対策など、同時にとれるわけないなと思っているからです。北朝鮮を非難してさえいれば、「毅然とした対応」として有権者の支持が得られると思っている。先にはISに日本人の人質がとられているさなか、いい気になって中東歴訪に乗り出し、「IS対策に2億ドル支援」とぶち上げ、直後に人質惨殺を招くという不祥事がありましたが、一事が万事で、そのノーテンキなアホさ加減に国民はそろそろ気づいてもいい頃だと思うのですが…。

「安倍晋三=モンスター・チャイルド」の恐怖

2017.06.20.22:56

 加計問題で、新たに次のような記事が出ていました。

今治市がたった一日で即決した96億の補助金 安倍首相が会見でスルーした加計疑惑が再燃

 記事は後半に重点があるのですが、僕が何より驚いたのは冒頭の部分なので、今回はそちらに絞って書きます。昨日の総理記者会見の一部です。

「印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反応してしまう。そうした私の姿勢が、結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省している」と謝罪。

 うーむ。どう思われますか? そこらへんを朝日の会見詳報記事から補足すると、

 政策とは関係ない議論ばかりに多くの審議時間が割かれてしまった。国民に大変申し訳なく感じている。印象操作のような議論に対して、つい強い口調で反論してしまう。そうした私の姿勢が、結果として政策論争以外の話を盛り上げてしまった。深く反省している。

 要するに、こういう論理なのです。自分は政策論争を積極的にやるつもりでいたが、森友や加計学園の問題が出てきて、そういうのは「印象操作」にすぎないのだが、自分もそういう言いがかりをつけてくる野党の卑劣さについエキサイトして、結果としてそちらの話ばかり盛り上がってしまった。だから共謀罪なんかもそれに時間を取られてああいうかたちで可決となってしまったので、国民の皆さんが不満に思って支持率が下がるのも無理はない。その点は反省している、というのです。

 あのー、そういう話じゃないんですけど…とほとんどの人がこれにはあっけにとられるでしょう。多くの国民が腹を立てているのは、森友や加計の問題が野党やマスコミの「印象操作」ではなくて、証拠も揃った「きわめて信憑性の高い疑惑」だと思われたからで、にもかかわらず、安倍はそれに正面から答えることなく、何ら説得力ある反証もないまま、頑なに否定し続けたからなのです。

 安倍はしかし、ここでもそのことには触れず、野党の「印象操作」に乗せられて、つまらないことに時間を取られてしまった、要するに、それは野党が悪いのだが、それにつきあってしまった自分にも非があると「反省」のポーズをとって見せているのです。

 すぐに僕の頭に思い浮かんだのは、モンスター・チャイルドのことです。教育に携わる人なら、ごく稀にですが、次のような子供に遭遇することがあるでしょう。何か悪さをしたとか、不正を行ったというので、動かぬ証拠を突きつけられる。正直な子供なら、うなだれたり、泣き出したりします。これだと、「わかったら、もうこんなことをしては駄目よ」で済む。自己肯定感に乏しい、心に何か問題を抱えた子供なら、事実は認めつつも、自分がそうしたのは何か他に理由があるからで、自分が全面的に悪かったわけではないのだと言い訳します。こうなると少し面倒ですが、べつだん異常と言うほどではなく、このあたりまでは「正常」の範疇です。しかし、ごく稀に恐ろしい子供がいて、根拠は全く示さないまま、その証拠は嘘で、自分はあくまで無関係で、誰かが自分を陥れるためにそういう嘘の証拠をでっち上げたのだと言い張るのです。しかし、これはそういうものではなくて、裏もとれている。これのどこが嘘なのだときいても、それには答えず、そんなものはウソにきまっている、ボクが悪いわけはないのだと頑固に言い張るのです。

 挙句の果てに、先生はボクのことが嫌いで、だからこんなものでボクを罰しようと企んでるんでしょ、ウチに帰って、ママとパパに言いつける。ボクの家はお金持ちで、力をもっているから、先生なんかいつでもクビにできる。警察だってボクの味方なので、先生に勝ち目はありませんよと、激していたのが、いつのまにかうすら笑いすら浮かべているのです。

 教師はその脅しにではなく、良心が全く欠落したその子供の内面のありように戦慄します。要するに、この子は、その証拠が嘘でないことは百も承知しているのです。しかし、絶対に自分の非は認めない。嘘だと言い張り、相手を脅せば、そこから逃れられる。また、そうすればいい、そうして悪い理由は何もないと思っているのです。

 翌日、その子は先生のもとに「謝罪」に訪れます。教師は喜んで、やはりこの子にも良心はちゃんとあったのだと思います。子供にはそんな悪魔みたいな子がいるはずはない、一時とはいえ、教育者である自分がそれを疑ったのは間違いだったと、教育者としての信念のなさを恥じる気持ちになります。ところが、その子はこう言うのです。

 昨日は先生に時間を取らせてしまってすみませんでした。あの程度のことでついカッとなってしまった自分をボクは反省しました。後で考えると、先生があれをボクのせいだと勘違いしたのはわかります。もちろんボクは無関係ですが、先生が誤解したのも今はわかるので、ボクはもうそれは許す気になっています。気分を害したからとはいえ、先生を脅すようなことを言ったのは行き過ぎでした。そのことをひとこと詫びたいと思い、こうして先生に謝罪しに来ました。ボクはボクを陥れようとした人も許す気になっています。あの件はだから、ボクも今後は忘れるので、犯人探しなどしてもらわなくてけっこうです。冷静に考えてみれば、あれはどうでもいいような、些細な問題だったのです。

 口調も滑らかに、「立て板に水」といった調子で、その子はそう言うのです。あたかも自分は被害者であるかのようで、こんなふうに「謝罪」されたとしたら、あなたがその先生だったとして、どう感じますか? 恐怖のあまり、凍りついてしまうのではありませんか? そして途方もない無力感を感じるでしょう。それは人間に対する信頼が根底から崩れてゆくような感覚です。

 むろん、こんな子供は、仮にいたとしても、百人に一人もいないでしょう。千人に一人でも多すぎると感じられる。しかし、安倍晋三は、ひょっとしたらこういう子供だったのではないでしょうか(彼にそんな論理の駆使能力はないとしても、です)。ふだんは無邪気に軽口を叩いているが、何かまずいことをやらかしたときは、頑なに自分の非を認めず、いつもとは一変した姿を見せるのです。

 その子はあるグループのリーダー的な存在で、先生はかねてそれを不思議に思っていました。人望があるとか、頭がいいとか、面倒見がいいとか、男らしくて喧嘩が強いとか、女の子にモテるとか、そういうところは何もないからです。たしかに家庭は金持ちで、王子様扱いされて甘やかされ、おこづかいをたくさんもらっているので、それで他の子供たちにおごったりはたまにしているようです。しかし、それだけではリーダーにはなれない。何か妙にヘラヘラしたところがあって、仲間と一緒にハンデのある子や家庭の貧しい子を無神経にからかったりすることがあるので、それが気になっていたのですが、どうして子分のような子供たちが何人もいるのか、いくら考えても理解できない。しかし、今回の一件で、この子の何が他の子供たちを恐れさせ、支配する力になっているのか、わかった気がしたのです。それは平然と嘘をつく能力、自分にどれほど非があっても、それはきれいに棚に上げて、相手の些細な落ち度を追及して、それを非難し、自分を危地に陥れるような相手にはどんなことでもするのではないかという恐ろしさです。大人の私でも恐怖を感じたのだから、子供ならなおさらこわいと感じるだろうと。

 もう一つ、先生が感じたのは、頭はよくないくせに、妙なズル賢さがあることです。この子は考えたに違いない。家に帰って両親につくり話をして、教師攻撃に乗り出させたとしても、自分が嘘を言っていて、その証拠は本物だったことがいずれバレてしまうだろう。だからそうするのは得策ではないので、ここは一応教師にかたちだけでも「恭順の意」を示して、追及をやめさせるのが賢いやり方であると。その際、しかし、その奇妙な「謝罪」の仕方が、どれほど異様な印象を相手に与えてしまうかまでは計算できなかったのです。

 あなたがその先生だったとして、このモンスター・チャイルドの行く末をどう占いますか? 毛並がよくて、有名な政治家の家の三代目なら、将来政治家になることはほぼ確実で、ひょっとしたら総理大臣になる日が来るかもしれない。彼が巨大な権力を手にしたら、どうなるだろう? さらに具合が悪いことに、この子は途中でおかしな神がかり国家主義にまでかぶれてしまった。類は友を呼ぶで、彼の周りには不誠実な嘘つきの権力亡者が集まるだろう。何か具合の悪いことをボスがしでかすと、彼らは手足のように働いて隠蔽のために手段をえらばずの行動を取り、その見返りに政権で高い地位に就くだろう。「悪貨は良貨を駆逐する」を地で行くその政治は、社会に異常な精神空間をつくり出し、公私、善悪の区別など、もはや誰にもつけられなくなってしまうだろう。それはおそらく、あの悪魔映画『オーメン』の世界に近いものになってしまうのではないか?

 いくら何でも、まさかそこまではねえ…と苦笑する人が多いでしょう。しかし、僕は今、かなり真面目にこれを書いているので、仮にあんな記者会見で支持率が回復するようなら、もうこの国は終わったも同然です。

 参考までに、その会見詳報から、上記「モンスター・チャイルドの論理」にぴたりと当てはまりそうなものを列挙しておきます。

・また国家戦略特区をめぐる省庁間のやりとりについて、文部科学省が先週、徹底的な追加調査を行った結果新しく見つかったものも含め文書を公開した。これを受け、内閣府の調査も行い、関係する文書などを明らかにした。しかし、最初に調査した段階では、それらの存在を確認できなかった。二転三転したかたちとなり、長い時間がかかることとなった。こうした対応が国民の政府への不信を招いたことは率直に認めなければならない。「信なくば立たず」だ。何か指摘があれば、その都度真摯(しんし)に説明責任を果たしていく。

・英国で、フランスで、イランでテロ事件が発生した。テロの恐怖は世界に拡散している。こうした時代に東京オリンピック・パラリンピックを3年後に控える我が国にとって、テロ対策の強化は待ったなしだ。テロを未然に防止するため、国際組織犯罪防止条約を締結し、国際社会と連携を強めていく。今回成立した「テロ等準備罪処罰法」は、そのために必要なものだ。今後、通常国会での審議、様々なご指摘などをしっかりと踏まえながら、本法を適正に運用し、国民の生命と財産を守る。そのことに万全を期してまいる。

・国会終盤では、国家戦略特区における獣医学部新設について、行政が歪(ゆが)められたかどうかをめぐり、大きな議論となった。獣医学部はこの50年以上新設が全く認められてこなかった。しかしいま、鳥インフルエンザ、口蹄疫(こうていえき)など、動物から動物、さらには動物からヒトにうつるかもしれない伝染病が大きな問題となっている。専門家の育成、公務員獣医師の確保は、喫緊の課題。そうした時代のニーズに応える規制改革は、行政を歪めるのではなく、歪んだ行政をただすものだ。岩盤規制改革を全体としてスピード感をもって進めることは、総理大臣としての私の意思だ。当然、その決定プロセスは適正でなければならない。ですから国家戦略特区は民間メンバーが入った諮問会議や専門家を交えたワーキンググループにおいて議論を進め、決定されていく。議事はすべて公開している。むしろ、そうした透明で公平・公正なプロセスこそが内向きの議論を排除し、既得権でがんじがらめとなった岩盤規制を打ち破る大きな力となる。これが国家戦略特区だ。半世紀ぶりの獣医学部新設についても、審議に携わった民間議員の皆さんは、プロセスに一点の曇りもないと断言している。まさに岩盤規制改革の突破口だ。しかし、この特区制度について、この国会では民進党のみなさんから制度自体を否定する法案が提出された。岩盤規制の改革には抵抗勢力が必ず存在する。しかし、わたしは絶対に屈しません。既得権と手を結ぶことも決してありません。今後とも総理大臣である私が先頭に立ち、ドリルの刃(やいば)となって、あらゆる岩盤規制を打ち破っていく。


 これで納得がいきましたというアホな有権者はどれぐらいいるんでしょう?「信なくば立たず」とは言いも言ったりで、誰が台本を書いたのか知りませんが、ここまで不誠実な駄文、僕は読んだことがないので、ほとほと呆れます。「質問や批判には答えず、論点をずらしつつ、いかにも情熱を傾けているかのように別のアジ演説をする」安倍内閣の面目躍如です。こういう政権相手に、国会でまともな議論など成り立つはずもない。税金の無駄づかいでしかないのです。しかし、そうなってしまうのもモンスター・チャイルド安倍に言わせれば、「印象操作に巧みな野党と一部マスコミのせい」なのです(野党の皆さんに一言アドバイスしておきたいのは、安倍のような男は初めから異常人格の持主だと承知して相手にしないと駄目だ、ということです。そういう認識をもてば、おのずと対応の仕方も変わってくるでしょう)。

 ちなみに、この首相記者会見から三十分もたたないうちに、森友の家宅捜索が始まったという話で、その段取りのよさには薄気味の悪さすら感じます。検察まで片棒を担いで、政権に不都合なものは「消去」するたんなる「闇の掃除人」にならないかどうか、今後の展開を注視したいところです。

安倍晋三を「終身首相」に!

2017.06.18.19:26

 国会の会期が事実上終了。永田町界隈では安倍総理は最近、蕎麦屋に行かなくなった(「もり」だの「かけ」だのという言葉が神経に障るので)と言われているそうですが、ほっと一息で霊験あらたかな「神立の水」とやらでも飲みながら、アッキーと仲良くお食事しているかもしれません。

 最新の時事通信の世論調査では、支持率はまだこんなにあるとのこと。

【図解・政治】内閣支持率の推移

 不支持率はまだたったの33.9%です。三人のうち一人が安倍に腹を立てているだけです。約2割の人はどっちかわからないようなので、残り二人が支持というわけではないようですが、有権者が100人いれば45人もの人がまだこの政権を支持している計算になります。率直に言って、そのうちの20人ぐらいは政治のことなんかロクに考えたこともない人たちで、現状肯定、事なかれ主義の傾向があるので「支持」に入れたのでしょう。25%ぐらいがネット(正味)の安倍支持かなと思います。

 しかし、内容はともかく、45%も支持があればまだ安泰で、今年3月、自民の党則が改正されて、総裁任期が「連続2期6年まで」から「連続3期9年まで」に延ばされましたが、僕はそんなケチなことは言わず、安倍総理にはぜひ「終身首相」になっていただいて、読売のナベツネの政治家版になっていただきたいとねがう者です。あれで読読新聞やジャイアンツは今のような素晴らしい姿になったのですが、それでわが国がどんな「美しい国」になるか、とくと見てみたいと思うのです。

 せっかく盗聴法や共謀罪を通しておきながら、その果実を存分に楽しむことができないのでは、安倍や菅官房長官にとって残念至極なことでしょう。週刊新潮最新号によれば、官房長官は記者会見で食い下がられ、キリキリ舞いさせられた東京新聞の有能な女性記者に腹を立て、早速警察関係者にその女性記者の「身辺調査」を命じたそうで、前川前事務次官の「風俗通い」と同じく、何か記者の信用を貶めるような情報をつかんで、それをリークし(また読売?)、痛い目に遭わそうとお考えになったのです。材料が見つからず、諦めたようですが、上記二法案はこうした場合、官邸お得意の恣意的解釈をもってすれば、敵をビビらせる有効な道具になるに違いないと思われるのです。

 僕が安倍の「終身首相」を望む理由は別にあって、彼は支持率が下がるのを恐れて消費税値上げを先送りし(在任中は上げないでしょう)、事実上すでに破綻している年金制度改革などそっちのけ、これから数年すると団塊の世代が後期高齢者入りして、今は彼らのリタイアのおかげもあって労働市場は深刻な人手不足に陥り、おかげで大学生の就職率もアップしているし、失業率全般が下がって、政権には甚だ好都合なのですが、これから負のインパクトが顕在化して、健康保険も含め、社会保障制度は崩壊の危機に直面するわけです。こうした難局に政府はどう対応するのか、それをとくと見物させていただきたいのです。アベノミクス「官製相場」の行方も気になる。率直に言ってこれはイカサマなので、崩れたら溜まりたまった赤字国債の問題やら、突っ込んだ年金資金の蒸発やら、とんでもないことになってしまうわけです(そこらへんの詳しい話は経済の専門家――尤も、こちらも安倍応援団の詐欺師みたいな手合いが少なくありませんが――にお任せしますが)。

 野党の民進が今不人気なのは、ある意味、幸いなことです。この前は、政権をとったと思ったらあの東北大震災が起きて、それまでの自民党の原発推進政策の賜物と言える福島原発の大事故となり、その対応のまずさですっかりミソをつけてしまった。あの程度ですんだのは運がよかっただけで、東日本壊滅も十分ありえたと言われていますが、自民党はこれを奇貨として政権に返り咲くと、それを反省するどころか、原発全廃の世論はどこ吹く風、新規原発のことはさすがに言わなくなったものの、またぞろ元の原発維持政策に戻ってしまったのです。

 あのときは、原発をどうするか、国民投票にかけるべきだという議論が出ました。しかし、安倍政権になるとそんな話はなかったことになり、今度は憲法改正したいから国民投票を実現しなければならないという話です。大地震、とくに南海トラフのそれは「起きるのは時間の問題」だと言われていますが、着々と原発再稼働は続く。それが起きたとき、今の安倍政権がどういう対応を取るか、それもとくと見物したいのです。

 要するに、安倍政権に「食い逃げ」させず、落とし前をつけていただくわけです。まともな政治家が安倍政権の「負の遺産」で苦しむのを見るのは忍びない。安倍のやらかしたことなのだから、本人が責任を取るのは当然でしょう。

 そのためにはあと一期では足りない。四期五期と続けてやらせて、「安倍政治の本質」が誰の目にも明らかになるまで待つのです。

 むろん、日本はボロボロになりますよ。今後「忖度政治」はさらに進むだろうし、マスコミの「自主報道規制」も進む。あれこれ出てくる政策上のボロも、「仕方がなかったのだ」ということでお友達の学者・文化人たちによって正当化されるでしょう。そうして二進も三進もいかなくなったら、戦前並に「一億火の玉」の国家総動員体制が必要だ、とやかく政権批判なんかこの期に及んでしているのは非国民だ、という理屈になる。「不穏な海外情勢」がしばしば援用され、憲法改正によって「妾から正妻に昇格」した自衛隊の軍備強化が焦眉の急で、テロ対策の観点から、警察力の強化も不可欠だ(盗聴も、もちろんやります)、となって、今は支持率向上のため、禁じ手の金融・経済政策で見かけ上の経済的安定を維持しているわけですが、それがコケたら、今度は経済ごときでとやかく言うのは「愛国心が足りない」からで、日本会議いうところの「栄えある皇国の伝統」に立ち戻って、「臣民の義務」を国民は果たすべきだ、というプロパガンダがなされ、しまいには「この難局を打開するには戦争しかない」というようなトンデモ論が「正論(そういうタイトルの月刊誌が産経にありますが)」として通るようになるのです。舵取りがまずすぎたから窮地に追い込まれたのだということは不問にされる。

 まさかねえ、と大方の人は笑うでしょう。それは承知の上です。しかし、前に僕はここに、オウムの麻原と安倍はよく似ているということを書いたことがありますが、安倍政権がバージョンアップしたオウム真理教でないという保証はどこにもないのです。日本会議が生長の家の教祖、谷口雅春の神道的ウルトラ国家主義に連なるものだという理解はすでに広がりましたが、要するにあれは戦前回帰の擬似宗教カルトです。安倍はそういうものにたいそう親和的で、だから手厚い支援を受けた。おかしなものにかぶれているのはアッキーや稲田朋美だけではないのです。

 オウムも最初は殺人集団ではありませんでした。麻原は薬事法違反などの前科はあったものの、「最初にして最後の最終解脱者」と「最」が三つも付く宗教的天才を自任し、あまねく慈悲を垂れて、悩める人々を「救済」するつもりでいたのです(別にそんなこと、頼んだ覚えはなくても、です)。そしてバブル経済の狂騒の中、心に空虚感を抱える若者を次々取り込んでいった(麻原自身は大学入試に失敗して高卒でしかなかったものの、幹部たちの学歴が大学難易度ランキング表でも見せられているような輝かしいものであったことは注目を集めました)。破竹の快進撃で、教勢はどんどん拡大してゆく。ところが、教団内部の「修行」で一人死者が出た。それを隠蔽しようとしたところからだんだんおかしくなって、批判を封じるためには手段をえらばず、坂本弁護士一家の殺害やら何やら、本格的に犯罪に手を染めるようになった。最初の躓きはその隠蔽、嘘だったわけです(裏でそういうことをやっている時点でも、宗教学者・文化人が彼を持ち上げたり、これは今でもYoutubeで見ることができますが、ビートたけしなんか、テレビで麻原インタビューを行い、おまえは弟子かというような心酔ぶりを見せたりしていたのです)。

 しかし、隠蔽工作も長くは続かない。追いつめられた彼はハルマゲドン妄想にとりつかれるようになり、サリン工場でサリンを大量生成し、購入したロシア製軍用ヘリで首都圏空中散布を企て、同時に信者たちはこれまた専用工場で自家制作した自動小銃で一斉蜂起する手筈だった。自衛隊内部の信者もこれに呼応して動くという、クーデタ計画が立てられたのです。それによって北朝鮮も顔負けの「麻原王国(オウム憲法では彼は「神聖法皇」と呼ばれることになっていた)」を樹立するつもりだった。地下鉄サリン事件の段階でその目論見は破れたわけですが、幹部の誰もそれを止めようとはしなかった。彼らは忠勤競争と教祖の意向の忖度に多忙で、いつのまにかその妄想を共有するにいたったのです。

 麻原と安倍は同い年(前者は早生まれなので誕生年は一つ違いますが)で、不都合なことを聞かれるとすぐブチ切れるなど、その身勝手さでもよく似ています。毛並みは全然違うが、強いコンプレックスを抱えていたことも共通している。この手の幼稚な人間は権力を手にすると抑制が利かず、たやすく自我膨張に陥ります。そのあたりもよく似ているのです。

 オウム事件が起きたとき、僕は深刻な鬱に陥りました。そうして、「まだこの程度ではすまないだろうな…」という悪い予感を覚えました。オウムの途中までの快進撃は僕には謎で、あの程度の男があれほどの権勢をもつにいたるとは、何か悪いものが背後にいるに違いない、と感じたのです。それが彼のツキ、幸運をアレンジしたのです。僕はそれを「闇の傀儡師」と呼んでいますが、これは人間のことではありません。平たく言えば悪魔です。未熟な人間が下手に瞑想などすると、そういうものにとりつかれることがある。麻原はまんまとそれに操られたのだろうと僕は思いました。その闇の存在は見込んだ人間を成功させ、権力をもたせ、それを使って社会の破滅をもたらそうとするのです。

 しかし、傀儡師の目的は果たせなかった。だから彼は次のターゲット、候補を探すだろう。次に白羽の矢が立てられたのは政治家の、強い心理的屈折を抱えた三世議員の安倍だった(麻原もかつては「東大法卒→内閣総理大臣」を夢見た野心家の青年でした)。奇しくも麻原と同学年だったのは、それが「悪の愛顧」をとくに受けやすい年で、何か占星学上の秘密でもあるのかも知れません。

 これはそれ自体「オカルト的」なので、多くの人の嘲笑を招くでしょう。しかし、仮に安倍にオウムの麻原と同じ「絶対権力」(教団内部ではそうでした)をもたせ、その施政を続けさせるなら、彼は確実に日本社会に破滅をもたらす人間になるだろうと僕は思っています。そのとき、安倍は麻原がそうなったのと同じく、廃人同然になるだろうと。それが闇の傀儡師に操られた人間の悲しい末路なのです。

 以上です。これでこのブログは読者を減らしてしまうことになるかも知れませんが、安倍政権は実はバージョンアップしたオウム真理教ではないかという見方は、事態を甘く見過ぎている人たちに再考を促す意味では有効なのではないかと思って、書いてみた次第です(長くなるので割愛しましたが、細かく見るとほんとに類似点は多いのです)。

 もっと「現実的」に物事を考えたいという方には、山崎雅弘著『「天皇機関説」事件』(集英社新書 17年4月)がお薦めです。あとがきに「この本を読まれて八十二年前の話であるにもかかわらず、すぐ身近で起こっているようなリアリティを感じた読者も、おられるかもしれません」とありますが、たしかにその「リアリティ」は十分です。「自分を『天皇の忠実な僕』のように位置付けて、美濃部らを居丈高に罵倒した『機関説排撃派』が、実際には天皇の意向や心情には関心がなく、ただ『自分が優位に立つために』天皇の権威を笠に着た構図は、決して美しいものとは言えないものでした」と筆者は述べていますが、これはリベラルな今の天皇と、「美しい国」のスポンサー、日本会議に集う右翼との関係についても言えそうです。今の安倍政権の危うさを最も強く感じとっておられるのは、実は天皇陛下御夫妻かもしれません。独善性の塊のような居丈高で卑劣な右派勢力と、それに追従する他なくなった時の政権が、当時の日本にどんな抑圧的・閉鎖的な精神空間を作り出し、募る社会不安を背景に進められた異様な「愛国教育」「愛国プロパガンダ」が国民の間にどんな狂気を醸成したか、その先にあの太平洋戦争はあったわけですが、それはたんなる「過去の亡霊」の話ではないと読者には感じられるのです。未読の方は、この目配りのよく利いた良心的な本(非常に読みやすい)を、ぜひご覧になって下さい。

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